3.1.3 EURで使用できるバーコードデータ

EURで指定できるバーコードは,JIS X 0501(JAN標準,JAN短縮),X 0502(ITF),X 0503(CODE39),X 0504(CODE128),X 0506(コーダバー。ただし,EURでは「NW-7」と表記します),X 0510(QRコード),および郵便事業株式会社が定めるカスタマバーコードです。

成形されたバーコードそのものを貼り付けるのではなく,データウィンドウのデータ(バーコードにして表すデータをフィールドデータとして準備しておきます)を帳票ファイルにマッピングすることで,バーコードが貼り付けられます。バーコードで使用するデータは,バーコードの種類によって異なります。指定するデータの桁数が合っていないと,帳票ファイルに貼り付けた場合,バーコードが表示されないことがあります。

なお,バーコードの読み取りについては,使用するプリンタおよび読み取り装置で十分な評価をしてから使用してください。

バーコードに使用できるデータと桁数を,次に示します。

表3-3 バーコードに使用できるデータと桁数

バーコードの種類使用できるデータ指定する桁数
JAN標準半角数字:0~913桁(固定),または12桁(固定)です。
JAN短縮半角数字:0~98桁(固定),または7桁(固定)です。
ITF半角数字:0~9
  • 標準バージョン
    14桁(固定),または13桁(固定)です。
  • 拡張バージョン
    16桁(固定),または15桁(固定)です。
  • アドオンバージョン
    6桁(固定),または5桁(固定)です。
CODE39半角数字:0~9
半角英大文字:A~Z
半角記号:- $ / + % .
半角空白
任意の桁数です。
CODE128
  • 入力データ形式が「コードセットB」の場合
    半角数字:0~9
    半角英大文字:A~Z
    半角英小文字:a~z
    半角記号:! " # $ % & ' ( ) * + , - . / : ; < = > ? @ [ ¥ ] ^ _ ` { | } ~
    半角空白
  • 入力データ形式が「コードセットC」の場合
    半角数字:0~9
任意の桁数です。ただし,コードセットCの場合は,2桁の数字で一つのバーコードキャラクタを表すので,偶数になるように入力してください。
NW-7半角数字:0~9
半角記号:- $ : / . +
任意の桁数です。
QRコード
  • 入力データ形式が「文字列」の場合
    使用しているロケールの文字コードに従って,データ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。
  • 入力データ形式が「16進文字列」の場合
    使用しているロケールの文字コードに従って,データ(データキャラクタ)を16進文字列でデータファイルに指定します。
  • 入力データ形式が「16進バイナリ」の場合
    8ビットバイナリエンコーディングに従って,データ(データキャラクタ)を16進バイナリでデータファイルに指定します。
  
使用できる文字については,「付録C QRコードに指定できる入力データ文字」を参照してください。
指定するデータと,入力データ形式の指定によって異なります。
カスタマバーコード半角数字:0~9
半角英大文字:A~Z
半角記号:-
データ形式によって異なります。
「郵便番号+住所表示番号」のデータは,7桁~20桁です。
「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」のデータは,23桁です。
<この項の構成>
(1) JAN標準バーコード
(2) JAN短縮バーコード
(3) ITFバーコード
(4) CODE39バーコード
(5) CODE128バーコード
(6) NW-7バーコード
(7) QRコード
(8) カスタマバーコード

(1) JAN標準バーコード

JAN標準バーコードを表示する場合は,半角数字(0~9)を使用して,13桁(固定)のデータ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。

JAN標準バーコードの形式を次に示します。

[図データ]

データ(データキャラクタ)は,商品コードを表すキャラクタで,プリフィックスキャラクタを含む場合もあります。プリフィックスキャラクタは,国コードなど商品コードの管理単位を識別するキャラクタです。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,バーコードの読み取りの正確性を保つために,データ(データキャラクタ)とプリフィックスキャラクタから,ある計算方法に基づいて求めた値を表すキャラクタです。

例えば,「490123456789」のデータ(データキャラクタ)のチェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,次のような計算方法で求められます。

  1. 桁位置を付けます。求めるチェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,1桁目です。
    桁位置13121110987654321
    データ490123456789 
  2. 偶数桁の数字を加算します。
    9+1+3+5+7+9=34
  3. 2で求めた値を3倍します。
    34×3=102
  4. 1桁目を除く,奇数桁の数字を加算します。
    4+0+2+4+6+8=24
  5. 3で求めた値と,4で求めた値を加算します。
    102+24=126
  6. 5で求めた値の下1桁の数字を10から減算します。
    10-6=4
    この値が,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)です。
    なお,5で求めた値の下1桁の数字が「0」の場合は,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は「0」です。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,EUR 帳票作成機能で付加することもできます。その場合は,半角数字(0~9)を使用して,12桁(固定)のデータ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

