Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。
(a) IPアドレスの設定
PFM - Agentのホストは,ホスト名でIPアドレスを解決できる環境を設定してください。IPアドレスを解決できない環境では,PFM - Agentは起動できません。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。
- 監視ホスト名に実ホスト名を使用している場合
Windowsシステムではhostnameコマンド,UNIXシステムではuname -nコマンドを実行して確認したホスト名で,IPアドレスを解決できるように環境を設定してください。なお,UNIXシステムでは,hostnameコマンドで取得するホスト名を使用することもできます。
- 監視ホスト名にエイリアス名を使用している場合
設定しているエイリアス名でIPアドレスが解決できるように環境設定をしてください。
監視ホスト名の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
なお,監視対象とのIPアドレス解決には,jpchostsファイルに設定したIPアドレスは使用されません。
ホスト名とIPアドレスは,次のどれかの方法で設定してください。
- Performance Managementのホスト情報設定ファイル(jpchostsファイル)
- hostsファイル
- DNS(Domain Name System)
- 注意
- Performance Managementは,DNS環境でも運用できますが,FQDN形式のホスト名には対応していません。このため,監視ホスト名は,ドメイン名を除いて指定してください。
- 複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上では運用できません。Performance Managementを導入するすべてのホストに,固定のIPアドレスを設定してください。
PFM - ManagerとPFM - Agent for Microsoft SQL ServerをIPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - AgentホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,コマンドの実行要否は次のとおりです。
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が必要なケース
- それぞれのホストで,IPv4環境からIPv6環境に変更する場合
- IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerをIPv4環境からIPv6環境に変更する場合
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が不要なケース
- それぞれのホストが,すでにIPv6環境である場合
- IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerがIPv6環境である場合
jpcconf ipv6 enableコマンドの実行例を次に示します。
jpcconf ipv6 enable
jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。
なお,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverと監視対象ホストをIPv6で通信する場合,名前解決できる監視対象ホスト名を指定してください。
PFM - Agent for Microsoft SQL Serverと監視対象との通信は,解決できるIPアドレスで通信します。また,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverと監視対象との通信では,IPv4とIPv6が共存した環境の場合,解決できるIPアドレスで通信に失敗したとき,別のIPアドレスで通信することはありません。
例えば,IPv4で接続に失敗した場合,IPv6でリトライすることはありません。また,IPv6で接続に失敗した場合に,IPv4でリトライすることもありません。事前に接続できることを確認してください。
(b) ポート番号の設定
Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
表2-1 各サービスのデフォルトのポート番号
機能 | サービス名 | パラメーター | ポート番号 | 備考 |
---|
サービス構成情報管理機能 | Name Server | jp1pcnsvr | 22285 | PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。Performance Managementのすべてのホストで設定される。 |
NNM連携機能 | NNM Object Manager | jp1pcovsvr | 22292 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのNNM連携機能で,マップマネージャとオブジェクトマネージャの間の通信で使用されるポート番号。PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
サービス状態管理機能 | Status Server | jp1pcstatsvr | 22350 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。 PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
JP1/ITSLM連携機能 | JP1/ITSLM | - | 20905 | JP1/ITSLMで設定されるポート番号。 |
- (凡例)
- -:該当しません
これらのPFM - Agentが使用するポート番号で通信できるように,ネットワークを設定してください。
ここでは,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverをインストールする場合に必要な前提プログラムを説明します。プログラムの構成を次に示します。
図2-2 プログラムの構成
![[図データ]](figure/zuq02001.gif)
(a) 監視対象プログラム
PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの監視対象プログラムを次に示します。
- Windows Server 2003の場合
- Microsoft SQL Server 2005 Enterprise Edition
- Microsoft SQL Server 2005 Standard Edition
- Microsoft SQL Server 2008 Enterprise
- Microsoft SQL Server 2008 Standard
- Microsoft SQL Server 2008 R2 Enterprise
- Microsoft SQL Server 2008 R2 Standard
- Windows Server 2008の場合
- Microsoft SQL Server 2005 Enterprise Edition(Service Pack2以降)
- Microsoft SQL Server 2005 Standard Edition(Service Pack2以降)
- Microsoft SQL Server 2008 Enterprise Edition
- Microsoft SQL Server 2008 Standard Edition
- Microsoft SQL Server 2008 R2 Enterprise
- Microsoft SQL Server 2008 R2 Standard
- Microsoft SQL Server 2012 Enterprise
- Microsoft SQL Server 2012 Business Intelligence
- Microsoft SQL Server 2012 Standard
これらの監視対象プログラムは,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverと同一ホストにインストールする必要があります。
(b) Performance Managementプログラム
監視エージェントには,PFM - AgentとPFM - Baseをインストールします。PFM - BaseはPFM - Agentの前提プログラムです。同一ホストに複数のPFM - Agentをインストールする場合でも,PFM - Baseは1つだけでかまいません。
ただし,PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。
また,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverを使ってMicrosoft SQL Serverの稼働監視を行うためには,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが必要です。
