3.4.2 インスタンス環境の更新の設定
インスタンス環境を更新したい場合は,インスタンス名を確認し,インスタンス情報を更新します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。
更新する情報は,次の表であらかじめ確認してください。Oracleのインスタンス情報の詳細については,Oracleのマニュアルを参照してください。
項目 |
説明 |
設定できる値 |
デフォルト値 |
---|---|---|---|
oracle_sid |
この値は更新できる。 監視対象となるOracleシステム識別子(環境変数ORACLE_SIDと同じ値)。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
oracle_home※1 |
この値は更新できる。 Oracleホームのディレクトリ(環境変数ORACLE_HOMEと同じ値)。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
oracle_version※1 |
この値は更新できる。 Oracle Databaseのバージョン番号。 |
|
前回の設定値 |
oracle_user※2 |
この値は更新できる。 Oracleを監視するアカウント(指定できるアカウント,および必要な権限については,「3.1.4(3) PFM - Agent for Oracleで使用するOracleのアカウントの作成」を参照のこと)。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
oracle_passwd※2,※3 |
この値は更新できる。oracle_userで指定したアカウントのパスワードを指定する。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
sqlnet※1,※4 |
この値は更新できる。 次のどちらかの場合に「Y」を指定。
1の場合に「N」を指定すると,Oracleでエラーが発生する場合がある。 |
{Y|N} |
前回の設定値 |
net_service_name※1 |
この値は更新できる。 監視対象のデータベースのネットサービス名。sqlnetに「Y」を指定した場合に値が有効となる。監視対象のデータベースのネットサービス名については,Oracleのマニュアルを参照のこと。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
listener_home※1 |
この値は更新できる。 監視したいリスナーがあるOracleコンポーネントの環境変数ORACLE_HOMEの値。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
listener_name |
この値は更新できる。 PDLSレコードで監視するリスナー名を指定する。 PDLSレコードでリスナーを監視しない場合指定値は使用しないが,空欄を許可しないため,デフォルトのリスナー名「LISTENER」を指定する。 |
255バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
log_path※5 |
この値は変更できる。 エージェントログの出力先ディレクトリ名を絶対パスで指定する。 |
245バイト以内の半角文字列。 ただし,次の文字は指定できない。
|
前回の設定値 |
log_size |
この値は変更できる。 エージェントログの1ファイルの最大サイズを指定する。 |
1〜32(単位:キロバイト)。 ただし,推奨は16以上。 |
前回の設定値 |
timeout |
この値は更新できる。 クエリー時のOracleアクセスのタイムアウト時間を指定する。 |
0,10〜3600(単位:秒)。 0を指定した場合はタイムアウト監視を行わない。1〜9を指定した場合は,実行時,10に変更する。 |
前回の設定値 |
sql_option※6 |
この値は更新できる。 「Y」を指定した場合,PI_PIDB,PD_PDTSレコードで,次の項目※6の情報収集を行わず,0またはnumeric_10で指定した値を設定する。 |
{Y|N} |
前回の設定値 |
numeric_10 |
この値は更新できる。 sql_optionが「Y」の場合,情報収集しない項目に設定する値を指定する。sql_optionが「N」の場合,設定を無視する。 |
0〜99999。 ただし,設定するフィールドのデータ型の最大値(shortの場合32767,ushortの場合65535)を超える値を指定した場合,データ型の最大値が設定される。※7 |
前回の設定値 |
startup_always |
この値は更新できる。 PFM - Agent for Oracle起動時に監視対象のOracleが起動処理中であった場合などに,PFM - Agent for OracleがOracle接続エラーで停止することがある。 「Y」を指定した場合,接続エラーが発生しても起動処理を継続する。「N」を指定した場合,この動作を有効にしない。 |
{Y|N} |
前回の設定値 |
localtemp_option※8 |
この値は更新できる。 PD_PDDB,PI_PIDB,PD_PDDF,PI_PIDF,PD_PDTF,PD_PDTS,PD_PCTSレコードのローカル管理一時表領域の空き容量の情報の表示を切り替えるオプション。 「Y」を指定した場合,使用されていないサイズを表示する。「N」を指定した場合,未割り当てのサイズを表示する。 |
