5.3.1 ネットワーク構成の設定および変更手順
セットアップするときまたはネットワーク構成を変更したときの,Performance Managementの設定を変更する手順を説明します。
なお,コマンドについては,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。また,PFM - ManagerとPFM - Web Console間,またはPFM - ManagerとPFM - AgentまたはPFM - RM間のファイアウォールを通過させるための設定および注意事項については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,付録に記載されているポート番号一覧を参照してください。
(1) PFM - Managerホスト,およびPFM - AgentまたはPFM - RMホストでの作業手順
(a) IPv6通信を設定する
Performance ManagementでIPv4通信だけでなく,IPv6通信を利用する場合に設定します。
ただし,PFM - ManagerとPFM - Web Console間はIPv4通信だけに対応しています。
IPv6通信を利用する場合は,IPv6通信を利用するPFM - Agent,PFM - RM,およびPFM - Managerでjpcconf ipv6 enableコマンドを設定する必要があります。
クラスタシステムの場合は,実行系および待機系のそれぞれで設定する必要があります。
一度コマンドを実行すると,次からは優先的にIPv6通信が利用されます。
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IPv6通信を利用するPFM - Agent,PFM - RM,およびPFM - Managerでjpcconf ipv6 enableコマンドを実行する。
コマンドを実行する順番に制限はありません。
jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
(b) IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合は,IPアドレスを設定します。
IPアドレスを設定したい場合は,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
- 注意
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jpchostsファイルを設定した場合,jpchostsファイルに定義したホスト名については,hostsファイルやDNSの定義を参照しません。したがって,ホスト名から取得されるIPアドレスを,jpchostsファイルに定義しておく必要があります。
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同じホスト名の複数指定はできません。同じホスト名を記載した行が複数ある場合,最初に出現した行の定義だけが使用されます。
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手順を次に示します。
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テキストエディターなどで,jpchostsファイルを開く。
jpchostsファイルは,インストール先フォルダに格納されています。
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jpchostsファイルを編集する。
例えば,ホスト名がhostAでIPアドレスが20.108.41.1であるホストと,ホスト名がhostBでIPアドレスが20.108.41.2と20.108.41.3であるホストのIPアドレスを次のように設定します。
hostA 20.108.41.1 hostB 20.108.41.2, 20.108.41.3
IPアドレスが20.108.41.1であるホストに,エイリアス名aliasAを与える場合,次のように設定します。
aliasA 20.108.41.1
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1つのホストに複数のIPアドレスを設定している場合は,最も左側に記述されているIPv4アドレスとIPv6アドレスが優先されます。
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次の条件に当てはまる場合,IPアドレス設定は無効です。
・ホスト名の長さが33バイト以上の場合
・ホスト名がlocalhostの場合
・IPアドレス(例:172.16.233.12またはACE6:45:75:91::1)をホスト名として使用している場合
・「-」で始まるホスト名の場合
・次の文字または空白を含むホスト名の場合
\ / : , ; * ? “ > < | . =
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IPアドレスはIPv4アドレスの場合,10進ドット表記(例:172.16.233.12)で指定してください。IPv6アドレスの場合,16進コロン表記(例:ACE6:45:75:91::1)で指定してください。
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Windowsなどで“%1”などの形式でIPv6アドレスの末尾に付与されるゾーンIDは指定できません。ゾーンIDを指定した場合は無効なIPv6アドレスとしてそのアドレスを無視します。
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1つのホストに対して指定できるIPアドレスの数は16個です。
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該当ホストのPerformance Managementを停止後,注意2に従い,jpchostsファイルをコピーする。
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停止した該当ホストのPerformance Managementを再起動する。
Performance Managementを再起動すると,設定したjpchostsファイルの情報が有効になります。
- 注意1
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jpchostsファイルでのホスト名解決は,1番目に設定しているIPアドレスが使用できなくなった場合,それ以降2番目のIPアドレスを使用し続けるというものではありません。次回以降の通信でも,まず1番目のIPアドレスから順に通信を試みます。
- 注意2
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- jpchostsへのPFM - Managerホストの設定追加の要否
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PFM - ManagerホストがNIC1枚の場合
PFM - Managerのjpchosts:設定の必要はありません。
