1.4.3 CPUリソースの監視
ここでは,VMwareシステムのCPUリソースを監視する方法について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 概要
VMwareシステムでは,複数の仮想マシンで物理サーバ上のCPUを共有します。各仮想マシンに割り当てられるCPUリソースのことを仮想CPUと呼びます。仮想マシン上で稼働するOSは,仮想CPUを通常の物理CPUとして認識します。
物理サーバ上のCPUリソースは,各仮想マシンのCPUリソース要求量に応じて配分されます。ただし,各仮想マシンのCPUリソース要求量の合計が物理サーバ上のCPUリソースを超過する場合,要求量を満たすCPUリソースが配分できないため,仮想CPUリソースが不足します。この場合,仮想マシンの性能が低下します。
仮想CPUリソースが不足している状態の概念図を,次に示します。
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CPUのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できるため,対策を講じることができます。
また,仮想環境では,メモリー,ディスク,ネットワークインターフェースなど,すべての物理デバイスが仮想化されます。この物理デバイスの仮想化は,CPUによって処理されます。そのため,CPUリソースは,ほかの仮想デバイスのパフォーマンスにも影響する重要なリソースです。
CPUリソースを監視するレコードには,次の4つがあります。レコードの詳細については,「5. レコード」を参照してください。
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PIレコード
物理サーバのCPUのパフォーマンスデータを監視できます。
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PI_HCIレコード
物理CPUの各コアのパフォーマンスデータを監視できます。
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PI_VIレコード
各仮想マシンが利用しているCPUのパフォーマンスデータを監視できます。
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PI_VCIレコード
各仮想CPUのパフォーマンスデータを監視できます。
次の図に,それぞれのレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。
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(2) 監視例
ここでは,仮想マシンvhost1〜2のCPUリソースの監視を例に,CPUリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。
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(a) 仮想マシンのCPU不足率を監視する例
仮想マシンのCPU不足率は,PI_VIレコードのInsufficient %フィールドで確認できます。仮想マシンに対して十分なCPUリソースが割り当てられている場合,CPU不足率は0%に近づきます。なお,この監視項目は,監視テンプレートに用意されているアラームで監視できます。
仮想マシンのCPU不足率の監視例を次の図に示します。
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- 確認する監視テンプレートレポート
- 確認する監視テンプレートアラーム
この例では,vhost2のCPUリソースがかなり不足していると考えられます。
この場合,仮想マシンの構成情報を見直してください。構成情報を見直したあともCPU不足率が高い場合,物理サーバにCPUを追加したり,物理サーバを追加したりすることを検討してください。
(3) その他の監視例
「(2) 監視例」で説明した監視テンプレート以外の監視テンプレートでの監視例を次に示します。
(a) 物理サーバのCPU使用状態を調べる
■ 物理サーバのCPU使用状態を表示するレポート
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- 確認する監視テンプレートレポート
このレポートのうち,Troubleshooting/Recent Pastフォルダに格納されているレポートにはドリルダウンが設定されています。グラフ上の仮想マシン使用量の面をクリックすると,次に示すレポートが表示されます。
■ 仮想マシンによる物理サーバのCPU使用状態を表示するレポート
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- 確認する監視テンプレートレポート