{Y|N} |
前回の設定値 |
nls_lang※9 |
この値は更新できる。 PFM - Agent for OracleがOracle Databaseとの通信で使用する文字コード形式を指定するオプション。 Linuxの場合だけ指定できます。 |
文字コードセット
|
前回の設定値 |
undospace_option※10 |
この値は更新できる。 PD_PDDB,PI_PIDB,PD_PDDF,PI_PIDF,PD_PDTS,PD_PCTSレコードのUNDO表領域の空き容量の表示を切り替えるオプション。 「N」を指定した場合,未割り当てのサイズを表示する。 「Y」を指定した場合,使用されていないサイズを表示する。 |
{Y|N} |
前回の設定値 |
- (凡例)
-
−:なし
- 注※1
-
Solaris,AIX,またはLinux (x64)を使用して,次のOracle Databaseを監視する場合,Oracle Client 32-bitのインストールと環境設定が必要です。
-
Oracle Database 11g Release 2
-
Oracle Database 12c Release 1
また,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行する際,各項目について次のように設定してください。
-
「oracle_home」
Oracle Client 32-bitのOracleホームを設定してください。
-
「oracle_version」
Oracle Client 32-bitのバージョン番号を指定してください。
-
「sqlnet」
「Y」を指定してください。
-
「net_service_name」
Oracle Client 32-bitで設定したネットサービス名を指定してください。
-
「listner_home」
監視するOracle DatabaseのOracleホームを指定してください。
Oracle Client 32-bitで設定するネットサービス名には,監視するOracle Databaseに接続するネットサービス名を指定してください。
Oracle Client 32-bitのインストールと環境構築が完了していない状態で,インスタンス情報の「oracle_home」に,Oracle DatabaseまたはOracle Client 64-bitのORACLE_HOMEを指定して,PFM - Agent for Oracleを起動すると,KAVF12011-EおよびKAVF12021-Eのメッセージが表示されます。
-
- 注※2
-
Oracleを監視するアカウントを変更する場合は,次の手順で行ってください。
-
変更前のアカウントが作成していたオブジェクトを削除する。
-
変更後のアカウントで,新しくオブジェクトを登録する。
なお,アカウントを変更しても,パフォーマンスデータは削除されません。
オブジェクトの削除方法については「3.2.2(1)(b) Oracle Databaseへ登録したオブジェクトを削除する」を,オブジェクトの登録方法については「3.1.4(4)(b) Oracle Databaseへオブジェクトを登録する」を参照してください。
-
- 注※3
-
oracle_passwdにパスワードの有効期限が設定されている場合,有効期限に達するとOracleとの接続エラーが起こり,パフォーマンス情報を収集できません。Oracleとの接続エラーを起こさせないようにするために,パスワードの有効期限が切れる前に,次のどちらかを設定してください。
-
パスワードの有効期限を解除します。
-
パスワードの更新後,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行し,oracle_passwdを更新します。
なお,mk_user.sqlで作成したOracleのアカウントには,Oracleが提供しているDEFAULTのプロファイルが適用されます。
-
- 注※4
-
Oracleネットワークサービスを使用するかどうかを指定します。
-
「Y」を指定した場合
Oracleネットワークサービスで構成されたリスナーを通じて,Oracleに接続します。
この場合,Oracle側のネットワークサービス定義(tnsnames.ora,listener.oraなど)を設定している必要があります。
Oracle RAC構成のOracleインスタンスを監視する場合は,各ノードのOracleインスタンスを監視するように設定してください。設定方法については,Oracleのマニュアルを参照してください。
また,sqlnetが「Y」の場合のtnsnames.oraファイルは,次のディレクトリに格納してください。次のディレクトリ以外にtnsnames.oraファイルを格納したときは,PFM - Agent for OracleがOracle接続エラーとなります。
oracle_homeで指定したディレクトリ/network/admin
-
「N」を指定した場合
Oracleネットワークサービスを使用しないで,ローカル・データベースに接続します。
-
- 注※5
-
変更前のパス情報は保存されません。手動でファイルなどに履歴として記録しておいてください。トラブルなどによって,変更前のディレクトリからのエージェントログの採取が必要となる場合があります。
- 注※6
-
