Hitachi

インナレプリカ機能 HiRDB Staticizer Option Version 10


付録A.3 日立ディスクアレイシステム使用時の注意事項および操作手順

日立ディスクアレイシステムのMRCF(Multiple RAID Coupling Feature)機能,またはShadowImage機能を使用する場合の注意事項および操作手順を,それぞれOSごとに示します。

〈この項の構成〉

(1) AIXの場合

AIXで日立ディスクアレイシステムのMRCF(Multiple RAID Coupling Feature)機能,またはShadowImage機能を使用する場合の注意事項および操作手順を次の表に示します。

表A‒3 日立ディスクアレイシステム MRCF機能,またはShadowImage機能使用上の注意事項および操作手順(AIX)

項番

項目

注意事項

補足および手順

1

ファイルシステム

ディスクは論理ボリューム管理下で使用してください。論理ボリューム操作はHitachi Dynamic Link Manager Softwareのコマンドを使用します。

PVIDを変更するコマンドが未サポートのためです。

2

ボリュームペアの設定

オンライン性能との兼ね合いから,ペア生成コマンドのコピー速度オペランド(-c)に4以上の値を設定してください。「普通」(オンライン重視)で6〜10が目安です。

隠蔽モード(-m noread)を使用しないでください。

3

オンライン中のペアボリューム操作

-S指定のペアボリュームの分割

正・副ボリュームに差分がある状態でペア状態の解除(-Sオプション)を指定すると,副ボリュームへ差分が反映されないで分割されるため,データベースの内容が不整合になります。分割前に,正・副ボリュームの内容が完全に一致していることを確認してください。

ペア再同期のリストア機能

HiRDB稼働中のリストア機能は使用を禁止します。

オンライン中の再編成などの更新処理は,必ず正ボリューム側で実行してください。

副ボリュームから正ボリュームにデータをコピーする間はオリジナルRDエリアにアクセスできません。

pairresyncのリストア(-restore)を実行すると,正ボリュームのPVIDが書き換わるため正ボリュームのPVID変更操作が必要になります。

4

ペアボリューム操作時のRDエリアの状態

オリジナルRDエリア

ペア分割時は正ボリュームのオリジナルRDエリアの更新内容が,完全にディスクへ反映されている必要があります。pdholdコマンドでオリジナルRDエリアを閉塞クローズするか,静止化(バックアップ閉塞)状態にしてください。

UNIXファイルシステムの場合,オリジナルRDエリア閉塞後,サーバキャッシュをディスクに書き出してください。

レプリカRDエリア

必ずpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にします。

副ボリュームの実体がないまたは非活動状態でHiRDBがアクセスすると,RDエリアが障害閉塞します。この場合,副ボリュームをアクセス可能にし閉塞解除すれば問題ありません。

5

ペアボリューム操作時のVG管理

ペア生成

ペア生成の前に,HDLMの物理ボリュームを登録し,副ボリュームのVGを再作成します

ペア分割

  • 副ボリュームのPVIDを変更します

  • 副ボリュームのVG情報を再作成します

  • 副ボリュームのVG情報を活動化します

〈手順〉

  1. pdhold -r orign -b

    オリジナルRDエリア静止化

  2. pairsplit

    ペアボリューム分割

  3. pairevtwait -s psus

    ペア分割の待ち合わせ

  4. dlmrecreatevg

    副ボリュームのVGの再作成

  5. dlmvaryonvg

    副ボリュームのVGを活動状態

  6. chown

    論理ボリューム情報再設定

  7. pdrels -r

    オリジナルRDエリアオリジナルRDエリア静止化解除

  8. pdrels -r レプリカRDエリア -o

    レプリカRDエリアの閉塞解除オープン

ペア再同期

  • 副ボリュームのVGを非活動にします

  • 副ボリュームのVGを削除します

〈手順〉

  1. pdhold -r レプリカRDエリア -c

    レプリカRDエリアの閉塞クローズ

  2. dlmvaryoffvg

    副ボリュームのVG 非活動

  3. dlmexportvg

    副ボリュームVG情報削除

  4. pairresync

    ペア再同期

  5. pairevtwait -s pair

    ペア状態の待ち合わせ

6

レプリカRDエリアのオープン属性

INITIAL

  • HiRDB起動時にレプリカRDエリアをオープンします。副ボリュームへアクセスできない場合は,レプリカRDエリアは障害閉塞します。

  • HiRDB稼働中(オンライン中)にボリュームの統合・分割を繰り返し実行するためには,RDエリアをコマンド閉塞かつクローズ状態にしたあとでpdpfreshコマンドを実行してください。

