付録C.6 PFM - Managerに接続するPFM - AgentおよびPFM - RMが多い場合の見積もりと設定
(1) PFM - AgentおよびPFM - RMの接続数の上限を増やす方法
PFM - Managerに接続するPFM - AgentまたはPFM - RMの数が多くなり,接続数の上限を超えると,PFM - AgentまたはPFM - RMとの間で接続待ちや再接続が頻発します。その結果,PFM - Managerの負荷が急激に高くなり,次の現象が発生してPFM - Managerへ長時間接続できなくなる場合があります。
-
PFM - Web Consoleの操作がタイムアウトする
-
PFM - AgentまたはPFM - RMの起動時に,スタンドアロンモードから通常の起動モードへ長時間移行しない
この現象が発生する場合は,PFM - Managerで次の手順を実施してください。
-
PFM - Managerとの通信が発生しない時間の最大値を次の手順で見積もる。
(1) PFM - Managerに接続するPFM - AgentおよびPFM - RMごとに,レコードの収集間隔(単位:秒)の最小値を求めます。
(2) (1)で求めた収集間隔のうち,最大の収集間隔(単位:秒)を求めます。
(3) 「(2)で求めた収集間隔+60」と360を比較し,大きいほうの値がPFM - Managerとの通信が発生しない時間(単位:秒)の最大値となります。
-
jpccomm.iniファイルの[Name Server Section],[Master Manager Section],[Correlator Section]セクションの,「NS Connection Timeout」および「NS Maximum Connections」ラベルを編集する。
jpccomm.iniファイルの格納先は次のとおりです。環境ディレクトリは,jpcconf ha setupコマンド実行時に指定したディレクトリを指します。
OS
jpccomm.iniファイルの格納先
Windowsの場合
-
PFM - Managerが物理ホスト環境の場合
インストール先フォルダ\jpccomm.ini
-
PFM - Managerが論理ホスト環境の場合
環境ディレクトリ\jp1pc\jpccomm.ini
UNIXの場合
-
PFM - Managerが物理ホスト環境の場合
/opt/jp1pc/jpccomm.ini
-
PFM - Managerが論理ホスト環境の場合
環境ディレクトリ/jp1pc/jpccomm.ini
jpccomm.iniファイルの編集個所は次のとおりです。
[変更前]
NS Connection Timeout=70 : NS Maximum Connections=100
[変更後]
NS Connection Timeout=手順1で算出したPFM - Managerとの通信が発生しない時間の最大値 : NS Maximum Connections=1500
-
-
PFM - Managerを再起動する。
設定後も同じ現象が発生する場合は,「付録C.6(2) レコード収集間隔によって再接続処理が多発する場合」を参照して,レコード収集期間を変更してください。
- 参考
-
PFM - Manager 09-00以降を新規にインストールした環境では,「NS Maximum Connections」の初期値は1500に設定されています。
(a) PFM - Managerとの通信が発生しない時間の見積もり例
この例では,次の条件を基に説明します。
-
PFM - Agent for OracleのインスタンスAの収集するレコード
レコードaの収集間隔:180秒
レコードbの収集間隔:300秒
-
PFM - Agent for Microsoft SQL ServerのインスタンスBの収集するレコード
レコードaの収集間隔:360秒
レコードbの収集間隔:3,600秒
この場合の,PFM - Managerとの通信が発生しない時間の最大値の算出方法を次に示します。
-
PFM - Agentのインスタンスごとに,収集間隔の最小値を求める。
インスタンスAの収集間隔の最小値:180秒
インスタンスBの収集間隔の最小値:360秒
-
手順1で求めたインスタンスごとの収集間隔の最小値のうちの,最大値を求める。
180秒(インスタンスA) < 360秒(インスタンスB)
この結果,インスタンスBの360秒が最大値と判断できます。
-
「手順2で求めた最大値+60」と360とを比較する。
360+60(=420) > 360
大きいほうの値がPFM - Managerとの通信が発生しない時間の最大値となるため,この場合のPFM - Managerとの通信が発生しない時間の最大値は420秒となります。
(2) レコード収集間隔によって再接続処理が多発する場合
同一装置内のPFM - ManagerまたはPFM - Baseが09-00以前の場合,PFM - Agentでは収集されている全レコードの収集間隔の最小値が60秒以上,PFM - RMでは収集されている全レコードの収集間隔の最小値が300秒以上に設定されていると,収集するたびにPFM - Managerへの再接続処理が実行されます。
