Hitachi

ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


20.8.2 障害が発生したステータスファイルがある状態でHiRDB(ユニット)を開始するときの手順

障害が発生したステータスファイルがある状態でHiRDB(ユニット)を開始するときの対処方法を次の図に示します。

図20‒1 障害が発生したステータスファイルがある状態でHiRDB(ユニット)を開始するときの対処方法

[図データ]

処理ボックスの上にある数字はこの後で説明している( )レベルに対応しています。例えば,5の操作は(5)で説明しています。

図20‒2 ステータスファイルに障害が発生したときの対処方法

[図データ]

処理ボックスの上にある数字はこの後で説明している( )レベルに対応しています。例えば,8の操作は(8)で説明しています。

〈この項の構成〉

(1) ディスクに障害が発生しているか調査する

障害が発生したステータスファイルを配置したディスクに,障害が発生しているか調査してください。物理的な障害(破損,電源断など)のほかにも,OSやディスクドライバの障害,ディスクが有効化されているかなどについて調査してください。

ディスクの物理障害の判定方法を次の表に示します。

表20‒16 ディスクの物理障害の判定方法(物理障害チェック)

ディスク障害の発生

物理障害の回復

ステータスファイルのデータ

判定結果

発生していない

物理障害なし

発生している

回復できる

データが残っている

データが消失している

物理障害あり(実体なし)

回復できない

(凡例)−:該当しません。

注意事項

ディスク障害の有無に関係なく,障害の回復が完了するまでは指示以外の契機でpdstsinit,pdstsrm,及びpdfmkfsコマンドを使用しないでください。

(2) ディスク障害を取り除く

調査した結果,ディスク障害が発生している場合は障害を取り除いください。障害の回復が難しい場合は,ディスク障害の回復をあきらめて残りの正常なディスクだけでHiRDBを開始します。

(3) ステータスファイルの内容に誤りがないか調査する

ステータスファイルの内容に誤りがないか調査してください。論理障害の判定方法を次の表に示します。

表20‒17 論理障害の判定方法(論理障害チェック)

コマンド実行

コマンド表示内容(ファイル作成時の

指定値との比較)

判定結果

正常終了

誤りなし

論理障害なし

誤りあり

論理障害あり

異常終了(エラーメッセージが出力される)

論理障害あり

(凡例)−:該当しません。

物理障害が発生していないステータスファイルにpdcatコマンドを実行し,ステータスファイルの内容に誤りがないか調べます。次に示す条件をすべて満たす場合,ステータスファイルは正常です。

pdcatコマンドの実行例を次に示します。

pdcat -d sts -u UNT1 -f /sysfile/usts1a -v        ...1
pdcat -d sts -s b001 -f /sysfile/sstsb1a -v        ...2
〔説明〕
  1. ユニット用ステータスファイルに対するコマンド実行例です。

  2. サーバ用ステータスファイルに対するコマンド実行例です。

物理障害及び論理障害のどちらも発生していない場合は,次の手順に進んでください。物理障害又は論理障害のどちらかが発生している場合は,図「ステータスファイルに障害が発生したときの対処方法」に示す対処方法に従ってください。

(4) HiRDBを再開始する

pdstartコマンドでHiRDBを再開始してください。再開始できない場合は,「現用ファイルの両系に障害が発生したためHiRDB(ユニット)を再開始できないときの対処方法」に示す対処方法に従ってください。

(5) 障害が発生したステータスファイルを回復する

現用ファイルの片系に障害が発生している場合は,表「現用ファイルに障害が発生したときの対処方法」の項番2に示すHiRDB管理者の処置を至急行ってください。

障害によって閉塞しているファイルがある場合は,「閉塞のファイルを予備にする方法」に示す手順で,閉塞しているファイルを予備ファイルにしてください。

全ステータスファイルを回復した後,必要に応じてHiRDBを一度終了して次に示すオペランドの指定値を元に戻してください。その後,HiRDBを開始してください。

(6) 片系運転を適用しているか確認する

障害が発生したステータスファイルに片系運転を適用しているか確認してください。障害が発生したステータスファイルに対して,次に示すオペランドを指定している場合は片系運転を適用しています。

(7) 前回稼働時の現用ファイルをHiRDBが特定できるか調査する

(1)〜(3)の結果から,障害が発生したステータスファイルの論理ファイルごとに,A系とB系の状態が次の表に示す状態であるか確認してください。ステータスファイルの状態が次の表に示すどれかの場合は,前回稼働時の現用ファイルをHiRDBが特定できません。

表20‒18 HiRDBが前回稼働時の現用ファイルを特定できないケース

A系の状態

B系の状態

論理障害あり

論理障害あり

論理障害あり

物理障害あり(実体なし)

物理障害あり(実体なし)

論理障害あり

物理障害あり(実体なし)

物理障害あり(実体なし)

(8) 現用ファイルの特定機能を利用する

HiRDBの現用ファイルの特定機能を利用します。該当するステータスファイルに対して次に示すオペランドを指定してください。

(9) 前回稼働時の現用ファイルを特定する

前回稼働時の(最新の)現用ファイルを特定してください。前回稼働時の現用ファイルは次に示すメッセージから特定できます。メッセージログファイル又はsyslogfile中の次に示すメッセージを検索してください(現用ファイルを特定できないユニット又はサーバのメッセージを検索してください)。

これらのメッセージのうち,最後に出力されたメッセージを参照してください。出力されたメッセージ中に現用ファイルが表示されています。

(10) 特定した現用ファイルが正常か確認する

(9)で特定した現用ファイルが正常か確認してください。現用ファイルが正常かどうかは,(1)〜(3)の結果から確認できます。

前回稼働時にステータスファイルを片系運転していた場合((9)のメッセージのうち,最後に出力されたメッセージがKFPS01044-Iの場合),KFPS01044-Iメッセージに表示されている運転中の系のステータスファイルが正常であるか確認してください。

前回稼働時にステータスファイルを片系運転していなかった場合((9)のメッセージのうち,最後に出力されたメッセージがKFPS01001-I又はKFPS01063-Iの場合),KFPS01001-I又はKFPS01063-Iメッセージに表示されているステータスファイルのどちらかの系が正常であるか確認してください。

現用ファイルが正常(ステータスファイルを片系運転していなかった場合はどちらかの系が正常)の場合は次の手順に進んでください。

現用ファイルに障害が発生していた場合は,前回稼働時の現用ファイルが失われているため,HiRDBを再開始できません。この場合は,「現用ファイルの両系に障害が発生したためHiRDB(ユニット)を再開始できないときの対処方法」に示す対処方法に従ってください。

(11) 特定した現用ファイルを指定する

特定した前回稼働時の現用ファイルを次に示すオペランドに指定してください。

●ユニット用ステータスファイルに障害が発生している場合

該当するユニットに次に示すオペランドを指定してください。

  • pd_syssts_initial_error=continue又はexcontinue

  • pd_syssts_last_active_file=前回稼働時の現用ステータスファイル名

  • pd_syssts_last_active_side=前回稼働時に正常だった系

●サーバ用ステータスファイルに障害が発生している場合

該当するサーバに次に示すオペランドを指定してください。

  • pd_sts_initial_error= continue又はexcontinue

  • pd_sts_last_active_file=前回稼働時の現用ステータスファイル名

  • pd_sts_last_active_side=前回稼働時に正常だった系

注※ (9)と(10)で特定した現用ファイル名と正常な系を指定します。