13.2.9 JP1/ITSLMと連携するためのカスタム監視項目定義ファイルの反映手順
(1) カスタム監視項目定義ファイルの編集・反映手順
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テキストエディターなどで,カスタム監視項目定義ファイル(monitoringitems.cfg)を開く。
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カスタム監視項目定義ファイルを編集する。
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カスタム監視項目定義ファイルを保存して閉じる。
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JP1/ITSLMにログインする。
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JP1/ITSLMで構成情報の設定を実行する。
構成情報の更新を実施し,PFM - ManagerとJP1/ITSLMの監視項目を同期させます。
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JP1/ITSLM上で監視項目を設定する[監視設定]画面を開く。
このタイミングで監視項目の定義内容が反映されます。
編集したカスタム監視項目定義ファイルの内容が正しく反映されていることを確認してください。正しく反映されていない場合は,指定値の誤りなどが考えられます。共通メッセージログおよびJP1/ITSLMで出力されるログを確認してください。
構成情報の設定の実行方法については,マニュアル「JP1/IT Service Level Management」の監視対象サービスの構成情報の設定方法(JP1/PFMとの連携)について説明している個所を参照してください。
(2) カスタム監視項目定義ファイル(monitoringitems.cfg)について
(a) カスタム監視項目定義ファイルの格納先について
- PFM - Managerが物理ホストの場合
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- Windowsの場合
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インストール先フォルダ\ITSLM\
- UNIXの場合
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/opt/jp1pc/ITSLM/
- PFM - Managerが論理ホスト運用時
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- Windowsの場合
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環境ディレクトリ\jp1pc\ITSLM\
- UNIXの場合
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環境ディレクトリ/jp1pc/ITSLM/
(b) カスタム監視項目定義ファイルの入力規則について
カスタム監視項目定義ファイル(monitoringitems.cfg)には,次に示す規則があります。
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ラベルの設定値は,「ラベル名=設定値」の形式で指定します。
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ラベル名または設定値の前後の空白文字(半角空白,タブ,垂直タブ,用紙送り文字)はすべて無視されます。
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行頭から連続する空白文字を除く文字列が「#」で始まる行はコメント行として扱われます。
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改行はCR,LF,CR+LFのどれかで認識されます。ただし,ファイル内の改行コードは統一してください。統一しない場合,実際にはエラーの無い項目がエラーとなることがあります。また,エラーメッセージで,エラーが発生した個所を示す行番号がエディターなどで表示される行番号とずれることがあります。
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改行だけまたは空白文字と改行だけで記載された行は無視されます。
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省略できるラベルは,ラベルそのものを記載しない場合および設定値だけを記載しない場合に,値を省略したものと見なされます。(設定値だけを記載しない場合,ラベル名の後の「=」は必要です)
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[Agent]セクションを記載せずに[[Monitoring Item]]サブセクションを記載するなど,入力規則に従わない記載がある場合,カスタム監視項目定義ファイル全体の記載が無効になります。
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[Agent]セクションのProductラベルの省略またはProductラベルの指定値に誤りがある場合,該当する[Agent]セクションおよび該当する[Agent]セクションの下にある[[Monitoring Item]]サブセクションすべてが無効になります。
-
[[Monitoring Item]]サブセクション内で同じラベルを複数記載した場合,該当する[[Monitoring Item]]サブセクションは無効になります。
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[[Monitoring Item]]サブセクション内の必須ラベルの省略またはラベルの指定値に誤りがある場合,該当する[[Monitoring Item]]サブセクションは無効になります。
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[[Monitoring Item]]サブセクション内のラベルの記載順序は任意です。(サブセクション内で記載順序を変更しても動作に影響はありません)
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PFM - AgentおよびPFM - RMの種別とデータモデルバージョン,レコード,フィールドが同一の定義がデフォルト監視項目として定義されている場合,デフォルト監視項目は無効になり,カスタム監視項目として指定したものだけが有効になります。
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PFM - AgentおよびPFM - RMの種別とデータモデルバージョン,レコード,フィールドが同一の定義が複数指定されている場合,最もファイルの先頭近くで指定されたもの1つだけが有効になります。
(c) カスタム監視項目定義ファイルの記述例について
カスタム監視項目定義ファイルの記述例を次に示します。
