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JP1 Version 10 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編)


5.1.1 JP1/AJS3 - Viewでの監視方法の検討項目

JP1/AJS3 - Viewで監視するに当たって,検討しておく項目を説明します。

〈この項の構成〉

(1) サマリー監視画面での監視対象を検討する

[JP1/AJS3 - View]ウィンドウ(サマリー監視画面)では,任意のジョブネットを監視対象として設定しておき,進捗度や配下のジョブの状態分布など,ジョブネットの実行状況を監視できます。ジョブネットの終了予定日時を過去の実行所要時間からシミュレーションして表示することもでき,開始や終了の遅延が業務に大きな影響を与えるようなジョブネットを監視するのに適しています。

異なる階層のジョブネットや,異なるスケジューラーサービス配下のジョブネットでも,一括で監視できます。

(2) ジョブネットの遅延監視について検討する

JP1/AJS3では,ジョブネットの遅延を次の方法で監視できます。

(a) 日時指定による遅延監視

日時を指定し,ジョブネットが予定日時に開始または終了するかどうかを監視できます。日時指定による遅延監視には,開始遅延監視と終了遅延監視があります。

開始または終了の遅延が,そのあとのジョブネットの実行スケジュールに大きな影響を与えるようなジョブネットに設定します。

開始遅延の監視

開始が遅れている状態であるかどうかを判断する日時を設定します。ジョブネットの開始予定時刻から,ある時間以内に開始されれば正常と見なし,それ以上時間が過ぎても開始されない場合は,何らかの異常が発生していると見なします。

終了遅延の管理

終了が遅れている状態であるかどうかを判断する日時を設定します。ジョブネットの開始予定時刻から,ある時間以内に終了されれば正常と見なし,それ以上時間が過ぎても終了しない場合は,何らかの異常が発生していると見なします。

開始遅延と終了遅延の両方を指定することもできます。また,どちらか一方だけを指定することもできます。

(b) 所要時間指定による遅延監視

ジョブネットを開始してから終了するまでの所要時間を指定して遅延監視ができます。

指定した所要時間を超えたら,業務のアイコンの表示色が変化したり,イベントが発行されたりして遅延したことを通知します。

(3) ジョブの実行所要時間による終了遅延監視

ジョブの実行所要時間による終了遅延監視では,マネージャーホスト上でジョブが実行中になっている時間を監視するため,エージェントホストでのジョブ実行所要時間と異なることがあります。このことから,終了遅延が検知されたり,されなかったりする場合があります。

一方,ジョブの打ち切り時間はエージェントホストで実行中になっている時間を監視します。このため,打ち切り時間と終了遅延監視では,検出するタイミングに差異があります。

例えば,次のような場合には,マネージャーホストとエージェントホストで,ジョブの実行所要時間が異なります。

補足事項
  • 終了遅延を検知したジョブについて,エージェントホストでのジョブ実行時間を確認したい場合は,ajsshowコマンドを,フォーマット指示子「%V」,「%Q」を指定して実行し,ジョブの実行開始および終了日時を取得することで確認できます。ajsshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsshow」を参照してください。

  • スケジューラーサービスの環境設定パラメーターJOBDELAYWARNMSGに「yes」を設定しておくと,終了遅延監視対象のジョブがスケジューラーサービス停止中に実行開始した場合,統合トレースログにメッセージ「KAVS0249-W ジョブ(ジョブ名実行ID)が実行開始する前にスケジューラーサービスが停止しました」が出力されます。このメッセージによって該当するジョブ名および実行IDを特定できます。

    エージェントホスト上でのジョブ実行所要時間によって終了遅延を確認したい場合は,メッセージKAVS0249-Wで特定したジョブに対し,ajsshowコマンドでジョブの実行開始および終了日時を取得して確認してください。

    環境設定パラメーターJOBDELAYWARNMSGについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.2 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。