はじめに
このマニュアルは,HiRDB Structured Data Access Facility(以降,HiRDB/SDと略します)の機能と使い方について説明したものです。
- 〈はじめにの構成〉
■ 対象読者
HiRDB/SDを使って,構造型データベース(以降,構造型DBと略します)を設計する方,構造型DBシステムを構築および運用する方を対象としています。
このマニュアルの記述は,次に示す知識があることを前提にしています。
-
構造型DBの基礎的な知識
-
Linuxのシステム管理の基礎的な知識
-
HiRDBの導入,設計,および運用に関する基礎的な知識
■ マニュアルの構成
このマニュアルは,次に示す章と付録から構成されています。
- 第1章 HiRDB/SDの概要
-
HiRDB/SDの特長や構成などについて説明しています。
- 第2章 HiRDB/SDのアーキテクチャ
-
HiRDB/SDのアーキテクチャについて説明しています。
- 第3章 HiRDB/SDのデータベース設計
-
HiRDB/SDのデータベース設計について説明しています。
- 第4章 HiRDBシステムの構築
-
HiRDB/SDを使用する際のHiRDBシステムの構築について説明しています。
- 第5章 運用
-
構造型DB機能を使用するHiRDBの運用方法について説明しています。
- 第6章 高速系切り替え機能の設定と運用
-
高速系切り替え機能の設定方法と運用方法について説明しています。
- 第7章 セキュリティ監査機能の設定と運用
-
セキュリティ監査機能の設定方法と運用方法について説明しています。
- 第8章 ディザスタリカバリシステムの構築と運用【4V FMB,4V AFM】
-
ディザスタリカバリシステムの構築方法と運用方法について説明しています。
- 第9章 システム定義
-
システム共通定義,ユニット制御情報定義などについて説明しています。
- 第10章 コマンド
-
運用コマンドおよびユティリティについて,マニュアル「HiRDB Version 10 コマンドリファレンス」との差異を中心に説明しています。
- 第11章 HiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)
-
HiRDB/SD定義ユティリティの機能と使い方について説明しています。
- 第12章 HiRDB/SDデータベース作成ユティリティ(pdsdblod)
-
HiRDB/SDデータベース作成ユティリティの機能と使い方について説明しています。
- 第13章 HiRDB/SDデータベース再編成ユティリティ(pdsdbrog)
-
HiRDB/SDデータベース再編成ユティリティの機能と使い方について説明しています。
- 第14章 HiRDB/SDデータベースアクセスユティリティ(pdsdbexe)
-
HiRDB/SDデータベースアクセスユティリティの機能と使い方について説明しています。
- 第15章 DMLプリプロセサ(pdsdbcbl)【SD FMB】
-
DMLプリプロセサの機能と使い方について説明しています。
- 第16章 HiRDBクライアントの環境設定
-
インストールやUAPの作成と実行に必要な環境定義の方法などについて説明しています。
- 第17章 DMLリファレンス【SD FMB】
-
SD FMBのSDBデータベースを操作するDMLの機能と文法について説明しています。
- 第18章 メッセージ
-
HiRDBが出力するメッセージについて説明しています。
- 付録A 未サポート機能の一覧
-
HiRDBのマニュアルに記載している機能のうち,未サポートの機能,および機能制限がある機能について説明しています。
- 付録B ディクショナリ表
-
ディクショナリ表について説明しています。
- 付録C ユティリティの最大同時実行数およびコマンドの同時接続数
-
ユティリティの最大同時実行数,およびコマンドの同時接続数について説明しています。
- 付録D HiRDB/SDの最大値・最小値
-
HiRDB/SDの最大値および最小値について説明しています。
- 付録E HiRDB/SDで起動するプロセス
-
HiRDB/SDで起動するプロセスについて説明しています。
- 付録F 単調増加ファイル
-
HiRDB/SDの使用によって単調増加するファイルについて説明しています。
- 付録G ユティリティが出力するファイル
-
次のユティリティが出力するファイルについて説明しています。
・HiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)
・HiRDB/SDデータベース作成ユティリティ(pdsdblod)
・HiRDB/SDデータベース再編成ユティリティ(pdsdbrog)
- 付録H ユティリティの排他制御モード
-
次のユティリティの排他制御モードについて説明しています。
・HiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)
・HiRDB/SDデータベース作成ユティリティ(pdsdblod)
・HiRDB/SDデータベース再編成ユティリティ(pdsdbrog)
- 付録I ユティリティ実行時の留意事項
-
次のユティリティ実行時の留意事項について説明しています。
・HiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)
・HiRDB/SDデータベース作成ユティリティ(pdsdblod)
・HiRDB/SDデータベース再編成ユティリティ(pdsdbrog)
- 付録J インナレプリカ機能使用時のHiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)の実行【4V FMB,4V AFM】
-
インナレプリカ機能を使用する場合のHiRDB/SD定義ユティリティ(pdsdbdef)を実行するための条件,および注意事項について説明しています。
