JP1/Performance Management - Agent Option for IBM WebSphere Application Server

[目次][用語][索引][前へ][次へ]

3.1.4 PFM - Agent for WebSphere Application Serverのセットアップ手順

ここでは,PFM - Agent for WebSphere Application Serverを運用するためのセットアップについて説明します。

[図データ]は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。

<この項の構成>
(1) LANG環境変数を設定する
(2) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの登録
(3) インスタンス環境の設定
(4) ネットワークの設定
(5) ログのファイルサイズ変更
(6) パフォーマンスデータの格納先の変更
(7) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの接続先PFM - Managerの設定
(8) 動作ログ出力の設定

(1) LANG環境変数を設定する

PFM - Agent for WebSphere Application Serverで使用できるLANG環境変数を次の表に示します。

なお,これらのLANG環境変数を設定する前に,設定する言語環境が正しくインストール・構築されていることを確認しておいてください。正しくインストール・構築されていない場合,文字化けが発生したり,定義データが不当に書き換わってしまったりすることがあります。

注意
共通メッセージログの言語は,サービス起動時やコマンド実行時に設定されているLANG環境変数によって決まります。そのため,日本語や英語など,複数の言語コードの文字列が混在することがあります。
 

表3-2 PFM - Agent for WebSphere Application Serverで使用できるLANG環境変数

OS 言語種別 LANG環境変数の値
Solaris 日本語 Shift-JISコード
  • ja_JP.PCK
EUCコード
  • ja
  • japanese
英語(日本語なし) C
AIX 日本語 Shift-JISコード
  • Ja_JP
  • Ja_JP.IBM-932
EUCコード
  • ja_JP
  • ja_JP.IBM-eucJP
英語(日本語なし) C
Linux 日本語 Shift-JISコード (該当なし)
EUCコード (該当なし)
UTF-8コード
  • ja_JP.UTF-8
  • ja_JP.utf8
英語(日本語なし) C

(2) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの登録

PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for WebSphere Application Serverを登録する必要があります。

PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for WebSphere Application Serverのデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。

PFM - Agentの登録の流れを次の図に示します。

図3-4 PFM - Agentの登録の流れ

[図データ]

注意
  • PFM - Agent の登録は,インスタンス環境を設定する前に実施してください。
  • すでにPFM - Agent for WebSphere Application Serverの情報が登録されているPerformance Managementシステムに,新たに同じバージョンのPFM - Agent for WebSphere Application Serverを追加した場合,PFM - Agentの登録は必要ありません。
  • PFM - Managerと同じホストにPFM - Agentをインストールした場合,jpcconf agent setup (jpcagtsetup)コマンドが自動的に実行されます。共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されるので,結果を確認してください。コマンドが正しく実行されていない場合は,コマンドを実行し直してください。コマンドの実行方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドの章を参照してください。
  • PFM - Agent for WebSphere Application Serverの情報を登録する作業では,PFM - Web Consoleの[レポート階層]画面および[アラーム階層]画面に「WebSphere Application Server」という名前のディレクトリが作成されます。[レポート階層]画面で,すでに独自に「WebSphere Application Server」という名前のディレクトリまたはファイルを作成していた場合には,名前を変更してから作業を始めてください。
(a) PFM - Agent for WebSphere Application Serverのセットアップファイルをコピーする

PFM - Agent for WebSphere Application Serverをインストールしたホストにあるセットアップファイルを,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。

  1. PFM - Web Consoleが起動されている場合は,停止する。
  2. PFM - Agentのセットアップファイルをバイナリーモードでコピーする。
    ファイルが格納されている場所およびファイルをコピーする場所を次の表に示します。

    表3-3 コピーするセットアップファイル

    コピー先 PFM - Agentの
    セットアップファイル
    PFMプログラム名 OS コピー先ディレクトリ
    PFM - Manager Windows PFM - Managerのインストール先ディレクトリ\setup\ /opt/jp1pc/setup/jpcagt2w.EXE
    UNIX /opt/jp1pc/setup/ /opt/jp1pc/setup/jpcagt2u.Z
    PFM - Web Console Windows PFM - Web Consoleのインストール先ディレクトリ\setup\ /opt/jp1pc/setup/jpcagt2w.EXE
    UNIX /opt/jp1pcwebcon/setup/ /opt/jp1pc/setup/jpcagt2u.Z
(b) PFM - Managerホストでセットアップコマンドを実行する

