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ノンストップデータベース HiRDB Version 10 システム運用ガイド(UNIX(R)用)


7.1.1 データベースの更新ログ取得方式の概要

HiRDBは,UAP又はユティリティによって更新されたデータベースの履歴情報(システムログ中のデータベースの更新ログ)をシステムログファイルに取得しています。ただし,ユーザの指定によっては,このデータベースの更新ログを取得しないこともできます。データベースの更新ログを取得しないと,その分の処理時間が短縮されます。したがって,UAP又はユティリティの実行時間を短縮できます。

注※ ここでいうユティリティとは,次に示すユティリティのことです。
  • データベース作成ユティリティ

  • データベース再編成ユティリティ

  • リバランスユティリティ

〈この項の構成〉

(1) データベースの更新ログ取得方式

UAP又はユティリティを実行するときのデータベースの更新ログ取得方式には,次に示す三つのモードがあります。

ログ取得モード

ロールバック及びロールフォワードに必要なデータベース更新ログを取得します。

更新前ログ取得モード

ロールバックに必要なデータベース更新ログだけを取得します。

ログレスモード

データベース更新ログを取得しません。

(2) データベースの更新ログ取得方式の指定方法

データベースの更新ログ取得方式の指定方法を次の表に示します。

表7‒1 データベースの更新ログ取得方式の指定方法

条件

データベースの更新ログ取得方式の指定方法

UAPの場合

クライアント環境定義のPDDBLOGオペランドで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。PDDBLOGオペランドでは,ログ取得モード又はログレスモードを指定できます。更新前ログ取得モードは指定できません。

データベース作成ユティリティの場合

データベース作成ユティリティの -lオプションで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。

データベース再編成ユティリティの場合

データベース再編成ユティリティの -lオプションで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。

リバランスユティリティ

リバランスユティリティの -lオプションで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。リバランスユティリティの-lオプションでは,ログ取得モード又はログレスモードを指定できます。更新前ログ取得モードは指定できません。

ユーザLOB用RDエリアを使用している場合

ユーザLOB用RDエリアに格納されているデータについては,CREATE TABLEのRECOVERYオペランドで,データベースの更新ログ取得方式を指定します。

(3) RECOVERYオペランドに関する注意事項

RECOVERYオペランドで指定したデータベースの更新ログ取得方式は,PDDBLOGオペランド又は-lオプションの指定によって変更される場合があります。RECOVERYオペランドとPDDBLOGオペランド又は-lオプションの関係を次の表に示します。

表7‒2 RECOVERYオペランドとPDDBLOGオペランド又は-lオプションの関係

PDDBLOGオペランド

又は-lオプションの指定

RECOVERY

オペランドの指定

UAP(又はユティリティ)

実行時に仮定される値

ALL

ログ取得モード

ALL

ALL

PARTIAL

PARTIAL

NO

NO

更新前ログ取得モード

ALL

PARTIAL

PARTIAL

PARTIAL

NO

NO

NO

ログレスモード

ALL

NO

PARTIAL

NO

NO

NO

(凡例)

ALL又はa:ログ取得モード

PARTIAL又はp:更新前ログ取得モード

NO又はn:ログレスモード

注※ PDDBLOGオペランドでは,更新前ログ取得モードを指定できません。

(4) データベースの更新ログ取得方式による運用方法の違い

データベースの更新ログ取得方式によって次に示す運用方法が異なります。

(a) UAP又はユティリティが異常終了したときのHiRDBの処理とHiRDB管理者の処置

UAP又はユティリティが異常終了したときのHiRDBの処理とHiRDB管理者の処置を次の表に示します。

表7‒3 UAP又はユティリティが異常終了したときのHiRDBの処理とHiRDB管理者の処置

データベースの

更新ログ取得方式

HiRDBの処理

HiRDB管理者の処置

ログ取得モード

更新したRDエリアの状態をUAP実行前の状態又は異常終了直前の同期点にロールバックします。

UAP実行前の状態にロールバックされた場合は,UAPを再実行してください。異常終了直前の同期点にロールバックされた場合は,同期点以降の処理を実行してください。

更新前ログ取得モード

ログレスモード

ロールバックしません。更新したRDエリアを障害閉塞ログレス閉塞)します。RDエリアの内容は破壊されます。

UAP実行前に取得したバックアップを入力情報として,データベース回復ユティリティでRDエリアを回復してください。その後,UAP又はユティリティを再実行してください。

(b) データベースを回復できる時点

データベース回復ユティリティを使用してデータベースを回復できる時点を次の表に示します。

表7‒4 データベースを回復できる時点

データベースの

更新ログ取得方式

データベースを回復できる時点

ログ取得モード

バックアップ取得時点又はバックアップ取得時点以降の任意の同期点

更新前ログ取得モード

バックアップ取得時点

ログレスモード

(5) バックアップについての注意(重要)

  1. ログレスモード又は更新前ログ取得モードのUAP又はユティリティの実行中に,更新可能モード(-M s指定)でバックアップを取得しないでください。

  2. ログレスモード又は更新前ログ取得モードのUAP又はユティリティの実行後は,次に示すモードでバックアップを取得してください。

    • 参照・更新不可能モード(-M x指定)

    • 参照可能モード(-M r指定)