PFM - Managerに接続しているPFM - AgentまたはPFM - RMのjpchosts:設定の必要はありません。
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PFM - ManagerホストがNIC2枚以上の場合
PFM - Managerのjpchosts:PFM - Managerで使用したいIPアドレスを指定します。
PFM - Managerに接続しているPFM - AgentまたはPFM - RMのjpchosts:PFM - Managerで使用したいIPアドレスを指定します。
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- jpchostsへのPFM - AgentまたはPFM - RMホストの設定追加の要否
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PFM - AgentまたはPFM - RMホストごとに確認します。
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PFM - AgentまたはPFM - RMホストがNIC1枚の場合
PFM - Managerのjpchosts:設定の必要はありません。
確認対象のPFM - AgentまたはPFM - RMのjpchosts:設定の必要はありません。
そのほかのPFM - AgentまたはPFM - RMのjpchosts:設定の必要はありません。
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PFM - AgentまたはPFM - RMホストがNIC2枚以上の場合
PFM - Managerのjpchosts:PFM - AgentまたはPFM - RMで使用したいIPアドレスを指定します。
確認対象のPFM - AgentまたはPFM - RMのjpchosts:PFM - AgentまたはPFM - RMで使用したいIPアドレスを指定します。
そのほかのPFM - AgentまたはPFM - RMのjpchosts:設定の必要はありません。
注 確認対象のPFM - AgentまたはPFM - RMとほかのPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間でjpctool db backupコマンド,jpctool db clearコマンド,jpctool db dumpコマンド,またはjpctool service listコマンドなどを使用して通信する場合は,確認対象のPFM - AgentまたはPFM - RMの設定を追加する必要があります。
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- 補足
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PFM - Managerホスト,およびPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間で名前解決されていればネットワークの設定について問題はありません。ただし,運用時に混乱のないように,jpchostsファイルの定義を設定対象となるホストで統一することをお勧めします。
■ PFM - ManagerホストとPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間で使用するIPアドレスについて
PFM - ManagerホストとPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間の通信で使用するIPアドレスについて説明します。
• 送信側のサービスが使用するIPアドレス
- PFM - ManagerホストとPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間の通信で使用する送信元のIPアドレス
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Performance Managementでは送信元のIPアドレスを指定せずにconnect関数を実行し,コネクション要求します。この場合,OSの仕様に依存し,接続先に対応したIPアドレスがOSによって割り当てられます。一般に,接続先IPアドレスへパケットを送るときに使われるNICに対応したIPアドレスが割り当てられますが,詳細についてはOSのTCP/IP制御の仕様を確認してください。
- PFM - Managerホスト,およびPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間の通信で使用する送信先のIPアドレス
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PFM - Managerホスト,およびPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間の通信では,以下の順番で送信先のIPアドレスを決定します。
- 送信先がStatus Serverサービス以外の場合
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送信先のサービスが使用しているIPアドレス
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jpchostsファイルに記載したIPアドレス
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hostsファイルまたはDNS
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- 送信先がStatus Serverサービスの場合
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jpchostsファイルに記載したIPアドレス
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hostsファイルまたはDNS
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- 補足
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Status Serverサービス以外のすべてのPerformance Managementのサービスは起動時にPFM - Managerにそれぞれのサービスが使用するIPアドレスを登録しています。
また,Status Serverサービス以外Performance Managementのサービスに対して通信する時にはPFM - Managerに登録されたIPアドレスを使用します。
• 受信側のサービスが使用するIPアドレス
Performance Managementのサービスが接続を受け付けるIPアドレスです。Performance Managementの通信の待ち受け処理では,ホストに割り当てられているすべてのIPアドレス宛てにきたデータを受信できます。複数のLANに接続されたネットワーク環境で,特定のIPアドレスだけを使用したい場合はjpchostsファイルに設定する必要があります。
