・Zoneの機能
Solaris 10以降に実装されているZone機能は,ほかのOSで実現されている論理的なリソース分割機能(例:AIXのLPAR,VMwareなど)とは異なり,アプリケーション用のワークスペースを提供する機能です。このため,ほかのOS上の仮想化システムとは多少異なる位置づけとなります。複数のOSを1つのシステムで実現できる点など,利用方法は類似しています。
・Zone機能の構造
Zone機能は2種類存在し,システム全体とほぼ同義なものと,システムから与えられたアプリケーション用のワークスペースを表すものが存在します。前者をGlobal Zone,後者をNon-Global Zoneと呼びます。
通常の仮想化システムでは,ユーザー側から見るとリソースが完全に分離されますが,Zone機能による仮想化システムではディスク以外のリソースは,基本的にGlobal Zoneの所有物となります。
PFM - Agent for PlatformではGlobal ZoneおよびNon-Global Zoneの情報を収集できます。なお,Non-Global Zoneについては,レコードによって収集できない情報があるため,詳細は「2.3.21(1)(a) Zone環境」の「表2-9」を参照してください。
図2-7 一般的な仮想化システムとZone機能の概念
Non-Global Zoneでは,Global Zoneから見た1ファイルシステムを使用してZone機能が動作します。
Non-Global Zoneでは,ファイルシステムの一部をGlobal Zoneのものを共有します。
次の図の例では,「zone a」,「zone b」および「zone c」以下にある「sbin」「usr」の実体は,「/」以下にある「sbin」と「usr」となります。
図2-8 Zoneの構築例
・Global Zone上でのリソース監視
PFM - Agent for PlatformがGlobal Zone上で動作する場合,ALL Zone Collection for Processプロパティの設定によって,プロセス情報を収集するZoneが選択できます。ALL Zone Collection for Processプロパティは,PFM - Web ConsoleのAgent Collectorサービスプロパティ一覧から設定します。ALL Zone Collection for Processプロパティの設定値を次に示します。
設定したプロパティは,PFM - Agent for Platform起動時に取得されます。ALL Zone Collection for Processプロパティが設定されていない場合は,デフォルト値の「Y」が設定されます。
Global Zone上でPFM - Agent for Platformが動作する場合に収集するプロセス情報を次の図に示します。
図2-9 Global Zone上で収集するプロセス情報
・Non-Global Zone上でのリソース監視
PFM - Agent for PlatformがNon-Global Zone上で動作する場合,ALL Zone Collection for Processプロパティの設定に関係なくPFM - Agent for Platformが動作しているNon-Global Zoneのプロセス情報だけが収集されます。Non-Global Zone上でPFM - Agent for Platformが動作する場合に収集するプロセス情報を次の図に示します。
図2-10 Non-Global Zone上で収集するプロセス情報