4.7.7 反映側Datareplicatorのリソースの設計

反映側Datareplicatorのディスク資源とメモリ資源の設計方法について説明します。

<この項の構成>
(1) 反映側Datareplicatorのディスク資源の設計
(2) 反映側Datareplicatorのメモリ資源の設計

(1) 反映側Datareplicatorのディスク資源の設計

反映側Datareplicatorのディスク資源の一覧を次の表に示します。

表4-43 反映側Datareplicatorのディスク資源の一覧

ファイル名ファイル種別必要・任意[個数]容量の説明先ファイル満杯時の動作
C
定義ファイル反映システム定義ファイル×必要
[反映側システムごとに1個]
(a)特にありません。
反映環境定義ファイル×必要
[データ連動識別子ごとに1個]
反映定義ファイル×任意
[データ連動識別子ごとに1個]
二重化定義ファイル×任意
[反映側システムごとに1個]
反映情報キューファイル13※2必要
[データ連動識別子ごとに2~8個]
(b)スワップします。1
反映ステータスファイル13※2必要
[データ連動識別子ごとに1個]
(c)抽出側システムに対応した反映処理が停止します。
反映マスタステータスファイル※2必要
[反映側システムごとに1個]
(d)反映処理が停止します。
未反映情報ファイル×必要
[データ連動識別子ごとに2個]
(e)スワップします。
反映エラー情報ファイル×必要
[反映側システムごとに2個]
(f)スワップします。
稼働トレースファイル(反映トレースファイル×任意
[反映側システムごとに2個]
(g)スワップします。
更新情報定義ファイル×必要
[更新情報入力コマンドの実行ごとに1個]
(h)特にありません。
SAMファイル×必要
[更新情報入力コマンドの実行ごとに1個]
(i)特にありません。
抽出対象外データ格納ファイル×必要
[データ連動識別子ごとに1個]
(j)特にありません。
コマンドログファイル×任意[2個](k)スワップします。
(凡例)
R:UNIXの通常ファイル又はWindowsファイル
C:UNIXのキャラクタ型スペシャルファイル
○:作成できます。
×:作成できません。
注※1
スワップ先のファイルの反映が完了していない場合には,次の送信間隔まで更新情報の受信を停止します。次の送信間隔時に反映が完了していれば,更新情報の受信を開始します。
注※2
AIX版でキャラクタ型スペシャルファイルを使用する場合は,各ファイル容量の算出式に1,024バイト加算してください。また,反映環境定義のqueuesizeオペランド及びstatssizeオペランドには,算出した容量から1,024バイト減算した値を指定してください。
注※3
Datareplicatorファイルシステム領域を使用する場合は,「3.5.3(1) Datareplicatorファイルシステム領域を割り当てるときの規則」も参照してください。
(a) 定義ファイルの容量

反映側Datareplicatorの定義ファイル(反映システム定義ファイル,反映環境定義ファイル,反映定義ファイル)の容量は,指定した定義オペランドによって異なります。

(b) 反映情報キューファイルの容量

反映情報キューファイルには,接続情報,抽出定義情報,及び更新情報の3種類の情報が格納されます。各情報の詳細を次に示します。

注※
抽出側DBがHiRDBの場合には,更新情報バッファサイズは更新情報編集バッファサイズ(「5.2 抽出システム定義」のsmt_editbufsizeオペランド,又は「5.4 送信環境定義」のeditbufsizeオペランドの指定値)になります。抽出側DBがメインフレーム側DBの場合の更新情報バッファサイズについては,マニュアル「VOS3 XDMデータ連動機能 XDM/DS 解説・定義」を参照してください。
(c) 反映ステータスファイルの容量

反映ステータスファイルの容量の算出式を次に示します。

反映ステータスファイルには,抽出側DBから送られてくる抽出定義情報が格納されます。抽出定義情報サイズは,抽出定義プリプロセスファイルのサイズで見積もります。したがって,抽出定義情報サイズの見積もりが不十分な場合は,抽出側から更新情報が送られてきたタイミングでファイル容量不足エラーになります。

UNIXの場合
     293×1024+抽出定義情報サイズ(単位:バイト)
Windowsの場合
     282×1024+抽出定義情報サイズ(単位:バイト)
UNIXのキャラクタ型スペシャルファイルで,セクタ長が1KBを超える場合
     293×SCT_SIZE+↑抽出定義情報サイズ÷SCT_SIZE↑×SCT_SIZE(単位:バイト)
SCT_SIZE:セクタ長(単位:バイト)
(d) 反映マスタステータスファイルの容量

反映マスタステータスファイルの容量の算出式を次に示します。

反映マスタステータスファイルには,反映側Datareplicatorの初期化時に必要なサイズが割り当てられます。実際のレプリケーション運用中に,ファイル容量が増加し満杯となることはありません。

