19.7.2 帳票印刷で発生するトラブル
(1) APごとに異なる印刷サイズを指定して印刷しても同じサイズの用紙で印刷される
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原因
表示・印刷セットアップでスプール書き出し単位を「アプリケーション毎」と設定した場合,APの終了またはクローズ命令(CLOSE要求)が発行されるまでに印刷する帳票は,すべて同じ用紙サイズになります。異なる用紙サイズを混在させても,すべて1枚目の帳票の用紙サイズとなり,2枚目以降の帳票の用紙サイズは無視されます。
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対処方法
用紙サイズの異なる複数の帳票を,日立FAXC/SPOOLへ印刷する場合は,スプール書き出し単位を「1ページ毎」に設定してください。
(2) 帳票が期待したとおりに印刷されない
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原因
印刷モードが「GDI:ページプリンタ」または「GDI:シリアルインパクトプリンタ」の場合,プリンタドライバによっては,期待したように印刷されないときがあります。
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対処方法
プリンタドライバを最新に更新してから,再実行してください。
(3) 文字が期待したとおりに印刷されない,または異なる文字で印刷される
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原因
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印刷モードが「GDI:ページプリンタ」または「GDI:シリアルインパクトプリンタ」の場合,プリンタドライバがMS明朝,MSゴシックを代替するように設定されていることが考えられます。
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プリンタドライバがOS標準添付のドライバ(ユニバーサルドライバ)の場合,APから指定された文字が,別の文字,「・」,スペースなどに置き換えて印刷されることがあります。
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対処方法
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プリンタドライバの設定によって文字が置き換えられる場合は,フォントを置き換えずにWindows上のMS明朝,MSゴシックのままで印刷する設定にして,再実行してください。
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プリンタドライバがOS標準添付のドライバを使用している場合は,プリンタメーカーから提供されているプリンタドライバを使用してください。
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(4) 画像印刷に時間が掛かる
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原因
JPEGファイル形式の画像を印刷する場合,ファイルサイズが同じBMPファイル形式の画像を印刷する場合と比較して,数秒程度,印刷性能が遅延するときがあります。
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対処方法
JPEGファイル形式の画像を印刷する場合には,十分にテストを実施して,業務運用に支障がないことを確認した上でご利用ください。
(5) 帳票印刷開始時にAPが終了する
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原因
印刷先のプリンタで使用するプリンタドライバによっては,プリンタドライバの問題で,帳票印刷開始時にAPが終了する場合があります。
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対処方法
プリンタドライバを最新に更新してから,再実行してください。
(6) 出力/連結出力バーコードが正しく印刷されない
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原因
APから指定したバーコードの文字データが不正の場合,またはGS1-128バーコードの場合,APから指定したバーコード文字データの桁数不正が考えられます。
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対処方法
マニュアル「XMAP3 プログラミングガイド」で,バーコードの設計およびバーコードの論理マップ生成規則とマッピング規則について参照し,APからの指定データに誤りがないか確認してください。
(7) 連結出力バーコード(GS1-128)の読み取りに失敗する
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原因
プリンタのハードスペック,印字用紙品質,インク品質などによって発生したGS1-128バーコード印字時のにじみ,およびバーコードリーダの読み取り性能の問題が考えられます。
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対処方法
バーコードの印字幅を調整してください。詳細については,「9.4.2 GS1-128印刷環境に関する設定」を参照してください。ただし,この調整とあわせて,印字精度の劣化要因(インク品質など)も対処してください。
(8) 印刷サービスが起動されない,また印刷実行時エラーが発生する
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原因
XMAP3の帳票環境に誤りがある,またはWindows上で印刷を実行するために必要なサービス(Print Spoolerなど)が開始されていないことが考えられます。
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対処方法
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帳票印刷の環境設定で指定したプリンタ名が正しいことを確認してください。
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印刷サービスを実行するユーザに,プリンタへ印刷する権限が与えられているか確認してください。WindowsのサービスでXMAP3サーバを実行する場合には,サービス開始ユーザ(「SYSTEM」など)に印刷権限を与える必要があります。
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Windows上で印刷を実行するために必要なサービス(Print Spoolerなど)がすべて正しく開始されていることを確認してください。
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(9) プリンタ給紙トレイの設定が有効にならない
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原因
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印刷モードが「GDI:ページプリンタ」ではない,またはプリンタ構成ファイル(X3PPINF)に設定されたトレイコードが不正である場合が考えられます。
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ネットワークプリンタ(ほかのWindowsマシンに接続された共用プリンタに対してネットワーク接続されたプリンタ)のため,プリンタ給紙トレイの設定が無効になったことが考えられます。
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対処方法
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印刷モードが「GDI:ページプリンタ」になっているか確認してください。
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プリンタ構成ファイル(X3PPINF)に,トレイコードが正しく設定されているか確認してください。印刷拡張セットアップで,サポートしているトレイコードの一覧を表示できます。
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ネットワークプリンタを使用する場合は,ネットワークプリンタのUNCパス(\\コンピュータ名\共用プリンタ名)をローカルポートに設定したローカルプリンタを使用してください。
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(10) C/S構成での印刷時に詳細リターンコード20505((5019)16)が発生する
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原因
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ほかのプログラムでプリンタを使用中のため,印刷できなかった場合が考えられます。
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1台のマシン上にXMAP3サーバを複数起動している環境で,関連づいていない複数のXMAP3サーバ上にあるAPから,環境変数「XPW_DAEMON_PORT_PRT」を使用して同時に印刷した場合が考えられます。
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対処方法
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プリンタが使用されていないことを確認し,印刷要求を再実行してください。
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詳細コード1が(5019)16のエラーが発生した場合に,印刷リトライする処理をコーディングしてAPを再作成してください。
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XMAP3が提供する印刷リトライを設定してください。
XMAP3が提供する印刷リトライは,C/S構成のサーバマシン側に環境変数で設定します。環境変数を設定すると,印刷の排他エラーが発生した場合にXMAP3内部で環境変数の設定に従って印刷リトライします。
印刷リトライで設定できる環境変数を次の表に示します。
表19‒4 印刷リトライで設定できる環境変数 項目
環境変数名
説明
指定値
印刷要求リトライ回数
XMAP3_PRTRETRY_COUNT
印刷の排他エラー発生時の印刷要求リトライの実行回数を指定します。
指定値以外の値が指定された場合,または値を省略した場合は,印刷リトライしません。
1〜1000(回)
印刷要求リトライ間隔
XMAP3_PRTRETRY_INTERVAL
印刷の排他エラー発生時の印刷要求リトライの実行間隔(ミリ秒)を指定します。
指定値以外の値が指定された場合,または値を省略した場合は,「500」が仮定されます。
100〜60000(ミリ秒)
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- 注意事項
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APが自動起動の場合は,環境変数を設定し,XMAP3サーバを再起動してAP を再実行してください。
AP側で詳細リターンコードを参照したリトライ処理を実装している場合は,印刷リトライ処理が重複して,APの応答に時間が掛かることがあります。
(11) OSをWindows 10,またはWindows Server 2016以降にバージョンアップした後,通常使うプリンタに印刷されず,他のプリンタに印刷される
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原因
Windowsの設定で[Windowsで通常使うプリンターを管理する]がチェックされていることが考えられます。
チェックがある場合,Windowsが通常使うプリンタを管理するようになるため,ユーザが設定した通常使うプリンタ以外のプリンタが利用されることがあります。
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対処方法
Windowsの設定で[Windowsで通常使うプリンターを管理する]のチェックを外してください。