PFM - Agent for OracleではOracleの各セグメント関連の情報を取得するため,Oracleの静的ディクショナリ・ビュー DBA_SEGMENTSを検索します。Oracleで大量のセグメント(数十万件以上のセグメント)が存在する場合,情報収集で非常に時間が掛かるときがあります。そのため,大量のセグメントが存在し,次の表に示す情報収集の情報が不要な場合,sql_optionを「Y」と設定して運用してください。
表3‒18 レコード名とnumeric_10で指定した値(インスタンス情報の更新の設定) レコード名
PFM - View名
numeric_10で指定した値
PD_PDTS
Segments
有効
Extents
有効
PI_PIDB
DB Files %
有効
Log Files %
有効
NextAlloc Fails
有効
Tablespaces
有効
Rollback Segments
有効
Rollback Segments Trans
有効
Blocks
有効
Segments
有効
Extents
有効
Free Mbytes
有効
Overextended
有効
High Max Extent
有効
Datafiles
有効
Mbytes
有効
Free Extents
有効
Free%
有効
Free Change
有効
Write%
有効
Write/sec
有効
Redo Files
有効
Links
有効
Links Logged On
有効
Links In Tran
有効
Links Open Cursors
有効
Used Change
有効
Used Mbytes
有効
Rollback Segments Hit%
有効
Sort Segments
有効
Sorting Users
有効
Physical Blocks Read
デルタ項目のため,常に0設定。
Physical Blocks Written
デルタ項目のため,常に0設定。
Physical Reads
デルタ項目のため,常に0設定。
Physical Writes
デルタ項目のため,常に0設定。
- 注※7
-
各レコードのフィールドの形式が,「float」または「double」型の場合,データは浮動小数点数となるため,指定値によってまるめられる場合があります。
- (例)
-
numeric_10の指定を32767と指定した場合,32760と表示される場合があります。
- 注※8
-
localtemp_optionに「N」を指定した場合,ローカル管理一時表領域の空き容量やエクステントに関する情報は,動的パフォーマンスビューのv$temp_space_headerを使用して取得されます。取得する情報の空き容量は,未割り当てのサイズとなります。一度割り当てられたサイズは,一時表領域の再構築や再作成などをするまで解放されないため,解放されるまで空き容量は増加しません。
localtemp_optionに「Y」を指定した場合,ローカル管理一時表領域の空き容量やエクステントに関する情報は,動的パフォーマンスビューのv$temp_extent_poolを使用して取得されます。取得する情報の空き容量は,収集時に使用していた領域のサイズから未使用サイズを算出します。動的パフォーマンスビューのv$temp_extent_poolを検索した場合,Oracleのインスタンスが休止状態となります。Oracle Databaseの性能に影響することがありますので,十分に検討してから指定してください。詳細については,Oracleのマニュアルを参照してください。
- 注※9
-
PFM - Agent for Oracleが扱うデータと環境変数,インスタンス情報との関係図を以下に示します。
図3‒5 データと設定値との関係 PFM - Agent for OracleではLinux環境の場合,7ビットアスキーに加えUTF-8形式のパフォーマンスデータを収集できます。UTF-8形式のパフォーマンスデータを収集するためには,OS, Oracle, PFM - Agent for Oracleの言語設定をUTF-8に統一する必要があります。
UTF-8形式のパフォーマンスデータを収集するための言語設定の組み合わせは次のとおりです。
表3‒19 UTF-8形式のパフォーマンスデータを収集するための言語設定の組み合わせ OS言語(Linux)
監視対象OracleのNLS_CHARACTERSET
(データベースキャラクタセット)
nls_langインスタンス情報(本項目)
UTF-8
AL32UTF8
AMERICAN_AMERICA.AL32UTF8
上記以外の組み合わせの場合,パフォーマンスデータは7ビットアスキーの範囲で収集するため,文字化けが発生することがあります。
UTF-8を使用する場合のLANG設定は「3.1.4(1) LANG環境変数の設定」を参照ください。
nls_langインスタンス情報に不正な文字コードセットを指定した場合,errcodeが12705のメッセージ「KAVF12302-W」を出力し,Oracleとの接続に失敗します。
また,次の場合にパフォーマンスデータの文字化けが発生します。
-
Oracleのカラム長を超えることによる文字化け
Oracleにカラム長を超えるデータを格納する場合,最終文字で文字化けが発生することがあります。Oracleで文字化けが発生するデータをPFM - Agent for Oracleで収集すると,パフォーマンスデータの最終文字で文字化けが発生します。
-
