19.13.2 問題内容と取得情報
- 〈この項の構成〉
(1) 問題内容と操作手順および環境の確認
発生した問題に関して,次のような確認をしてください。
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現象の確認
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画面が不正の場合やエラーメッセージが表示されている場合は,その内容(デスクトップ全体)をビットマップ形式で取得してください。
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画面遷移時や,その直後に現象が発生している場合には,遷移前後の画面をビットマップ形式で取得してください。
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操作手順の確認
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現象が発生した操作手順(キー/マウスのオペレーション)。
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操作手順での,現象が発生するタイミング。
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発生頻度(常に/時々など)。
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環境の確認
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XMAP3と連携している製品の状況(エラー情報)。
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現象が発生している時の,XMAP3以外の業務や画面の状況(ほかの画面も不正になっていないかどうか)。
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ディスクやメモリの空き容量。
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適切なディスプレイドライバまたはプリンタドライバが使用されているか(最新版でも,問題が発生するかどうか)。
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ほかのマシンやプリンタで問題が発生するかどうか。
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(2) マップ定義情報の取得
問題が発生しているマップやその前後のマップ定義情報を取得してください。
マップ定義情報を含むファイルを次に示します。
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マップ定義ファイル
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物理マップ
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論理マップ
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パネル定義文(インポート前のファイル)
(3) ログ情報取得とXMAP3環境情報の取得(Windows)
(a) ロギング支援環境の準備
次の手順で,ロギング支援環境の準備をしてください。設定の詳細については,「19.9.2 ログ情報採取の設定」を参照してください。なお,リモートデスクトップサービスを利用した構成で利用する場合は,Windowsサーバで設定します。
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ロギング支援を起動して,情報採取レベルを「詳細」に設定する
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ログ採取対象は「すべて」,ログファイルの書き出し方法は「上書き」を選択する
(b) ログ情報取得
次の手順で,ログ情報を取得してください。ログ情報取得の詳細については,「19.9.1 ログ情報採取の手順」を参照してください。なお,リモートデスクトップサービスを利用した構成でXMAP3サーバをWindowsサービス上で起動している場合は,タスクスケジューラを用いたロギング支援起動方法で実行してください。詳細については,「19.9.5 リモートデスクトップサービスを利用した構成で利用する場合の制限」を参照してください。
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ロギング支援を起動する
必ず,業務APを起動する前に起動してください。
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問題が発生する業務(操作)を実行する
(c) XMAP3環境情報取得
次の手順で,XMAP3の環境情報を取得してください。リモートデスクトップサービスを利用した構成で利用する場合は,Windowsサーバで採取します。
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ロギング支援の「実行環境表示」でXMAP3の環境情報をファイルに出力する
