Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 10 バッチ高速化機能


5.3.1 RDエリア障害が発生した場合の回復手順の例題

ここでは,RDエリア障害が発生した場合の回復手順について,例題を使って説明します。

〈この項の構成〉

(1) 障害発生時の状況

RDDATA01(表格納RDエリア),RDLOB01(LOBデータ格納RDエリア)およびRDIDX01(インデクス格納RDエリア)をインメモリ化しました。RDLOB02(LOBデータ格納RDエリア)はインメモリ化していません。

また,RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01は異なるHiRDBファイルシステム領域に作成されているとします。

障害発生時の状況を次の図に示します。

図5‒4 障害発生時の状況(RDエリア障害が発生した場合)

[図データ]

[説明]
  1. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01をインメモリ化しました。

  2. 更新業務を実行し,インメモリデータバッファとRDLOB02のデータを更新しました。

  3. pdhold -bコマンドでインメモリデータバッファとRDエリアの同期を取りました。このとき,RDDATA01およびRDLOB01への書き込みは正常にできましたが,RDIDX01が書き込みエラーによってRDエリア障害になりました。

このときのインメモリデータバッファと各RDエリアの状態を次に示します。

  • インメモリデータバッファの状態:正常(最新の状態)

  • RDDATA01の状態:正常(最新の状態)

  • RDLOB01の状態:正常(最新の状態)

  • RDIDX01の状態:RDエリア障害

  • RDLOB02の状態:正常(最新の状態)

(2) 障害回復の手順

インメモリデータバッファ上に最新のデータがあるため,インメモリデータバッファとRDIDX01の同期を再度取り,RDIDX01を最新の状態に回復します。

障害回復の手順を次の図に示します。

図5‒5 障害回復の手順(RDエリア障害が発生した場合)

[図データ]

コマンドの実行手順を次に示します。

  1. サーバプロセスをリフレッシュします。

     pdpfresh -s BES1

    ディスク交換を行う場合にこの操作を実行してください。この操作を実行しないとディスクを切り離すことができません。

  2. RDDATA01およびRDLOB01の閉塞を解除します。

     pdrels -r RDDATA01,RDLOB01

    pdhold -bコマンドを実行したため,RDDATA01およびRDLOB01が参照可能バックアップ閉塞状態になっています。閉塞を解除して,RDDATA01およびRDLOB01に対する更新業務を続行します。

  3. RDIDX01の障害を取り除きます。

    ディスク障害が発生した場合は,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「ディスク障害が発生したときの対処方法」を参照して対処してください。

  4. インメモリデータバッファとRDIDX01の同期を取ります。

     pdhold -r RDIDX01 -b

    インメモリデータバッファ上のデータがRDIDX01に書き込まれました。これによって,RDIDX01は最新の状態に回復されました。

  5. RDIDX01の閉塞を解除します。

     pdrels -r RDIDX01
    参考

    RDエリア障害の回復を行う場合は,バックアップファイルを使用しません。

(3) 障害回復時のインメモリデータバッファおよびインメモリRDエリアの状態遷移

障害回復時,インメモリデータバッファの状態およびインメモリRDエリアの状態は次の表のように遷移します。表の項番は,「障害回復の手順」の実行手順の番号と対応しています。なお,表中の実行コマンドは,一部オプションを省略しています。

表5‒2 障害回復時のインメモリデータバッファおよびインメモリRDエリアの状態遷移

項番

実行コマンド

障害が発生したRDエリア

障害が発生していないRDエリア

RDIDX01

RDDATA01,RDLOB01

コマンド実行後のバッファの状態※1

コマンド実行後のRDエリアの状態※2

コマンド実行後のバッファの状態※1

コマンド実行後のRDエリアの状態※2

RDエリア障害状態

障害閉塞かつオープン状態

DB同期状態

参照可能バックアップ閉塞状態

1

pdpfresh

2

pdrels -r RDDATA01,RDLOB01

オープン状態

3

4

pdhold -r RDIDX01 -b

DB同期状態

参照可能バックアップ閉塞状態

5

pdrels -r RDIDX01

オープン状態

(凡例)

↓:状態の変化なし

−:該当しない

注※1 バッファの状態とは,インメモリデータバッファの状態のことです。

注※2 RDエリアの状態とは,インメモリRDエリアの状態のことです。