  • 副ボリュームをアクセス可能状態にし,pdrels -oで閉塞を解除しオープンしてください。

  • HiRDBが一度アクセスしたRDエリアをHiRDBから完全に切り離すためには,アクセスしたプロセスがすべて終了している必要があります。

DEFER

HiRDB稼働中(オンライン中)にボリュームの統合・分割を繰り返し実行するためには,RDエリアをコマンド閉塞かつクローズ状態にしたあとでpdpfreshコマンドを実行してください。

HiRDBが一度アクセスしたRDエリアをHiRDBから完全に切り離すためには,アクセスしたプロセスがすべて終了している必要があります。

SCHEDULE

pdpfreshコマンドを実行しなくても,HiRDB稼働中(オンライン中)にボリュームの統合・分割を繰り返し実行できます。システム共通定義(pdsys)に「pd_lv_mirror_use = Y」を指定すると,すべてのレプリカRDエリアのオープン属性を自動的に「SCHEDULE」属性にできます。

ただし,プロセスの開始時と終了時に,RDエリアのオープン・クローズ処理が毎回実行されます。レプリカRDエリアの閉塞解除時,オープン指定(pdrels -o)をするか,または閉塞なしのクローズ状態の場合はオープンコマンド(pdopen)を実行することで,オーバヘッドを削減できます。

RDエリアをコマンド閉塞かつクローズ状態にすることで,HiRDBから完全に切り離すことができます。

7

HiRDBの開始・終了

  • HiRDBの停止時のレプリカRDエリアの閉塞状態を次回のHiRDB開始時に引き継ぐためには,計画停止または強制停止してください。

  • ペア分割していない場合(副ボリュームにアクセスできない状態の場合)は,正常開始直後にpdhold -r replica -cでレプリカRDエリアをコマンド閉塞しておきます。業務やpddbls -r all -aコマンドの実行でレプリカRDエリアにアクセスさせないためです。

8

系切り替え

系切り替え運用の詳細については,マニュアル「高信頼化システム監視機能 HAモニタ」を参照してください。

手順については,マニュアル「高信頼化システム監視機能 HAモニタ」の「ShadowImageを使用する場合に副ボリュームを待機系に引き継ぐ」を参照してください。

9

オフラインでのペアボリューム操作

ペア再同期のリストア機能

副ボリュームからのデータ反映前に正ボリュームのVGを削除します。

リストア機能で副側からデータを反映後,ペア分割し,正ボリュームのVGを再作成してください。

UNIXファイルシステムの場合,リストア実行前にサーバキャッシュをディスクに書き出してください。

〈手順〉

  1. dlmvaryoffvg

    正ボリュームのVG 非活動

  2. dlmexportvg

    正ボリュームVG情報削除

  3. pairresync -restore

    ペア再同期(副→正コピー)

  4. pairevtwait -s pair

    ペア状態の待ち合わせ

  5. pairsplit

    ペア分割

  6. pairevtwait -s psus

    ペア分割の待ち合わせ

  7. dlmrecreatevg

    正ボリュームのVGの(再)作成正・活動状態

  8. chlv

    正ボリュームの論理ボリューム名を元に戻す

  9. chown

    オーナーの変更

(2) Linuxの場合

Linuxで日立ディスクアレイシステムのMRCF(Multiple RAID Coupling Feature)機能,またはShadowImage機能を使用する場合の注意事項および操作手順を次の表に示します。

表A‒4 日立ディスクアレイシステム MRCF機能,またはShadowImage機能使用上の注意事項および操作手順(Linux)