PFM - ManagerでPFM - Agent for WebSphere Application Serverをセットアップするために,次のコマンドを実行します。

 
/opt/jp1pc/tools/jpcconf agent setup -key WAS (/opt/jp1pc/tools/jpcagtsetup agt2)
 

ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf agent setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf agent setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

注意
コマンドを実行するローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止していない状態でjpcconf agent setup (jpcagtsetup)コマンドを実行した場合,エラーが発生することがあります。その場合は,Performance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止したことを確認したあと,再度jpcconf agent setup (jpcagtsetup)コマンドを実行してください。

PFM - ManagerホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと,削除してもかまいません。

(c) PFM - Web Consoleホストでセットアップコマンドを実行する

PFM - Web ConsoleでPFM - Agent for WebSphere Application Serverをセットアップするための次のコマンドを実行します。

 
/opt/jp1pcwebcon/tools/jpcwagtsetup (/opt/jp1pc/tools/jpcwagtsetup)
 

PFM - Web ConsoleホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと削除してもかまいません。

(3) インスタンス環境の設定

インスタンス環境の設定では,インスタンス情報の設定を実施します。複数のインスタンス環境を設定する場合は,繰り返し実施します。

(a) インスタンス情報を設定する

PFM - Agent for WebSphere Application Serverで監視するWebSphere Application Serverのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。

設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の表の情報をあらかじめ確認してください。WebSphere Application Serverのインスタンス情報の詳細については,WebSphere Application Serverのドキュメントを参照してください。

注意
インスタンス環境を設定していない場合,PFM - Agent for WebSphere Application Serverのサービスを起動できません。
 

表3-4 PFM - Agent for WebSphere Application Serverのインスタンス情報

項目 説明 設定できる値 デフォルト値
WebSphere Application Server Installation Directory WebSphere Application Serverのインストール先ディレクトリ。 1〜512バイトの半角文字列。 なし
WebSphere Application Server Version WebSphere Application Serverのバージョン。
6:V6.0,V6.1
7:V7.0
「6」または「7」。 6
SOAP Connector Port Number WebSphere Application ServerのSOAPコネクターポート番号。 1024〜65535の数値。 8880
User Name※1,※2 WebSphere Application Serverに接続するためのHTTP基本認証のユーザーID。 1〜512バイトの半角文字列。 なし
Password※2 WebSphere Application Serverに接続するためのHTTP基本認証のパスワード。 1〜256バイトの半角文字列。 なし
TrustStore File Path※3 WebSphere Application ServerのSOAPコネクターポートでSSLを使用している場合※4に,サーバ(WebSphere Application Server)を認証するための,JKS(Java keystore)形式のトラストストアファイル(絶対パス)。※5 1〜512バイトの半角文字列。 なし
TrustStore Password※3 WebSphere Application ServerのSOAPコネクターポートでSSLを使用している場合に,WebSphere Application Serverに接続するためのトラストストアファイルのパスワード。 1〜256バイトの半角文字列。 なし
Store Version※6 使用するStoreバージョン。※7 「1.0」または「2.0」。 2.0
注※1
このユーザーには,Monitorセキュリティロールが与えられている必要があります。
注※2
HTTP基本認証を使用していない場合は空白(スペース)にしてください。
注※3
SSLを使用していない場合は空白(スペース)にしてください。
注※4
IBM WebSphere Application Server V6.0またはIBM WebSphere Application Server Network Deployment V6.0において,「グローバル・セキュリティーの使用可能化」オプションを設定している場合。IBM WebSphere Application Server V6.1/V7.0またはIBM WebSphere Application Server Network Deployment V6.1/V7.0において,「管理セキュリティーを使用可能にする」に設定している場合。
注※5
JKS形式のトラストストアファイルは,WebSphere Application Serverに付属の鍵管理ユーティリティ(iKeyman)などで作成できます。
例えば,WebSphere Application Server V6.1の場合,デフォルトではSOAP_CONNECTOR_ADDRESSのSSL構成にNodeDefaultSSLSettingsが設定されていて,default証明書が利用されます。このdefault証明書に対応するサーバ認証用のトラストストアファイルは次の場所にあります。
WebSphere Application Serverのプロファイル・ディレクトリ/etc/DummyClientTrustFile.jks
WebSphere Application Server V6.1がデフォルトのSSL構成の場合は,上記のトラストストアファイルを設定できますが,有効期限があるため注意が必要です。
また,WebSphere Application ServerのSSL構成を変更した場合や任意のサーバ証明書を適用した場合は,その証明書に対応したトラストストアファイルを作成して設定する必要があります。SSL構成の詳細については,WebSphere Application Serverのマニュアルを参照してください。
注※6
JP1/PFM - Agent for WebSphere Application Serverと同一ホスト上のJP1/PFM - ManagerまたはJP1/PFM - Baseが08-10以降で,インスタンス環境を新規に設定する場合に必要です。インスタンス環境を更新するときは指定できません。
注※7
Storeバージョンについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

