付録A.1 DABrokerの起動中に使用できるユティリティ

DABrokerの起動中には,次の三つのユティリティおよび一つのビューアを使って情報を取得したり,EURの処理を制御したりできます。これ以外のユティリティやビューアはEURでは使用しないため説明は省略します。

DABroker管理ユティリティ
DABrokerの動作状態を表示したり,特定のEURの処理を中断したりできます。
DABrokerトレース出力ユティリティ
通信トレース,およびアクセストレースを出力できます。このユティリティは,DABrokerが起動していなくても使用できます。
拡張データベースアクセストレースユティリティ
拡張データベースアクセストレースを出力できます。
DABrokerメッセージログビューア
DABrokerのログファイルの出力内容を参照できます。
<この項の構成>
(1) DABroker管理ユティリティ
(2) DABrokerトレース出力ユティリティ
(3) 拡張データベースアクセストレースユーティリティ
(4) DABrokerメッセージログビューア

(1) DABroker管理ユティリティ

DABroker管理ユティリティの機能,操作できるユーザ,各機能を使用する場合の操作手順について説明します。

(a) 機能

DABroker管理ユティリティには次の二つの機能があります。

DABrokerの動作状態の表示
各EURとの接続時間の状態を表示します。
EURの処理の中断
指定したEURとの接続を解放し,実行中の処理を中断します。この場合,DABrokerはリレーショナルデータベースに要求した処理のロールバックを要求します。
(b) 操作できるユーザ

すべてのユーザが管理ユティリティを実行できます。ただし,特定のクライアントの処理を中断できるのは,Windowsの管理者グループまたはAdministratorsグループに属するユーザだけです。

(c) DABrokerの動作状態を表示する操作手順

DABrokerの動作状態を表示する手順を次に示します。

  1. DABrokerが起動していることを確認する
  2. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[DABroker管理]を選択する
    DABroker管理ユティリティが起動し,[DABroker管理]に動作状態が表示されます。[図データ]をクリックすると,最新の動作状態に表示が更新されます。

    図A-1 [DABroker管理]ダイアログ

    [図データ]

    [DABroker管理]ダイアログに表示される項目の意味は次のとおりです。
    識別子
    DABrokerに接続されているクライアント処理を識別するための番号です。
    IPアドレス
    接続しているEURがあるマシンのIPアドレス
    接続時刻
    EURと接続した日時(年/月/日 時:分:秒)
    接続時間
    接続してからの経過時間(時:分:秒)
    予約
    実行中の予約処理数(EURでは使用しません)
    状態
    EURとの接続状態
    「接続中」と表示されている場合は,EURとのコネクションが確立されていることを示します。
    ホスト名
    接続しているEURがあるマシンのホスト名
    次の条件をすべて満たしている場合に表示されます。
    ・[リモートアクセス設定]タブで「IPアドレスからホスト名へ変換する」をチェックしている場合
    ・次のフォルダのhostsファイルに各クライアントのホスト名を登録している場合
    [Windowsをインストールしたフォルダ]¥SYSTEM32¥DRIVERS¥ETC
    なお,ホスト名の長さによっては,途中までしか表示されない場合があります。
  3. DABrokerの動作状態の確認が済んだら,[DABroker管理]ダイアログを閉じ,DABroker管理ユティリティを終了させる
(d) EURの処理を中断する操作手順

特定のEURの処理を中断する手順を次に示します。

  1. DABrokerが起動していることを確認する
  2. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[DABroker管理]を選択する
    DABroker管理ユティリティが起動し,[DABroker管理]ダイアログに動作状態が表示されます。
  3. [DABroker管理]ダイアログで処理を中断するEURを選択し,[図データ]をクリックする
    確認のダイアログが表示されます。
  4. [はい]を選択する
    DABrokerは選択したクライアントとのコネクションを解放します。同時にリレーショナルデータベースに処理のロールバックを要求します。

(2) DABrokerトレース出力ユティリティ

DABrokerトレース出力ユティリティの機能,操作できるユーザ,各機能を使用する場合の操作手順について説明します。

(a) 機能

DABrokerトレース出力ユティリティでは,次の2種類のトレースを出力できます。

通信トレース
通信トレースとは,DABrokerとEUR間のデータの送受信についての情報です。DABrokerがこの情報を取得するのは,クライアントからの要求受け付け直後,およびDABrokerからの結果送信直後です。通信トレースは,「DABroker運用ディレクトリ¥spool¥dabcltrc」の下に出力されます。
アクセストレース
アクセストレースとは,DABrokerがリレーショナルデータベースに要求した処理,およびその処理に対するリレーショナルデータベースからの応答についての情報です。DABrokerがこの情報を出力するのは,リレーショナルデータベースに要求を出す直前およびリレーショナルデータベースから応答が返ってきた直後です。リレーショナルデータベースとのアクセストレースは,「DABroker運用ディレクトリ」¥spool¥db_accessの下に出力されます。
(b) 操作できるユーザ