(2) JAN短縮バーコード

JAN短縮バーコードを表示する場合は,半角数字(0~9)を使用して,8桁(固定)のデータ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。

JAN短縮バーコードの形式を次に示します。

[図データ]

データ(データキャラクタ)は,商品コードを表すキャラクタで,プリフィックスキャラクタを含む場合もあります。プリフィックスキャラクタは,国コードなど商品コードの管理単位を識別するキャラクタです。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,バーコードの読み取りの正確性を保つために,データ(データキャラクタ)とプリフィックスキャラクタから,ある計算方法に基づいて求めた値を表すキャラクタです。JAN短縮バーコードも,JAN標準バーコードと同じように,桁位置を決めて計算します。

例えば,「4901234」のデータ(データキャラクタ)のチェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,次のような計算方法で求められます。

  1. 桁位置を付けます。求めるチェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,1桁目です。
    桁位置87654321
    データ4901234 
  2. 偶数桁の数字を加算します。
    4+0+2+4=10
  3. 2で求めた値を3倍します。
    10×3=30
  4. 1桁目を除く,奇数桁の数字を加算します。
    9+1+3=13
  5. 3で求めた値と,4で求めた値を加算します。
    30+13=43
  6. 5で求めた値の下1桁の数字を10から減算します。
    10-3=7
    この値が,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)です。
    なお,5で求めた値の下1桁の数字が「0」の場合は,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は「0」です。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,EUR 帳票作成機能で付加することもできます。その場合は,半角数字(0~9)を使用して,7桁(固定)のデータ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

(3) ITFバーコード

ITFバーコードは,指定したデータの情報によって,表示される形式(標準バージョン,拡張バージョン,およびアドオンバージョン)が異なります。

(a) 標準バージョン

標準バージョンで表示する場合は,半角数字(0~9)を使用して,次に示すどちらかの方法で,14桁(固定)の情報をデータファイルに指定します。

標準バージョンの形式を次に示します。

[図データ]

物流識別キャラクタは,物流商品コードのうち,個装,または内装商品の数や組み合わせなどの相違を識別するキャラクタです。

フラッグキャラクタは,物流商品コードのうち,国コードなどのフラッグコードを表し,商品コードの管理単位を識別するキャラクタです。フラッグキャラクタは,国によって,2桁の場合と3桁の場合があります。日本の場合は,EANインターナショナル協会(International Article Numbering Association EAN)から,「49」と「45」が付番されています。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,物流識別キャラクタ,フラッグキャラクタ,およびデータ(データキャラクタ)から,「モジュラス10」という,モジュラチェックキャラクタを算出する計算方法を使用して求めてください。

なお,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,EUR 帳票作成機能で付加することもできます。その場合は,半角数字(0~9)を使用して,13桁(固定)の情報を,次に示すどちらかの方法でデータファイルに指定します。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

(b) 拡張バージョン

拡張バージョンで表示する場合は,半角数字(0~9)を使用して,次に示すどちらかの方法で,16桁(固定)の情報をデータファイルに指定します。

拡張バージョンの形式を次に示します。

[図データ]

スペアキャラクタは,コード体系を調整するためのキャラクタで,「0」固定です。

物流識別キャラクタは,物流商品コードのうち,個装,または内装商品の数や組み合わせなどの相違を識別するキャラクタです。

フラッグキャラクタは,物流商品コードのうち,国コードなどのフラッグコードを表し,商品コードの管理単位を識別するキャラクタです。フラッグキャラクタは,国によって,2桁の場合と3桁の場合があります。日本の場合は,EANインターナショナル協会(International Article Numbering Association EAN)から,「49」と「45」が付番されています。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,物流識別キャラクタ,フラッグキャラクタ,およびデータ(データキャラクタ)から,「モジュラス10」という,モジュラチェックキャラクタを算出する計算方法を使用して求めてください。

なお,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,EUR 帳票作成機能で付加することもできます。その場合は,半角数字(0~9)を使用して,15桁(固定)の情報を,次に示すどちらかの方法でデータファイルに指定します。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

