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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


26.2.5 HAモニタに関する準備

クラスタソフトウェアにHAモニタを使用している場合にこの項をお読みください。ここでは,次に示すHAモニタの定義ファイルのうち,HiRDBに関連するオペランドの指定値の目安について説明します。

これらの定義文の各オペランド,これらの定義文を格納するファイルのパス名,及びHAモニタの環境設定については,マニュアル「高信頼化システム監視機能 HAモニタ」を参照してください。

〈この項の構成〉

(1) sysdef定義ファイル

(a) servmaxオペランド

このオペランドはHAモニタのバージョンが01-08以降の場合に指定できます。

HAモニタの系切り替え対象のサーバで,一つのサーバマシン上で同時に実行又は待機状態として起動できるサーバの最大数を16又は64で指定します。

16:同時に起動できるサーバの最大数を16に設定します。

64:同時に起動できるサーバの最大数を64に設定します。

一つのサーバマシン上で系の切り替え単位であるサーバ数が16を超える場合は64を指定してください。

HAモニタの系切り替え対象のサーバ数は,HiRDB以外の系切り替え対象製品を含めた値です。HiRDBでは系切り替え対象のサーバ数を次の計算で求めます。

  • 一つのサーバマシン上で動作するスタンバイ型系切り替えの実行系ユニット数と待機系ユニット数の合計数

  • 一つのサーバマシン上で動作する1:1スタンバイレス型系切り替えの正規BESユニット数と代替BESユニット数の合計数

  • 一つのサーバマシン上で動作する影響分散スタンバイレス型系切り替えのホストBES数とゲスト用領域数の合計数

(b) multistandbyオペランド

このオペランドはHAモニタのバージョンが01-08以降の場合に指定できます。

一つの実行系に対して複数の待機系を定義できる,マルチスタンバイ機能を使用するかどうかを指定します。

  • use:マルチスタンバイ機能を使用します。

  • nouse:マルチスタンバイ機能を使用しません。

multistandbyオペランドの指定値の目安を次の表に示します。

表26‒13 multistandbyオペランドの指定値の目安

系切り替え機能の環境

multistandbyオペランドの指定値

IPアドレスを引き継がない場合

IPアドレスを引き継がない場合はマルチスタンバイ構成を適用できません。

IPアドレスを引き継ぐ場合

マルチスタンバイ構成を適用する場合はuseを指定します。

useを指定した場合,server定義文のstandbypriオペランドで待機系の優先度を指定してください。

(2) servers定義ファイル

(a) acttypeオペランド

モニタモードの場合はこのオペランドにmonitorを指定してください。

(b) nameオペランド

HiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)を開始するコマンド(シェル)を絶対パス名で指定します。HAモニタから引き継がれる環境変数がHiRDB開始コマンドの環境変数として適切でないと正しく動作しません。そのため,ユーザコマンド(シェル)で実行環境を変更した後に次に示すコマンドを発行してください。

  • $PDDIR/bin/pdstart(HiRDB/シングルサーバの場合)

  • $PDDIR/bin/pdstart -q(HiRDB/パラレルサーバの場合)

    注※ 系切り替え機能使用時のHiRDB/パラレルサーバのユニットを開始するコマンドです。

HiRDB/シングルサーバの場合のユーザコマンド(シェル)の作成例を次に示します。

(例)
PDDIR=/HiRDB_S
PATH=/bin:/usr/bin:/usr/ucb:$PDDIR/bin
PDCONFPATH=$PDDIR/conf
SHLIB_PATH=$PDDIR/lib
export PATH PDDIR PDCONFPATH SHLIB_PATH
$PDDIR/bin/pdstart

(c) termcommandオペランド

このオペランドには,次に示す場合にHiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)を終了するコマンド(シェル)を絶対パス名で指定します