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XMAP3インストールフォルダ\ADMフォルダすべてを取得する
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XMAP3インストールフォルダ\ETCフォルダすべてを取得する
(d) AP実行時に発生したイベントのトレース情報取得
AP実行時に発生したイベントのトレースを取得する場合は,AP環境ファイル(X3MWDRV)に次の行を追加して,APを再起動してください。
traceEntry = 65535
この指定をすると,表示・印刷サービス一つにつき約2MBのログファイルが「XMAP3インストールフォルダ\ADM」フォルダ下に出力されます。
この設定が有効な場合,逐次トレース情報が出力されます。資料採取後は,AP環境ファイル(X3MWDRV)の設定を元に戻し,環境を元に戻してください。
(e) 表示・印刷ライブラリのトレース情報の取得
表示・印刷ライブラリのトレース情報には,次の種類があります。
-
通常のライブラリトレース
秒単位で情報を取得します。1ファイルに上書きされて出力されます。
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性能情報版ライブラリトレース
通常のライブラリトレースに比べ取得情報が多く,ミリ秒単位で取得できますが,ファイルサイズが大きくなります。2ファイルに交互に上書きされて出力されます。
表示・印刷ライブラリのトレースを取得する場合は,次の環境変数を設定してください。
環境変数 |
設定値 |
設定できる範囲 |
設定要否 |
---|---|---|---|
トレース情報の出力ファイル名※1を指定します。指定できる文字は,Windowsでファイル名に使用できる文字です。 |
30バイト以内※2 |
○ |
|
ライブラリトレースの出力エントリ数を指定します。 |
1〜100,000 |
△※3 |
ライブラリトレースは,次のフォルダに格納されます。
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XMAP3インストールフォルダ\ADM\trace
リモートデスクトップサービスを利用した構成の場合は,次のフォルダに表示・印刷ライブラリのトレース情報が格納されます。
-
XMAP3インストールフォルダ\ADM\WTS_LOG¥コンピュータ名\ユーザ名\trace
通常のライブラリトレースのファイルサイズは,XPTRACESIZEの設定値によって異なります。ライブラリトレースのファイルサイズを次に示します。
XPTRACESIZEの設定値 |
通常のライブラリトレースのファイルサイズ |
性能情報版ライブラリトレースのファイルサイズ |
---|---|---|
5120 |
約500KB |
15MB×2ファイル(2ファイルを交互に使用) |
100000 |
約10MB |
注意事項
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設定を有効にするには環境変数を設定したあと,スタンドアロン構成およびC/S構成はAPを再起動,OLTP構成はOpenTP1を再起動する必要があります。
-
ライブラリトレースの出力フォルダとファイル名を合わせたパスの長さは260バイト未満としてください。260バイトを超えた場合,ライブラリトレースは出力されません。
-
フォルダまたはファイルに書き込み権限がない場合は,ライブラリトレースは出力されません。
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スタンドアロン構成の場合,同一サービスに同時に印刷を行うと,ライブラリトレースが正しく出力されない場合があります。
(4) Windows版XMAP3サーバ/クライアント実行環境(64ビット)でのログ情報の取得
(a) ログ情報を取得するための準備
Windows版XMAP3サーバ/クライアント実行環境(64ビット)でトラブルが発生した場合,トラブルの原因を調査するための情報がログで出力されます。このログ情報の出力レベル,ログ情報を出力するファイルの最大サイズおよび世代数は,コンフィグファイル(X3MWDR64)のX3MWDR_LOGセクションで編集できます。この設定はAP再起動後に有効となります。
- コンフィグファイル(X3MWDR64)の格納場所
-
XMAP3インストールフォルダ¥etc
- コンフィグファイル(X3MWDR64)の設定項目
-
セクション
設定項目
省略時仮定値
設定内容
X3MWDR_LOG
LogLevel
INF
ログの出力レベルを指定します。
ログファイルには,指定した出力レベル以上のログが出力されます。
指定できる出力レベルを次に示します。
-
ERR:エラーを示すログを出力します。XMAP3は,ERRレベルのログを出力すると処理を中断します。この値を指定すると,ERRレベルのログだけが出力されます。
-
WAR:警告を示すログを出力します。XMAP3は,WARレベルのログを出力しても処理を続行します。この値を指定すると,ERRおよびWARレベルのログが出力されます。
-
INF:動作情報を提供するログ(例えば,プロセスの開始および終了,リクエストの受け付け)を出力します。この値を指定すると,ERR,WARおよびINFレベルのログが出力されます。
-
DBG:障害の要因調査で使用するデバッグ情報のログ(例えば,実行時に読み込んだコンフィグの設定値)を出力します。この値を指定すると,ERR,WAR,INFおよびDBGレベルのログが出力されます。
