ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for WebSphere Application Serverを登録する必要があります。
PFM - Agent for WebSphere Application Serverを登録する必要があるのは次の場合です。
登録はPFM - Manager上およびPFM - Web Console上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。
手順については,「2.1.4(1) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの登録」を参照してください。
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
jpcconf ha setup (jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf ha setup -key WAS -lhost jp1-hal2 -d S:¥jp1 (インストール先フォルダ¥tools¥jpchasetup create agt2 -lhost jp1-hal2 -d S:¥jp1)
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf ha list -key all (インストール先フォルダ¥tools¥jpchasetup list all)
jpcconf mgrhost define (jpcnshostname)コマンドを実行して,PFM - Agent for WebSphere Application Serverを管理するPFM - Managerを設定します。
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-hal2 (インストール先フォルダ¥tools¥jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-hal2)
jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行して,PFM - Agent for WebSphere Application Serverのインスタンス環境を設定します。
設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドの指定方法を次に示します。
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf inst setup -key WAS -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名 (インストール先フォルダ¥tools¥jpcinssetup agt2 -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名) |
このほかの設定内容および手順については,「2.1.4(2) インスタンス環境の設定」を参照してください。
PFM - Agent for WebSphere Application Serverのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「2.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。
PFM - Agent for WebSphere Application Serverの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
手順を次に示します。
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf ha export -f lhostexp.txt (インストール先フォルダ¥tools¥jpchasetup export -f lhostexp.txt)
「(11) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import (jpchasetup import)コマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
手順を次に示します。
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf ha import -f lhostexp.txt (インストール先フォルダ¥tools¥jpchasetup import -f lhostexp.txt)
インストール先フォルダ¥tools¥jpcconf ha list -key all (インストール先フォルダ¥tools¥jpchasetup list all)
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
クラスタソフトへPFM - Agent for WebSphere Application Serverを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。
PFM - Agent for WebSphere Application Serverをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,Windows MSCSに登録する項目を例として説明します。
PFM - Agent for WebSphere Application Serverの場合,次の表のサービスをクラスタソフトに登録します。
表4-3 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for WebSphere Application Serverのサービス
項番 | 名前 | サービス名 | 依存関係 |
---|---|---|---|
1 | PFM - Agent Store for WAS インスタンス名 [LHOST] | JP1PCAGT_2S_インスタンス名 [LHOST] | IPアドレスリソース 物理ディスクリソース |
2 | PFM - Agent for WAS インスタンス名 [LHOST] | JP1PCAGT_2A_インスタンス名 [LHOST] | 項番1のクラスタリソース |
3 | PFM - Action Handler [LHOST] | JP1PCMGR_PH [LHOST] | IPアドレスリソース 物理ディスクリソース |
[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。
インスタンス名がAPSV,論理ホスト名がjp1-hal2の場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for WAS APSV [jp1-hal2]」,サービス名は「JP1PCAGT_2S_APSV [jp1-hal2]」のようになります。
MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記の[ ]は,MSCSで設定する項目です。
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。