7.2.5 COBOL開発マネージャを使用したコンパイル実行のポイント

COBOL開発マネージャを使用したコンパイルと実行のポイントについて説明します。

<この項の構成>
(1) COBOL開発マネージャの概要
(2) コンパイル時のポイント
(3) リンケージ時のポイント
(4) 実行時のポイント
(5) XMAP3で使用できる日立COBOL

(1) COBOL開発マネージャの概要

COBOL開発マネージャは,日立COBOLから提供されているCOBOLプログラムの統合的な開発環境です。COBOLでAPを開発するときに必要なCOBOLソースや登録集原文などの資産を依存関係に従って管理し,コンパイルなどの作業を自動化します。

COBOL開発マネージャを使用する場合,次の手順でAPを作成します。

  1. プロジェクトの作成
  2. 資産の登録,定義
  3. ビルド,リビルド

次に,それぞれの手順について説明します。

(a) プロジェクトの作成

COBOL開発マネージャでは,一つの.exeまたは.dllファイルの開発単位を「プロジェクト」と呼んでいます。COBOL開発マネージャを使用してAPを作成する場合,このプロジェクトを定義する必要があります。

(b) 資産の登録,定義

COBOL開発マネージャでは,プロジェクトで作成される実行のファイル(.exe,または.dll)やそれを構成する要素を「資産」と呼んでいます。また,COBOL開発マネージャでは,その依存関係を定義する必要があります。

資産の依存関係を定義すると,COBOL開発マネージャではどのように表されるかを次の図に示します。

図7-6 COBOL2002,COBOL85 Version 7およびVersion 6の場合

[図データ]

図7-7 COBOL85 Version 5.0の場合

[図データ]

(c) ビルド,リビルド

COBOL開発マネージャでは,「7.2.5(1)(b) 資産の登録,定義」で定義した資産の依存関係に基づいてコンパイルとリンケージをします。

その方法として,各資産の依存関係とタイムスタンプ(ファイル作成/修正日時)の前後関係に基づいてコンパイルとリンケージをする「ビルド」があります。例えば,「実行ファイルの作成/修正日時」より実行ファイルが取り込んでいる「COBOLソースの作成/修正日時」の方が新しい場合にコンパイルとリンケージが実行されます。

また,タイムスタンプには関係なくコンパイルとリンケージをする「リビルド」もあります。

(2) コンパイル時のポイント

(a) XMAP3と連携するためのコンパイラオプションを指定する

指定が必要なコンパイラオプションを次に示します。

COBOL2002の場合
COBOL85の場合
(b) AP間でオープンを引き継ぐ

APを分割してコンパイルするときは,コンパイル単位でXMAP3のオープン・クローズ要求が毎回発行されないようにします。日立COBOLでは,日立COBOLの実行支援の環境変数で,「CBLTERMSHAR=YES」を指定して,オープンを各プログラムで引き継ぐようにします。「CBLTERMSHAR=YES」は,SENDインタフェースのときだけ有効です。CALLインタフェースでは無効になります。

なお,使用できる日立COBOLについては,「7.2.5(5) XMAP3で使用できる日立COBOL」を参照してください。

(c) 登録集原文を格納するフォルダを確認

(3) リンケージ時のポイント

(a) XMAP3使用時のリンケージオプションを指定する

インポートライブラリ/ユーザ作成ライブラリに次のファイルを指定します。

COBOL2002,COBOL85 Version 7およびVersion 6の場合
XMAP3インストール先¥Lib¥X3mwdr32.lib
COBOL85 Version 5.0の場合
XMAP3インストール先¥Lib¥V3Compatible¥X3mwdr32.lib
(b) XMAP3のライブラリを設定する

コンパイル環境(CALL文のインタフェースを使用するAPの場合は,リンケージ環境)のPCには,XMAP3の開発環境をインストールしておく必要があります。

(4) 実行時のポイント

APを実行する前に,物理マップを実行可能ファイルと同じフォルダに格納してください。

また,マップパスを指定する方法もあります。マップパスの指定については,マニュアル「XMAP3 開発・実行ガイド」を参照してください。

(5) XMAP3で使用できる日立COBOL

XMAP3で使用できる日立COBOLは,COBOL2002,COBOL85 Version 5.0,Version 6,およびVersion 7です。ただし,使用できる日立COBOLは,OSによって異なります。XMAP3で使用できる日立COBOLを,OSごとに次の表に示します。

表7-9 使用できる日立COBOL

OS名COBOL2002COBOL85
Version 5.0Version 6Version 7
Windows 95××
Windows 98※1
Windows Me×※2
Windows NT 4.0
Windows 2000×※3
Windows XP××
Windows Server 2003※4×××
Windows Server 2003 x64※4×××
(凡例)
○:使用できる。
×:使用できない。
注※1
使用できるバージョンは05-01以降となります。
注※2
使用できるバージョンは06-03以降となります。
注※3
使用できるバージョンはOSによって異なります。
・Windows 2000 Server,およびWindows 2000 Professional:06-01以降
・Windows 2000 Advanced Server:06-03以降
・Windows 2000 Datacenter Server:06-04以降
注※4
使用できるバージョンの詳細については,関連するプログラムプロダクトでご確認ください。