ERR,WAR,INF,およびDBG以外の値が指定された場合,または値が省略された場合,XMAP3は省略時仮定値(ERR)を仮定して動作します。
LogSize
3
ログファイルの最大サイズを1〜10の範囲で指定します。単位はMBです。範囲外の値が指定された場合,または値が省略された場合,XMAP3は省略時仮定値(3)を仮定して動作します。
ログファイルのサイズが指定した最大サイズに達すると,次の世代のファイルにログが出力されます。LogNumに指定した世代数に達すると,初めの世代(1)のファイルを上書きします。
LogNum
2
ログファイルを切り替える世代数を1〜10の範囲で指定します。範囲外の値が指定された場合,または値が省略された場合,XMAP3は省略時仮定値(2)を仮定して動作します。
-
- コンフィグファイル(X3MWDR64)の設定例
-
[X3MWDR_LOG] LogLevel=WAR LogSize=1 LogNum=3
(b) ログ情報の取得
Windows版XMAP3サーバ/クライアント実行環境(64ビット)で出力するログファイルを次の表に示します。
ログファイル |
出力先 |
説明 |
---|---|---|
X3mwdr64_x.log |
XMAP3インストールフォルダ¥ADM¥x64 |
Windows版XMAP3サーバ/クライアント実行環境(64ビット)で発生したトラブルを調査するための情報を出力するファイルです。ログの出力レベル,ログファイルの最大サイズおよび世代数は,コンフィグファイル(X3MWDR64)で変更できます。 |
X3mwdr32_x.log |
||
X3mwdr64_pid_date_time.log |
ログの出力処理でログファイルの排他に失敗した場合に出力されるファイルです。 |
|
X3mwdr32_pid_date_time.log |
X3mwdr64_x.logおよびX3mwdr32_x.logに出力されるINFレベルのログの内容を次の表に示します。
出力先のログファイル |
出力されるメッセージ |
---|---|
X3mwdr64_x.log |
リクエスト待ち受け処理を開始します。 |
COM※サーバを起動しました。pid=[プロセスID] |
|
リクエスト処理を開始します。type=[リクエスト種別] |
|
マップファイルの作成に失敗しました。 |
|
リクエスト処理が終了しました。ret=[jsvwadrv関数のリターンコード] |
|
COM※サーバを終了します。 |
|
リクエスト待ち受け処理を終了します。 |
|
X3mwdr32_x.log |
プロセスを開始します。 |
リクエスト処理を行います。type=[リクエスト種別] |
|
リクエスト処理が終了しました。ret=[jsvwadrv関数のリターンコード] |
|
プロセスを終了します。 |
LogLevelに「INF」を指定した場合のX3mwdr64_x.logおよびX3mwdr32_x.logの出力例を次に示します。
- X3mwdr64_x.logの出力例
-
I 2016/02/23 15:58:53.962(0x00001508): dllload(226):リクエスト待ち受け処理を開始します。 I 2016/02/23 15:58:56.759(0x00001508): jsvwadrv(411):COMサーバを起動しました。pid=[0x1930] I 2016/02/23 15:58:56.760(0x00001508): jsvwadrv(430):リクエスト処理を開始します。type=[OPEN] I 2016/02/23 15:58:56.770(0x00001508): jsvwadrv(564):リクエスト処理が終了しました。ret=[8] I 2016/02/23 15:58:56.771(0x00001508): jsvwadrv(589):COMサーバを終了します。 I 2016/02/23 15:58:59.101(0x00001508): dllunload(283):リクエスト待ち受け処理を終了します。
- X3mwdr32_x.logの出力例
-
I 2016/02/23 15:58:56.731(0x00001930): InitInstance(183):プロセスを開始します。 I 2016/02/23 15:58:56.764(0x00001930): x3mwdr_RelayReq(527):リクエスト処理を行います。type=[OPEN] I 2016/02/23 15:58:56.769(0x00001930): x3mwdr_RelayReq(547):リクエスト処理が終了しました。ret=[8] I 2016/02/23 15:58:57.785(0x00001930): TermInstance(296):プロセスを終了します。
(5) ログ情報取得とXMAP3環境情報の取得(UNIX)
(a) 印刷サービスのトレース情報の取得
印刷サービスの処理中にエラーが発生し,表示・印刷サービスの動作履歴のトレースを取得する場合には,エラー発生直後に次のコマンドを入力して,トレース情報をファイル出力してください。該当ファイルは,すぐに媒体へ保存するか,または取得時期があとで区別できるような名称で一時的にコピーしておくことで,障害発生直後の資料が残るように配慮してください。
このトレース情報ファイルは,通常稼働時も定期的に出力しています。
/opt/HIXMAP/bin/xptrace サービス名
なお,取得できる情報は,通信インタフェースおよびシステムコールです。
トレース情報が格納されているファイルを次に示します。