(c) アドオンバージョン

アドオンバージョンで表示する場合は,半角数字(0~9)を使用して,データ(データキャラクタ)(5桁)+チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)の情報をデータファイルに指定します。

アドオンバージョンの形式を次に示します。

[図データ]

なお,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,EUR 帳票作成機能で付加することもできます。その場合は,半角数字(0~9)を使用して,データ(データキャラクタ)5桁(固定)の情報をデータファイルに指定します。

チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

(4) CODE39バーコード

CODE39バーコードを表示する場合は,半角数字(0~9),半角英大文字(A~Z),半角記号「- $ / + % .」,および半角空白を使用して,データ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。指定するデータ(データキャラクタ)の桁数は,任意です。

CODE39バーコードの形式を次に示します。

[図データ]

CODE39バーコードには,スタート/ストップキャラクタと,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)をEUR 帳票作成機能で付加できます。

スタート/ストップキャラクタを付加指定すると,データ(データキャラクタ)の前後に「*」(固定)が表示されます。

スタート/ストップキャラクタと,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)の付加指定は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

なお,CODE39バーコードでは,EUR サーバ帳票出力機能での帳票出力時にバーコードの線の太さを補正できます。補正値は,プリンタ定義ファイルまたは環境変数で指定します。詳細は,マニュアル「EUR サーバ帳票出力」を参照してください。

(5) CODE128バーコード

JIS X 0504で規格されているCODE128バーコードのコードセットは,コードセットA,コードセットB,およびコードセットCがあります。そのうち,EURでCODE128バーコードを表示する場合は,コードセットBとコードセットCを使用して,データ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。どちらのコードセットを使用するかは,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログの[入力データ形式]で指定します。

指定したコードセットで使用できるデータを次に示します。

表3-4 CODE128バーコードで指定できる入力データ

数値EURのデータファイルに指定できるデータ
コードセットBを使用する場合コードセットCを使用する場合
0△(0x20:半角空白)00
1!01
2"02
3#03
4$04
5%05
6&06
7'07
8(08
9)09
10*10
11+11
12,12
13-13
14.14
15/15
16016
17117
18218
19319
20420
21521
22622
23723
24824
25925
26:26
27;27
28<28
29=29
30>30
31?31
32@32
33A33
34B34
35C35
36D36
37E37
38F38
39G39
40H40
41I41
42J42
43K43
44L44
45M45
46N46
47O47
48P48
49Q49
50R50
51S51
52T52
53U53
54V54
55W55
56X56
57Y57
58Z58
59[59
60¥60
61]61
62^62
63_63
64`64
65a65
66b66
67c67
68d68
69e69
70f70
71g71
72h72
73i73
74j74
75k75
76l76
77m77
78n78
79o79
80p80
81q81
82r82
83s83
84t84
85u85
86v86
87w87
88x88
89y89
90z90
91{91
92|92
93}93
94~94
9595
9696
9797
9898
99[CODEC]99
100[CODEB]
101
102[FNC1][FNC1]
(凡例)
-:該当する項目はありません。
注※
コードセットBを使用してデータファイルに「¥」を指定した場合,出力するときのフォント指定によって,「\」に出力できます。
「¥」を「\」に出力する場合は,データキャラクタのフォントに,Arialなどの欧文フォントを指定してください。MS ゴシックなどの日本語フォントを指定した場合は,「¥」のまま出力されます。

コードセットBも,コードセットCも,指定するデータの桁数は任意です。ただし,コードセットCの場合は,2桁の数字で一つのバーコードキャラクタを表すので,偶数になるように入力してください。奇数指定の場合,データは欠損値として扱われ,バーコードは表示されません。

CODE128バーコードの形式を次に示します。

[図データ]

CODE128バーコードのスタート/ストップキャラクタと,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,バーで表します。

また,CODE128バーコードのスタート/ストップキャラクタとチェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)は,EUR 帳票作成機能が自動付加しているために指定できませんが,指定した入力データ形式によって,スタートキャラクタが次のように異なります。

[図データ]

CODE128バーコードには,FNC1のファンクションキャラクタをEUR 帳票作成機能で付加できます。FNC1は,特定の工業規格に合致するシンボルを識別するキャラクタです。FNC1の付加指定は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。FNC1は,スタートキャラクタのあとに付加されます。

[図データ]

CODE128バーコードでは,帳票出力時にバーコードの幅を補正できます。補正値は,プリンタ定義ファイルまたは環境変数で指定します。詳細は,マニュアル「EUR クライアント帳票出力」または「EUR サーバ帳票出力」を参照してください。