それぞれのホストに存在するjpchostsファイルに自分自身のホスト名と使用したいIPアドレスを記載します。
- 例えば,ホスト名がhostAでIPアドレスが20.108.41.0と20.108.41.1のホストで,hostAで動作するPerformance Managementのサービスが使用するIPアドレスを20.108.41.1に設定したい場合hostAのjpchostsファイルに次のように設定します。
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hostA 20.108.41.1
または
hostA 20.108.41.1, 20.108.41.0
このように,PFM - Managerホスト,およびPFM - AgentまたはPFM - RMホスト間の通信で使用する送信先IPアドレスを設定したい場合には,送信側だけでなく受信側でもjpchostsファイルの設定が必要です。
次に設定例を示します。
- 各ホストで使用したい送信先IPは次のとおりです。
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PFM - Manager IP:C
PFM - Agent(A) IP:E
PFM - Agent(B) IP:G
- この場合,それぞれのホストのjpchostsファイルに次のように設定します。
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- [PFM - Manager]
PFM - Manager IP:C IP:B PFM - Agent(A) IP:E IP:D PFM - Agent(B) IP:G IP:H
- [PFM - Agent(A)]
PFM - Manager IP:C IP:B PFM - Agent(A) IP:E IP:D PFM - Agent(B) IP:G IP:H
- [PFM - Agent(B)]
PFM - Manager IP:C IP:B PFM - Agent(A) IP:E IP:D PFM - Agent(B) IP:G IP:H
(c) ポート番号を設定する
PFM - ManagerとPFM - Web Console間,またはPFM - ManagerとPFM - AgentまたはPFM - RM間のファイアウォールを通過させたい場合など,Performance Managementシステムで使用するポート番号を固定して運用したい場合は,各サービスに対して固定のポート番号を設定してください。
各サービスに対して固定のポート番号を設定する場合や,一度設定したポート番号を変更する場合は,jpcconf port defineコマンドを使用します。PFM - Web Console側のポート番号は,初期設定ファイル(config.xml)で設定します。PFM - Web Consoleホストでconfig.xmlファイルを変更する手順については,「5.4.7 PFM - Web Consoleの設定の変更手順」を参照してください。
ここでは,jpcconf port defineコマンドの実行手順を対話形式の場合と非対話形式の場合に分けて説明します。jpcconf port defineコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
また,ポート番号の設定の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,ファイアウォールの通過方向について説明している個所を参照してください。
- 補足
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Name Serverサービスに設定するポート番号については,Performance Managementシステム内の全ホストで同じ番号にする必要があります。
また,Status Serverサービスに設定するポート番号についても,Performance Managementシステム内の全ホストで同じ番号にする必要があります。
ほかのPerformance Managementのサービスについても運用での混乱を避けるため,Performance Managementシステム全体でポート番号とサービス名の対応を統一してください。
■ 対話形式で実行する場合
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jpcconf port defineコマンドを実行する。
例えば,すべてのサービスに対してポート番号を固定値に設定する場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf port define -key all
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個々のサービスに対してポート番号を設定する。
jpcconf port defineコマンドを実行すると,現在設定されているポート番号またはデフォルトのポート番号が表示されます。
例えば,Name Serverサービスに対する,現在のポート番号が22285の場合,次のように表示されます。
Component[Name Server] ServiceID[PN1001] Port[22285] :
ポート番号をどのように設定したいかによって,操作が異なります。設定内容と操作を次の表に示します。システム内でポート番号が重複しないかぎり,jpcconf port defineコマンドで表示されるポート番号をそのまま使用してください。
設定内容
操作
表示されている番号を,サービス固定のポート番号としてそのまま使用する場合
リターンキーを押す。
ポート番号を,表示されている番号から変更する場合
1024〜65535の範囲内でポート番号を入力する。
ただし,現在システムで使用されているポート番号は指定できない。
ポート番号を固定しない場合
「0」を入力する。
ただし,次のサービスは,ポート番号を固定しないように設定することはできない。「0」を入力した場合は,デフォルト値が設定される。
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Name Serverサービス
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View Serverサービス(PFM - Web ConsoleとView Serverサービス間)
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NNM Object Managerサービス
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Status Serverサービス
注意
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ポート番号設定時に,Performance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合,サービスを停止してからjpcconf port defineコマンドを実行してください。ポート番号の設定が終わったあと,手動でサービスを起動してください。