/var/opt/HIXMAP/.trace/サービス名
また,次の情報も取得してください。
/usr/tmp/xpw/.remote/.lprmsg_印刷サービス名
(b) 表示・印刷ライブラリのトレース情報の取得
表示・印刷ライブラリのトレースを取得する場合には,APを起動する前に次の環境変数を設定してください。
環境変数 |
設定値 |
設定できる範囲 |
---|---|---|
XPTRACEFILE |
トレース情報の出力ファイル名を指定します。 |
30バイト以内 |
XPTRACESIZE |
ライブラリトレースの出力エントリ数を指定します。 |
1〜100,000 |
このファイル名を設定した場合,AP終了時に,次のファイルに表示・印刷ライブラリのトレース情報が格納されます。
-
/var/opt/HIXMAP/.trace/ファイル名
ファイル名は,環境変数XPTRACEFILEで設定した名称です。
(c) XMAP3 Server Runtimeのエラーロギング情報の取得
XMAP3でエラーを検出した場合,XMAP3は次のディレクトリ下にXMAP3のエラーロギング情報を取得します。エラーが発生した直後に,このディレクトリ下のすべての情報ファイルを媒体に取得してください。
エラーロギング情報が格納されているファイルを次に示します。
-
/var/opt/HIXMAPディレクトリ下の全ファイル
(6) TCP/IP環境情報
次の方法で,TCP/IP環境情報を確認および取得してください。
-
クライアントとサーバ間の通信状態の確認
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Pingコマンドで通信確認が正常であるかどうか。
-
通信を使用したほかのアプリケーションが正常であるかどうか。
-
-
通信環境設定情報の取得
HOSTSファイルおよびSERVICESファイルを取得します。
そのほか,UNIXの場合,「netstat -n」の出力結果も取得してください。
(7) XMAP3以外の製品情報の取得
XMAP3と連携している製品の情報(エラー情報)を取得してください。取得方法は,連携する製品のマニュアルを参照してください。
(8) マシンのレジストリ情報の取得
次の手順で,レジストリの情報を取得してください。
-
Windowsの[ファイル名を指定して実行]を選択する
-
名前を入力するところに「regedit」※1を入力し[OK]ボタンをクリックする
-
[レジストリ]−[レジストリファイルの書き出し]を選択する
-
ファイル名※2を入力して保存する
このファイルは,テキスト形式で数メガバイトのサイズになります。
- 注※1
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system32の下にある「regedt32」ではありません。
- 注※2
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安全のためレジストリ情報を保存するファイル名の拡張子は,「reg」でなく「txt」としてください。
(9) プロセスダンプの情報取得
Windowsでは,プロセスダンプの情報はWindowsが採取しています。問題が発生する操作を実行したあとで,Windowsが採取するログ情報を確認してください。プロセスダンプを取得する機能は,Windowsによって呼称が異なります。Windows 7,Windows Server 2008,Windows Server 2008 R2の場合はユーザーモードプロセスダンプ,Windows 8.1,Windows 10,Windows 11,Windows Server 2012,Windows Server 2012 R2,Windows Server 2016,Windows Server 2019,Windows Server 2022の場合はユーザーモードダンプといいます。
- 取得手順
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タスクマネージャを次のどちらかの方法で起動します。
・タスクバーの空白の領域を右クリックし,[タスクマネージャ]をクリックする。
・[Ctrl]+[Shift]+[Esc]キーを押す。
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[プロセス]タブをクリックします。
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問題が発生する操作のプロセスを右クリックし,[ダンプファイルの作成]をクリックします。
管理者のパスワードを要求するダイアログボックスが表示された場合は,パスワードを入力して[OK]をクリックします。
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次のフォルダに出力されたダンプファイルを取得します。
Windowsインストールドライブ\Users\UserName\AppData\Local\Temp\プロセス名.dmp
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ダンプファイルが正常に作成されたことを示すメッセージが表示されたら,[OK]をクリックします。
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詳細については,各Windowsのドキュメントを参照してください。