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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


15.10.4 ファイルパス変更コマンドを使用した移動の例題

ファイルパス変更コマンドを使用して,HiRDBファイルシステム領域を移動する例題を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) ユニットの変更のない移動の例題

ファイルパス変更コマンドを使用してマスタディレクトリ用RDエリアを格納している/hirdb1/area/masterを/hirdb2/area/masterに移動し,ユーザ用RDエリアを格納している/hirdb1/area/rdarea1を/hirdb2/area/rdarea1に移動する手順を示します。

図15‒8 ユニットの変更のない移動

[図データ]

(a) RDエリアのバックアップを取得します

pdcopy -m /hirdb1/area/master/rdmast -Mr -a -b バックアップファイル名

(b) HiRDBに接続するシステムを停止します

(h)のHiRDB開始後にHiRDBへアクセスしないようにHiRDBに接続するシステムを停止してください。停止方法については,各製品のマニュアルを確認してください。

(c) HiRDBを正常停止します

pdstop
KFPS01841-I HiRDB unit unt2 terminated. mode = NORMAL
KFPS01841-I HiRDB unit unt3 terminated. mode = NORMAL
KFPS01841-I HiRDB unit unt1 terminated. mode = NORMAL
KFPS01850-I HiRDB system terminated. mode = NORMAL

pdstopコマンド実行時,KFPS01850-Iメッセージが出力され,終了モードにNORMALが出力されていることを確認してください。

(d) HiRDBファイルシステム領域を移動します

移動元のRDエリアを構成するHiRDBファイルシステム領域を移動先のディスクに移動します。

(e) マスタディレクトリ用RDエリアの先頭HiRDBファイルを移動する場合は,システム定義pd_master_file_nameオペランドを移動後のHiRDBファイル名称に変更します

変更前: set pd_master_file_name = "/hirdb1/area/master/rdmast"
変更後: set pd_master_file_name = "/hirdb2/area/master/rdmast"

(f) レプリカRDエリアのファイルを移動する場合,レプリカRDエリアのファイルを参照できるようにします

レプリカRDエリアのパス変更については「世代登録をしているHiRDBファイルシステム領域の移動の例題」を参照してください。

(g) pdchpathfコマンドを実行します

pdchpathf 制御文ファイル パス変更情報ファイル

制御文

change path host host2
area "/hirdb2/area/master";
change path host host3
area "/hirdb2/area/rdarea1";

このコマンドは,ディクショナリサーバを配置したユニット(host2)で実行します。

制御文は,マスタディレクトリ用RDエリアのファイルを移動する場合は,必ず先頭の制御文に指定してください。先頭に指定していない場合,コマンドがエラーになります。パス変更情報ファイルは,pdchpathfコマンドが情報を出力するファイルで,pdchpathnコマンドの入力データになります。

パス変更情報ファイルがない,又はパス変更情報ファイルが不正な内容である場合,pdchpathnコマンドは実行できません。また,系切り替えが発生し,ファイルが参照できなくなった場合は,バックアップから回復し,やり直してください。

(h) HiRDBを開始します

pdstart
……
KFPS05210-I HiRDB system initialization process complete

KFPS05210-Iメッセージが出力されていることを確認してください。

(i) HiRDBの開始完了後,pdchpathnコマンドを実行します

pdchpathn パス変更情報ファイル

このコマンドは,システムマネジャを配置したユニット(host1)で実行します。

ディクショナリサーバを配置したユニットの,(g)で指定したパス変更情報ファイルを指定してください。また,系切り替え構成で別のマシンでディクショナリサーバを起動した場合は,該当マシンにファイルをコピーしてください。

(j) HiRDBのバックアップを再度取得します

pdcopy -m /hirdb2/area/master/rdmast -Mr -a -b バックアップファイル名

変更前のバックアップからは回復はできません。

(k) HiRDBに接続するシステムを開始します

(b)で停止したシステムを必要に応じて開始してください。開始方法については各製品のマニュアルを確認してください。

(2) ユニットを変更する移動の例題

host2のuntBのHiRDBをhost1に移動します。このとき,host1にはすでに別のuntAのHiRDBがあり,同じ構成のため,HiRDBのパス名も重なっています。

host1で新しくuntBのHiRDBをセットアップし,ファイルパス変更コマンドを使用してマスタディレクトリ用RDエリアを格納している/hirdb1/area/masterを/hirdb2/area/masterに移動し,ユーザ用RDエリアを格納している/hirdb1/area/rdarea1を/hirdb2/area/rdarea1に移動する手順を示します。

図15‒9 ユニットを変更する移動

[図データ]