  • 連動系切り替えをする場合

  • HAモニタのmonendコマンドだけでHiRDBを終了させたり,monswapコマンドだけでHiRDBを計画系切り替えしたりする場合

注※

強制終了になります。通常の終了運用はpdstopでHiRDBを終了した後にmonendコマンドを実行します。

HAモニタから引き継がれる環境変数がHiRDBの終了コマンドの環境変数として適切でないと正しく動作しません。そのため,ユーザコマンド(シェル)で実行環境を変更した後に次に示すコマンドを発行してください。

  • $PDDIR/bin/pdstop又は$PDDIR/bin/pdstop -f -q:HiRDB/シングルサーバの場合

  • $PDDIR/bin/pdstop -z -q:HiRDB/パラレルサーバの場合

HiRDB/シングルサーバの場合のユーザコマンド(シェル)の作成例を次に示します。

(例)
PDDIR=/HiRDB_S
PATH=/bin:/usr/bin:/usr/ucb:$PDDIR/bin
PDCONFPATH=$PDDIR/conf
SHLIB_PATH=$PDDIR/lib
export PATH PDDIR PDCONFPATH SHLIB_PATH
$PDDIR/bin/pdstop
参考
  • このオペランドを指定してHiRDBの停止処理中にHAモニタのmonswapコマンドを入力すると,pdstopコマンドがエラー(停止中にpdstopが入力された)になります。このとき,エラーメッセージを出力しますが異常ではありません。

  • 再開始に失敗した場合に実行するコマンド(pd_ha_restart_failureオペランドで指定)を定義したときにも,同様にpdstopコマンドがエラーになります。

(d) aliasオペランド

HAモニタを適用したシステムで一意となる識別名を指定します。現用系と予備系とで同じ識別名にする必要があります。

スタンバイ型系切り替え機能の場合は,HiRDBのユニット識別子を推奨します。

(e) diskオペランド

HiRDBファイルシステム領域を作成したDISK領域(ボリュームグループ及びパーティション)の名称を指定します。詳細については,マニュアル「高信頼化システム監視機能 HAモニタ」を参照してください。

(f) lan_updownオペランド

IPアドレスを引き継ぐ場合

aliasオペランドの値.upファイル,又はサーバ識別名.downファイルに引き継ぎ対象のIPアドレスを指定して,ネットワークをup/downさせてください。この場合,lan_updownオペランドにuseを指定してください。

IPアドレスを引き継がない場合

実行系及び待機系HiRDB(又はユニット)の開始前に,pdunitオペランドの-x及び-cオプションに指定したIPアドレスを起動しておいてください。HAモニタ用のaliasオペランドの値.upファイルや,aliasオペランドの値.downファイルには,pdunitオペランドの-x又は-cオプションに指定したIPアドレスを指定しないでください。クライアント接続用IPアドレスを引き継ぐ場合は,クライアント接続用IPアドレスを指定してください。なお,クライアント接続用IPアドレスなどの引き継ぐIPアドレスがない場合は,HAモニタのserver定義文のlan_updownオペランドにnouseを指定するか,又はaliasオペランドの値.upファイルとaliasオペランドの値.downファイルを削除してください。

(g) groupオペランド

連動系切り替えをする場合にこのオペランドを指定します。系切り替え対象のサーバがHiRDBだけの場合はこのオペランドを指定する必要はありません。このオペランドにはサーバグループ名称を指定します。指定の目安を次に示します。

  • OpenTP1と連動系切り替えをする場合は,同じ系のOpenTP1について指定したサーバ対応の環境を設定する定義ファイルと同じ値を指定します。

  • HiRDB Datareplicatorと連動系切り替えをする場合は,同じ系のHiRDB Datareplicatorについて指定したサーバ対応の環境を設定する定義ファイルと同じ値を指定します。

(h) initialオペランド

現用系にはonlineを予備系にはstandbyを指定します。

(i) standbypriオペランド

このオペランドはHAモニタのバージョンが01-08以降の場合に指定できます。

HAモニタのマルチスタンバイ機能を使用して,マルチスタンバイ構成で運用する場合(sysdef定義ファイルのmultistandbyオペランドにuseを指定する場合),このオペランドで待機系の優先度を指定します。