ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for IBM WebSphere MQを登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for IBM WebSphere MQのデータモデルのバージョンについては,「付録I バージョン互換」を参照してください。
登録はPFM - Manager上およびPFM - Web Console上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「3.1.4(2) PFM - Agent for IBM WebSphere MQの登録」を参照してください。
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをマウントしてください。
jpcconf ha setup (jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
jpcconf ha setup -key MQ -lhost jp1-halora -d /jp1 (jpchasetup create agt9 -lhost jp1-halora -d /jp1)
jpcconf ha list -key all (jpchasetup list all)
jpcconf mgrhost define (jpcnshostname)コマンドを実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQを管理するPFM - Managerを設定します。
jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halora (jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-halora)
jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQのインスタンス環境を設定します。
設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドの指定方法を次に示します。
jpcconf inst setup -key MQ -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名 (jpcinssetup agt9 -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名)
なお,エージェントログの出力先ディレクトリ(log_pathの値)には,共有ディスク上のパスを指定してください。
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf inst setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf inst setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
このほかの設定内容,および手順については,「3.1.4(3) インスタンス環境の設定」を参照してください。
PFM - Agent for IBM WebSphere MQのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合にだけ必要な設定です。
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録J 動作ログの出力」を参照してください。
PFM - Agent for IBM WebSphere MQの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt (jpchasetup export -f lhostexp.txt)
「(11) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import (jpchasetup import)コマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt (jpchasetup import -f lhostexp.txt)
jpcconf ha list -key all (jpchasetup list all)
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for IBM WebSphere MQをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。
PFM - Agent for IBM WebSphere MQでの設定方法を次の表に示します。
表4-5 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for IBM WebSphere MQの制御方法
項目 | 説明 |
---|---|
起動 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQを起動します。 jpcspm start -key AH -lhost 論理ホスト名 (jpcstart act lhost= 論理ホスト名) |
停止 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for IBM WebSphere MQを停止します。 jpcspm stop -key MQ -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名 (jpcstop agt9 lhost= 論理ホスト名 inst= インスタンス名) 障害などでサービスが停止しているときは,jpcspm stop (jpcstop)コマンドの戻り値が3になります。この場合はサービスが停止しているので,正常終了として扱います。 戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどの方法で対応してください。 |
動作監視 | 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認します。 ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス" 監視対象のプロセスは,次のとおりです。jpcagt9,agt9/jpcsto,jpcah プロセス名ついては,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録を参照してください。メンテナンスなどで運用中のPerformance Managementを一時的に停止する場合があります。これに備えて,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中のファイルがあると監視しないなど)を用意することをお勧めします。 |
強制停止 | 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行します。 jpcspm stop -key all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate (jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate) 第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけです。
|
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。