(6) NW-7バーコード

NW-7バーコードを表示する場合は,半角数字(0~9),および半角記号「- $ : / . +」を使用して,データ(データキャラクタ)をデータファイルに指定します。指定するデータ(データキャラクタ)の桁数は任意です。

NW-7バーコードの形式を次に示します。

[図データ]

NW-7バーコードには,スタート/ストップキャラクタと,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)をEUR 帳票作成機能で付加できます。

スタート/ストップキャラクタを付加指定すると,データ(データキャラクタ)の前後に「A」(固定)が表示されます。チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)を付加すると,データの読み取りの信頼性が向上します。

スタート/ストップキャラクタと,チェックキャラクタ(モジュラチェックキャラクタ)の付加指定は,[オプション]ダイアログ,または[アイテムのプロパティ]ダイアログで指定できます。

なお,データ(データキャラクタ)といっしょにスタート/ストップキャラクタを指定しておくこともできます。この場合は,半角英字(A,B,C,D)から選択して指定します。スタートキャラクタとストップキャラクタに使用するキャラクタの組み合わせは自由です。

(7) QRコード

QRコードを表示する場合は,入力データ形式によって,使用できる文字が異なります。また,指定するデータ(データキャラクタ)の桁数も異なります。

QRコードの表示例を次に示します。

[図データ]

QRコードでEURがサポートする範囲を次に示します。

機能EURでサポートする範囲
モデルモデル2をサポートします。
バージョンバージョン1から40をサポートします。
訂正レベルM(15%),Q(25%)をサポートします。
モード数字モード,英数字モード,8ビットバイトモード,漢字モード,混在モードをサポートします。
セルサイズ[アイテムのプロパティ]ダイアログ,環境変数EURPS_QR_CELL_SIZE_D,または環境変数EURPS_QR_CELL_SIZE_Mで指定できます。指定されていない場合は,アイテムサイズとバージョンから自動計算します。
クワイエットゾーンクワイエットゾーンはEURが付加します。サイズは4モジュールです。
(a) 使用できる文字

QRコードに指定できる入力データ文字は,入力データ形式によって異なります。QRコードに指定できる入力データ文字については,「付録C QRコードに指定できる入力データ文字」を参照してください。

入力データ形式が「文字列」の場合
使用しているロケールの文字コードに従って,データ(データキャラクタ)を文字列でデータファイルに指定します。
入力データ形式が「16進文字列」の場合
使用しているロケールの文字コードに従って,データ(データキャラクタ)を16進文字列でデータファイルに指定します。
入力データ形式が「16進バイナリ」の場合
8ビットバイナリエンコーディングに従って,データ(データキャラクタ)を16進バイナリの文字列でデータファイルに指定します。
(b) QRコードのバージョン

QRコードは,アイテム枠の大きさ,および指定するデータから求められた型番によって,帳票に表示できるQRコードの大きさが異なります。また,QRコードは,出力するプリンタの解像度によっても,大きさが異なります。EURでは入力データから適切なバージョンを計算して使用します。

[アイテムのプロパティ]ダイアログまたは環境変数EURPS_QR_VERSIONで指定された値よりも入力データが小さい場合は指定された値になるように調整します。環境変数EURPS_QR_VERSIONについては,マニュアル「EUR サーバ帳票出力」を参照してください。

最小バージョン
[アイテムのプロパティ]ダイアログおよび環境変数EURPS_QR_VERSIONの指定によって最小バージョンが異なります。
指定条件によるQRコードの最小バージョンを次に示します。

表3-5 QRコードの最小バージョン

指定条件最小バージョン
[アイテムのプロパティ]ダイアログ環境変数EURPS_QR_VERSION
なしなし1
なしV1バージョン1
バージョン2バージョン2
(凡例)
-:指定しません。

出力バーコードバージョン
出力バーコードのバージョンは,入力データのバージョンと最小バージョンによって異なります。
条件別の出力バーコードのバージョンを次に示します。

表3-6 出力バーコードのバージョン

条件出力バージョン
入力データのバージョン≦最小バージョン最小バージョン
入力データのバージョン>最小バージョン入力データのバージョン
(c) QRコードのモード

