4.9.1 DECLARE CURSOR 形式1の形式と規則
- 〈この項の構成〉
(2) 使用権限
なし。
(3) 形式1<直接指定したカーソル指定に対するカーソルの宣言>
DECLARE カーソル名 CURSOR 〔WITH HOLD〕〔{WITH RETURN | WITHOUT RETURN}〕 FOR 〈カーソル指定 形式1〉 〈問合せ式〉 〈問合せ指定〉 {SELECT 〔{ALL|DISTINCT}〕{選択式〔,選択式〕…|*} 〈表式〉 FROM 表参照〔,表参照〕… 〔WHERE 探索条件〕 〔GROUP BY 値式〔,値式〕…〕 〔HAVING 探索条件〕 | 問合せ式 } 〔ORDER BY {列指定|ソート項目指定番号}〔{ASC|DESC}〕 〔,{列指定|ソート項目指定番号}〔{ASC|DESC}〕〕… 〕 〔LIMIT {〔オフセット行数,〕{リミット行数|ALL} | {リミット行数|ALL} 〔OFFSET オフセット行数〕}〕 〈排他オプション〉 〔〔{WITH {SHARE|EXCLUSIVE}LOCK |WITHOUT LOCK〔{WAIT|NOWAIT}〕}〕 〔{WITH ROLLBACK|NO WAIT}〕〕 〔FOR{UPDATE 〔OF列名〔,列名〕…〕〔NOWAIT〕|READ ONLY}〕 〔UNTIL DISCONNECT〕
(4) オペランド
(a) カーソル名
カーソルの名称を指定します。
UAP中に指定する場合は,SQLの予約語と同じ名称でも,引用符(”)で囲まないでください。ただし,SQLの予約語と同じ名称を手続き中に指定する場合は,引用符(”)で囲んでください。
カーソル名については,「名前の指定」を参照してください。
(b) 〔WITH HOLD〕
ホールダブルカーソルを使用する場合に指定します。
WITH HOLDは,UNTIL DISCONNECTを指定した場合の機能と同じなので,説明はUNTIL DISCONNECTを参照してください。また,この指定がUNTIL DISCONNECTと重複してもしなくても,機能差はありません。
(c) 〔{WITH RETURN | WITHOUT RETURN}〕
SQL手続き中のカーソル宣言で,そのカーソルの結果集合の返却可能性を指定します。
WITH RETURNを指定して宣言したカーソルを結果集合カーソルといいます。
SQL手続き中で宣言された結果集合カーソルを,開いた状態のまま手続きを終了すると,カーソルの結果集合を手続きの呼出し元に返却できます。
結果集合カーソルを宣言するSQL手続き定義のDYNAMIC RESULT SETS句には1以上の値を指定してください。
返却した結果集合の使用方法については,「結果集合返却機能」を参照してください。
(d) カーソル指定 形式1
問合せの内容を表すカーソルを指定します。
カーソル指定については「カーソル指定 形式1」を,問合せ式については「問合せ式」を,問合せ指定については「問合せ指定」を,表式については「表式」を,探索条件については「探索条件」を参照してください。
(f) 〔FOR{UPDATE 〔OF列名〔,列名〕…〕〔NOWAIT〕|READ ONLY}〕
FOR UPDATE 〔OF列名〔,列名〕…〕をFOR UPDATE句といいます。
- FOR UPDATE
-
カーソルを使用して検索中の表に対して,そのカーソルを使用した行の更新,又は削除をして,更にカーソルを使用しない行の更新,削除,又は追加をする場合に指定します。
指定したカーソルを使用して行を更新するUPDATE文,又は削除するDELETE文がモジュール中に含まれている場合に,FOR UPDATE OFを省略するとFOR UPDATEが仮定され,すべての列を更新,追加,又は削除できます。
カーソルを使用して検索中の表に対して,そのカーソル,及びほかのカーソルを使用した行の更新,削除がなく,カーソルを使用しない行の更新,削除,及び追加もしない場合は,オペランドを省略してください。SQL中の排他オプションを省略した場合,排他オプションはpd_isolation_levelの指定値,PDISLLVLの指定値,又はSQLコンパイルオプションで指定するデータ保証レベルの指定値によって決まりますが,PDFORUPDATEEXLOCKにYES,又はSQLコンパイルオプションのデータ保証レベルの後にFOR UPDATE EXCLUSIVEを指定することで,この指定のあるカーソルに対する排他オプションはWITH EXCLUSIVE LOCKに仮定されます。詳細については,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。
- OF列名〔,列名〕…
-
カーソルを使用して検索中の表に対して,そのカーソルを使用した検索行の更新だけをする場合に,更新する列を指定します。
SELECT文の選択式で指定していない列でも指定できます。ただし,同じ列を2回以上指定できません。また,予備列は指定できません。
カーソルを使用して検索中の表に対して,そのカーソル及びほかのカーソルを使用した行の更新,削除がなく,カーソルを使用しない行の更新,削除,及び追加もしない場合には,オペランドを省略してください。
指定する列名は,AS列名に指定した列名ではなく,最も外側の問合せ指定のFROM句に指定した表の列を指定します。
- 〔NOWAIT〕
-
FOR UPDATE句を指定し,かつ排他オプションにWITH EXCLUSIVE LOCK NO WAITを指定した場合と同じ動作をします。ただし,排他オプションを指定した場合,NOWAITは指定できません。
排他オプションにWITH EXCLUSIVE LOCK NO WAITを指定した場合の動作については,「排他オプション」を参照してください。
- FOR READ ONLY
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カーソルを使用して検索中にほかのカーソル,又は直接探索条件を指定して更新する場合に指定します。この指定は,検索中の更新が検索結果に影響を与えないようにするためです。
