3.4.1 スケジューラーログファイルのサイズを見積もる
スケジューラーログファイルのサイズの見積もりについて説明します。スケジューラーログには,ジョブネットやジョブの実行ログや操作ログが出力され,主に業務の実行状況を監視するために使用します。スケジューラーログファイルが必要とするサイズは,次に示す項目によって大きく異なります。
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業務の運用形態(ジョブネットの構造)
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JP1/AJS3 - Viewの接続数
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操作内容
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構成定義の環境設定パラメーターでの指定
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AJSLOG
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NETLOG
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JOBLOG
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OPELOG
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REFLOG
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INFOLOG
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AJSLOGOUTPUTEXTEND
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スケジューラーログの出力先(ホスト単位またはスケジューラーサービス単位)
そのため,必要に応じて,スケジューラーログファイルの適切なサイズを見積もり,デフォルトのディスク占有量を変更してください。スケジューラーログファイルのデフォルトのディスク占有量と最大ディスク占有量については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。
スケジューラーログファイルの見積もりの流れを,次の図に示します。
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(1) スケジューラーログファイルの見積もり式
スケジューラーサービス単位でスケジューラーログファイルのサイズを見積もるのに必要な式の数は,環境設定パラメーターの設定値によって異なります。次に示す表の条件に従って必要な式を選択してください。
スケジューラーサービスの構成定義での設定値 |
見積もり式(サイズ:キロバイト) |
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環境設定パラメーターAJSLOGに「all」を指定している場合 |
A = 80*(スケジューラーサービス開始の回数 + スケジューラーサービス終了の回数) / 1,024 |
環境設定パラメーターNETLOGに「none」以外を指定している場合 |
B = { (90 + ジョブネット名称の最大長) * (1日に実行するジョブネットの開始回数 + 1日に実行するジョブネットの終了回数 + 起動条件の監視開始回数 + 起動条件の監視終了回数 + 保留設定をするジョブネット数 + 開始および終了遅延監視を設定するジョブネット数) } / 1,024 |
環境設定パラメーターJOBLOGに「none」以外を指定している場合 |
C = { (120 + ジョブ名称の最大長 + ジョブ実行エージェント名の最大長) * (1日に実行するルートジョブネット下のジョブ開始回数 + 1日に実行するルートジョブネット下のジョブ終了回数 + 保留設定をするジョブ数) } / 1,024 |
環境設定パラメーターOPELOGおよびREFLOGに「none」以外を指定している場合 |
D = { (100 + コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長 + 論理ホスト名の最大長 + ユニットを操作するコマンドで,ログに出力されるコマンドに指定するオプションの最大長) * (ユニットを操作しないコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの実行回数の合計 + ユニットを操作するコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計) } / 1,024 |
環境設定パラメーターINFOLOGに「none」以外を指定している場合 |
E = { (100 + コマンドを実行するJP1ユーザー名称の最大長 + 論理ホスト名の最大長 + コマンドに指定するオプションの最大長) * (ユニットを操作しないコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの実行回数の合計 + ユニットを操作するコマンドで,ログを出力するように指定したコマンドの操作対象となるユニット数の合計*2) } / 1,024 |
上記の表の見積もり式に従って値を算出したら,算出した値を合計します。
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環境設定パラメーターAJSLOGOUTPUTEXTENDに「no」を指定しているとき
一日分のスケジューラーログファイルのサイズ(単位:キロバイト)=(A + B + C + D + E)
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環境設定パラメーターAJSLOGOUTPUTEXTENDに「yes」を指定しているとき
一日分のスケジューラーログファイルのサイズ(単位:キロバイト)=(A + B + C +(D*1.5)+ E)
ホスト単位でログを出力するように指定している場合は,該当するスケジューラーサービスすべてについて上記を見積もり,合計したものが一日分となります。また,必要に応じて保存したい日数を掛けます。
なお,設定する場合は,算出された値より,少し大きめの値を設定してください。
(2) スケジューラーログファイルの見積もりの例
5日分のスケジューラーログを一つのファイルに保存する場合の見積もり例を示します。
条件 |
見積もり式の例 |
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A(キロバイト)= 80*(1 + 1) / 1,024 = 約0.16 |
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B(キロバイト)= { (90 + 40)*(1,000 + 1,000 + 10 + 20) } / 1,024 = 約258 |
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C(キロバイト)= { (120 + 50 + 10)*(3,000 + 3,000 + 30) } / 1,024 = 約1,060 |
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D(キロバイト)= { (100 + 10 + 11 + 300)*(200 + 50) } / 1,024 = 約103 |
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E(キロバイト)= { (100 + 10 + 11 + 300)*(200 + 50*2) } / 1,024= 約123 |
- 1日分のスケジューラーログファイル容量(単位:キロバイト)=
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A + B + C + D + E= 約1,544キロバイト
- 6日分のスケジューラーログファイル容量のサイズ(単位:キロバイト)=
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1,544*6日 = 約9,264キロバイト
スケジューラーログファイルのサイズは,初期値で10,240キロバイトです。また,ファイルは2面保存されます。1週間6営業日とすると,見積もり例の運用形態だとスケジューラーログファイルのサイズが初期値の場合,1面当たり1週間分のログを保存できます。
ホスト単位でログを出力するように指定している場合は,物理ホストまたは論理ホスト単位で,設定しているスケジューラーサービスすべてについてスケジューラーログファイルのサイズを見積もり,合計したものが1日分となります。
(3) スケジューラーログファイルのサイズの拡張方法
スケジューラーログファイルのサイズの拡張は,jajs_configコマンドで,環境設定パラメーターLOGSIZE(スケジューラーサービス単位で出力する場合)またはHOSTLOGSIZE(ホスト単位で出力する場合)に「(1) スケジューラーログファイルの見積もり式」で算出した値を設定します。
環境設定パラメーターの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.2 スケジューラーサービス環境設定」を参照してください。