すべてのユーザがDABrokerトレース出力ユティリティを実行できます。

(c) トレースを出力する操作手順

通信トレース,およびリレーショナルデータベースとのアクセストレースを出力する操作手順を次に示します。

  1. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[トレース出力]を選択する
    DABrokerトレース出力ユティリティが起動し,[DABrokerトレース出力]ダイアログが表示されます。

    図A-2 [DABrokerトレース出力]ダイアログ

    [図データ]

    • 通信トレースを出力する場合の操作
      1.[通信トレースを出力する]チェックボックスをチェックする
      2.[IPアドレスまたはホスト名]を設定する
      すべての通信トレースを出力する場合は,[IPアドレスまたはホスト名]に何も指定しないでください。特定のIPアドレスまたはホスト名の通信トレースを出力する場合,[IPアドレスまたはホスト名]に,通信トレースを出力するIPアドレスまたはホスト名を指定してください。
      3.通信トレースの出力先を指定する
      [出力先]ボタンをクリックすると,出力先を指定するダイアログが表示されます。出力先のファイル名を指定してください。省略した場合は,[DABroker運用ディレクトリ]¥spool¥DABTT.TXTに出力されます。
    • アクセストレースを出力する場合の操作
      1.[アクセストレースを出力する]チェックボックスをチェックする
      2.[UAP名],[ユーザID]を設定する
      すべてのアクセストレースを出力する場合は,[UAP名],[ユーザID]に何も指定しないでください。
      特定のリレーショナルデータベースへログインするユーザIDのアクセストレースを出力する場合は,[ユーザID]にリレーショナルデータベースへログインするためのユーザIDを指定してください。
      [UAP名]は使用しません。
      3.アクセストレースの出力先を指定する
      [出力先]ボタンをクリックすると,出力先を指定するダイアログが表示されます。出力先のファイル名を指定してください。省略した場合は,[DABroker運用ディレクトリ]¥spool¥DABDT.TXTに出力されます。
  2. 「通信トレースを出力する場合の操作」,「アクセストレースを出力する場合の操作」が済んだら,[実行]ボタンを選択する
    指定した出力先が登録されます。
    なお,「通信トレースを出力する場合の操作」および「アクセストレースを出力する場合の操作」の両方をすると,2種類のトレースが出力できます。
(d) トレース出力内容

通信トレースおよびアクセストレースの出力例と,出力される項目の意味について説明します。

(3) 拡張データベースアクセストレースユーティリティ

拡張データベースアクセストレースは,次のような場合に有効です。

ここでは,拡張データベースアクセストレースユティリティの機能,拡張データベースアクセストレースの取得方法,ファイル出力形式,ファイル名称および注意事項について説明します。

(a) 機能

拡張データベースアクセストレースでは,従来のDABrokerのアクセストレースに比べて,次の機能が拡張されています。

(b) 拡張データベースアクセストレースの取得方法

拡張データベースアクセストレースの取得は,DABroker動作環境定義ファイルで設定します。DABroker動作環境定義ファイルでの設定方法については,マニュアル「DABroker」を参照してください。

(c) ファイル出力形式

拡張データベースアクセストレースのファイル出力形式を次に示します。

ヘッダ情報

*-------------------------------------------------------*
*- DataBase Access Information (DRV)                   -*
*- Date  YYYY/MM/DD hh:mm:ss.nnnnnn                    -*
*-------------------------------------------------------*
DABroker Connect ID    : AAAAA(BBBBB)
Process ID             : CCCCC
UserID                 : DDDDD
Client Name            : EEEEE
(DB別出力情報)
Lang Mode              : GGGGG

個々のトレース情報

THREAD-ID  CID   EVT   START-TIME   END-TIME   RETCODE
BLOCKCNT   (SQL)

それぞれの出力項目について,次に説明します。

DRV
DABrokerのアクセスドライバの種別に従い,次の識別子が出力されます。

表A-4 アクセスドライバの種別と識別子

アクセスドライバの種別識別子
HiRDBHiRDB Driver
OracleORACLE7 Driver
Microsoft SQL ServerODBC30
Date
ファイル作成日時
YYYY/MM/DD hh:mm:ss.nnnnnnの形式で出力されます。
  • YYYY:西暦年
  • MM:月
  • DD:日
  • hh:時
  • mm:分
  • ss:秒
  • nnnnnn:マイクロ秒
DABroker Connect ID
データベース接続識別子が出力されます。
Process ID
実行プロセスIDが出力されます。
UserID
接続ユーザIDが出力されます。
Client Name
UAP名称が出力されます。
帳票定義:「DBPODBC」+「IPアドレス」
帳票出力:「DBPARTNER2 Runtime」+「実行プロセスID」
(DB別出力情報)
接続データベースによって異なる情報が出力されます。出力内容について次の表に示します。

