Datareplicatorの目的について説明します。
これまで,企業活動で発生する大量のデータは,メインフレーム側のデータベースに蓄積されてきました。近年はワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)上で稼働するDBMS(HiRDB)を使って,メインフレーム側のデータを複数のWSやPCに分散して配置する形態が広まっています。このようなシステム形態が広まるとともに,分散配置したデータベースをどのように統合して活用するかが重要な課題になっています。
分散配置したデータベースの内容をほかのデータベースに反映する機能を,レプリケーション機能といいます。レプリケーション機能を使うと,一つのシステムのデータベースの情報をほかのシステムのデータベースに反映して,分散システム環境でのデータ管理を支援できます。
レプリケーション機能には,次の2種類があります。
HiRDBのデータベースとメインフレームのデータベースで,レプリケーション機能を実行するために必要な製品を次の表に示します。
表1-1 レプリケーション機能を実行するために必要な製品
レプリケーション機能の種類 | HiRDBのデータ連動製品 | メインフレームDBのデータ連動製品 |
---|---|---|
データ連動機能 | HiRDB Datareplicator | XDM/DS※2 |
データ抽出・反映サービス機能 | HiRDB Dataextractor※1 | XDM/XT※3 |
複数のデータベース間でデータを連動させる方法には,一方のデータベースの更新と同期して,そのたびにほかのデータベースを更新する方法もあります。しかし,この方法では同期するための処理や障害時の回復などシステムへの負荷が非常に大きくなります。
これに対して,Datareplicatorのデータ連動ではデータベースの更新情報を抽出して,抽出した更新情報を基に非同期にほかのシステムのデータベースを更新するため,システムの負荷を小さくできます。
Datareplicatorによるデータ連動は,分散配置しているデータベースの厳密な同期よりも,システム全体の負荷の軽減や性能を重視するシステムの場合に有効です。
そのほかに,Datareplicatorのデータ連動機能を使うと次に示す利点があります。
このマニュアルで使用するデータ連動システムの用語を次の表に示します。
表1-2 データ連動システムの用語
データ連動システムの用語 | 用語の意味 |
---|---|
抽出側システム | 反映させる更新内容を抽出するシステム(連動元) |
抽出側Datareplicator | 抽出側システムのDatareplicator |
抽出側DB※ | 抽出側システムのデータベース |
反映側システム | 抽出された更新内容を反映するシステム(連動先) |
反映側Datareplicator | 反映側システムのDatareplicator |
反映側DB※ | 反映側システムのデータベース |