UNIX,又はWindowsの場合
     2×1024(単位:バイト)
UNIXのキャラクタ型スペシャルファイルで,セクタ長が1KBを超える場合
     2×SCT_SIZE(単位:バイト)
SCT_SIZE:セクタ長(単位:バイト)
(e) 未反映情報ファイルの容量

既定値は16キロバイトです。発生する可能性のあるSQLエラーの容量が大きい場合には,ファイルの容量を拡張してください。

(f) 反映エラー情報ファイルの容量

既定値は16キロバイトです。長時間のエラー情報を残したいときは,ファイルの容量を拡張してください。

(g) 稼働トレースファイルの容量

稼働トレースファイル(反映トレースファイル)の容量は,反映システム定義のint_trc_fileszオペランドで指定します。

(h) 更新情報定義ファイルの容量

更新情報定義ファイルの容量は,指定した定義オペランドによって異なります。

(i) SAMファイルの容量

PDMII E2又はRDB1 E2から転送されたファイルの大きさで決まります。

(j) 抽出対象外データ格納ファイルの容量

抽出対象外データの数によって異なります。容量は,ファイルシステムに余裕がある限り,拡張されます。

(k) コマンドログファイルの容量

128キロバイト固定です。

(l) その他のファイル容量

Windows版では,インストールディレクトリ下のtmpディレクトリ下に,ワークファイルを幾つか作成します。このため,ワークファイル分として4MBの容量を見積もってください。

(2) 反映側Datareplicatorのメモリ資源の設計

反映側Datareplicatorのメモリ資源の一覧を次の表に示します。

表4-46 反映側Datareplicatorのメモリ資源の一覧

メモリ資源容量の説明先
反映マスタプロセス(a)
反映通信マスタプロセス(b)
反映定義サーバプロセス(c)
反映プロセス(d)
反映SQLプロセス(e)
反映UOCプロセス(f)
更新情報入力プロセス(g)
稼働トレース収集プロセス(h)
Datareplicatorエージェントプロセス(i)
定義情報格納用共用メモリサイズ(j)
反映プロセス間連絡用共有メモリサイズ(k)
BLOB列反映共有メモリサイズ(l)
セマフォ所要数(m)

