ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
Performance Managementシステムに,PFM - Agent for Exchange Serverを追加する場合には,PFM - Agent for Exchange Serverを登録するためのセットアップが必要です。
PFM - Agent for Exchange Serverの登録は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleで実施します。PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合は,PFM - Agentは自動的に登録されるため,登録作業は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは,手動で登録する必要があります。PFM - Agent for Exchange Serverのデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agent for Exchange Serverを登録する手順は非クラスタシステムの場合と同じです。登録手順については,「3.4.1 PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleへのPFM - Agent for Exchange Serverの登録」を参照してください。
実行系ノードで,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境をセットアップします。
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
jpcconf ha setup (jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
jpcconf ha setup -key agty -lhost jp1-halsr -d S:¥jp1
(jpchasetup create agty -lhost jp1-halsr -d S:¥jp1)
jpcconf ha list -key all
(jpchasetup list all)
jpcconf mgrhost define (jpcnshostname)コマンドを実行して,PFM - Agent for Exchange Serverを管理するPFM - Managerを設定します。なお,PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合は自動的に登録されるため,登録作業は不要です。
jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halsr
(jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-halsr)
Unused Mailboxesレコードを収集するには,PFM - Agent for Exchange ServerがExchange Serverへログオンするために使用するユーザープロファイルの設定が,exchange.iniファイルに必要です。
また,監視テンプレートのUnused Mail Boxレポートを表示する場合も,Unused Mailboxesレコードのデータを表示するので,ユーザープロファイルの設定が必要です。
ユーザープロファイルは,exchange.iniファイルの項目中,次の項目を更新してください。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ¥agty¥agent配下のexchange.iniを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ¥agty¥agent配下のexchange.iniを更新してください。
PI_ORF,PI_OST,PI_ORT,PI_IT,PI_IF,PI_OSF,PD_TR,PD_TSレコードを収集する際に,Exchange Serverのメッセージ追跡ログディレクトリの場所を変更した場合は,メッセージ追跡ログディレクトリの設定がexchange.iniファイルに必要です。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ¥agty¥agent配下のexchange.iniを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ¥agty¥agent配下のexchange.iniを更新してください。
PI_ORF,PI_OST,PI_ORT,PI_OSFレコードを収集する際は,組織内に構築したエッジトランスポート役割サーバのIPアドレスの設定がexchange.iniファイルに必要です。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ¥agty¥agent配下のexchange.iniファイルを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ¥agty¥agent配下のexchange.iniファイルを更新してください。
Performance Counters(PI)のレコードを収集する場合,Exchange Server 2007にService Pack 1(SP1)を適用するには,Exchange 2007のSP1適用の設定がexchange.iniファイルに必要です。
SP1を適用した場合は「1」を,適用していない場合は「0」を設定します。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ¥agty¥agent配下のexchange.iniファイルを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ¥agty¥agent配下のexchange.iniファイルを更新してください。
Exchange Server 2007以降で,Message Queues(PI_MQ)のレコードを収集するには,PI_MQレコードの収集処理オプションの設定がExchangeRecord.iniファイルに必要です。
ハブトランスポート機能とメールボックス機能が同じサーバに構築されていれば「0」を,別のサーバに構築されていれば「1」を設定します。
物理ホストの場合は,インストール先フォルダ¥agty¥agent配下のExchangeRecord.iniファイルを更新してください。
論理ホストの場合は,環境ディレクトリ¥agty¥agent配下のExchangeRecord.iniファイルを更新してください。
PFM - Agent for Exchange Serverのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
ファイアウォールがあるネットワーク環境でPerformance Managementのプログラムを運用する場合だけに必要な設定です。ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcconf port define (jpcnsconfig port)コマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Windows用のインストールとセットアップについて説明している章と,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
また,複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合は,IPアドレスの設定をします。IPアドレスを設定したい場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のWindows用のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログには,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合にだけ,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Windows用のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合にだけ必要な設定です。設定方法については,「3.7.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。
PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt
(jpchasetup export -f lhostexp.txt)
「(n) 論理ホスト環境定義をエクスポートする」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
待機系ノードで,PFM - Agent for Exchange Serverの論理ホスト環境をセットアップします。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import (jpchasetup import)コマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをオンラインにしておく必要はありません。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt
(jpchasetup import -f lhostexp.txt)
jpcconf ha list -key all
(jpchasetup list all)
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for Exchange Serverをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
PFM - Agent for Exchange Serverをクラスタソフトに登録するときの設定内容を説明します。
PFM - Agent for Exchange Serverの場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。
PFM - Managerの論理ホストと同居する場合の依存関係の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
表4-3 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for Exchange Serverのサービス
番号 | 名前 | サービス名 | 依存関係 |
---|---|---|---|
1 | PFM - Agent Store for Exchange Server [LHOST] | JP1PCAGT_YS [LHOST] | IPアドレスリソース 物理ディスクリソース |
2 | PFM - Agent for Exchange Server [LHOST] | JP1PCAGT_YA [LHOST] | #1のクラスタリソース |
3 | PFM - Action Handler [LHOST] | JP1PCMGR_PH [LHOST] | IPアドレスリソース 物理ディスクリソース |
[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。論理ホスト名がjp1-halsrの場合,サービスの名前は「PFM - Agent Store for Exchange Server [jp1-halsr]」,サービス名は「JP1PCAGT_YS [jp1-halsr]」のようになります。
MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記の[ ]は,MSCSの設定項目です。
jpcspm stop -key all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate
(jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate)
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementプログラムの環境の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。