9.12.1 時刻を遅らせる方法
時刻を遅らせる場合,次の二つの方法があります。システムの運用に応じてどちらかを選択してください。
- 方法1:
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時刻を遅らせた時間(例えば,1時間遅らせた場合は,1時間)が経過するのを待ってからHiRDBを開始する方法です。次のような場合にこの方法を選択してください。
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時刻を遅らせた時間が経過するのを待つ間,サービスを停止できる
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時刻を遅らせた時間が短時間である
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NetBackup連携機能を使用してバックアップ取得及び回復をしている
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- 方法2:
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時刻を遅らせた時間が経過するのを待たない方法です。ただし,HiRDBが持つ日付・時刻情報に影響がないように対処しながら時刻を遅らせる必要があります。サービス停止時間を短くする必要がある場合にこの方法を選択してください。
なお,これらの方法で時刻を遅らせる場合,HiRDBの運用に支障をきたさないように対処する必要があります。対処が必要な条件,対処,及び対処を誤った場合の影響を次の表に示します。
対処が必要な条件 |
時刻を遅らせる方法 |
対処 |
対処を誤ったときの影響 |
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HiRDB Datareplicatorのデータ抽出機能を使用している場合 |
方法1及び方法2 |
HiRDB Datareplicatorは,システムログ中の時刻情報を参照しています。そのため,時刻を遅らせることでHiRDB Datareplicatorが誤動作しないよう対処します。 |
反映側のデータベースが破壊されるなどの障害が発生するおそれがあります。 |
アンロードレスシステムログ運用をしている場合 |
方法1及び方法2 |
ログポイントを取得するため,時刻を遅らせた後で-zオプション指定でデータベース複写ユティリティ(pdcopy)を実行することで対処します。 |
ログポイントを取得していないと,障害が発生したときに,最新の状態まで回復できません。 |
pdcatコマンドでメッセージログファイルを表示している場合 |
方法2 |
メッセージログファイルは,HiRDBが出力したメッセージを時系列に記録するファイルです。pdcatコマンドはメッセージログファイルを読み込み,時刻順に表示します。時刻を遅らせることで,時刻が不正になり,pdcatコマンドの表示結果が不正にならないよう対処します。 |
時刻を遅らせる以前のメッセージをHiRDBで参照できなくなります。 |
統計情報を取得している場合 |
方法2 |
統計ログファイルに出力される統計情報が,時刻を遅らせることで時刻順に並ばなくなります。統計解析ユティリティ(pdstedit)による統計情報の集計結果が不正にならないよう対処します。 |
時刻を遅らせる以前の統計情報を解析できなくなります。 |
方法2で時刻を遅らせた場合 |
方法2 |
時刻を遅らせる前にシステムログファイルをアンロードしたり,アンロードしたファイルを退避し,削除する必要があります。 |
障害発生時の回復ができなくなります。 |
時刻を遅らせた後で,HiRDBの障害に備えてバックアップを取得し,システムログファイル及びシンクポイントダンプファイルを初期化する必要があります。 |
時刻を遅らせた後で障害が発生した場合,時刻を遅らせた後の状態に回復できなくなります。 |