表A-5 接続データベースごとのトレース出力内容

接続データベース出力内容説明
HiRDBPDHOST:HiRDB接続時のPDHOSTの設定内容です。未設定の場合は,"Not Indicator"が出力されます。
PDNAMEPORT:HiRDB接続時のPDNAMEPORTの設定内容です。未設定の場合は,"Not Indicator"が出力されます。
OracleSQLNET:Oracleサービス(リスナー)名が出力されます。未設定の場合は,"Not Indicator"が出力されます。
Microsoft SQL ServerODBC Dara Sourcs:ODBC設定のデータソース名が出力されます。未設定の場合は,"Not Indicator"が出力されます。
ODBC Key Word:ODBC設定の接続情報が出力されます。未設定の場合は,"Not Indicator"が出力されます。
Lang Mode
実行言語モードが出力されます。
THREAD-ID
実行スレッドIDが出力されます。
CID
カーソル番号が出力されます。
EVT
DABrokerがデータベースに要求した処理の内容です。内容の種類は任意に選択できます。拡張データベースアクセストレースで表示の種類を変更すると,従来のアクセストレース表示の種類も変更されます。
すべての表示をOFFにした場合はヘッダだけが出力されます。
従来のアクセストレースにはないEVTの表示とその処理内容を次に示します。表示を一つでもONにした場合,GET_DIAGの表示を抑止できません。

表A-6 EVTの表示と処理の内容(拡張データベースアクセストレースユティリティ)

EVTの表示処理内容
DESC_OUT前処理したSQLの出力情報を返します。
DESC_IN前処理したSQLの入力情報を返します。
GET_DIAGエラー詳細情報の取得処理を実行します。
BINDパラメタのバインド要求を実行します。
DEFINEパラメタの定義要求を実行します。
DESALLOC記述子の領域確保を実行します。
DESFREE記述子の領域解放を実行します。
ERRGETエラー情報取得要求を実行します。
HDLALLOCハンドルの領域確保を実行します。
HEDLFREEハンドルの領域解放を実行します。
その他省略
START-TIME
アクセス開始日時
YYYY/MM/DD hh:mm:ss.nnnnnnの形式で出力されます。
  • YYYY:西暦年
  • MM:月
  • DD:日
  • hh:時
  • mm:分
  • ss:秒
  • nnnnnn:マイクロ秒
END-TIME
アクセス終了日時
YYYY/MM/DD hh:mm:ss.nnnnnnの形式で出力されます。
  • YYYY:西暦年
  • MM:月
  • DD:日
  • hh:時
  • mm:分
  • ss:秒
  • nnnnnn:マイクロ秒
RETCODE
データベースから返されるリターンコードが出力されます。
BLOCKCNT
FETCH時の行取得件数が出力されます。
(SQL)
クライアントから要求のあったSQLの内容が出力されます。この項目は,必要に応じて出力されます。
(d) ファイル名称

拡張データベースアクセストレースのファイルは,次のディレクトリに作成されます。

DABroker運用ディレクトリ¥spool¥db_access

拡張データベースアクセストレースのファイル名称は,次の規則に従います。

spdb_XXXXXXXX_YYYYYYYY_****ZZZZZ.IIIIII

注※1
同じプロセスIDで,かつ同じデータベース接続識別子のファイルがある場合に,00000から32767までの番号を付けます。
注※2
接続データベースの名称とその識別子を次に示します。

表A-7 接続データベース名称と識別子

接続データベース名称識別子
HiRDBHiRDB Driver
OracleORACLE7 Driver
Microsoft SQL ServerODBC30
注意
拡張データベースアクセストレースのファイルを運用する際には,次の点に注意してください。
  • 拡張データベースアクセストレースは,出力した行数がDABroker動作環境定義ファイルでの設定行数を超えると,現在のトレースファイルがバックアップファイルとして別名で保存されます。トレース内容は,トレースファイルの先頭から再び出力されます。
  • バックアップファイルは1世代前までしか残しません。このため,現在のトレースファイルが設定した行数を超えると,既存のバックアップファイルは上書きされます。既存のバックアップファイルを保存する必要がある場合は,上書きされる前に別のディレクトリに退避してください。
  • トレースファイルは実行しているコネクションの数だけ作成されます。
  • トレースファイルは自動的に削除されません。ユーザが不要になった時点で削除してください。
  • ハードディスクの空き容量が不十分な場合,トレースの出力が停止されることがあります。

(4) DABrokerメッセージログビューア

DABrokerメッセージログビューアの機能,操作できるユーザ,DABrokerのログを表示する操作手順について説明します。

(a) 機能

DABrokerのログファイルの出力内容を参照できます。

(b) 操作できるユーザ

すべてのユーザがDABrokerトレース出力ユティリティを実行できます。

(c) DABrokerのログを表示する操作手順

DABrokerのログを表示する操作手順を次に示します。

  1. プログラムフォルダに登録された[DABroker]から[メッセージログビューア]を選択する
    DABrokerメッセージログビューアが起動します。[図データ]をクリックすると,最新のログに表示が更新されます。

    図A-3 DABrokerメッセージログビューア

    [図データ]