スケーラブルデータベースサーバ HiRDB Version 8 システム定義(Windows(R)用)

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3.2.17 系切り替え機能に関するオペランド

56) pd_ha_acttype = monitor | server
系切り替え機能の運用をモニタモードで行うか,サーバモードで行うかを指定します。モニタモード及びサーバモードについては,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
monitor:系切り替え機能の運用をモニタモードで行います。
server:系切り替え機能の運用をサーバモードで行います。
次に示す機能を使用する場合はサーバモードでの運用が前提になります。
  • ユーザサーバホットスタンバイ
  • 高速系切り替え機能
  • 1:1スタンバイレス型系切り替え機能
  • 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能
《前提条件》
このオペランドを指定するにはpd_haオペランドにuseを,pd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定する必要があります。また,serverを指定する場合は次に示す条件をすべて満たす必要があります。
  • Hitachi HA Toolkit Extensionを導入している
  • IPアドレスを引き継がない指定をしている(pd_ha_ipaddr_inherit = Nを指定している)
これらの製品を導入しないでserverを指定すると,HiRDBを開始できません。

 

57) pd_ha_unit = nouse
このオペランドはユニットに系切り替え機能を適用しない場合に指定します。系切り替え機能を適用するユニットと,適用しないユニットを分ける場合に指定してください。このオペランドを指定すると,この項で説明しているオペランドの指定がすべて無効になります。
《ほかのオペランドとの関連》
フロントエンドサーバのpdstartオペランドに -k stlsオプションを指定すると回復不要FESユニットになります。回復不要FESユニットでは,系切り替え機能を適用できません。系切り替え機能を適用するシステムの場合,回復不要FESユニットのユニット制御情報定義には,必ずこのオペランドを指定してください。

 

58) pd_ha_switch_timeout = Y | N
このオペランドはサーバモードの場合に指定できます。モニタモードの場合にこのオペランドを指定しても無効になります。
系切り替え時のHiRDB(HiRDB/パラレルサーバの場合はユニット)の内部停止処理がサーバ障害監視時間を超えた場合に,HiRDBの内部停止処理を待たないで系を切り替えるかどうかを指定します。ここでいうサーバ障害監視時間とは,Hitachi HA Toolkit Extensionのpatrolオペランドに指定した時間のことです。
Hitachi HA Toolkit Extensionのpatrolオペランドについては,マニュアル「Hitachi HA Toolkit」を参照してください。
Y:
系切り替え時のHiRDBの内部停止処理がサーバ障害監視時間を超えた場合,HiRDBの内部停止処理を待たないで系を切り替えます。このとき,HiRDBのスローダウンとして系を切り替えます。
1:1スタンバイレス型系切り替え機能又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合,計画系切り替え時はこのオペランドの指定が無効になります。
N:
系切り替え時のHiRDBの内部停止処理が終了するまで系を切り替えません。
《利点》
系の切り替え時にディスク障害などでHiRDBの内部停止処理に時間が掛かると,それが系の切り替え時間の遅延要因になります。このオペランドにY(省略値)を指定すると,HiRDBの内部停止処理に時間が掛かる場合でも,HiRDBの内部停止処理を待たないで系を切り替えられます。
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,システム共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。システム共通定義の同じオペランドも省略すると,Yが仮定されます。
《注意事項》
  • patrolオペランドの値が小さいときにこのオペランドにYを指定すると,計画系切り替えがスローダウンによる系切り替えになることがあります。これは,計画系切り替え時のHiRDBの内部停止処理がpatrolオペランドで指定した時間を超えてしまうためです。
  • Hitachi HA Toolkit Extensionのswitchtypeオペランドにrestartを指定した場合は注意が必要です。pd_ha_switch_timeout = Y(省略値)を指定した場合,HiRDBの内部停止処理がサーバ障害監視時間を超えると,障害が発生した系でHiRDBを再開始しません。この場合,すぐに系を切り替えます。
    Hitachi HA Toolkit Extensionのswitchtypeオペランドについては,マニュアル「Hitachi HA Toolkit」を参照してください。

 

