5.4.2 同期取得時点に回復する場合(関連RDエリアなし)

同期取得時点に回復する場合について説明します。

<この項の構成>
(1) 障害発生時の状況
(2) 障害回復の手順
(3) 障害回復時のインメモリデータバッファおよびインメモリRDエリアの状態遷移

(1) 障害発生時の状況

RDDATA01(表格納RDエリア),RDLOB01(LOBデータ格納RDエリア)およびRDIDX01(インデクス格納RDエリア)をインメモリ化しました。

障害発生時の状況を次の図に示します。

図5-8 障害発生時の状況(バッファ障害を同期取得時点に回復する場合(関連RDエリアなし))

[図データ]

[説明]
  1. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01をインメモリ化しました。また,このとき,バックアップを取得しました。
  2. 更新業務を実行し,インメモリデータバッファ上のデータを更新しました。
  3. pdhold -bコマンドでインメモリデータバッファとRDエリアの同期を取ろうとしましたが,バッファ障害によって,RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01との同期が取れませんでした。
このときのインメモリデータバッファと各RDエリアの状態を次に示します。
  • インメモリデータバッファの状態:バッファ障害
  • RDDATA01の状態:障害閉塞状態(同期取得時(インメモリ化時)の状態)
  • RDLOB01の状態:障害閉塞状態(同期取得時(インメモリ化時)の状態)
  • RDIDX01の状態:障害閉塞状態(同期取得時(インメモリ化時)の状態)

(2) 障害回復の手順

RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01中のデータは同期取得時(インメモリ化時)のままです。RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01のデータを再度インメモリ化してインメモリデータバッファを同期取得時点に回復します。

障害回復の手順を次の図に示します。

図5-9 障害回復の手順(バッファ障害を同期取得時点に回復する場合(関連RDエリアなし))

[図データ]

[説明]
  1. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01のインメモリ化を解除します。
  2. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01を再度インメモリ化します。
    ただし,RDエリア障害とバッファ障害の両方が発生している場合は,バックアップファイルを使ってRDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01を回復したあとにインメモリ化します。

コマンドの実行手順を次に示します。

  1. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01をクローズ状態にします。

    pdclose -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01

    インメモリ化を強制解除するには,RDエリアの状態が障害閉塞クローズ状態になっている必要があるため,ここでRDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01をクローズしています。
  2. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01のインメモリ化を強制的に解除します。

    pdmemdb -k rels -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -d

  3. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01の障害閉塞クローズを解除します。

    pdrels -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -o

    再度インメモリ化するには,RDエリアの状態がコマンド閉塞クローズ状態になっている必要があるため,ここでいったんRDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01の障害閉塞クローズを解除しています。
  4. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01をコマンド閉塞クローズ状態にします。

    pdhold -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -c

  5. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01を再度インメモリ化します。

    pdmemdb -k stay -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01

    これによって,インメモリデータバッファは同期取得時点の状態に回復されました。
  6. RDDATA01,RDLOB01およびRDIDX01の閉塞クローズを解除します。

    pdrels -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -o

    これによって,業務が再開できるようになりました。
RDエリア障害かつバッファ障害の場合
RDエリア障害とバッファ障害の両方が発生している場合は,手順2.でインメモリ化を解除したあと,バックアップファイルからRDエリアを同期取得時点に回復してください。それ以外の手順については,バッファ障害の場合と同じです。

(3) 障害回復時のインメモリデータバッファおよびインメモリRDエリアの状態遷移

障害回復時,インメモリデータバッファの状態およびインメモリRDエリアの状態は次の表のように遷移します。表の項番は,「(2)障害回復の手順」の実行手順の番号と対応しています。なお,表中の実行コマンドは,一部オプションを省略しています。

表5-4 障害回復時のインメモリデータバッファおよびインメモリRDエリアの状態遷移

項番実行コマンドコマンド実行後のバッファの状態※1コマンド実行後のRDエリアの状態※2
RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01
バッファ障害状態障害閉塞かつオープン状態
1pdclose -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01障害閉塞かつクローズ状態
2pdmemdb -k rels -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -d未使用状態
3pdrels -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -oオープン状態
4pdhold -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -cコマンド閉塞かつクローズ状態
5pdmemdb -k stay -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01DB同期状態
6pdrels -r RDDATA01,RDLOB01,RDIDX01 -oオープン状態
(凡例)
↓:状態の変化なし
-:該当しない
注※1 バッファの状態とは,インメモリデータバッファの状態のことです。
注※2 RDエリアの状態とは,インメモリRDエリアの状態のことです。