- 付録K 検索範囲決定の契機,横分割時の検索範囲,および入力情報とキーの定義の関係
-
検索範囲決定の契機,横分割時の検索範囲,および入力情報とキーの定義の関係について説明しています。
- 付録L SDBデータベースを操作するAPIまたはDMLと,データページの排他解除の有無の関係
-
SDBデータベースを操作するAPIまたはDMLと,データページ(ページまたはサブページ)の排他解除の有無(排他自動解除機能の対象となるデータページ)の関係について説明しています。
- 付録M 複数レコードの検索時の,データ格納エリアに対するレコードの格納形式【4V FMB】
-
複数レコードの検索時の,データ格納エリアに対するレコードの格納形式について説明しています。
- 付録N 障害調査のために必要な情報
-
問題解決支援またはQ&Aのサポートサービスを御利用になる場合に必要となる情報について説明しています。
- 付録O 予約語の一覧
-
システムに登録されている予約語について説明しています。
- 付録P 4V FMBまたは4V AFMのSDBデータベースとSD FMBのSDBデータベースの機能差一覧
-
4V FMBまたは4V AFMのSDBデータベースと,SD FMBのSDBデータベースの機能差について説明しています。
- 付録Q 用語解説
-
このマニュアルで使用している用語について説明しています。
■ 関連マニュアル
このマニュアルの関連マニュアルを次に示します。必要に応じてお読みください。
HiRDBマニュアル
-
HiRDB Version 10 構造型データベース機能(UAP開発編)(3020-6-579)
-
HiRDB Version 10 解説(3020-6-551)
-
HiRDB Version 10 システム導入・設計ガイド(UNIX(R)用)(3020-6-552)
-
HiRDB Version 10 システム定義(UNIX(R)用)(3020-6-554)
-
HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)(3020-6-556)
-
HiRDB Version 10 コマンドリファレンス(UNIX(R)用)(3020-6-558)
-
インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option Version 10(3020-6-563)
-
HiRDB Version 10 ディザスタリカバリシステム 構築・運用ガイド(3020-6-564)
-
HiRDB Version 10 UAP開発ガイド(3020-6-560)
-
HiRDB Version 10 SQLリファレンス(3020-6-561)
-
HiRDB Version 10 メッセージ(3020-6-562)
以降,HiRDB Version 10のマニュアル名は,Version 10,(UNIX(R)用)を省略して表記しています。
関連製品
-
TP1/Server Base Enterprise Option プログラム作成の手引(3000-3-983)
-
TP1/Financial Service Platform 使用の手引(3000-3-K01)
-
TP1/Financial Service Platform プログラム作成の手引(3000-3-K02)
-
OpenTP1 Version 7 分散トランザクション処理機能 OpenTP1 運用と操作(3000-3-D53)
-
高信頼化システム監視機能 HAモニタ Linux(R)編(3000-9-132)
以降,HAモニタのマニュアル名は,Linux(R)編を省略して表記しています。
■ 利用者ごとの関連マニュアル
利用者ごとの関連マニュアルを次に示します。左側のマニュアルから順にお読みいただくことをお勧めします。
■ このマニュアルでの表記
このマニュアルでは製品名称および名称について次のように表記しています。ただし,それぞれのプログラムについての表記が必要な場合はそのまま表記しています。
製品名称または名称 |
表記 |
|
---|---|---|
HiRDB Version 10 |
HiRDBまたはHiRDBサーバ |
|
HiRDB Structured Data Access Facility/Run Time Version 10(64) |
HiRDB Structured Data Access Facility/Run Time |
HiRDBクライアント |
HiRDB Structured Data Access Facility/Developer's Kit Version 10(64) |
HiRDB Structured Data Access Facility/Developer's Kit |
|
HiRDB/Run Time(64) |
HiRDB/Run Time |
|
HiRDB/Developer's Kit(64) |
HiRDB/Developer's Kit |
|
HiRDB Advanced High Availability Version 10 |
HiRDB Advanced High Availability |
|
HiRDB Staticizer Option Version 10 |
HiRDB Staticizer Option |
|
HiRDB Structured Data Access Facility Extension for XDM/SD type Version 10 |
HiRDB Structured Data Access Facility Extension for XDM/SD type |
|
JP1/NETM/Audit - Manager |
JP1/NETM/Audit |
|
JP1/Performance Management |
JP1/PFM |
|