(g) 〔UNTIL DISCONNECT〕
この指定をしたときの機能は,WITH HOLDを指定した場合と全く同じです。また,この指定がWITH HOLDと重複してもしなくても,機能差は生じません。
なお,ホールダブルカーソルについては,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。
ホールダブルカーソルについての規則を次に示します。
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次の場合,ホールダブルカーソルは使用できません。
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ホールダブルカーソルに未対応のプラグイン※を使用した抽象データ型の列を指定した場合
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ホールダブルカーソルに未対応のプラグイン※を使用した関数呼出しを指定した場合
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ホールダブルカーソルに未対応のプラグイン※を使用した関数呼出しを指定して導出した,名前付きの導出表に対する問合せを指定した場合
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ON COMMIT DELETE ROWSを指定して定義した一時表に対する問合せ
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ホールダブルカーソルが開いている場合,定義系SQLは実行できません。
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ホールダブルカーソルを使用したSELECT文に対してOPEN文を実行後,そのSELECT文中で使用している表に対してPURGE TABLE文を実行すると,カーソルは閉じた状態になります。
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ホールダブルカーソルを使用したSELECT文に対してOPEN文を実行してからDISCONNECTするまでの間に,そのSELECT文中で使用している表に対して,ほかのユーザが定義系SQL文を発行すると,定義系SQLは排他待ちの状態になります。また,ホールダブルカーソルを使用したSELECT文に対する前処理が有効な間に,そのSELECT文中で使用している表に対して,ほかのユーザが定義系SQL文を発行すると,定義系SQLは排他待ちの状態になります。
- 注※
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プラグインのホールダブルカーソルへの対応状況については,ディクショナリ表SQL_PLUGINSのPLUGIN_HOLDABLE列で確認できます。ディクショナリ表SQL_PLUGINSについては,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。
(5) 共通規則
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宣言したカーソルは,閉じた状態になります。
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DECLARE CURSOR中のSELECT文で指定した埋込み変数,SQL変数,又はSQLパラメタの値は,カーソルを開いてからカーソルを閉じるまでこのカーソルのOPEN文実行時の値が有効です。値を変更したい場合は,いったんカーソルを閉じてから,再度開いてください。
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1個のUAPでは,最大1,023個のカーソルを宣言できます。
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カーソル指定又は排他オプション中に次のどれかの指定を含む場合は,そのカーソルを使用した更新及び削除はできません。また,FOR UPDATE句の指定もできません。
(5-a) UNION 〔ALL〕,又はEXCEPT〔ALL〕
(5-b) 最も外側の問合せ指定のFROM句に指定した表を,副問合せのFROM句に指定
(5-c) 最も外側の問合せ指定での表の結合
(5-d) 最も外側の問合せ指定でのFROM句の導出表
(5-e) 最も外側の問合せ指定でのSELECT DISTINCT
(5-f) 最も外側の問合せ指定でのGROUP BY句
(5-g) 最も外側の問合せ指定でのHAVING句
(5-h) 最も外側の問合せ指定に対する集合関数
(5-i) 最も外側の問合せ指定に対するウィンドウ関数
(5-j) 最も外側の問合せ指定のFROM句中で,次に示すどれかのビュー表を指定
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ビュー定義文で上記(5-a)〜(5-i)を指定して定義したビュー表
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ビュー定義文で最も外側の問合せ指定のSELECT句に,列指定以外の値式を指定して定義したビュー表
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ビュー定義文でREAD ONLYを指定したビュー表
(5-k) WITHOUT LOCK NOWAIT
(5-l) WITH句を指定した問合せ式本体の最も外側の問合せ指定のFROM句に問合せ名を指定
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そのカーソルを指定した行の更新,又は削除がある場合FOR READ ONLY句は指定できません。
