Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


26.5.6 パブリッククラウド環境でHAモニタを使用する場合に関する準備

ここでは,次のパブリッククラウド環境を使用している場合にこの項をお読みください。

〈この項の構成〉

(1) 動作環境

(a) Amazon Web Services環境上にクラスタ構成を適用する場合

次の製品を用意する必要があります。

レプリケーションソフトウェアを使用する場合
  • HAモニタ

  • DRBD(Distributed Replicated Block Device)

また,各Amazon EC2インスタンスごとに次のストレージを配置する必要があります。

  • Amazon EBS(Amazon Elastic Block Store)

共有ディスクを使用する場合
  • HAモニタ

また,各インスタンスから次のストレージを共有する必要があります。

  • EBSマルチアタッチを使用したAmazon EBS(Amazon Elastic Block Store)

(b) Microsoft Azure環境上にクラスタ構成を適用する場合

次の製品を用意する必要があります。

レプリケーションソフトウェアを使用する場合
  • HAモニタ

  • DRBD(Distributed Replicated Block Device)

また,各Azure VMごとに次のストレージを配置する必要があります。

  • Azure Storage

共有ディスクを使用する場合
  • HAモニタ

また,次のストレージを配置する必要があります。

  • Azure共有ディスクを使用したAzure Storage

注※

各インスタンスからAzure共有ディスクを共有してください。Azureマネージドディスクのローカル冗長ストレージ(LRS)だけ使用できます。

(c) OCI環境上にクラスタ構成を適用する場合

次の製品を用意する必要があります。

  • HAモニタ

また,各インスタンスから次のストレージを共有する必要があります。

  • ブロック・ボリューム

(2) クラスタ構成概要

Amazon Web Services環境上及びMicrosoft Azure環境上にレプリケーションソフトウェアを使用してクラスタ構成を適用する場合の概要を次の図に示します。

図26‒100 Amazon Web Services環境上のレプリケーションソフトウェアを使用したクラスタ構成概要図

[図データ]

図26‒101 Microsoft Azure環境上のレプリケーションソフトウェアを使用したクラスタ構成概要図

[図データ]

〔説明〕

業務処理中の実行系に障害が発生すると,ほかの実行系に障害の発生が通知されて系が切り替わり,障害の発生していない実行系のゲスト用領域でBESが稼働して業務処理を続行します。

ストレージ(Amazon EBS又はAzure Storage)に対して更新すると,DRBDは更新内容をほかの実行系に送信し,各ストレージにレプリケーションします。そのため,実行系の障害によって系が切り替わった場合,障害発生直前の状態から業務を続行できます。障害が発生して系が切り替わった場合は,レプリケーションするノード間で同期が取れているかどうかを確認してください。もし,同期が取れていない場合は再同期処理を実施し,同期がとれたことを確認した上で移動先の実行系を再起動してください。同期状況の確認,及び同期処理の手順については,DRBDのマニュアルを参照してください。

注※

同期がとれていない状態で,既に障害を回復した実行系を起動している場合はいったん停止した上で,再同期処理を実施してください。その後,同期がとれたことを確認した上で障害を回復した実行系を起動してください。

Amazon Web Services環境上に共有ディスクを使用してクラスタ構成を適用する場合の概要を次の図に示します。

図26‒102 Amazon Web Services環境上の共有ディスクを使用したクラスタ構成概要図

[図データ]

〔説明〕

業務処理中の実行系に障害が発生すると,ほかの実行系に障害の発生が通知されて系が切り替わり,障害の発生していない実行系のゲスト用領域でBESが稼働して業務処理を続行します。

OCI環境上にクラスタ構成を適用する場合の概要を次の図に示します。

図26‒103 OCI環境上のクラスタ構成概要図

[図データ]

〔説明〕

業務処理中の実行系に障害が発生すると,ほかの実行系に障害の発生が通知されて系が切り替わり,障害の発生していない実行系のゲスト用領域でBESが稼働して業務処理を続行します。

(3) DRBDに関する設定項目

DRBDを使用する場合にお読みください。

DRBDを設定するにあたり,HiRDBに関連するオペランドの指定値について説明します。なお,詳細については,DRBDのマニュアルを参照してください。設定したDRBDのリソース名はHAモニタの設定項目に指定します。

