Active Directoryに関係するパフォーマンスの低下がある場合,PI_ADレコードを収集して監視することで,問題解決の糸口をつかめます。次の現象が発生している場合に,ボトルネックを特定するための監視項目を示します。
上記の現象が発生している場合の監視例を次に示します。なお,記載している監視例は凡例であり,ユーザーの環境によって変動します。しきい値などの設定はユーザーの環境に合わせてください。
・ドメインコントローラーの負荷が継続的に高い場合
ドメインコントローラーの負荷が高くなる原因として,Active Directoryデータベースがディスクアクセスを頻繁に行っていることが挙げられます。この場合,メモリーのキャッシュやバッファへの割り当てを見直すことによって問題を解決できます。
表3-9 データベースのキャッシュ利用率を監視するフィールド
フィールド | 説明 |
---|---|
Cache % Hit | データベースキャッシュによって,ファイル操作を発生させることなく実行されたデータベースファイルページの要求の割合。 |
Cache Page Fault Stalls/sec | データベースキャッシュから割り当てできるページがないためにサービスを受けられない1秒当たりのページフォールトの数。 |
Cache Page Faults/sec | データベースキャッシュマネージャが,データベースキャッシュから新しいページを割り当てるために必要な1秒当たりのデータベースファイルページの要求数。 |
Cache Size | データベースキャッシュマネージャがデータベースファイルから頻繁に使用される情報を保持するのに使用するシステムメモリーの容量。 |
Table Open Cache % Hit | キャッシュしたスキーマ情報を使用して開かれたデータベーステーブルの割合。 |
Table Open Cache Hits/sec | キャッシュしたスキーマ情報を使用して開かれたデータベーステーブルの1秒当たりの数。 |
Table Open Cache Misses/sec | キャッシュしたスキーマ情報を使用しないで開かれたデータベーステーブルの1秒当たりの数。 |
Table Opens/sec | 1秒当たりに開かれたデータベーステーブルの数。 |
表3-10 データベースのログ書き込み状況を監視するフィールド
フィールド | 説明 |
---|---|
Log Record Stalls/sec | ログバッファに空きがないために追加できない1秒当たりのログレコードの数。 |
Log Threads Waiting | データベースの更新を完了させるために,ログバッファ上のデータがログファイルに書き込まれるのを待機しているスレッドの数。 |
Log Writes/sec | ログバッファ上のデータがログファイルに書き込まれる1秒当たりの回数。 |
・特定のドメインにログオンが集中する場合
Active Directoryによって使用されている現在のセッション数を確認したい場合は,次のフィールドを確認してください。
表3-11 現在のセッション数を監視するフィールド
フィールド | 説明 |
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AB Client Sessions | 接続されているアドレス帳クライアントセッションの数。 |
LDAP Client Sessions | 接続されているLDAPクライアントセッションの数。 |
・サイト内のネットワーク負荷が高い場合
サイト内のネットワーク負荷が高い場合,Active Directoryがサイト内でレプリケーションを大量に行っていることが原因となっている場合があります。サイト内のレプリケーションのトラフィックを監視するフィールドを次に示します。
表3-12 サイト内のレプリケーションのトラフィックを監視するフィールド
フィールド | 監視対象 | 説明 |
---|---|---|
DRA In Not Compress | 入力方向のレプリケーション | 圧縮されていないデータのバイト数(入力量)。 |
DRA In Not Compress/sec | 圧縮されていないデータの1秒当たりのバイト数(入力頻度)。 | |
DRA Out Not Compress | 出力方向のレプリケーション | 圧縮されていないデータのバイト数(出力量)。 |
DRA Out Not Compress/sec | 圧縮されていないデータの1秒当たりのバイト数(出力頻度)。 |
・サイト間のネットワーク負荷が高い場合
サイト間のネットワーク負荷が高い場合,Active Directoryがサイト間レプリケーションを大量に行っていることが原因となっている場合があります。サイト間レプリケーションでは通信を圧縮して行う点がサイト内のレプリケーションと異なります。レプリケーションの動作自体は変わりません。サイト間レプリケーションのトラフィックを監視するフィールドを次に示します。
表3-13 サイト間レプリケーションのトラフィックを監視するフィールド
フィールド | 監視対象 | 説明 |
---|---|---|
DRA In After Compress | 入力方向のレプリケーション | 圧縮後データのバイト数(入力量)。 |
DRA In After Compress/sec | 圧縮後データの1秒当たりのバイト数(入力頻度)。 | |
DRA In Before Compress | 圧縮前データのバイト数(入力量)。 | |
DRA In Before Compress/sec | 圧縮前データの1秒当たりのバイト数(入力頻度)。 | |
DRA Out After Compress | 出力方向のレプリケーション | 圧縮後データのバイト数(出力量)。 |
DRA Out After Compress/sec | 圧縮後データの1秒当たりのバイト数(出力頻度)。 | |
DRA Out Before Compress | 圧縮前データのバイト数(出力量)。 | |
DRA Out Before Compress/sec | 圧縮前データの1秒当たりのバイト数(出力頻度)。 |