(a) host2でuntBのバックアップを取得します

pdcopy -m /hirdb1/area/master/rdmast -Mr -a -b バックアップファイル名

(b) システムファイルの作成,及びシステム定義を新環境用へ変更します

host1でuntBのHiRDBをセットアップし,システムファイルの作成,及びシステム定義を新環境用へ変更します。pd_master_file_nameを移動後の名称に変更します。

(c) HiRDBを正常停止します

host2のHiRDBを正常停止します。その後,host2のデータをhost1の新規パスに移動します。

(d) レプリカRDエリアのファイルを移動する場合,レプリカRDエリアのファイルを参照できるようにします

レプリカRDエリアのパス変更については「世代登録をしているHiRDBファイルシステム領域の移動の例題」を参照してください。

(e) pdchpathfコマンドを実行します

pdchpathf 制御文ファイル パス変更情報ファイル

制御文

change path 
area "/hirdb2/area/master"
area "/hirdb2/area/rdarea1";

制御文は,マスタディレクトリ用RDエリアのファイルを移動する場合は,必ず先頭の制御文に指定してください。先頭に指定していない場合,コマンドがエラーになります。パス変更情報ファイルは,pdchpathfコマンドが情報を出力するファイルで,pdchpathnコマンドの入力データになります。

パス変更情報ファイルがない,又はパス変更情報ファイルが不正な内容である場合,pdchpathnコマンドは実行できません。また,系切り替えが発生し,ファイルが参照できなくなった場合は,バックアップから回復し,やり直してください。

(f) HiRDBを開始します

pdstart
……
KFPS05210-I HiRDB system initialization process complete

KFPS05210-Iメッセージが出力されていることを確認してください。

(g) HiRDBの開始完了後,pdchpathnコマンドを実行します

パス変更情報ファイルは,(e)で指定したパス変更情報ファイルを指定してください。

pdchpathn パス変更情報ファイル

(h) HiRDBのバックアップを再度取得します

pdcopy -m /hirdb2/area/master/rdmast -Mr -a -b バックアップファイル名

変更前のバックアップからは回復はできません。

(3) 世代登録をしているHiRDBファイルシステム領域の移動の例題

レプリカRDエリア(ペア論理ボリュームを使用しているRDエリア)のファイルの操作,pdchpathfコマンドの実行,及び論理ボリュームの操作について説明します。そのほかの操作については,(1)及び(2)になります。

移動によって,ボリュームのペアの組み合わせが変わる場合は,新しい組み合わせにしてください。ボリュームの操作については,OS及びディスク装置のマニュアルを参照してください。

図15‒10 世代登録をしているHiRDBファイルシステム領域の移動

[図データ]

(a) オリジナルRDエリアだけを変更する場合

  1. オリジナルRDエリアのファイル(/hirdb1/area/rdarea1)を/hirdb2/area/rdarea1に移動します。

  2. pdchpathfコマンドを実行します。

    pdchpathf 制御文ファイル パス変更情報ファイル

    制御文

    change path 
    area "/hirdb2/area/rdarea1";
  3. 正ボリュームと副ボリュームが同期状態でない場合は,オリジナルRDエリアのHiRDBファイルの管理部と,レプリカRDエリアのHiRDBファイルの管理部の情報が不一致になっているため,正ボリュームから副ボリュームへの同期を取ります。

(b) レプリカRDエリアだけを変更する場合

  1. レプリカRDエリアのファイル(/hirdb1/area/rdarea1_rep)を/hirdb2/area/rdarea1_repに移動します。

  2. レプリカRDエリアを定義しているHiRDBファイルシステム領域の副ボリュームが参照できない状態の場合,参照できるようにします。

  3. pdchpathfコマンドを実行します。

    pdchpathf 制御文ファイル パス変更情報ファイル

    制御文

    change path 
    area "/hirdb2/area/rdarea1_rep"
    generation rep;
  4. 2.で副ボリュームを参照できる状態に変更した場合は,副ボリュームの参照できる状態を解除します。

(c) オリジナルRDエリアとレプリカRDエリアを変更する場合

  1. オリジナルRDエリアのファイル(/hirdb1/area/rdarea1)を/hirdb2/area/rdarea1に移動し,レプリカRDエリアのファイル(/hirdb1/area/rdarea1_rep)を/hirdb2/area/rdarea1_repに移動します。

  2. レプリカRDエリアを定義しているHiRDBファイルシステム領域の副ボリュームが参照できない状態の場合,参照できるようにします。

  3. pdchpathfコマンドを実行します。

    pdchpathf 制御文ファイル パス変更情報ファイル

    制御文

    change path 
    area "/hirdb2/area/rdarea1"
    area "/hirdb2/area/rdarea1_rep"
    generation rep;
  4. オリジナルRDエリアのHiRDBファイルの管理部と,レプリカRDエリアのHiRDBファイルの管理部の情報が不一致になっているため,正ボリュームから副ボリュームへ再同期します。