DRBDコマンドでDRBDリソースを有効化した後,deviceオプションに指定したデバイス(/dev/drbd1など)にHiRDBファイルシステム領域を作成してください。

すべてのHiRDBファイルシステム領域を作成した後,DRBDの初期同期を実施し,レプリケーションするノード間でデータを一致させてください。

(a) DRBD設定ファイルの指定例

DRBD設定ファイルの指定例を次に示します。

●/etc/drbd.d/global_common.conf

global {
  usage-count no;
}
common {
  disk {
    on-io-error detach;
  }
  options {
    on-no-data-accessible io-error;
  }
net {
    protocol C;
  }
}

●/etc/drbd.d/drbd01.res(リソース名::drbd01,2ノード構成の場合)

resource drbd01 {
  volume 0 {
    device    /dev/drbd1;
    disk      /dev/xvdf1;
    meta-disk internal;
  }
  on HiRDB-host1 {
    address   10.1.1.31:7789;
  }
  on HiRDB-host2 {
    address   10.1.2.32:7789;
  }
}

●/etc/drbd.d/drbd01.res(リソース名::drbd01,3ノード構成の場合)

resource drbd01 {
  volume 0 {
    device    /dev/drbd1;
    disk      /dev/xvdf1;
    meta-disk internal;
  }
  on HiRDB-host1 {
    address   10.1.1.31:7789;
    node-id   0;
  }
  on HiRDB-host2 {
    address   10.1.2.32:7790;
    node-id   1;
  }
  on HiRDB-host3 {
    address   10.1.2.33:7791;
    node-id   2;
  }
  connection-mesh {
    hosts HiRDB-host1 HiRDB-host2 HiRDB-host3
  }
}

(b) disk-barrier,disk-flushes,disk-drainオプション

DRBDのデフォルト値を推奨します。

なお,すべてのオプションを無効にすると,書き込み順序が保証されないため,すべてのオプションを無効にしないでください。

(c) on-io-errorオプション

detachを指定します。

(d) on-no-data-accessibleオプション

io-errorを指定します。

(e) protocolオプション

B,又はCを指定します。

(f) allow-two-primariesオプション

このオプションは指定しないでください。

(g) deviceオプション

DRBDでレプリケーションするブロックデバイス(指定例では/dev/drbd1)を指定します。

(h) diskオプション

DRBDのデバイスを構成するブロックデバイス(指定例では/dev/xvdf1)を指定します。複数のブロックデバイスを使用する場合は,UUIDなどOS再起動後に同じパス名となる値を指定してください。

(i) host-nameオプション

レプリケーション対象のホスト名(指定例ではHiRDB-host1,HiRDB-host2など)を指定します。

(j) addressオプション

レプリケーション対象のIPアドレス,及び任意のポート番号を指定します。

(4) HAモニタに関する設定項目(sysdef定義ファイル)

HAモニタを設定するにあたり,HiRDBに関連するオペランドの指定値について説明します。

なお,そのほかのオペランドや詳細については,次のマニュアル,又は該当する箇所を参照してください。

(a) public_cloudオペランド

useを指定してください。

(5) HAモニタに関する設定項目(servers定義ファイル)

HAモニタを設定するに当たり,HiRDBに関連するオペランドの指定値について説明します。

なお,そのほかのオペランドや詳細については,次のマニュアル,又は該当する箇所を参照してください。

(a) rep_deviceオペランド

DRBDを使用する場合,「DRBDに関する設定項目」でHiRDBファイルシステム領域を作成したレプリケーションディスクを指定しているDRBDリソース名(「DRBDに関する設定項目」の指定例ではdrbd01)を指定してください。

(b) diskオペランド

HAモニタによるディスクのアクセス制御をする場合に指定してください。

HAモニタによるディスクのアクセス制御を行わない(diskオペランドを指定しない)場合は,「共有ディスクのアクセス制御」を参照して必要なオペランドを設定してください。

(6) OCI環境でブロック・ボリュームを使用する場合の設定

マニュアル「高信頼化システム監視機能 HAモニタ パブリッククラウド編」を参照して,共有ディスクとして使用するブロック・ボリュームを設定してください。