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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


26.1.1 系切り替え機能とは

業務処理中のHiRDBに障害が発生した場合,待機用のHiRDBに業務処理を自動的に切り替えて運用できます。これを系切り替え機能といいます。業務処理が中断するのは障害発生時から待機用のHiRDBに処理が切り替わるまでです。障害発生時のシステム停止時間をなるべく短くしたい場合に系切り替え機能を使用します。

系切り替え機能は,監視対象とする障害によってモニタモード又はサーバモードで運用します。系切り替え機能の種類と運用方法の組み合わせを,次の表に示します。

表26‒1 系切り替え機能の種類と運用方法の組み合わせ

系切り替え機能の種類

運用方法

モニタモード

サーバモード

スタンバイ型系切り替え機能

通常の系切り替え

ユーザサーバホットスタンバイ

×

高速系切り替え

×

スタンバイレス型系切り替え機能

1:1スタンバイレス型系切り替え

×

影響分散スタンバイレス型系切り替え

×

(凡例)

○:運用できます。

×:運用できません。

注※

スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合は,HiRDB Advanced High Availabilityが必要です。

〈この項の構成〉

(1) 系切り替え機能の種類

HiRDBの系切り替えには,スタンバイ型系切り替え機能とスタンバイレス型系切り替え機能があります。

スタンバイ型系切り替え機能

業務処理中のHiRDBのほかに待機用のHiRDBを準備して,業務処理中のHiRDBに障害が発生した場合,待機用のHiRDBに業務処理を自動的に切り替えて運用します。通常の系切り替えより系切り替えに掛かる時間を短縮したい場合は,ユーザサーバホットスタンバイ,高速系切り替え機能を使用することもできます。スタンバイ型系切り替え機能の詳細は,「スタンバイ型系切り替え機能」を参照してください。

スタンバイレス型系切り替え機能

業務処理中のHiRDBに障害が発生した場合,稼働中のほかのユニットに系を切り替えて運用します。待機用のHiRDBを準備する必要はありません。また,HiRDB/パラレルサーバだけに適用できます。スタンバイレス型系切り替え機能には,1:1スタンバイレス型系切り替え機能,影響分散スタンバイレス型系切り替え機能があります。詳細は,「スタンバイレス型系切り替え機能」を参照してください。

通常の系切り替えよりも,ユーザサーバホットスタンバイ,高速系切り替え機能,及びスタンバイレス型系切り替え機能を使用すると,システム停止時間が短縮できます。系の切り替え時間の比較を次の図に示します。

図26‒1 系の切り替え時間の比較

[図データ]

〔説明〕

あらかじめ網掛け部分の処理を実行して待機するため,系の切り替え時に網掛け部分の処理が不要になります。その分だけ系の切り替え時間が短縮されます。

(2) 系切り替え機能の運用方法

系切り替え機能の運用方法にはモニタモードサーバモードがあります。モニタモードの場合は系障害だけを監視対象とし,サーバモードの場合は系障害及びサーバ障害を監視対象とします。また,サーバモードではモニタモードに比べて系の切り替え時間を短縮できます。モニタモードとサーバモードが監視対象とする障害を次の表に示します。

表26‒2 モニタモードとサーバモードが監視対象とする障害

系切り替え機能の運用方法

監視対象とする障害

系障害※1

サーバ障害※2

モニタモード

×

サーバモード

(凡例)

○:監視します。

×:監視しません。

注※1

ここでは次に示す障害を系障害として想定していますが,系障害の条件はクラスタソフトウェアの仕様に依存します。クラスタソフトウェアのマニュアルなどで確認してください。

  • ハードウェアの障害

  • OSの障害

  • 電源断

  • クラスタソフトウェアの障害

  • 系のスローダウン

注※2

ここでは次に示す障害をサーバ障害として想定しています。

  • HiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)の異常終了

  • HiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)のスローダウン

  • データベースのパス障害

(a) モニタモード,及びサーバモードで運用できるクラスタソフトウェア

系切り替えを実行する製品をこのマニュアルではクラスタソフトウェアといいます。HiRDBがサポートしているクラスタソフトウェアと,モニタモード及びサーバモードでの運用可否を次の表に示します。

表26‒3 クラスタソフトウェアと,モニタモード及びサーバモードでの運用可否

クラスタソフトウェア

モニタモード

サーバモード

HAモニタ

MC/ServiceGuard

PowerHA

×

LifeKeeper

×

(凡例)

○:このモードで運用できます。

×:このモードで運用できません。

HiRDBがサポートしているクラスタソフトウェアの詳細については,「HiRDBがサポートしているクラスタソフトウェア」を参照してください。

(b) サーバモードで運用する場合に必要な製品

系切り替え機能をサーバモードで運用する場合は,次の表に示す製品が必要になります。

表26‒4 サーバモードで運用する場合に必要な製品

系切り替え機能の種類

HiRDB Advanced

High Availability

Hitachi HA Toolkit Extension

通常の系切り替え

ユーザサーバホットスタンバイ

高速系切り替え機能

1:1スタンバイレス型系切り替え機能

影響分散スタンバイレス型系切り替え機能

(凡例)

○:この機能を使用する場合に必要な製品です。

−:必要ありません。

注※

クラスタソフトウェアがHAモニタの場合,Hitachi HA Toolkit Extensionは必要ありません。