ITSLM Monitoring Items Definition File Version=0001 ITSLM Monitoring Items Definition File Code=Shift_JIS [Agent] Product=T8.0 …Agent for Platform(Windows)8.0の場合 [[Monitoring Item]] Record=PI …System Overviewレコードの場合 Field=PCT_PHYSICAL_MEMORY …% Physical Memフィールドの場合 Key Field= …シングルインスタンスレコードは省略できる Display Name.ja=物理メモリー使用率 Display Name.en=Physical Mem Usage Display Unit.ja= …日本語は省略でき,Display Unit.enが使用される Display Unit.en=% Threshold=High [[Monitoring Item]] …複数の監視項目を定義する場合は複数書く Record=PI_LOGD Field=PCT_DISK_USAGE Key Field=INSTANCE …マルチインスタンスレコードのため省略できない : [Agent] …続けてほかのプロダクトID,データモデルバージョンを記載する Product=U7.8 [[Monitoring Item]] Record=PI Field=PCT_PHYSICAL_MEMORY :
(d) カスタム監視項目定義ファイルの形式について
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項目 |
説明 |
||
|---|---|---|---|
|
セクション |
サブセクション |
ラベル名 |
|
|
− |
− |
ITSLM Monitoring Items Definition File Version |
監視項目定義ファイルの構文のバージョンを指定します。
|
|
ITSLM Monitoring Items Definition File Code※4 |
監視項目定義ファイルを記述している文字コードを指定します。
|
||
|
[Agent] |
− |
− |
この項目はセクション名のため,変更できません。 PFM - AgentおよびPFM - RMのプロダクトID・データモデルバージョンごとにセクションを作成します。 |
|
Product |
PFM - AgentおよびPFM - RMの種別とデータモデルバージョンを指定します。
|
||
|
[[Monitoring Item]] |
− |
この項目はサブセクション名のため,変更できません。 定義する監視項目ごとにサブセクションを作成します。 プロダクトID・データモデルバージョンごとに54件まで定義できます。55件以上有効な定義がある場合は,55件目以降が無視されます。 |
|
|
Record |
監視する対象のレコードを指定します。
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||
|
Field※3 |
監視する対象のレコードのフィールドを指定します。同一レコード,同一フィールドの指定が複数ある場合は,最も上に定義されている有効な定義が使用されます。
|
||
|
Key Field※3 |
収集されたレコードを一意にするための情報を指定します。監視項目がマルチインスタンスレコードの場合だけ指定できます。シングルインスタンスレコードの場合は指定しても無視されます。
|
||
|
Display Name.ja |
JP1/ITSLMに表示する監視項目名(日本語)を指定します。
|
||
|
Display Name.en |
JP1/ITSLMに表示する監視項目名(英語)を指定します。
|
||
|
Display Unit.ja |
JP1/ITSLMで使用する監視項目の単位(日本語)を指定します。
|
||
|
Display Unit.en |
JP1/ITSLMで使用する監視項目の単位(英語)を指定します。
|
||
|
Threshold |
しきい値種別を指定します。
|
||
- (凡例)
-
−:該当なし
注※1
指定できる範囲は,次の条件があります。
-
PFM - AgentおよびPFM - RMのバージョンが10-00以降の必要があります。
-
指定するPFM - AgentおよびPFM - RMがアラームとレポートに使用できる最大のデータモデルバージョンを指定する必要があります。
参考として,例を示します。
ここでは,実在しないPFM - Agentで説明しています。
[前提]
ホストA
- PFM - Agent for Sample バージョン1000
-
データモデルバージョン8.0(アラームおよびレポートに使用できるデータモデルバージョンは3.0 〜 8.0とする)
ホストB
- PFM - Agent for Sample バージョン1005
-
データモデルバージョン8.2(アラームおよびレポートに使用できるデータモデルバージョンは3.0 〜 8.2とする)
この場合,ホストAのPFM - Agent for Sampleと連携するためには<データモデルバージョン>は8.0,ホストBのPFM - Agent for Sampleと連携するためには<データモデルバージョン>は8.2とする必要があります。(ホストBのPFM - Agent for Sampleは最大のデータモデルバージョンが8.2なので,データモデルバージョン3.0や8.0を指定しての連携はできません)。
注※2
レコードIDについては,各PFM - AgentまたはPFM - RMのマニュアルを参照してください。
注※3
- Field
-
JP1/ITSLMと連携する監視項目として定義できるフィールドは数値型のフィールドだけです。
- Key Field
-
フィルタリングするためのキーフィールドとして定義できるフィールドは文字列として完全一致の比較ができるフィールドだけです。
フィールドのデータ型ごとに監視項目,キーフィールドとして指定できるかどうかを「表13-5 データ型による指定可否(FieldおよびKey Field)」に示します。
注※4
ファイルを記述している文字コードと異なるコードを指定した場合,JP1/ITSLMでの表示に文字化けが発生することや実際にはエラーの無い項目がエラーとなることがあります。また,エラーメッセージで,エラーが発生した個所を示す行番号がエディターなどで表示される行番号とずれることがあります。
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データ型 |
サイズ |
JP1/ITSLM 連携可否 |
備考 |
||
|---|---|---|---|---|---|
|
フィールド |
CおよびC++ |
Field |
Key Field |
||
|
char |
char |
1 |
○ |
○ |
− |
|
char(n)※ |
char[ ] |
n |
× |
○ |
数値型ではないので監視項目としては設定できません。 |
|
double |
double |
8 |
○ |
× |
浮動小数は完全一致のキーとして設定できません。 |
|
float |
float |
4 |
○ |
× |
浮動小数は完全一致のキーとして設定できません。 |
|
long |
long |
4 |
○ |
○ |
− |
|
short |
short |
2 |
○ |
○ |
− |
|
string |
char |
1 |
○ |
○ |
数値型を意図した型ではありませんが,長さ1では数値型と同等に使用できます。 |
|
string(n)※ |
char[ ] |
n |
× |
○ |
数値型ではないので監視項目としては設定できません。 |
|
time_t |
unsigned long |
4 |
○ |
× |
経過ミリ秒は完全一致のキーとして設定できません。 |
|
ulong |
unsigned long |
4 |
○ |
○ |
− |
|
utime |
utime(構造体) |
8 |
× |
× |
構造体であるため,監視項目,キーフィールドどちらとしても設定できません。 |
|
word |
unsigned short |
2 |
○ |
○ |
− |
|
(該当なし) |
unsigned char |
1 |
○ |
○ |
− |
- (凡例)
-
○:指定できます
×:指定できません
−:該当なし
注※ n≧2とします。