表4-47 反映側Datareplicatorのメモリ見積もり式に使用する変数の一覧

変数名変数の内容
ATTR_NUMデータ連動の対象となる全抽象データ型の属性数の総和
CNST_NUM反映定義で定義した全format文のconst句を指定したname句の数の総和
COL_MAX抽出対象表ごとに抽出対象列の実データ長の合計したうち,最大の長さ(バイト)
(ただし,BLOB/BINARY列は加算しない)
COL_MNUM抽出対象表ごとのうち,最大の列数
COL_NUM全抽出対象表の列の合計数
CUOC_CLM_NUM列データ編集UOCを指定した反映列の合計数
DUP_UPD1抽出表に複数定義した更新情報名数の合計数
ELEM_LEN抽出対象表ごとに全繰返し列要素長の合計長のうち,最大の長さ(バイト)
(定義長ではなく,抽出した実長)
ELEM_NUM抽出対象表ごとに全繰返し列要素の合計数のうち,最大の要素数
(定義要素数ではなく,抽出した実要素数)
EXCS_R反映対象となる列の総数(反映環境定義defmergeオペランドにtrueを指定して,load文を省略した場合に仮定された反映列を含む)
FLD_NUM反映定義で定義した全load文のフィールド名指定数の合計数
FOR_NUM反映定義で定義したformat文の合計数
GRP_NUM反映定義で定義したgroup文の合計数
GRPD_NUM反映定義で定義したgroup文の分割指定数の合計数
GRPHA_NUM反映定義group文でhash句を指定した表のハッシュ分割RDエリア数の合計数
GRPHC_LEN反映定義group文でhash句を指定した表のハッシュキー列値長の合計長(バイト)
GRPHC_NUM反映定義group文でhash句を指定した表のハッシュキー列数の合計数
GRPK_NUM反映定義で定義したgroup文のキーレンジ分割条件数の合計数
GRPT_NUM反映定義で定義したgroup文の表指定数の合計数
IDX_NUM反映対象表ごとに作成したインデクス数のうち,最大のインデクス数
IDXCLM_NUM反映対象表ごとに作成したインデクスのインデクス構成列数の合計数のうち,最大数
KEY_MAX抽出対象表ごとのマッピングキー長の合計長のうち,最大長(バイト)
KEY_MNUM抽出対象表ごとのマッピングキーの合計数のうち,最大数
KEY_NUM全抽出対象表のマッピングキー数の合計数
LOD_NUM反映定義で定義したload文の合計数
NAME_NUM反映定義で定義した全format文のname句の合計数
NCHR_MAX抽出対象の各国文字列属性(NCHAR/NVARCHAR/LONG NVARCHAR)の列定義長のうち,最大長(バイト)
PRP_FILE抽出定義プリプロセスファイルサイズ(バイト)
RDEF_FILE反映定義ファイルサイズ(バイト)
REP_NUM全抽出対象表の繰返し列列数の合計数
RMST_FILE反映マスタステータスファイルサイズ(バイト)
RQUE_FILE反映情報キューファイルサイズ(バイト)
RST_FILE反映ステータスファイルサイズ(バイト)
RUOC_ATTR_NUM反映情報編集UOCに渡すADT内データ属性数の合計数
RUOC_COL_MAX反映情報編集UOCに渡す反映列数のうち,最大数
RUOC_KEY_MAX反映情報編集UOCに渡すマッピングキー列数のうち,最大数
RUOC_TYPE_NUM反映情報編集UOCに渡すADT内データ型数の合計数
SKIP_LIST反映抑止対象リストファイル内の行数
SKIPTYPEONLY反映抑止対象リストファイルに指定したSKIP_TYPE_ONLY句の合計数
SV_NUM
<抽出元がHiRDBの場合>
抽出対象の全バックエンドサーバ数
<抽出元がHiRDB以外の場合>
1
TBL_NUM抽出対象表の合計数
TBLT_R反映対象となる表の合計数(反映環境定義defmergeオペランドにtrueを指定して,load文を省略した場合に仮定された反映表を含む)
TYPE_NUM全抽出対象表の抽象データ型の合計数
UBUF
<抽出側DBがHiRDBの場合>
  • 抽出システム定義sendcontrolにnodemstを指定した場合
    送信環境定義editbufsize指定値
  • 抽出システム定義sendcontrolにsendmstを指定した場合
    抽出システム定義smt_editbufsize指定値
<抽出側がXDM/DSの場合>
XDM/DS起動定義REFLECTBUFF指定値。詳細については,マニュアル「VOS3 XDMデータ連動機能XDM/DS 解説・定義」を参照してください(注意 (KB)のまま指定する)。
UPD_NUM更新情報名の合計数
(a) 反映マスタプロセス
(b) 反映通信マスタプロセス
(c) 反映定義サーバプロセス
(d) 反映プロセス
(e) 反映SQLプロセス
(f) 反映UOCプロセス
(g) 更新情報入力プロセス
(h) 稼働トレース収集プロセス
(i) Datareplicatorエージェントプロセス
(j) 定義情報格納用共用メモリサイズの見積もり方法

反映環境定義のdefshmsizeオペランドで指定する定義情報格納用共用メモリサイズの見積もり式を次に示します。

     ↑192×(GRPT+2)+160×TBLT_E+152×EXCS_E+156×TBLT_r
      +128×EXCS_r+88×TBLT_R+24×EXCS_R+52×CNST↑(単位:バイト)

GRPT:反映定義ファイル内の反映グループ定義数(反映定義のgroup文の数)

TBLT_E:抽出表数

EXCS_E:抽出列数

TBLT_r:反映定義ファイル内の反映表定義数(反映定義のload文の数)

EXCS_r:反映表定義で指定した反映表の列数の総数

TBLT_R:反映表数(実際に反映対象となる表数。「5.9 反映環境定義」のdefmergeオペランドにtrueを指定して,load文を省略した場合に仮定された反映表を含む)

EXCS_R:反映列数(実際に反映対象となる列数。「5.9 反映環境定義」のdefmergeオペランドにtrueを指定して,load文を省略した場合に仮定された反映列を含む)

CNST:反映定義ファイル内の更新情報フィールド定義で指定したconst句の総数

(k) 反映プロセス間連絡用共有メモリサイズの見積もり方法
     82292+71556×UJ(単位:バイト)

UJ:抽出側システム数

(l) BLOB列反映共有メモリサイズの見積もり方法

反映グループごとに必要になります。

     (LOB_SIZE+4)×4+80(単位:バイト)

LOB_SIZE:反映グループ内の(各更新情報名に含まれるBLOB列の定義長の合計)の最大値

(m) セマフォ所要数の見積もり方法

反映側Datareplicatorが使うセマフォ数の見積もり式を次に示します。

     5+10×UJ

UJ:抽出側システム数

 

上記の見積もり式で見積もった数のセマフォを反映側システムで使えるように,必要に応じてカーネルパラメタのシステム全体のセマフォ最大数(SEMMNS)を変更してください。カーネルパラメタの更新方法については,該当するOSのマニュアルを参照してください。