8.3.1 Linuxの文字コードをEUC環境からUTF-8環境へ移行する方法
LinuxのJP1/AJS2 - Managerを文字コードEUC環境からUTF-8環境に移行する場合の手順について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) Linuxの文字コードをUTF-8環境へ移行する手順
製品の上書きインストールができないため,従来までの定義情報をバックアップして製品を一度アンインストールし,バージョン09-00以降の製品をインストール・セットアップする必要があります。
作業の流れを次に示します。
それぞれの作業について説明します。
(2) 定義情報のバックアップ
次の定義情報をバックアップします。
-
ジョブ実行環境定義
-
ユニット定義
(a) ジョブ実行環境定義のバックアップ
ジョブ実行環境定義をバックアップする手順を次に示します。
-
次のコマンドを実行し,ジョブ実行環境定義を出力する。
# jpqexport -dt isam -co ファイル名 [-mh 論理ホスト名]
「ファイル名」に指定したファイルにジョブ実行環境定義が出力されます。
- 注意事項
-
jpqexportコマンドで設定するファイルは,一元管理のためにjpqsetup.confを使用することを推奨します。論理ホストの定義をバックアップする場合は,-mhオプションで論理ホスト名を指定します。
-
出力したファイルの内容をjpqsetup.confにコピーする。
手順1で出力したファイルの内容をjpqsetup.confにコピーしてください。
(b) ユニット定義のバックアップ
ジョブネットやカレンダーの設定情報をバックアップする手順を次に示します。
- 注意事項
-
-
ジョブネットやカレンダーの設定情報のバックアップは,スケジューラーサービス単位で行われます。スケジューラーサービスごとに実施してください。
-
OSのスーパーユーザー権限を持つユーザーが実施してください。
-
-
ルートジョブグループ以外の定義情報をバックアップする。
次のコマンドを実行して,スケジューラーサービス以下にあるすべてのユニットの定義情報をバックアップします。定義情報には,各ユニットの基準時刻やコメントなどすべての定義が含まれます。ただし,ルートジョブグループ(/)の基準時刻,基準日,月区分などは含まれません。これらの情報は手順2,手順3に従ってバックアップしてください。
# ajsprint -F スケジューラーサービス名 -a '/*' > unitbackup.txt
- 注意事項
-
スケジュールルールを設定したルートジョブネットをネストジョブネットにコピーして作成したジョブネットがある場合,環境設定パラメーターAJSPRINTNETSCHPRFに「no」を指定してバックアップしてください。
この設定は,バージョン08-00以降のJP1/AJSを新規にインストールした場合,初期状態で設定されています。08-00より前のバージョンからバージョンアップインストールした場合でこの設定をしていなかった場合は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 4.2 環境設定パラメーターの設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 14.2 環境設定パラメーターの設定」(UNIXの場合)を参照して環境設定パラメーターを変更してください。環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.2 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。
-
ルートジョブグループの情報をバックアップする。
ルートジョブグループの次の情報を記録しておいてください。
-
コメント
-
所有者
-
JP1資源グループ
-
基準時刻
-
基準日
-
月区分
-
-
ルートジョブグループのカレンダー設定をバックアップする。
次のコマンドを実行して,ルートジョブグループのカレンダー情報(運用日・休業日)をバックアップします。
# ajsprint -F スケジューラーサービス名 -d / > rootcal.txt
- 注意事項
-
rootcal.txtにカレンダー情報が出力されていなければ,リカバリーは不要です。
(3) JP1/AJS3 09-00以降のインストールとセットアップ
UTF-8環境のJP1/BaseとJP1/AJS3 - Managerをインストールし,セットアップします。JP1/Baseのセットアップの手順については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。また,JP1/AJS3 - Managerのセットアップの手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 13.1 JP1/AJS3 - Managerで必要なセットアップ」を参照してください。
- 注意事項
-
-
以前のバージョンの環境設定パラメーターを参考にしてセットアップしてください。同じ設定になっていないとリカバリーに失敗することがあります。
-
バージョン08-00以降のJP1/AJSでは,JP1/AJS2 07-50以前と新規インストールおよび新規セットアップ後の環境設定パラメーターの設定値が異なります。JP1/AJS2 07-50以前と同じ設定で運用する場合は,設定値を変更してください。
-
(4) バックアップした各種定義の言語変換
バックアップした各種定義ファイルを,iconvコマンドなどを使って,UTF-8の文字コードに変換してください。また,予定情報ファイルを用いてジョブネットを確定登録している場合は,同様に予定情報ファイルをUTF-8の文字コードに変換してください。iconvコマンドの使用方法など,文字コードの変換方法については,OSのマニュアルを参照してください。
(5) 定義情報のリカバリー
バックアップした次の定義情報をリカバリーします。
-
QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境定義
-
ユニット定義
(a) QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境定義のリカバリー
バックアップしたQUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使って,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を作成します。
QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境定義をリカバリーする手順を次に示します。
-
キュー情報データベース格納フォルダのファイルを削除する。
- (a) 物理ホストの場合
-
# rm /var/opt/jp1ajs2/database/queue/*
- (b) 論理ホストの場合
-
# rm 共有ディレクトリ/jp1ajs2/database/queue/*
-
次のコマンドを実行して,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を作成する。
# jpqimport -dt isam -ci jpqsetup.conf [-mh 論理ホスト名]
論理ホストの定義をリカバリーする場合は,-mhオプションで論理ホスト名を指定します。
(b) ユニット定義のリカバリー
ジョブネットやカレンダーの設定情報をリカバリーする手順を次に示します。
- 注意事項
-
-
ジョブネットやカレンダーの設定情報のリカバリーは,スケジューラーサービス単位で行われます。スケジューラーサービスごとに実施してください。
-
OSのスーパーユーザー権限を持つユーザーが実施してください。
-
JP1/AJS2 - Managerを起動させた状態で実施してください。
-
-
JP1/AJS2 - Managerを起動する。
物理ホスト環境の場合は,起動コマンドを実行してJP1/AJS2 - Managerを起動してください。論理ホスト環境の場合は,クラスタソフトにJP1を登録してからJP1/AJS2 - Managerを起動してください。
-
ルートジョブグループ以外のユニットの定義情報をリカバリーする。
次のコマンドを実行して,スケジューラーサービス以下にあるすべてのユニットの定義情報をリカバリーします。定義情報には,各ユニットの基準時刻やコメントなどすべての定義が含まれます。ただし,ルートジョブグループ(/)の基準時刻,基準日,月区分などは含まれません。これらの情報は手順3,手順4に従ってリカバリーしてください。
# ajsdefine -F スケジューラーサービス名 unitbackup.txt
-
ルートジョブグループの情報をリカバリーする。
記録しておいたルートジョブグループの次の情報を設定してください。
-
コメント
-
所有者
-
JP1資源グループ
-
基準時刻
-
基準日
-
月区分
-
-
ルートジョブグループのカレンダー設定をリカバリーする。
次のコマンドを実行して,バックアップしたルートジョブグループのカレンダー情報(運用日・休業日)をリカバリーします。
# ajscalendar -F スケジューラーサービス名 -df rootcal.txt /
- 注意事項
-
このコマンドは,スケジューラーサービス(AJSROOT)自身のカレンダー設定をリカバリーします。rootcal.txtにカレンダー情報が出力されていなければ,リカバリーは不要です。バックアップの手順については,「8.3.1(2) 定義情報のバックアップ」を参照してください。