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FOR READ ONLY句を指定した場合,次に示す制限があります。
(5-a) 選択式中に,結果が次のデータ型になるスカラ演算,関数呼出し,及びコンポネント指定は指定できません。
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BLOB
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最大長が32,001バイト以上のBINARY
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BOOLEAN
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抽象データ型
(5-b) 選択式中のWRITE指定の出力BLOB値には,列指定だけ指定できます。
(5-c) GET_JAVA_STORED_ROUTINE_SOURCE指定は指定できません。
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(6) 参照制約に関する規則
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ホールダブルカーソルを使用して,外部キーの定義されている表を検索している場合,検索中の表が検査保留状態となったときは,カーソルは閉じた状態になります。
(7) 留意事項
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カーソル名は,埋込み変数名と同様に,コンパイル単位のモジュール内で有効な名前であり,同じカーソルに対する複数のSQLを,複数のモジュールにわたって使用できません。
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カーソル宣言は,この宣言で使用したカーソル名を参照するどのSQL文よりも先行して記述する必要があります。
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DECLARE CURSORは実行文ではないため,SQLCODEにリターンコードは返されません。したがって,リターンコードの判定はしないでください。
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SQL最適化オプションの更新SQLの作業表作成抑止を適用して,更にインデクスキー値無排他機能を使用すると,FOR UPDATE又はFOR UPDATE OFを指定しないカーソルの使用中に,行の更新,追加,又は削除ができます。
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FOR READ ONLYを指定している場合,HiRDBが作業表を作成することがあります。このとき,作業表の行長によっては,FOR READ ONLYの処理が制限されることがあります。作業表の行長については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。
(8) 使用例
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在庫表(ZAIKO)から,行を1行ずつ取り出すためにカーソル(CR1)を宣言します。
DECLARE CR1 CURSOR FOR SELECT SCODE,SNAME,COL,TANKA,ZSURYO FROM ZAIKO
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在庫表(ZAIKO)から,単価(TANKA)が5,000円以上の行を1行ずつ取り出すためにカーソル(CR1)を宣言します。
DECLARE CR1 CURSOR FOR SELECT * FROM ZAIKO WHERE TANKA >= 5000
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在庫表(ZAIKO)から,カーソル(CR1)を使用してすべての行を検索しながら単価(TANKA)を1割引にし,更に行を挿入します。
DECLARE CR1 CURSOR FOR SELECT * FROM ZAIKO FOR UPDATE OPEN CR1 FETCH CR1 INTO <各列を取り出す変数名> UPDATE ZAIKO SET TANKA = <単価の1割引の値> WHERE CURRENT OF CR1 INSERT INTO ZAIKO VALUES(<各列の挿入値>) CLOSE CR1
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在庫表(ZAIKO)から,カーソル(CR1)を使用してすべての行を検索しながら単価(TANKA)を1割引にします。
DECLARE CR1 CURSOR FOR SELECT * FROM ZAIKO FOR UPDATE OF TANKA OPEN CR1 FETCH CR1 INTO <各列を取り出す変数名> UPDATE ZAIKO SET TANKA = <単価の1割引の値> WHERE CURRENT OF CR1 CLOSE CR1
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在庫表(ZAIKO)からカーソル(CR1)を使用してすべての行を検索中に,カーソルを使用しないで,直接商品名(SNAME)がセーターの行を削除します。
DECLARE CR1 CURSOR FOR SELECT * FROM ZAIKO FOR READ ONLY OPEN CR1 FETCH CR1 INTO <各列を取り出す変数名> DELETE FROM ZAIKO WHERE SNAME=N’セーター’ CLOSE CR1