PFM - Agent for Oracleのフィールドサイズを超えることによる文字化け
PFM - Agent for OracleではOracleからレコードのフィールドサイズ分のパフォーマンスデータを取得します。そのためOracleがフィールドサイズを超えるデータを保持している場合,パフォーマンスデータの最終文字で文字化けが発生することがあります。対象となるフィールドは次のとおりです。
表3‒20 対象となるフィールド レコード名
フィールド名
フィールドサイズ
(単位:byte)
Database Object Cache(PD_PDDO)
Object Name
100
Errorlog Detail(PD_PDEL)
Message
512
Parameter Values(PD_PDP)
Value
512
SQL Text(PD_PDSQ)
Explain Plan
30,000
SQL Text
30,000
SQL Text - Performance Based(PD_PDES)
SQL Text
10,000
Table Access(PD_PDTA)
Object
100
-
- 注※10
-
undospace_optionに「N」を指定した場合,UNDO表領域の空き容量は,未割り当てのサイズを収集します。UNDO表領域のうち,リテンション期間が過ぎて使用可能になった領域は解放されるまでの間,割り当て済みの領域として扱います。
undospace_optionに「Y」を指定した場合,UNDO表領域の空き容量は,未使用サイズを収集します。UNDO表領域のうち,リテンション期間が過ぎて使用可能になった領域は未使用サイズに含みます。
undospace_optionにより値が変わるフィールドは次のとおりです。
表3‒21 undospace_optionにより値が変わるフィールド レコード名
フィールド名
Data File(PD_PDDF)
Free %
Free Mbytes
Used Mbytes
Data File Interval
(PI_PIDF)
Free %
Free Change
Free Mbytes
Used Change
Used Mbytes
Database(PD_PDDB)
Free %
Free Mbytes
Used Mbytes
Database Interval
(PI_PIDB)
Free %
Free Change
Free Mbytes
Used Change
Used Mbytes
Tablespace(PD_PDTS)
Free %
Free Mbytes
Used Mbytes
Max Extend Free %
Max Extend Free Mbytes
Collection Tablespace 2
(PD_PCTS)
Free Mbytes
インスタンス名を確認するには,jpcconf inst list (jpcinslist)コマンドを使用します。また,インスタンス環境を更新するには,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを使用します。
インスタンス環境を更新する手順を次に示します。複数のインスタンス環境を更新する場合は,この手順を繰り返し実施します。
-
インスタンス名を確認する。
PFM - Agent for Oracleを示すサービスキーを指定して,jpcconf inst list (jpcinslist)コマンドを実行します。
jpcconf inst list -key Oracle (jpcinslist agto)
設定されているインスタンス名がSDCの場合,SDCと表示されます。
-
更新したいインスタンス環境のPFM - Agent for Oracleのサービスが起動されている場合は,停止する。
サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンド実行時に,更新したいインスタンス環境のサービスが起動されている場合は,確認メッセージが表示され,サービスを停止できます。サービスを停止した場合は,更新処理が続行されます。サービスを停止しなかった場合は,更新処理が中断されます。
-
PFM - Agent for Oracleを示すサービスキーおよびインスタンス名を指定して,jpcconf inst setup (jpcinssetup)コマンドを実行する。
インスタンス名がSDCのインスタンス環境を更新する場合,次のように指定してコマンドを実行します。
jpcconf inst setup -key Oracle -inst SDC (jpcinssetup agto -inst SDC)
-
Oracleのインスタンス情報を更新する。
表3-17に示した項目を,コマンドの指示に従って入力します。現在設定されている値が表示されます(ただし,oracle_passwdの値は表示されません)。表示された値を変更しない場合は,リターンキーだけを押してください。すべての入力が終了すると,インスタンス環境が更新されます。
-
更新したインスタンス環境のサービスを再起動する。
サービスの起動方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
- 注意
-
更新できない項目の値を変更したい場合は,インスタンス環境を削除したあと,再作成してください。
コマンドについては,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。