印刷実行時に印刷性能または描画結果の問題が発生した場合の対処方法を,現象別に次の表に示します。該当する現象と推定原因から,対処方法に従って対応してください。
なお,次の表に示す対処方法は,ユーザの責任で行ってください。
表10-5 印刷実行での問題と対処方法
現象 | 推定原因 | 対処方法 |
---|---|---|
同等レベルのCPU で動作が遅いものがある。 | 実メモリが少ない。 | メモリを増設する。 |
スワップファイルがあるドライブとXMAP3などのあるドライブが同一ドライブになっている。 | 物理的に別のドライブがある場合(1台のハードディスクを二つのドライブに分けたものではなく,ハードディスク自体が複数台ある場合),実行ファイルのあるドライブではないドライブにスワップファイルを設定すると,動作が速くなることがある。 | |
ディスクアクセスが16ビットになっている(Windows 95, Windows 98,Windows Meの場合)。 | 何らかの理由でディスクアクセスが32ビットアクセスではなく,16ビットアクセスになっている。「コントロールパネル」の「システム」を参照して原因を取り除く。通常はWindows 95,Windows 98,Windows Meに対応していない古いドライバを使用していることや,ハードウェアに適さないドライバを使用していることが原因となっている。 | |
ディスク圧縮ソフトを使用している。 | XMAP3のファイルやマップなどを圧縮されていないドライブに置く。 | |
ほかのソフトが同時に動作している。 | 不要なソフトは起動しないようにする。 | |
| 業務に影響しないAPはできるだけ起動しないようにする。 | |
サーバ側でスクリーンセーバが起動している。 | C/Sシステム構成の場合,サーバOS上でスクリーンセーバが起動していると処理速度が遅くなるため,コントロールパネルでスクリーンセーバを「なし」にする。 | |
プリンタの印刷開始が遅い。 | スプールへの書き込みタイミングがAP終了時である。 | 印刷・表示環境セットアップでスプールへの書き出し単位を「1ページ毎」に変更する。または,APにDISABLE文を書く。ただし,DISABLE文を書くと次回はオープンから始まるので処理が遅くなる。 |
印刷が遅い。 | デバッグ用にログを出力するように指定していた。 | ログを出力しないように,設定し直す。ログ出力の設定については,マニュアル「XMAP3 開発・実行ガイド」を参照のこと。 |
スプールに入っているデータ量が多い。 | GDIをPDLスルーにする。 | |
グラフィック領域が大きいため,印刷データ量が大きい。 | 定義領域をできるだけ小さくする。 | |
クローズの終了が遅い。 | スプールへの書き込みタイミングがAP終了時であり,かつPDFファイルへ大量に印刷している。 | スプールへの書き込みタイミングを1ページごとにする。または,一つのPDFファイルに格納する帳票の数を分割するなどして減らす。帳票オブジェクトに出力/固定グラフィックがある場合,それらを減らす。 |
エラー詳細情報として「KBTQ523-E書式機能がオープ ンされていません」が日立COBOLのコンソール上に表示される。 | 書式イメージファイル(.fmp)か行制御データファイル(.pci)が見つからない。 | 書式イメージファイルと行制御データファイルは同じフォルダに格納する。 |
書式イメージファイル(.fmp)か行制御データファイル(.pci)が上位のバージョンで作成されている。 | ファイルの作成バージョンと同じバージョンのXMAP3をインストールする。 | |
書式が印刷されない。 | COBOL2002の場合コンパイルオプション「-XMAP,LinePrint」が,COBOL85の場合コンパイルオプション「-Ks」が指定されていない。 | コンパイルオプション「-XMAP,LinePrint」または「-Ks」を指定し,再コンパイルする。 |
表示・印刷セットアップが正しくない。特に,プリンタデバイス名と印刷サービス名称の誤りが考えられる。
| プリンタデバイス名「#PRT」と印刷サービス名「#PRT」を作成し,そのプリンタの種類をページプリンタにする。 | |
行データとして1部,スペースが印刷される。 | (00)16~(1F)16のデータを行データとしてAPが出力しようとした。 | ユーザデータを見直す。 |
行データの末端が印刷されない。 | 書式オーバレイ定義で指定した用紙サイズを超える行データをAPから指定した。 | APで指定する行データを,書式オーバレイ定義で指定した用紙サイズ以内にする。 |
期待どおりの印刷結果が得られない。 | カラー文字や網掛けを含む帳票をGDIモードで印刷する場合に使用する,プリンタのプリンタドライバの仕様。 | カラー文字や網掛けを含む帳票を印刷する場合には,テスト印刷で運用上問題がないことを確認して使用する。なお,詳細は,マニュアル「XMAP3 開発・実行ガイド」を参照のこと。 |
ビットマップイメージが壊れて印刷される。 | 定義領域に対して,著しく小さいビットマップを領域に合わせて印刷している。 | 印刷領域に合わせたビットマップデータを作成する。 |
先頭文字が重ね印字される。 | 印刷モードで日立ESC/P(A):用紙吸入量0mmのインサータプリンタを選択している。この場合,日立製インサータプリンタの種類によって,用紙の上端から6.35mm(3/12インチ)以内に定義した描画物は,6.35mm(3/12インチ)より下の行に重ね印字される。 | 用紙の上端から6.35mm(3/12インチ)以内に描画物は定義しないようにする。 |
不正な文字が印字される。 | ハード設定によって,入力バッファが有効になっている。入力バッファが有効になっている場合,プリンタの機種によっては,連続印刷を実行すると文字化けが発生することがある。 | 入力バッファを無効にする。詳細は,プリンタに添付の取扱説明書を参照のこと。 |
印刷モードでGDIモードを選択している。この場合,プリンタドライバのフォント代替機能や,OS標準提供のプリンタドライバの仕様で,不当な文字が印字されることがある。 | フォントを置き換えない設定にする。または,プリンタメーカー提供のプリンタドライバを使用する。 | |
帳票定義で定義した描画物の位置と,印刷時の描画物の位置がずれている。 | ドローでシリアルインパクトプリンタ用に定義した帳票を,ページプリンタの設定をしたプリンタで印刷している。 | 運用前にテスト印刷をして,帳票定義でオブジェクトの位置を調整する。 |
ドローでページプリンタ用に定義した帳票を,シリアルインパクトプリンタの設定をしたプリンタで印刷している。 | ||
文字がカラー印刷されない。 | 出力先プリンタでモノクロプリンタを選択している。 | 出力先プリンタをカラープリンタにする。 |
印刷モードでPDLスルーを選択している。 | PDLスルーをGDIにする。 | |
表示・印刷セットアップの「印刷色」で指定した文字色「黒」のパレットが有効にならない。 | XMAP3 04-01以前で作成したマップ定義ファイルを使用している。 | マップ定義ファイルをドローで開き,パレットを有効にしたいフィールドの色を,レイアウト定義またはダイアログで再設定する。そのあと,マップを保存して使用する。 |
EAN-128バーコードの読み取りに失敗する。 | プリンタのハードスペック,印字用紙品質,インク品質などによって発生したEAN-128バーコード印字時のにじみ,およびバーコードリーダの読み取り性能の問題が考えられる。 | バーコードの印字幅を調整する。詳細は,マニュアル「XMAP3 開発・実行ガイド」を参照のこと。この調整とあわせて,その他印字精度の劣化要因(インク品質など)も対処すること。 |