1.1 PFM - RM for Virtual Machineを利用したパフォーマンス監視の目的
近年,サーバの高性能化によって,1台のサーバのリソースを1つのシステムだけでは使い切れないケースが増えてきています。このような状況を解決するためにシステムのリソースを有効に活用できる仮想環境が注目されています。仮想環境はほかにも次のような利点があります。
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OSや機器を共有,一元管理できます。
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サーバの数が減るため,電力および空調コストが削減できます。
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複数の古いサーバを1台の新しいサーバ上での仮想マシンに置き換えられます。
特に,サーバの数を減らして電力および空調コストを削減することで,グリーンITを推進できます。
1台の物理サーバ上で複数の仮想マシンを構築する場合の一般的な仮想環境の構造を次の図に示します。
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仮想マシンは,それぞれ仮想化された物理リソース上で動作します。仮想環境は,物理リソースが過不足なく利用されている場合に最大の効果を発揮します。物理リソースが過剰に消費されている場合,またはほとんど消費されていない場合は,仮想環境を有効に利用できていません。したがって,仮想マシンごとに,どの程度の物理リソースを割り当てるかが重要になってきます。
PFM - RM for Virtual Machineは,仮想環境のパフォーマンスを監視し,パフォーマンスデータを収集および管理するプログラムです。
PFM - RM for Virtual Machineでは,さまざまな仮想環境のリソース消費状況を監視できます。PFM - RM for Virtual Machineで監視できる仮想環境を次に示します。
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VMware ESX Server
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Hyper-V
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日立サーバ仮想化機構「Virtage」※
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KVM
- 注※
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以降,このマニュアルではVirtageと表記します。
仮想環境の活用を考えた場合,「リソース監視」は重要なポイントとなります。PFM - RM for Virtual Machineを利用すると,仮想環境上のリソース消費状況を監視して,仮想環境が有効に設定されているかどうかを判断できます。PFM - RM for Virtual Machineで監視できる仮想環境上のリソースを次に示します。
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CPU
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メモリー
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ディスク
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ネットワーク
PFM - RM for Virtual Machineを使ったVMwareシステムの監視例を次の図に示します。
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PFM - RM for Virtual Machineが,物理サーバ1上の仮想マシン1のリソース不足を検知しています。この場合,次に示す対策が考えられます。
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仮想マシン1に割り当てる物理サーバ1のリソースを見直す。
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物理サーバ1にリソースを追加する。
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物理サーバ1上の仮想マシン1を,リソースに余裕がある物理サーバ2に移動する。
PFM - RM for Virtual Machineを使ったHyper-Vシステムの監視例を次の図に示します。
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PFM - RM for Virtual Machineが,物理サーバ1上の仮想マシン1のリソース不足を検知しています。この場合,次に示す対策が考えられます。
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仮想マシン1に割り当てる物理サーバ1のリソースを見直す。
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物理サーバ1にリソースを追加する。
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物理サーバ1上の仮想マシン1を,リソースに余裕がある物理サーバ2に移動する。
PFM - RM for Virtual Machineを使ったVirtageシステムの監視例を次の図に示します。
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PFM - RM for Virtual Machineが,ホストマシン1上のLPAR1のリソース不足を検知しています。この場合,次に示す対策が考えられます。
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LPAR1に割り当てるホストマシン1のリソースを見直す。
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ホストマシン1にリソースを追加する。
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ホストマシン1上のLPAR1をリソースに余裕があるホストマシン2に移動する。
PFM - RM for Virtual Machineを使ったKVMシステムの監視例を次の図に示します。
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PFM - RM for Virtual Machineが,物理サーバ1上の仮想マシン1のリソース不足を検知しています。この場合,次に示す対策が考えられます。
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仮想マシン1に割り当てる物理サーバ1のリソースを見直す。
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物理サーバ1にリソースを追加する。
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物理サーバ1上の仮想マシン1を,リソースに余裕がある物理サーバ2に移動する。
PFM - RM for Virtual Machineを使って仮想環境を監視することで必要な対策を講じることができます。また,対策した結果,リソースの過不足がない理想的な仮想環境を維持できるようになります。