1.5.3 CPUリソースの監視
ここでは,Hyper-VのCPUリソースを監視する方法について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 概要
Hyper-Vシステムでは,複数の仮想マシンで物理サーバ上のCPUを共有します。各仮想マシンに割り当てられるCPUリソースのことを仮想CPUと呼びます。仮想マシン上で稼働するOSは,仮想CPUを通常の物理CPUとして認識します。
物理サーバ上のCPUリソースは,各仮想マシンのCPUリソース要求量に応じて配分されます。ただし,各仮想マシンのCPUリソース要求量の合計が物理サーバ上のCPUリソースを超過する場合,要求量を満たすCPUリソースが配分できないため,仮想CPUリソースが不足します。この場合,仮想マシンの性能が低下します。
仮想CPUリソースが不足している状態の概念図を,次に示します。
CPUのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。
また,仮想環境では,メモリー,ディスク,ネットワークインターフェースなど,すべての物理デバイスが仮想化されます。この物理デバイスの仮想化は,CPUによって処理されます。そのため,CPUリソースは,ほかの仮想デバイスのパフォーマンスにも影響する重要なリソースです。
CPUリソースを監視するレコードには,次の4つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。
-
PIレコード
物理サーバのCPUのパフォーマンスデータを監視できます。
-
PI_HCIレコード
物理CPUの各コアのパフォーマンスデータを監視できます。
-
PI_VIレコード
各仮想マシンが利用しているCPUのパフォーマンスデータを監視できます。
-
PI_VCIレコード
各仮想CPUのパフォーマンスデータを監視できます。
次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。
(2) 監視例
ここでは,仮想マシンvhost1〜3のCPUリソースの監視を例に,CPUリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。
(a) 仮想マシンのCPU使用率を監視する例
仮想マシンのCPU使用率は,PI_VIレコードのUsed %フィールドで確認できます。
監視例を次に示します。なお,ここでは監視テンプレートのVM CPU Used Statusレポートの表示例を示しています。このレポートのグラフには,仮想マシンのCPU使用量を示すUsedフィールドが表示されます。Used %フィールドを監視する場合は,グラフの下に表示される表の内容を確認してください。
- 確認する監視テンプレートレポート
この例では,vhost2のCPU使用率が大きくなっています。CPU使用率が大きく,仮想マシンの性能が低下している場合は,CPU割り当て上限値などの仮想環境の構成情報を見直してください。また,問題が解決しない場合は物理CPUの追加や物理サーバの追加を検討してください。
(3) その他の監視例
「(2) 監視例」で説明した監視テンプレート以外の監視テンプレートでの監視例を次に示します。
(a) 物理サーバのCPU使用状態を監視する例
- 確認する監視テンプレートレポート
このレポートのうち,Troubleshooting/Recent Pastフォルダに格納されているレポートにはドリルダウンが設定されています。グラフ上の仮想マシン使用量の面をクリックすると,図1-36に示すVM CPU Used Statusレポートが表示されます。