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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(Windows(R)用)


26.16.1 系が切り替わった後に行うこと

IPアドレスを引き継ぐ場合は現用系と予備系のホスト名(仮想ネットワーク名)が同じであるため,系切り替えが発生しても特に運用は変わりません。IPアドレスを引き継がない場合は現用系と予備系のホスト名が異なるため,次に示す運用が必要になります。

1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合も次に示す運用が必要になります。また,影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合も,IPアドレスを引き継ぎません。サーバごとに切り替え先が異なるため,切り替え後は切り替え先のホスト名を使用します。このため,次に示す運用が必要です。

〈この項の構成〉

(1) 運用コマンド及びユティリティ

(a) スタンバイ型系切り替え機能,又は1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合

  • 系が切り替わった後も,運用コマンドやユティリティに指定するホスト名又はユニット識別子を変更する必要はありません。ホスト名には現用系(又は正規BESユニット)のホスト名を常に指定します。pdunitオペランドの-xオプションで指定したホスト名を指定します。

  • できるだけユニット識別子を指定してください。そうすれば,ホスト名を意識する必要がありません。

  • HiRDB/シングルサーバの場合は,運用上のトラブルを避けるためホスト名を省略することをお勧めします。

  • 運用コマンドの処理結果には現用系のホスト名が表示されることがあります。1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合は代替BESユニットのホスト名が表示されます。

(b) 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合

サーバが稼働中の場合は系切り替えが発生すると,障害ユニットに定義されている各サーバは受け入れユニットに属するサーバとして運用する必要があります。サーバごとに切り替え先が異なるため,系切り替えが発生すると正規ユニット単位の運用はできません。

このため,運用コマンドを発行する場合には,次の表に示す指定値を指定します。

表26‒85 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での運用コマンドの指定値

コマンド種別

指定値

切り替え前

切り替え後

ホスト名指定コマンド

正規ユニット側のホスト名

受け入れユニット側ホスト名

ユニット識別子指定コマンド

正規ユニットのユニット識別子

受け入れユニットのユニット識別子

サーバ名指定コマンド

操作対象サーバ名

操作対象サーバ名

ホスト名を指定した運用,及びユニット識別子を指定した運用では系切り替え前後で処理対象が異なります。したがって,影響分散スタンバイレス型系切り替え機能ではサーバ名指定の運用を推奨します。

運用コマンドの処理結果にホスト名が表示される場合,受け入れユニット側のホスト名が表示されます。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での運用コマンドオプション指定時の実行対象を次の表に示します。ただし,pdstartコマンド,及びpdstopコマンドは,表とは異なります。pdstart,pdstopコマンドについては,「HiRDBの運用方法の違いは?」を参照してください。

表26‒86 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能での運用コマンドオプション指定時の実行対象

オプション

条件

コマンド動作モード

コマンドの実行対象

-u

-s

システムマネジャのあるユニット

対象サーバ

なし

なし

システム(又は,システム内全実行バックエンドサーバ)

あり

オフライン

オフライン

正規ユニットでの現用系のバックエンドサーバとしての指定サーバ

オンライン

オフライン

オフライン

正規ユニットでの現用系のバックエンドサーバとしての指定サーバ

オンライン

オンライン

実行ユニットでの実行バックエンドサーバとしての指定サーバ

あり

なし

指定ユニット(又は,指定ユニット内全実行バックエンドサーバ)

ホスト

オフライン

オフライン

指定正規ユニットでのホストBESとしての指定サーバ

オンライン

オフライン

オフライン

指定正規ユニットでのホストBESとしての指定サーバ

オンライン

オンライン

実行ユニットでの実行BESとしての指定サーバ(-u指定を無視します)

ゲスト

オフライン

オフライン

指定受け入れユニットでのゲストBESとしての指定サーバ

オンライン

オフライン

オフライン

指定受け入れユニットでのゲストBESとしての指定サーバ

オンライン

オンライン

実行ユニットでの実行バックエンドサーバとしての指定サーバ(-u指定を無視します)

(凡例) −:該当しません。

注※ 

システムマネジャのないユニットにサブコマンドを入力するときに実行系を決定するためのモードです。

(2) メッセージ

スタンバイ型系切り替え機能の場合,メッセージには現用系のホスト名が表示されることがあります。

1:1スタンバイレス型系切り替え機能の場合,正規BESユニットに対する処理のメッセージには正規BESユニットのホスト名又はユニット識別子が表示されます。

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能の場合,メッセージは受け入れユニット側のホスト名が表示されます。

(3) 統計情報の取得

系が切り替わった後の統計情報の取得処理については,「系が切り替わった後の統計情報の取得処理」を参照してください。

(4) クライアント環境定義(スタンバイ型系切り替え機能限定)

(a) HiRDB/シングルサーバの場合

PDHOSTオペランドに現用系のホスト名だけを指定した場合にここで説明する運用が必要です。PDHOSTオペランドに現用系及び予備系の二つのホスト名を指定した場合は必要ありません。

PDHOSTオペランドには接続するHiRDBのホスト名を指定するため,系が切り替わった場合にPDHOSTオペランドの指定を実行系のホスト名に変更する必要があります。したがって,系が切り替わった場合,HiRDB管理者はクライアントユーザにHiRDBのホスト名が替わったことを知らせてください。クライアントユーザはPDHOSTオペランドの指定を変更してください。その後,UAPを再実行してください。この操作をしないとUAPを実行できません。PDHOSTオペランドについては,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。

(b) HiRDB/パラレルサーバの場合

次に示すオペランドに現用系のホスト名だけを指定した場合にここで説明する運用が必要です。次に示すオペランドに現用系及び予備系の二つのホスト名を指定した場合は必要ありません。

  • PDHOST

  • PDFESHOST(マルチフロントエンドサーバを使用する場合)

これらのオペランドには接続するHiRDBのホスト名(PDHOSTにはシステムマネジャのホスト名をPDFESHOSTにはフロントエンドサーバのホスト名を指定します)を指定するため,系が切り替わった場合にオペランドの指定を実行系のホスト名に変更する必要があります。したがって,系が切り替わった場合,HiRDB管理者はクライアントユーザにHiRDBのホスト名が替わったことを知らせてください。クライアントユーザはこれらのオペランドの指定を変更してください。その後,UAPを再実行してください。この操作をしないとUAPを実行できません。PDHOST及びPDFESHOSTオペランドについては,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。

備考
  • システムマネジャのユニットに系切り替えが発生したときだけ,PDHOSTオペランドの指定を変更する必要があります。

  • フロントエンドサーバのユニットに系切り替えが発生したときだけ,PDFESHOSTオペランドの指定を変更する必要があります。

  • システムマネジャ又はフロントエンドサーバを定義していないユニットの系切り替えが発生しても,PDHOST及びPDFESHOSTオペランドの指定を変更する必要はありません。