QRコードのモードは,入力データ形式によって異なります。

入力データ形式が「文字列」または「16進文字列」の場合
入力データ形式「文字列」または「16進文字列」では,QRコードに混在モードを使用し,データ内容に応じてモードを切り替えます。非漢字データについては数字モード,英数字モード,または8ビットバイトモードを使用します。デフォルトは,数字モードです。

表3-7 条件別の遷移後のモード(「文字列」または「16進文字列」)

条件遷移後のモード
現在モード出現文字
数字モード数字数字モード
英字英数字モード
漢字漢字モード
英数字モード数字英数字モード
英字英数字モード
漢字漢字モード
8ビットバイトモード数字8ビットバイトモード
英字8ビットバイトモード
漢字漢字モード
漢字モード数字数字モード
英字英数字モード
漢字漢字モード
出現文字が数字,英字,漢字以外の場合は,8ビットバイトモードに切り替わります。

入力データ形式が「16進バイナリ」の場合
入力データ形式「16進バイナリ」では,データを8ビットバイトモードで生成します。
(d) モジュール幅

出力バージョンに対応するモジュール数とアイテムサイズからセルサイズを計算します。[アイテムのプロパティ]ダイアログ,環境変数EURPS_QR_CELL_SIZE_D,または環境変数EURPS_QR_CELL_SIZE_Mでセルサイズが指定された場合,計算した標準セルサイズより小さいときには指定されたセルサイズを出力します。環境変数EURPS_QR_CELL_SIZE_D,環境変数EURPS_QR_CELL_SIZE_Mについては,マニュアル「EUR サーバ帳票出力」を参照してください。

表3-8 出力セルサイズ

条件出力セルサイズ
[アイテムのプロパティ]ダイアログEURPS_QR_CELL_SIZE_DEURPS_QR_CELL_SIZE_M
なしなしなし標準セルサイズ
なしDなしD×解像度
なしM↓(M×解像度)/解像度↓
Mi↓(Mi×解像度)/解像度↓
(凡例)
-:指定しません。

出力セルサイズでバーコードを描画するとアイテムサイズより大きくなる場合は,バーコードは表示されません。指定セルサイズが標準セルサイズよりも大きい場合は,アイテムサイズを超えます。標準セルサイズが0となる場合もバーコードは表示されません。

標準セルサイズの計算式を次に示します。

標準セルサイズ=↓((min(アイテム幅,アイテム高)×解像度)/(モジュール数+8))↓÷解像度
モジュール数=21+4×(バージョン-1)

注※
クワイエットゾーン4モジュールの2個分です。
(e) クワイエットゾーン

EURでは,クワイエットゾーンは4モジュールです。

(8) カスタマバーコード

カスタマバーコードを表示する場合は,半角数字(0~9),半角英大文字(A~Z),半角記号「-」,および8種類の制御コード(CC1~CC8)を使用して,データをデータファイルに指定します。データの桁数は,指定するカスタマバーコードのデータ形式によって異なります。

(a) 「郵便番号+住所表示番号」のデータ形式

「郵便番号+住所表示番号」は,郵便番号の値に,住所文字列からカスタマバーコードに必要な文字を抜き出した文字列を付加したデータ形式です。「文字タイプ」ともいわれます。

「郵便番号+住所表示番号」のデータは,郵便番号(7桁固定)+住所表示番号(最大13桁)で指定します。

ただし,スタートコード(1文字)チェックデジット(1文字),ストップコード(1文字)はEURによって自動生成され,付加されます。

「郵便番号+住所表示番号」のカスタマバーコードの構成を次に示します。

[図データ]

データの抽出方法
例として,「〒623-0011 京都府綾部市青野町出口 6-7 LプラザB 106」からデータを抽出する手順を示します。
手 順結 果
(1)郵便番号の「623-0011」から「-」を削除します。6230011
(2)住所表示番号を取り出します。6-7 L B 106
(3)住所表示番号を郵便番号の後ろに付加します。
「62300116-7LB106」が,「郵便番号+住所表示番号」のデータになります。
62300116-7LB106
「郵便番号+住所表示番号」のデータを抽出した場合は,EURのカスタマバーコードのデータ形式で「郵便番号+住所表示番号」を選択します。
EURが,「郵便番号+住所表示番号」のデータのあとに,チェックデジットと制御コードを付加してカスタマバーコードを表示します。
抽出されたデータ「62300116-7LB106」を,データ形式「郵便番号+住所表示番号」で表示した場合のカスタマバーコードを次に示します。
[図データ]
(b) 「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」のデータ形式

