2.3.1 HiRDB運用ディレクトリの作成
実行者 HiRDB管理者
HiRDB運用ディレクトリを各サーバマシンに作成してください。HiRDB運用ディレクトリとは,HiRDBを実行するディレクトリのことです。ここで作成したHiRDB運用ディレクトリ下にHiRDBの各種ディレクトリ及びファイルが格納されます。
なお,HiRDB運用ディレクトリはインストールディレクトリと同じにしないでください。インストールディレクトリをHiRDB運用ディレクトリとすると,ディスク圧迫によるトラブルや,インストールの失敗などの可能性があります。また,インストールするたびにインストールディレクトリの所有者をrootからHiRDB管理者に変更して,グループとモードを(1)のように変更する必要があります。
- 〈この項の構成〉
(1) HiRDB運用ディレクトリに設定する情報
HiRDB運用ディレクトリの名称は任意ですが,次に示す情報を設定してください。
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ディレクトリ名:任意
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所有者 :HiRDB管理者
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グループ:HiRDBグループ
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モード :0755
また,次のことに注意してください。
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「/」で始まり,次の要素で構成される文字列で指定してください。
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英数字
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_(下線)
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.(ピリオド)
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パス区切りの「/」
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「/」だけの指定はできません。
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パス名の長さは128文字(バイト)以内にしてください。ただし,Linux版の場合は,118文字(バイト)以内にしてください。
(2) HiRDB運用ディレクトリ作成時の考慮点
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HiRDB運用ディレクトリを作成するには,2ギガバイト以上のディスクの空き容量が必要です。ただし,システムの規模やHiRDB運用ディレクトリ下に出力されるトラブルシュート情報ファイル($PDDIR/spool下のファイル)によって大きく変動するため,目安として次の計算式以上の空き容量を用意してください。
(2ギガバイト+共用メモリダンプファイル※のサイズ×2)×1.2(余裕値)
- 注※
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$PDDIR/spool/pdshmdump/shmdumpファイルのことです。
HiRDBが出力するトラブルシュート情報ファイルの一覧,及び各ファイルのサイズについては,「単調増加ファイル」を参照してください。
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HiRDB運用ディレクトリはルートディスク以外に作成することをお勧めします。HiRDB運用ディレクトリ下にはトラブルシュート情報のファイル($PDDIR/spool下のファイル)が作成されます。これらのファイルをpdcspoolコマンドなどで定期的に削除しないと,ディスク容量不足によってOSの動作に影響を与えることがあります。
HiRDB運用ディレクトリをルートディスクに作成する場合は,ルートディレクトリとは異なるパーティションにHiRDB運用ディレクトリを作成することをお勧めします。
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HiRDB運用ディレクトリはローカルディスクに作成してください。また,/etc/checklist又は/etc/fstabに指定するファイルシステムのマウントタイプにはnosuidを指定しないでください。
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HiRDB運用ディレクトリはシンボリックリンクしないでください。
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マルチHiRDBの場合は,HiRDBごとに異なる名称のHiRDB運用ディレクトリを作成してください。
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HiRDB/パラレルサーバで2:1系切り替え構成又は相互系切り替え構成をする場合は,全サーバマシンでHiRDB運用ディレクトリを同じにできません。このときのHiRDB運用ディレクトリの設定方法については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」の「HiRDB/パラレルサーバのシステム構成例」の「相互系切り替え構成の例」を参照してください。
(3) HiRDB運用ディレクトリ下のファイルの削除
サーバプロセス,又はクライアントの強制終了時などに,HiRDBは$PDDIR/spool下にトラブルシュート情報を出力します。また,ワークファイルの出力先を特に指定していない場合にコマンド又はユティリティを[Ctrl+C]キーを押すなどして途中終了させると,$PDDIR/tmp下にコマンド又はユティリティが出力した作業用一時ファイルが削除されずに残ります。これらのファイルを残しておくと,HiRDB運用ディレクトリがあるディスクの容量を圧迫する原因になります。HiRDB運用ディレクトリがあるディスクの容量が不足するとHiRDBが異常終了することがあるため,HiRDBは次に示すファイルを定期的に削除します。
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トラブルシュート情報ファイル($PDDIR/spool下のファイル)
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作業用一時ファイル($PDDIR/tmp下のファイル)
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pd_tmp_directoryオペランドに指定したディレクトリ下のファイル
これらの単調増加するファイルについては,「単調増加ファイル」を参照してください。
なお,通常はこれらのファイルを24時間ごとに削除します。この削除間隔をpd_spool_cleanup_intervalオペランドで変更できます。また,pd_spool_cleanup_interval_levelオペランドで指定した日より前に出力されたファイルだけを削除するという指定ができます。
このほかにも,トラブルシュート情報($PDDIR/spool下のファイル)を一括して削除する方法があります。
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pdcspoolコマンドでトラブルシュート情報ファイルを削除できます。作業用一時ファイル($PDDIR/tmp下のファイル)も削除できます。
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HiRDBの開始時に自動的にトラブルシュート情報ファイルを削除します。pd_spool_cleanupオペランドでトラブルシュート情報ファイルを削除するかどうかを指定します。このオペランドの省略値は「削除する」です。また,pd_spool_cleanup_levelオペランドで指定した日より前に出力されたトラブルシュート情報ファイルだけを削除するという指定ができます。
- 備考
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pdcspoolコマンドのオプション,pd_spool_cleanup_level,又はpd_spool_cleanup_intervalオペランドの指定で,削除するトラブルシュート情報を選択できます。
(4) HiRDB運用ディレクトリのバックアップの取得
HiRDB運用ディレクトリがあるディスクの障害などに備えて,HiRDB運用ディレクトリ下のファイル($PDDIR/conf下のファイル)のバックアップを取得してください。HiRDB運用ディレクトリを回復するには,$PDDIR/conf下のファイルのバックアップが必要になります。$PDDIR/conf下には,HiRDBシステム定義のファイルが格納されています。HiRDBシステム定義を変更した後に,$PDDIR/conf下のファイルのバックアップを取得してください。
また,HiRDB運用ディレクトリ下にユーザがファイルを作成する場合,そのファイルのバックアップも取得してください。HiRDB運用ディレクトリの回復時にそのファイルのバックアップが必要になります。
HiRDB運用ディレクトリの回復方法については,マニュアル「HiRDB システム運用ガイド」を参照してください。
- ●HiRDB運用ディレクトリがあるディスクのバックアップを取得する場合
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HiRDB運用ディレクトリがあるディスクのバックアップを取得する必要が生じた場合は,次に示す手順でバックアップを取得してください。
- 〈手順〉
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pdstopコマンドでHiRDBを終了します。
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pdsetup -dコマンドを実行します。nを応答してください。※
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OSの機能(コマンド)で,HiRDB運用ディレクトリを格納しているディスクのバックアップを取得します。
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pdsetupコマンドを実行します。
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pdstartコマンドでHiRDBを開始します。
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- 注※
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バックアップの中に回復後の不正動作の元となるファイルを残さないためにpdsetup -dコマンドを実行します。また,回復後も必要となるファイルを残すためにnと応答します。