ユーザー独自のパフォーマンスデータを収集するためには,次の手順で設定してください。
各手順について次に説明します。
ユーザーレコードのフィールドには,キー情報とデータ情報を格納します。それぞれに格納する内容を検討してください。
ユーザー独自のパフォーマンスデータを格納するユーザーレコードは,一回の収集で複数行のレコードを記録できる複数インスタンスレコードです。同じユーザーレコード内で複数インスタンスレコードを一意に識別するためには,キー情報を設定する必要があります。jpcuserコマンドに複数のユーザー作成データファイルを同時に指定する場合,同時に指定したすべてのユーザー作成データファイルにわたって,レコードインスタンスを一意に識別するキー情報を設定する必要があります。キー情報の種類を次の表に示します。
表6-20 キー情報の種類
キー情報の種類 | フィールド名 | 説明 |
---|---|---|
トランザクションタイプ | Trans Type | インスタンスの種類を識別する。 |
トランザクションキー | Trans Data Key(数値型) | 同一トランザクションタイプのインスタンスを識別する。 |
Trans String Key(文字列型) |
トランザクションタイプは,複数のパフォーマンスデータを区別する場合に使います。例えば,データベースとWebサーバに関する情報をレコードに格納する場合,トランザクションタイプに「DATABASE」と「WEB」を格納するようにします。これによって,格納された情報が,データベースの情報であるか,Webサーバの情報であるかを区別できます。
トランザクションタイプが同じインスタンスが複数ある場合には,トランザクションキーを用いて区別します。Trans Data KeyまたはTrans String Keyを設定しなかったり,同じ値を設定したりして,レコードのインスタンスをユニークに識別できない場合は,最初のレコードのインスタンスが採用されます。
データ情報として,double型,long型,ulong型の3種類の数値データと,長さの異なる3種類の文字列データと,時間データを格納できます。格納できる数はユーザーレコードごとに異なります。なお,PIレコードタイプの数値データについては,集約ルールとして,平均,または累積のどちらかを選択できます。
収集するパフォーマンスデータに応じて,どのユーザーレコードを使用するかを選択してください。格納できる情報が多いユーザーレコードの方がメモリーなどを大量に消費するため,必要十分なユーザーレコードを選択してください。
ユーザーレコードごとのフィールド数を次の表に示します。
表6-21 ユーザーレコードごとのフィールド数
レコードタイプ | ユーザーレコードの種類 | フィールド数 | ||
---|---|---|---|---|
数値データ | 文字列データ | 時間データ | ||
PDレコードタイプ | User Data Detail(PD_UPD) | 2*3=6 | 1+2+4=7 | 1 |
User Data Detail - Extended(PD_UPDB) | 5*3=15 | 5+5+5=15 | 1 | |
PIレコードタイプ | User Data Interval(PI_UPI) | 4*3=12 | 1+2+4=7 | 1 |
User Data Interval - Extended(PI_UPIB) | 10*3=30 | 5+5+5=15 | 1 |
ユーザーレコードを選択する際の判断基準を次の表に示します。
表6-22 ユーザーレコードの選択基準
パフォーマンスデータの累積データを保持するか? | 保持するパフォーマンスデータの種類は多いか? | 推奨するユーザーレコード |
---|---|---|
Yes | No | PI_UPI |
Yes | Yes | PI_UPIB |
No | No | PD_UPD |
No | Yes | PD_UPDB |
ユーザーコマンドは,パフォーマンスデータを収集しユーザー作成データを作成するためのスクリプトです。ユーザー作成データのファイル形式に従ってパフォーマンスデータを出力するようにスクリプトを記述してください。
ユーザー作成データのファイル書式については,「6.4.5 ユーザー作成データのファイル形式」を参照してください。
なお,ユーザーコマンドで出力したユーザー作成データが正しいかどうかを確認する場合,jpcuserコマンドを次のように実行してください。
/opt/jp1pc/agtu/agent/jpcuser/jpcuser PI_UPI -file ユーザー作成データ -debug 1
上記コマンドを実行すると,次に示すデバッグログが生成されます。
/opt/jp1pc/agtu/agent/jpcuser/debug/jpcuser_dbg_01.log
デバッグログの内容を確認して,エラーが発生していないことを確認してください。
jpcuserコマンドの詳細については,「6.4.4 jpcuserコマンドの形式」を参照してください。
ユーザーコマンド定期実行機能を使って,定期的にユーザー独自のパフォーマンスデータを収集するための設定方法を説明します。
図6-3 ユーザーコマンド定期実行機能のプロパティ
表6-23 ユーザーレコードのプロパティ設定
プロパティ | 値 | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|---|
Execute | Yes/No | ユーザーコマンド定期実行機能を実行するかどうか指定する。
| No |
UserCommand | 絶対パス | ユーザーコマンドの絶対パスを指定する。絶対パスに指定できる文字列の最大長は255バイト。指定できる文字は,次の文字を除く,半角英数字および半角記号。 | < > | 空白 |
注1 「Execute」プロパティが「Yes」,「UserCommand」プロパティが空白の場合,KAVF10203-Wのメッセージが出力されユーザーコマンドは実行されません。
注2 指定されたユーザーコマンドが存在しない場合,またはユーザーコマンドの実行権限がない場合は,KAVF10013-Wのメッセージが出力されます。
ユーザーデータファイルとは,jpcuserコマンドによって,ユーザー作成データをPFM - Agent for Platformが管理できるレコード形式に変換したデータファイルのことです。このユーザーデータファイルのデータは,PFM - Agent for Platformがレコードを収集するタイミングで,ユーザーレコードに格納されます。PFM - Agent for Platformがユーザーレコードを収集するように,PFM - Web Consoleで設定してください。
レコードの収集方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementの機能について説明している章を参照してください。