インスタンス環境を構築するには,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを使用します。

インスタンス環境の構築手順を次に示します。複数のインスタンス環境を設定する場合は,この手順を繰り返し実施します。

  1. サービスキーおよびインスタンス名を指定して,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行する。
    例えば,PFM - Agent for WebSphere Application Serverのインスタンス名APSVのインスタンス環境を構築する場合,次のように指定してコマンドを実行します。
     
    /opt/jp1pc/tools/jpcconf inst setup -key WAS -inst APSV (/opt/jp1pc/tools/jpcinssetup agt2 -inst APSV)
     
    インスタンス名には,WebSphere Application Serverのサーバ名など,監視対象のWebSphere Application Serverのインスタンスを一意に識別できる任意の名称を指定してください。
    jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
  2. WebSphere Application Serverのインスタンス情報を設定する。
    表3-4に示した項目を,コマンドの指示に従って入力してください。省略はできません。デフォルトで表示されている値を入力する場合は,リターンキーだけを押してください。

すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。構築時に入力した内容を変更したい場合は,再度jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行し,インスタンス環境を更新してください。インスタンス環境の更新については,「3.4.2 インスタンス環境の更新の設定」を参照してください。

構築されるインスタンス環境を次に示します。

(4) ネットワークの設定[図データ]

Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合に必要な設定です。

ネットワークの設定には次の2つの項目があります。

(5) ログのファイルサイズ変更[図データ]

Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2ファイル使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に,必要な設定です。

詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(6) パフォーマンスデータの格納先の変更[図データ]

PFM - Agent for WebSphere Application Serverで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合に,必要な設定です。

パフォーマンスデータは,デフォルトで,次の場所に保存されます。

論理ホストで運用する場合のデフォルトの保存先については,「/opt/jp1pc」を「環境ディレクトリ/jp1pc」に読み替えてください。
注※
Storeバージョン2.0使用時だけ設定できます。

詳細については,「3.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。

(7) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの接続先PFM - Managerの設定

PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcconf mgrhost define (jpcnshostname)コマンドを使用します。

注意
  • 同一ホスト上に,複数のPFM - Agentがインストールされている場合でも,接続先に指定できるPFM - Managerは,1つだけです。PFM - Agentごとに異なるPFM - Managerを接続先に設定することはできません。
  • PFM - AgentとPFM - Managerが同じホストにインストールされている場合,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先のPFM - ManagerをほかのPFM - Managerに変更できません。

手順を次に示します。

  1. Performance Managementのプログラムおよびサービスを停止する。
    セットアップを実施する前に,ローカルホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,すべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
    jpcconf mgrhost define (jpcnshostname)コマンド実行時に,Performance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,停止を問い合わせるメッセージが表示されます。
  2. 接続先のPFM - Managerホストのホスト名を指定して,jpcconf mgrhost define (jpcnshostname)コマンドを実行する。
    例えば,接続先のPFM - Managerがホストhost01上にある場合,次のように指定します。
     
    /opt/jp1pc/tools/jpcconf mgrhost define -host host01 (/opt/jp1pc/tools/jpcnshostname -s host01)
     
    ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf mgrhost defineコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf mgrhost defineコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

(8) 動作ログ出力の設定[図データ]

アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。

設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。