4.4.1 インストール前に確認すること

インストールおよびセットアップを開始する前に前提条件,必要な情報,および注意事項について説明します。

<この項の構成>
(1) 前提条件
(2) 論理ホスト運用するPFM - Agent for JP1/AJS3のセットアップに必要な情報
(3) PFM - Agent for JP1/AJS3で論理ホストをフェールオーバーさせる場合の注意事項
(4) 論理ホスト運用時のバージョンアップに関する注意事項

(1) 前提条件

PFM - Agent for JP1/AJS3をクラスタシステムで使用する場合,次に示す前提条件があります。

(a) クラスタシステム

次の条件が整っていることを確認してください。

(b) 共有ディスク

次の条件が整っていることを確認してください。

(c) 論理ホスト名,論理IPアドレス

次の条件が整っていることを確認してください。

注意
  • 論理ホスト名に,物理ホスト名(uname -nコマンドで表示されるホスト名)を指定しないでください。正常に通信できなくなるおそれがあります。
  • 論理ホスト名に使用できる文字は,1~32バイトの半角英数字です。次の記号および空白文字は指定できません。
    / ¥ : ; * ? ' " < > | & = , .
  • 論理ホスト名には,"localhost",IPアドレス,"-"から始まるホスト名を指定できません。
(d) IPv6を使用する場合の設定

PFM - Agent for JP1/AJS3ではIPv4に加えIPv6デュアルスタック環境で動作させることができます。IPv6環境での動作は,PFM - Base またはPFM - Manager,および監視対象のJP1/AJS3がすべて10-00以降であり,PFM - Agent for JP1/AJS3およびPFM - Managerが導入されているホストのOSが,Windows Server 2008 R2またはLinuxの場合に限ります。

IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録K IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。

IPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - Agent for JP1/AJS3ホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,コマンドの実行要否は次のとおりです。

jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が必要なケース
  • それぞれのホストで,IPv4環境からIPv6環境に変更する場合
  • IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerをIPv4環境からIPv6環境に変更する場合
jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が不要なケース
  • それぞれのホストが,すでにIPv6環境である場合
  • IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerがIPv6環境である場合

jpcconf ipv6 enableコマンドの実行例を次に示します。

jpcconf ipv6 enable

jpcconf ipv6 enableコマンドは,実行系ノードおよび待機系ノードで,それぞれ実行してください。

jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。

(2) 論理ホスト運用するPFM - Agent for JP1/AJS3のセットアップに必要な情報

論理ホストとして運用するPFM - Agent for JP1/AJS3をセットアップするには,通常のPFM - Agent for JP1/AJS3のセットアップで必要になる環境情報に加えて,次の表の情報が必要です。

表4-4 論理ホスト運用のPFM - Agent for JP1/AJS3のセットアップに必要な情報

項目
論理ホスト名lhost01
論理IPアドレス172.16.92.100
共有ディスク/jp1

なお,1つの論理ホストで論理ホストとして運用するPerformance Managementのプログラムが複数ある場合も,同じ共有ディスクのディレクトリを使用します。

共有ディスクに必要な容量については,リリースノートを参照してください。

(3) PFM - Agent for JP1/AJS3で論理ホストをフェールオーバーさせる場合の注意事項

PFM - Agent for JP1/AJS3を論理ホスト運用するシステム構成の場合,PFM - Agent for JP1/AJS3の障害によって論理ホスト全体をフェールオーバーさせるかどうかを検討してください。

PFM - Agent for JP1/AJS3の障害で論理ホスト全体をフェールオーバーさせると,PFM - Agent for JP1/AJS3が監視対象としている同じ論理ホストで運用する業務アプリケーションもフェールオーバーすることになり,業務に影響を与える可能性があります。

通常は,PFM - Agent for JP1/AJS3に異常が発生しても,JP1/AJS3またはJP1/AJS2の動作に影響がないように,次のどちらかのようにクラスタソフトで設定することをお勧めします。

(4) 論理ホスト運用時のバージョンアップに関する注意事項

論理ホスト運用のPFM - Agent for JP1/AJS3をバージョンアップする場合は,実行系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,共有ディスクをオンラインにする必要があります。