このように設定されているPFM - AgentまたはPFM - RMが多いと,PFM - Managerへの再接続処理が集中し,PFM - AgentまたはPFM - RMからPFM - Managerへのイベント送信に失敗するなど,通信処理が失敗することがあります。
このような現象が発生する場合は,収集間隔の最小値を60秒より大きい値に設定しているPFM - Agentのホスト,または収集間隔の最小値を300秒より大きい値に設定しているPFM - RMのホストで次のように設定することで,PFM - Managerへの負荷を軽減できます。
-
PFM - AgentホストまたはPFM - RMホストの収集間隔の最小値を求める。
(a) PFM - AgentまたはPFM - RMが収集しているレコードまたはアラーム評価に使用しているレコードに対して設定されている収集間隔の最小値(単位:秒)をPFM - AgentまたはPFM - RMのインスタンスごとに求める。
(b) 同じPFM - Agent製品またはPFM - RM製品のインスタンスが複数ある場合は,(a)で求めた最小値をインスタンス間で比較し,最大値を求める(同じPFM - Agent製品またはPFM - RM製品のインスタンス数が1つの場合は,(a)で求めた値を使用します)。
-
jpccomm.iniファイルの[Agent Collector x Section]の「NS Cache Maintenance Time」ラベルを編集する。
[Agent Collector x Section]の「x」には,PFM - AgentまたはPFM - RMごとに固有のプロダクトIDが入ります。PFM - AgentまたはPFM - RMのプロダクトIDは,各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルの付録に記載されている識別子一覧を参照してください。
jpccomm.iniファイルの格納先は次のとおりです。環境ディレクトリは,jpcconf ha setupコマンド実行時に指定したディレクトリを指します。
OS
jpccomm.iniファイルの格納先
Windowsの場合
-
PFM - AgentまたはPFM - RMが物理ホスト環境の場合
インストール先フォルダ\jpccomm.ini
-
PFM - Agentが論理ホスト環境の場合
環境ディレクトリ\jp1pc\jpccomm.ini
UNIXの場合
-
PFM - AgentまたはPFM - RMが物理ホスト環境の場合
/opt/jp1pc/jpccomm.ini
-
PFM - Agentが論理ホスト環境の場合
環境ディレクトリ/jp1pc/jpccomm.ini
jpccomm.iniファイルの編集個所は次のとおりです。
[変更前]
NS Cache Maintenance Time=70
[変更後]
NS Cache Maintenance Time=手順1で算出した収集間隔の最小値 + 10
-
-
PFM - Agentを再起動する。
(a) 収集間隔の見積もり例
この例では,次の条件を基に説明します。
-
ホスト1(PFM - Agent for Oracle)のインスタンスAのレコード収集間隔
レコードa:180秒
レコードb:300秒
-
ホスト1(PFM - Agent for Oracle)のインスタンスBのレコード収集間隔
レコードa:300秒
レコードc:600秒
-
ホスト2(PFM - Agent for Microsoft SQL Server)のインスタンスCのレコード収集間隔
レコードa:60秒
レコードb:600秒
この場合の,ホスト1とホスト2での見積もりと修正方法を次に示します。
- ホスト1の場合
-
-
ホスト1上のPFM - Agent for Oracleで,インスタンスごとに収集するレコードの収集間隔の最小値を求める。
インスタンスA:180秒
インスタンスB:300秒
-
インスタンスが複数あるため,レコードの収集間隔を比較して最大値を求める。
180秒(インスタンスA) < 300秒(インスタンスB)
この結果,インスタンスBの300秒がPFM - Agent for Oracleの最大値と判断できます。
-
2で求めた最大値に10を加算する。
300 + 10 = 310秒
-
jpccomm.iniファイルの[Agent Collector O Section]セクションの設定値を次のように変更する。
NS Cache Maintenance Time=310
-
- ホスト2の場合
-
ホスト2上のPFM - Agent for Microsoft SQL Serverでは,収集するレコードの収集間隔の最小値は60秒となります。そのため,jpccomm.iniファイルの[Agent Collector Q Section]セクションは,変更の必要はありません。