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jpcconf port defineコマンドの実行中に,Ctrl+Cキーで中断すると,ポート番号は正しく設定されません。jpcconf port defineコマンドを再実行して,ポート番号を設定し直してください。
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再度,jpcconf port listコマンドを実行して,ポート番号が正しく設定されたかどうかを確認する。
例えば,すべてのサービスのポート番号を表示する場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf port list -key all
Services欄またはPort欄に<error>と表示された場合は,正しく設定されていません。ポート番号を設定し直してください。エラーとなった場合,次の要因が考えられます。
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ポート番号がservicesファイルに登録されていない。
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servicesファイルに同じポート番号が重複して登録されている。
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■ 非対話形式で実行する場合
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jpcconf port defineコマンドで,定義ファイルのテンプレートを作成する。
例えば,すべてのサービスに対してポート番号を固定値に設定する場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf port define -key all -template 定義ファイル名
対象となるすべてのサービスのラベルおよび値が記載された定義ファイルが出力されます。ラベルの値は,すでにポート番号が設定されているサービスの場合は設定済みのポート番号になり,ポート番号が設定されていないサービスの場合は0になります。
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手順1で作成した定義ファイルのテンプレートを編集する。
設定したいポート番号に合わせてテンプレートの設定値を編集します。
定義ファイルの記述形式については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
定義ファイルの記述例を次に示します。
[Common Definitions] Definition File Version=0001 [Common] Name Server=22285 Status Server=22350 OpenView=22292 [Manager] Master Manager=auto Master Store=auto Correlator=auto : [Windows] Collector=0 Store=0 : [Oracle] [[oracle1]] Collector=0 Store=0
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jpcconf port defineコマンドで,編集した定義ファイルを読み込ませる。
次のようにコマンドを実行します。-inputオプションには,手順2で編集した定義ファイルを指定します。
jpcconf port define -key all -input 定義ファイル名 -noquery
(d) PFM - Web ConsoleおよびJP1/ITSLMとの通信に使用するホスト名またはIPアドレスを設定する
PFM - ManagerとPFM - Web Consoleとの間は,TCP/IPを用いて通信します。これは,PFM - ManagerとPFM - Web Consoleが別ホストに存在する場合だけではなく,同一ホスト上に存在する場合も同様です。このため,Performance Managementを運用する場合は,PFM - ManagerホストとPFM - Web Consoleホストの双方で常に通信可能なホスト名またはIPアドレスを設定する必要があります※。設定を実施していない場合,PFM - Managerホスト名またはPFM - Web Consoleホスト名から,最初に解決されるIPアドレスが使用されます。
また,Performance ManagementとJP1/ITSLMを連携して運用する場合も同様に,PFM - ManagerホストとJP1/ITSLMホストの双方で常に通信可能なホスト名またはIPアドレスを設定する必要があります。設定を実施していない場合,PFM - Managerホスト名またはJP1/ITSLMホスト名から,最初に解決されるIPアドレスが使用されます。
- 注※
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PFM - Managerに接続するPFM - Web Consoleが複数ある場合は,すべてのPFM - Web Consoleホストから通信できるホスト名またはIPアドレスを指定する必要があります。
例えば,次のような構成や運用を取る場合は,PFM - ManagerホストとPFM - Web Consoleホストの双方,またはPFM - ManagerホストとJP1/ITSLMホストの双方で常に通信可能なホスト名またはIPアドレスを設定する必要があります。
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PFM - ManagerホストとPFM - Web Consoleホストの間,またはPFM - ManagerホストとJP1/ITSLMホストの間でIPアドレス変換(NAT)を使用している場合
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PFM - Managerホストが業務用LANおよび監視用LANの2つのネットワークに接続され,Performance Managementは監視用LANでホスト間通信を実行する場合
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ホストのメンテナンス作業の際に,一時的にNICからLANケーブルを抜く場合(この際,NICに割り当てられたIPアドレスが無効になることがあるため)
ホスト名またはIPアドレスの設定の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,PFM - ManagerとPFM - Web ConsoleおよびJP1/ITSLMの通信で使用するホスト名の設定について説明している個所を参照してください。
(2) PFM - Web Consoleホストでの作業手順
PFM - Web Consoleホストでネットワークの設定および変更を実施するには,初期設定ファイル(config.xml)を編集します。
config.xmlファイルを編集する手順については,「5.4.7 PFM - Web Consoleの設定の変更手順」を参照してください。