「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」は,「郵便番号+住所表示番号」のデータに,次に示す加工をした結果を,記号を用いて表現したデータ形式です。「記号タイプ」ともいわれます。

「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」のデータは,スタートコード「(」(1桁固定)+郵便番号(7桁固定)+住所表示番号(最大13桁)+チェックデジット(1桁固定)+ストップコード「)」(1桁固定)で指定します。

「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」のカスタマバーコードの構成を次に示します。

[図データ]

データの抽出方法
例として,「〒623-0011 京都府綾部市青野町出口 6-7 LプラザB 106」からデータを抽出する手順を示します。
手 順結 果
(1)郵便番号の「623-0011」から「-」を削除します。6230011
(2)住所表示番号を取り出します。
住所表示番号の中に英字がある場合は,英字変換コード表 1に従って,制御コードと数字の組み合わせに変換します。
「L」→「CC2 1」
「B」→「CC1 1」
6-7 L B 106
 ↓
6-7 CC2 1 CC1 1 106
(3)住所表示番号を郵便番号の後ろに付加します。62300116-7 CC2 1 CC1 1 106
(4)数字,「-」,および制御コードを,すべて1文字として文字数を数えます。20文字に満たない場合は,後ろに制御コード4(CC4)を付加します。
この例の場合は,3文字分の制御コード4を付加しています。
62300116-7 CC2 1 CC1 1 106 CC4 CC4 CC4
(5)(4)で作成した文字列に,チェック用文字置き換えコード表 2に従って,チェック用文字に変換し,すべての値を加算します。62300116-7 CC2 1 CC1 1 106 CC4 CC4 CC4
 ↓
6+2+3+0+0+1+1+6+10+7+12+1+11+1+1+0+6+14+14+14
=110
(6)(5)で算出した値より大きい19の倍数から,(5)で算出した値を減算します。これが,「チェックデジット」です。114-110=4
(7)(4)で生成した文字列の後ろに,(6)で算出したチェックデジット「4」を付加します。62300116-7 CC2 1 CC1 1 106 CC4 CC4 CC4 4
(8)(7)で生成した文字列の前後に,スタートコード(ST)とストップコード(SP)を付加します。
スタートコードは「(」,ストップコードは「)」で指定します。
(62300116-7 CC2 1 CC1 1 106 CC4 CC4 CC4 4)
(9)(8)で生成した文字列から,制御コードを次に示すASCIIコードで置き換えてEURのデータに指定します。
 制御コード  ASCIIコード
  CC1   →  a
  CC2   →  b
  CC3   →  c
  CC4   →  d
  CC5   →  e
  CC6   →  f
  CC7   →  g
  CC8   →  h
  
「(62300116-7b1a1106ddd4)」が,「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」のデータになります。
(62300116-7b1a1106ddd4)
注※1
英字変換コード表
住所表示番号中に英字がある場合,次に示す英字変換コード表に従って,制御コードと数字の組み合わせに変換します。

表3-9 カスタマバーコードの英字変換コード表

英字データコード英字データコード英字データコード
ACC1 0KCC2 0UCC3 0
BCC1 1LCC2 1VCC3 1
CCC1 2MCC2 2WCC3 2
DCC1 3NCC2 3XCC3 3
ECC1 4OCC2 4YCC3 4
FCC1 5PCC2 5ZCC3 5
GCC1 6QCC2 6
HCC1 7RCC2 7
ICC1 8SCC2 8
JCC1 9TCC2 9
(凡例)
-:該当する項目はありません。
注※2
チェック用文字置き換えコード表
カスタマバーコードのチェックデジットを算出するためのコード表です。

郵便番号と住所表示番号を合わせた20文字のデータを,次に示すチェック用文字置き換えコード表に従ってチェック用文字に変換し,すべての値を加算します。そのあと,算出した値より大きい19の倍数から,算出した値を減算した結果が,チェックデジットです。

表3-10 カスタマバーコードのチェック用文字置き換えコード表

変換データチェック用文字変換データチェック用文字
00CC111
11CC212
22CC313
33CC414
44CC515
55CC616
66CC717
77CC818
88
99
10
(凡例)
-:該当する項目はありません。

「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」のデータを抽出した場合は,EURのカスタマバーコードのデータ形式で「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」を選択します。
抽出されたデータ「(62300116-7b1a1106ddd4)」を,データ形式「郵便番号+住所表示番号+チェックデジット+制御コード」で表示した場合のカスタマバーコードを次に示します。
[図データ]