13.15.3 例題3 RDエリアを年月単位に循環させて割り当てる場合(マトリクス分割ではない場合)
ハッシュ関数HASH0を使用して,JUTYU表に2011年5月〜9月の最新5か月のデータを保持している状態で,最も古い2011年5月の1か月分のデータをRDエリア単位に削除し,新しい2011年10月のデータを格納する例を説明します。
RDエリアを年月単位に循環させて割り当てる方法(マトリクス分割ではない場合)の例を次の図に示します。
注1 RDエリア名の(m)は,分割条件指定順序を示しています。
注2 JUTYU表は,次のように定義されているものとします。
CREATE TABLE JUTYU (DNO CHAR(6), TCODE CHAR(5), SCODE CHAR(4), JDATE CHAR(8) NOT NULL) FIX HASH HASH0 BY JDATE IN (RDA1,RDA2,RDA3,RDA4,RDA5)
- 〈この項の構成〉
(1) 削除対象の2011年5月のデータが格納されているRDエリア名を特定します
次のどちらかの方法でRDエリア名を特定します。
(a) 表分割ハッシュ関数p_rdb_dbhashを使用する方法
(i) 表分割ハッシュ関数の実行
HiRDBが提供する表分割ハッシュ関数を使用して,削除対象の2011年5月のデータが格納されているRDエリア名を特定します。表分割ハッシュ関数の引数を次に示します。なお,表分割ハッシュ関数については,マニュアル「HiRDB UAP開発ガイド」を参照してください。
項番 |
引数 |
指定値 |
---|---|---|
1 |
hashcode(ハッシュ関数コード) |
p_rdb_HASH0(100) |
2 |
ncol(分割キーの列数) |
1 |
3 |
collst(分割キーの指定順序とデータ型コード,データ長コード) |
データ型コード:PDSQL_CHAR データ長コード:8 |
4 |
dadlst(分割キーに格納するデータ) |
項番3のデータ型の値 |
5 |
ndiv(表の分割数) |
5 |
6 |
ncspace(HiRDBサーバで使用する各国文字の全角空白文字) |
ncspace[0]:0x81 ncspace[1]:0x40 |
7 |
flags(空白変換レベル,DECIMAL型の符号正規化機能の使用有無) |
0 |
8 |
rdno(分割条件指定順序,又は分割キー内通番) |
なし |
- 注
-
文字コード種別,空白変換レベル,及びDECIMAL型の符号正規化機能は,すべて省略しているものとします。
上記の表分割ハッシュ関数を実行すると,分割条件指定順序としてrdno=1が返ってきます。
(ii) SQLの実行
表分割ハッシュ関数の結果を基に,次のSQLを実行し,RDエリア名を特定します。
SELECT RDAREA_NAME FROM MASTER.SQL_DIV_TABLE WHERE TABLE_SCHEMA='USER1' /* ユーザ名 */ AND TABLE_NAME='JUTYU' /* ハッシュ分割表名 */ AND DIV_NO=1 /* 分割条件指定順序 */
上記のSQLを実行すると,次に示すように削除対象のRDエリア名としてRDA1が返ってきます。
RDAREA_NAME ------------------------------ RDA1
(b) CREATE PUBLIC FUNCTIONを定義しておく方法
(i) CREATE PUBLIC FUNCTIONの定義
ハッシュ関数HASH0の場合,次のSQLをあらかじめ定義しておくことでRDエリアを特定できます。
CREATE PUBLIC FUNCTION HASH0 (DIVKEY VARCHAR(8)※, /* ‘YYYYMMDD’ 又は ‘YYYYMM’ */ NDIV INT) /* 分割列数 */ RETURNS INT BEGIN DECLARE DIVDATE DATE; SET DIVDATE = CASE LENGTH(DIVKEY) WHEN 6 THEN DATE(SUBSTR(DIVKEY,1,6)||'01','YYYYMMDD') ELSE DATE(DIVKEY,'YYYYMMDD') END; RETURN MOD(YEAR(DIVDATE)*12+MONTH(DIVDATE), NDIV)+1; /* 戻り値 */ END END_FUNC;
- 注※
-
列のデータはCHAR(8)ですが,パラメタはVARCHARでなければ文字列定数を指定した呼び出しができません。
(ii) SQLの実行
次のSQLで,2011年5月のデータがどこに入っているのかを検索します。
SELECT RDAREA_NAME FROM MASTER.SQL_DIV_TABLE WHERE TABLE_SCHEMA='USER1' /* ユーザ名 */ AND TABLE_NAME='JUTYU' /* ハッシュ分割表名 */ AND DIV_NO=HASH0('20110501',5); /* RDエリア定義順序 */
上記のSQLを実行すると,次に示すように削除対象のRDエリア名としてRDA1が返ってきます。
RDAREA_NAME ------------------------------ RDA1
(2) pdholdコマンドでアンロード対象RDエリアを閉塞します
pdhold -r RDA1
(3) pdrorgコマンドでJUTYU表のRDA1のデータをアンロードします
pdrorg -k unld -t JUTYU -r RDA1 unload_control_file
- 〔説明〕
-
-k:アンロードをするためunldを指定します。
-t:アンロードする表の名称を指定します。
-r:特定のRDエリアだけアンロードするため,対象となるRDエリア名を指定します。
unload_control_file:pdrorgコマンドの制御情報ファイル名を指定します。制御情報ファイルの内容を次に示します。
unload bes1:C:\pdrorg\unload_file /* bes1:アンロードデータファイルがあるサーバの名称 */ /* C:\pdrorg\unload_file:アンロードデータファイルの名称 */
(4) pdloadコマンドでRDA1に対して0件のデータロードをします
最も古い2011年5月のデータ(RDA1のデータ)を削除するため,0件のデータロードを実行します。
pdload -d JUTYU load_control_file
- 〔説明〕
-
-d:既存のデータを削除してからデータロードをするために指定します。
JUTYU:データロードする表の名称を指定します。
load_control_file:pdloadコマンドの制御情報ファイル名を指定します。制御情報ファイルの内容を次に示します。
source RDA1 bes1:C:\pdload\load_file /* RDA1:0件のデータをデータロードするRDエリアの名称 */ /* bes1:ロードする0件データファイルがあるサーバの名称 */ /* C:\pdload\load_file:ロードする0件データファイルの名称 */
分割表に,分割していない非分割インデクスを定義している場合,pdloadコマンド実行後に非分割インデクスを一括作成してください。
(5) pdrelsコマンドでRDエリアの閉塞を解除します
pdrels -r RDA1
コマンドの実行後,UAPなどで2011年10月のデータを挿入すると,RDA1にデータが格納されます。
なお,コマンドの実行後,実行結果が正しいかどうか確認することをお勧めします。コマンドの実行結果の確認方法については,マニュアル「HiRDB コマンドリファレンス」を参照してください。