ここでは,Performance Managementをインストールおよびセットアップするときの注意事項を説明します。
(a) 環境変数に関する注意事項
Performance ManagementではJPC_HOSTNAMEを環境変数として使用しているため,ユーザー独自に環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
(b) 同一ホストにPerformance Managementプログラムを複数インストール,セットアップするときの注意事項
Performance Managementは,同一ホストにPFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentをインストールすることもできます。その場合の注意事項を次に示します。
- PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - Agentの前提プログラムはPFM - Managerになるため,PFM - Managerをインストールしてから PFM - Agentをインストールしてください。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - Manager とPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- PFM - ManagerがインストールされているホストにPFM - Agentをインストールすると,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先PFM - ManagerをリモートホストのPFM - Managerに変更できません。リモートホストのPFM - Managerに接続したい場合は,インストールするホストにPFM - Managerがインストールされていないことを確認してください。
- PFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールすると,PFM - Agentの接続先PFM - Managerは自ホスト名に設定し直されます。共通メッセージログに設定結果が出力されています。結果を確認してください。
- PFM - Web Consoleがインストールされているホストに,PFM - Agentをインストールする場合は,Webブラウザの画面をすべて閉じてからインストールを実施してください。
- Performance Managementプログラムを新規にインストールした場合は,ステータス管理機能がデフォルトで有効になります。ただし,07-50から08-00以降にバージョンアップインストールした場合は,ステータス管理機能の設定状態はバージョンアップ前のままとなります。ステータス管理機能の設定を変更する場合は,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementの障害検知について説明している章を参照してください。
- ポイント
- システムの性能や信頼性を向上させるため,PFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentはそれぞれ別のホストで運用することをお勧めします。
(c) バージョンアップの注意事項
古いバージョンのPFM - Agentからバージョンアップする場合の注意事項を次に示します。
なお,バージョンアップの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録を参照してください。
- Performance Managementのプログラムをインストールするときは,ローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止しておいてください。なお,停止するサービスは物理ホスト上および論理ホスト上のすべてのサービスです。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
- すでにPerformance ManagementプログラムがインストールされているホストにPFM - Agentをインストールする場合,PFM - Agentのインストールパスは,すでにインストールされているPFM - Web Console以外のPerformance Managementプログラムのインストールパスと同じになります。インストールパスを変更したい場合は,インストール済みのPFM - Web Console以外のPerformance Managementプログラムをすべて削除し,インストールし直す必要があります。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - ManagerとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance ManagementプログラムをアンインストールしたあとにPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- バージョン08-00以降のPerformance Managementプログラムでは,Store実行プログラム(jpcsto.exeおよびstpqlpr.exe)の配置先が変更されています。PFM - Agentを08-00以降にバージョンアップする際に,旧配置先のStore実行モジュールは削除されます。
- バージョンアップでStoreデータベースのデータモデルバージョンが変更される場合,既存のStoreデータベースが自動的にバージョンアップされるため,一時的にStoreデータベースのディスク占有量が2倍になります。バージョンアップインストールする前に,Storeデータベースの格納先のディスクに十分な空き容量があるかどうか確認してください。必要な空き容量は,現在のStoreデータベースの合計サイズを基準に考慮してください。例えば,現在のStoreデータベースの合計サイズが100ギガバイトの場合,バージョンアップインストールに必要なディスクの空き容量は200ギガバイト以上です。Storeデータベースの格納先ディスクを変更している場合は,変更後のディスク容量に対して考慮してください。
(d) その他の注意事項
- Performance Managementのプログラムが1つもインストールされていない環境に新規インストールする場合は,インストール先フォルダにファイルやフォルダがないことを確認してください。
- Performance Managementのプログラムおよびサービスや,Performance Managementのファイルを参照するような他プログラム(例えばWindowsのイベントビューアなど)を起動したままインストールした場合,システムの再起動を促すメッセージが表示されることがあります。この場合は,メッセージに従ってシステムを再起動し,インストールを完了させてください。
- Performance Managementのプログラムおよびサービスや,Performance Managementのファイルを参照するような他プログラム(例えばWindowsのイベントビューアなど)を起動したままの状態,ディスク容量が不足している状態,またはフォルダ権限がない状態でインストールした場合,ファイルの展開に失敗することがあります。Performance Managementのプログラムおよびサービスや,Performance Managementのファイルを参照するような他プログラムが起動している場合はすべて停止してからインストールし直してください。ディスク容量不足やフォルダ権限不足が問題である場合は,問題を解決したあとでインストールし直してください。
- Performance Managementのプログラムをインストールする場合,次に示すセキュリティ関連プログラムがインストールされていないかどうか確認してください。インストールされている場合,次の説明に従って対処してください。
- セキュリティ監視プログラム
セキュリティ監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのプログラムのインストールを妨げないようにしてください。
- ウィルス検出プログラム
ウィルス検出プログラムを停止してからPerformance Managementのプログラムをインストールすることを推奨します。
Performance Managementのプログラムのインストール中にウィルス検出プログラムが稼働している場合,インストールの速度が低下したり,インストールが実行できなかったり,または正しくインストールできなかったりすることがあります。
- プロセス監視プログラム
プロセス監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのサービスまたはプロセス,および共通コンポーネントのサービスまたはプロセスを監視しないようにしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中に,プロセス監視プログラムによって,これらのサービスまたはプロセスが起動されたり停止されたりすると,インストールに失敗することがあります。
- 論理ホストおよびリモートホスト名を設定して,リモートのMicrosoft SQL Serverを稼働監視することについては,動作保障していません。