Linux(R) |
Linux |
|
Red Hat(R) Enterprise Linux(R) Server 7(64-bit x86_64) |
||
Red Hat(R) Enterprise Linux(R) Server 8(64-bit x86_64) |
||
Red Hat(R) Enterprise Linux(R) Server 9(64-bit x86_64) |
||
OpenTP1/Server Base Enterprise Option |
TP1/EE |
|
uCosminexus TP1/Financial Service Platform |
TP1/FSP |
|
XDM/SD E2 |
XDM/SD |
|
システムマネジャ |
MGR |
|
フロントエンドサーバ |
FES |
|
ディクショナリサーバ |
DS |
|
バックエンドサーバ |
BES |
-
HiRDB運用ディレクトリのパスを$PDDIRと表記します。
-
TCP/IPが規定するhostsファイル(/etc/hostsファイルも含む)をhostsファイルと表記します。
-
TP1/EEおよびTP1/FSPをまとめてTP1/FSPと表記します。
■ このマニュアルで使用する略語
このマニュアルで使用する英略語の一覧を次に示します。
英略語 |
英 字 の 表 記 |
---|---|
ADO |
ActiveX(R) Data Objects |
AFM |
Attached File Management Program |
Amazon EC2 |
Amazon Elastic Compute Cloud |
API |
Application Programming Interface |
AWS |
Amazon Web Services |
BES |
Back End Server |
BOM |
Byte Order Mark |
COBOL |
Common Business Oriented Language |
CSV |
Character-Separated Values |
DAM |
indexed Direct Access Method |
DAT |
Digital Audio Tape |
DB |
Database |
DIC |
Dictionary Server |
DML |
Data Manipulate Language |
DRBD |
Distributed Replicated Block Device |
DS |
Dictionary Server |
EX |
Exclusive |
FES |
Front End Server |
FMB |
File Manager for Banks |
FTP |
File Transfer Protocol |
ID |
Identification number |
IP |
Internet Protocol |
JAR |
Java Archive File |
JDBC |
Java Database Connectivity |
JIS |
Japanese Industrial Standard code |
JP1 |
Job Management Partner 1 |
LOB |
Large Object |
LRU |
Least Recently Used |
LVM |
Logical Volume Manager |
MAM |
Main memory Access Method |
MGR |
System Manager |
MIB |
Management Information Base |
ODBC |
Open Database Connectivity |
OLE |
Object Linking and Embedding |
OLTP |
On-Line Transaction Processing |
OOCOBOL |
Object Oriented COBOL |
OS |
Operating System |
PP |
Program Product |
PR |
Protected Retrieve |
PU |
Protected Update |
RAID |
Redundant Arrays of Inexpensive Disk |
RD |
Relational Database |
SAM |
Sequential Access Method |
SJIS |
Shift JIS |
SR |
Shared Retrieve |
SU |
Shared Update |
TAM |
Table Access Method |
UAP |
User Application Program |
XDM/RD E2 |
Extensible Data Manager / Relational Database Extended Version 2 |
XDS |
Extended Data Server |
XML |
Extensible Markup Language |
■ ログの表記
OSのログをsyslogfileと表記します。syslogfileは,/etc/rsyslog.confでログ出力先に指定しているファイルです。一般的には,次のファイルがsyslogfileとなります。
OS |
ファイル |
---|---|
Linux |
/var/log/messages |
■ 図中で使用する記号
このマニュアルの図中で使用する記号を次のように定義します。
- 注※1
-
一部の図では,プログラムを単に四角で囲んで(影を付けないで)記載しています。
- 注※2
-
バックアップファイルには,磁気ディスク装置のほかに磁気テープ装置,カセット磁気テープ装置(CMT)およびデジタルオーディオテープ装置(DAT)が使用できますが,このマニュアルでは磁気ディスク装置だけを記載しています。