項番

項目

注意事項

補足および手順

1

ファイルシステム

ディスクはVG管理できません。そのため,ペア生成,ペア分離,およびペア再同期で,VG操作は不要です。

VxVMやVCSは,MRCF機能やShadowImage機能が未サポートのためです。

2

ボリュームペアの設定

オンライン性能との兼ね合いから,ペア生成コマンドのコピー速度オペランド(-c)に4以上の値を設定してください。「普通」(オンライン重視)で6〜10が目安です。

隠蔽モード(-m noread)を使用しないでください。

3

オンライン中のペアボリューム操作

-S指定のペア解除

正・副ボリュームに差分がある状態でペア状態の解除(-Sオプション)を指定すると,副ボリュームへ差分が反映されないで分割されるため,データベースの内容が不整合になります。分割前に,正・副ボリュームの内容が完全に一致していることを確認してください。

ペア再同期のリストア機能

HiRDB稼働中にリストア機能を使用しないでください。

オンライン再編成などの更新処理は,必ず正ボリューム側で実行してください。

副ボリュームから正ボリュームにデータをコピーする間はオリジナルRDエリアにアクセスできません。

4

ペアボリューム操作時のRDエリアの状態

オリジナルRDエリア

ペア分割時は正ボリュームのオリジナルRDエリアの更新内容が,完全にディスクへ反映されている必要があります。pdholdコマンドでオリジナルRDエリアを閉塞クローズするか,静止化(バックアップ閉塞)状態にしてください。

UNIXファイルシステムの場合,オリジナルRDエリア閉塞後,サーバキャッシュをディスクに書き出してください。

レプリカRDエリア

必ずpdholdコマンドで閉塞かつクローズ状態にします。

副ボリュームの実体がないまたは非活動状態でHiRDBがアクセスすると,RDエリアが障害閉塞します。この場合,副ボリュームをアクセス可能にして,閉塞を解除してください。

5

レプリカRDエリアのオープン属性

INITIAL

  • HiRDB起動時にレプリカRDエリアをオープンします。副ボリュームへアクセスできない場合は,レプリカRDエリアは障害閉塞します。

  • HiRDB稼働中(オンライン中)にボリュームの統合・分割を繰り返し実行するためには,RDエリアをコマンド閉塞かつクローズ状態にしたあとでpdpfreshコマンドを実行してください。

  • 副ボリュームをアクセス可能状態にし,pdrels -oで閉塞を解除しオープンしてください。

  • HiRDBが一度アクセスしたRDエリアをHiRDBから完全に切り離すためには,アクセスしたプロセスがすべて終了している必要があります。

DEFER

HiRDB稼働中(オンライン中)にボリュームの統合・分割を繰り返し実行するためには,RDエリアをコマンド閉塞かつクローズ状態にしたあとでpdpfreshコマンドを実行してください。

HiRDBが一度アクセスしたRDエリアをHiRDBから完全に切り離すためには,アクセスしたプロセスがすべて終了している必要があります。

SCHEDULE

pdpfreshコマンドを実行しなくても,HiRDB稼働中(オンライン中)にボリュームの統合・分割を繰り返し実行できます。システム共通定義(pdsys)に「pd_lv_mirror_use = Y」を指定すると,すべてのレプリカRDエリアのオープン属性を自動的に「SCHEDULE」属性にできます。

ただし,サーバプロセスの開始時と終了時に,RDエリアのオープン・クローズ処理が毎回実行されます。レプリカRDエリアの閉塞解除時,オープン指定(pdrels -o)をするか,または閉塞なしのクローズ状態の場合はオープンコマンド(pdopen)を実行することで,オーバヘッドを削減できます。

RDエリアをコマンド閉塞かつクローズ状態にすることで,HiRDBから完全に切り離すことができます。

6

HiRDBの開始・終了

  • HiRDBの停止時のレプリカRDエリアの閉塞状態を次回のHiRDB開始時に引き継ぐためには,計画停止または強制停止してください。

  • ペア分割していない場合(副ボリュームにアクセスできない状態の場合)は,正常開始直後にpdhold -r replica -cでレプリカRDエリアをコマンド閉塞しておきます。業務やpddbls -r all -aコマンドの実行でレプリカRDエリアにアクセスさせないためです。

7

系切り替え

系切り替え運用の詳細については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御」を参照してください。

系切り替え運用をするには,01-08以降のHAモニタが前提になります。

また,HiRDBシステム定義とHAモニタの環境の設定が必要になります(マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「HiRDBによる共有ディスクのアクセス制御」を参照)。