・WPARの機能
AIX V6.1以降に実装されているWPAR機能は,1つのLPAR内に,ソフトウェア的に仮想化された複数のAIX V6.1インスタンスを稼働する機能を提供します。WPARには,System WPARとApplication WPARの2種類の環境があり,WPARを構築するためのグローバル環境も備えています。それぞれの環境について次に説明します。
プロセスをすべて包括するビュー,IPC,ファイルシステム,デバイス,およびその他のユーザー・レベル・オブジェクトとシステム・レベル・オブジェクトを持つ環境です。
独自のファイルシステム,ユーザーとグループ,リソース制御,ログイン,およびネットワークを持つ仮想システム環境です。
アプリケーションとそのリソースを分離するための環境です。
・WPARの構造
WPARは,SolarisのZoneと同じような構造(アプリケーション用のワークスペースを提供)をしています。
グローバル環境では,システム上で稼働中のWPARに割り当てられたプロセス,ファイルシステム,およびその他のシステム・コンポーネントを表示したり,それらと対話したりできます。WPARを新規に作成できるのは,グローバル環境だけです。WPAR環境で,さらに別のWPARを新規に作成することはできません。管理用タスクの多くは,グローバル環境だけで実行できます。また,コマンドの多くは,グローバル環境で実行されたときと,WPAR環境で実行されたときで動作が異なります。
PFM - Agent for Platformでは,次の場合にパフォーマンスデータが収集できます。
・グローバル環境でのリソース監視
PFM - Agent for Platformがグローバル環境上で動作する場合,ALL WPAR Collection for Processプロパティの設定によって,プロセス情報を収集する環境が選択できます。ALL WPAR Collection for Processプロパティは,PFM - Web ConsoleのAgent Collectorサービスプロパティ一覧から設定します。ALL WPAR Collection for Processプロパティの設定値を次に示します。
設定したプロパティは,PFM - Agent for Platform起動時に取得されます。ALL WPAR Collection for Processプロパティが設定されていない場合は,デフォルト値の「Y」が設定されます。
グローバル環境上でPFM - Agent for Platformが動作する場合に収集するプロセス情報を次の図に示します。
図2-14 グローバル環境上で収集するプロセス情報
・System WPAR環境でのリソース監視
PFM - Agent for PlatformがSystem WPAR環境上で動作する場合,ALL WPAR Collection for Processプロパティの設定に関係なくPFM - Agent for Platformが動作しているSystem WPAR環境のプロセス情報だけが収集されます。System WPAR環境上でPFM - Agent for Platformが動作する場合に収集するプロセス情報を次の図に示します。
図2-15 System WPAR環境上で収集するプロセス情報
・WPAR上でのPFM - Agent for Platformの利用
WPAR上でPFM - Agent for Platformを利用する場合,プロセッサおよびメモリーの情報が動的に変更されることに注意してください。