■ このマニュアルで使用する記号
形式および説明で使用する記号を次に示します。ここで説明する文法記述記号は,説明のための記号なので実際には記述しないでください。
文法記述記号 |
意味 |
---|---|
〔 〕 |
この記号で囲まれている項目は省略できます。
|
… |
この記号直前の項目を繰り返して指定できます。
|
| |
この記号で区切られた項目を選択できます。
|
{ } |
この記号で囲まれている複数の項目のうちから,1つを選択できます。
|
(下線) |
この記号で示す項目は,省略時の仮定値です。
|
{{ }} |
この記号で囲まれた複数の項目を1つの単位として,繰り返し指定できます。
|
〜 |
この記号のあとにユーザ指定値の属性を示します。 |
《 》 |
ユーザが指定しなかった場合に仮定される値を示します。 |
< > |
ユーザ指定値の構文要素記号を示します。 |
(( )) |
ユーザ指定値の指定範囲を示します。 |
■ このマニュアルで使用する構文要素記号
このマニュアルで使用する構文要素記号を次に示します。
構文要素記号 |
意味 |
|
---|---|---|
<英字> |
アルファベット(A〜Z,a〜z)と下線(_) |
|
<英字記号> |
アルファベット(A〜Z,a〜z)と#,@,¥ |
|
<英数字> |
英字と数字(0〜9) |
|
<英数字記号> |
英字記号と数字(0〜9) |
|
<符号なし整数> |
数字(0〜9) |
|
<16進数字> |
数字(0〜9)と(A〜F,a〜f) |
|
<識別子> |
先頭がアルファベットの英数字 |
|
<識別子> |
RDエリア名を指定する場合 |
先頭が英字記号で始まる英数字記号,下線(_),ハイフン(-),および空白 ハイフンおよび空白を含む場合は,引用符(")で囲んでください。 |
ホスト名を指定する場合 |
アルファベット(A〜Z,a〜z),数字(0〜9),ピリオド(.),ハイフン(-),下線(_),および@で構成される文字列 |
|
グローバルバッファ名またはパスワードを指定する場合 |
先頭が英字記号で始まる英数字記号 |
|
認可識別子を指定する場合 |
英数字記号 |
|
SDBデータベースで使用する名前(SDBデータベース名,レコード型名など)を指定する場合 |
指定できる文字の規則については,「11.4.1(1) 名前の規則」を参照してください。 |
|
<記号名称> |
先頭が英字記号で始まる英数字記号 |
|
<文字列> |
任意の文字の配列 |
|
<パス名>※ |
/,英数字,ピリオド(.),#,@で構成される文字列 |
|
<HiRDBファイル名> |
アルファベット(A〜Z,a〜z),数字(0〜9),ピリオド(.),下線(_),および@で構成される文字列(最大30文字) |
■ このマニュアルで使用する計算式の記号
このマニュアルで使用する計算式の記号の意味を次に示します。
記号 |
意味 |
---|---|
↑↑ |
計算結果の値を小数点以下で切り上げることを示します。 (例)↑34÷3↑の計算結果は12となります。 |
↓↓ |
計算結果の値を小数点以下で切り捨てることを示します。 (例)↓34÷3↓の計算結果は11となります。 |
MAX |
計算結果の最も大きい値を選ぶことを示します。 (例)MAX(3×6,4+7)の計算結果は18となります。 |
MIN |
計算結果の最も小さい値を選ぶことを示します。 (例)MIN(3×6,4+7)の計算結果は11となります。 |
■ このマニュアルをお読みいただく際の留意事項
このマニュアルでは,構造型DB(SDBデータベース)の定義方法や運用方法について説明しています。このマニュアルで説明しているSDBデータベースには,次に示す3つの種類があります。
- ・4V FMB
-
メインフレームのTMS-4V/SPがサポートしているFMBのデータベースに相当します。
- ・4V AFM
-
メインフレームのTMS-4V/SPがサポートしているAFM(DAM,MAM,TAM,またはSAM)のデータベースに相当します。4V AFMは,4V DAM,4V MAM,4V TAM,および4V SAMのSDBデータベースの総称です。
- ・SD FMB
-
メインフレームのXDM/SD E2がサポートしている階層型モデルのデータベースに相当します。
章,節,項などのタイトルに次の表記がある場合,該当するSDBデータベースだけに関する説明であることを意味しています。
- 【4V FMB】
-
この表記がある個所の説明は,4V FMBのSDBデータベースを使用しているときに該当する記述であることを意味しています。
- 【4V AFM】
-
この表記がある個所の説明は,4V AFMのSDBデータベースを使用しているときに該当する記述であることを意味しています。
なお,【4V DAM】,【4V MAM】,【4V TAM】,【4V SAM】と表記されている場合は,それぞれ4V DAM,4V MAM,4V TAM,4V SAMのSDBデータベースを使用しているときに該当する記述であることを意味しています。
- 【SD FMB】
-
この表記がある個所の説明は,SD FMBのSDBデータベースを使用しているときに該当する記述であることを意味しています。
- (例)
-
「2.3.10 二次インデクス【4V FMB,4V AFM】」
上記のように表記されている場合,4V FMBまたは4V AFMのSDBデータベースを使用しているときに,該当する記述であることを意味しています。そのため,SD FMBのSDBデータベースを使用している場合は,「2.3.10 二次インデクス」の説明をお読みいただく必要はありません。
■ KB(キロバイト)などの単位表記について
1KB(キロバイト),1MB(メガバイト),1GB(ギガバイト),1TB(テラバイト)はそれぞれ1,024バイト,1,0242バイト,1,0243バイト,1,0244バイトです。