59) pd_ha_server_process_standby = Y | N
ユーザサーバホットスタンバイを使用するかどうかを指定します。ユーザサーバホットスタンバイについては,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
Y:ユーザサーバホットスタンバイを使用します。
N:ユーザサーバホットスタンバイを使用しません。
なお,1:1スタンバイレス型系切り替え機能又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合はこのオペランドを省略してください。
《前提条件》
Y(省略値)を指定する場合はサーバモードである必要があります。モニタモードの場合は常にNが仮定されます。
《ほかのオペランドとの関連》
高速系切り替え機能はユーザサーバホットスタンバイを包括しています。このため,pd_ha_agentオペランドにstandbyunitを指定した場合(高速系切り替え機能を使用する指定をした場合),このオペランドにNを指定してもYが仮定されます。

 

60) pd_ha_agent = standbyunit | server | activeunits
次に示す機能を使用する場合にこのオペランドを指定します。
これらの機能については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
standbyunit:高速系切り替え機能を使用する場合に指定します。
server:1:1スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合に指定します。
activeunits:影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合に指定します。
なお,同一システム内で,1:1スタンバイレス型系切り替え機能と影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を混在して指定できません。
《前提条件》
このオペランドを指定する場合はサーバモードである必要があります。モニタモードの場合にこのオペランドを指定するとKFPS01896-Eエラーになります。
《注意事項》
  • 高速系切り替え機能の対象ユニットはIPアドレスを引き継げません。したがって,HiRDB/シングルサーバの場合はシステム共通定義又はユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定してください。HiRDB/パラレルサーバでIPアドレスを引き継ぐ構成の場合は,高速系切り替え機能対象ユニットのユニット制御情報定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定してください。
  • 高速系切り替え機能,1:1スタンバイレス型系切り替え機能,又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合は,グローバルバッファを動的変更できません。グローバルバッファの動的変更については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
《ほかのオペランドとの関連》
  • 高速系切り替え機能はユーザサーバホットスタンバイを包括しています。このため,このオペランドにstandbyunitを指定するとpd_ha_server_process_standbyオペランドにYが仮定されます。
  • 1:1スタンバイレス型系切り替え機能及び影響分散スタンバイレス型系切り替え機能は,系を切り替えた場合,切り替え先のユニットのサーバプロセスを利用します。そのため,このオペランドにserver又はactiveunitsを指定するとpd_ha_server_process_standbyオペランドの指定が無効になります。
  • 高速系切り替え機能,1:1スタンバイレス型系切り替え機能,又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合は,pd_rdarea_open_attribute_useオペランド(RDエリアのオープン契機の指定)にYが仮定されます。
  • 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合,HAグループ内の全ユニットが起動していなくてもよいため,pd_start_skip_unitオペランドの指定が無効になります。ただし,HAグループ内の全バックエンドサーバがどこかのユニットで起動していないと,HiRDBを開始できません。
  • このオペランドを指定した場合,次に示すオペランドの指定値を確認してください。指定値に誤りがある場合,KFPS01896-Eエラーになります。
 
オペランド名 pd_ha_agentオペランドの値
standbyunit server activeunits
pd_ha use use use
pd_ha_acttype server server server
pd_ha_ipaddr_inherit(ユニット制御情報定義)
pd_ha_agent ほかのユニットにactiveunitsを指定してはいけない ほかのユニットにserverを指定してはいけない
pdstartオペランドの-cオプション
pdstartオペランドの-gオプション
pdhagroup

(凡例)
○:オペランドの指定が必要です。
−:該当しません。

 

61) pd_ha_max_act_guest_servers = 受け入れ可能なゲストBESの最大数
〜<符号なし整数>((0〜33))
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合にこのオペランドを指定します。ユニット内で実行系として稼働するゲストBESの最大数を指定します。ユニット内で実行系として稼働するゲストBES数がこのオペランドの指定値に達すると,ゲストBESの受け入れ可能状態を解除します。
このオペランドの値によって,受け入れユニットで確保するゲスト用領域の数が決定します。このオペランドの値を変更してゲストBES用のリソース所要量を調整してください。
なお,このオペランドの値が小さ過ぎると,系の切り替えが発生したとき,一部のバックエンドサーバの処理が実行されないことがあります。HAグループ内の障害バックエンドサーバ数がHAグループ内の受け入れ可能ゲストBES数の合計を超えると,超えた分のバックエンドサーバの処理がどのユニットにも受け入れられないため,そのバックエンドサーバの処理が実行されません。
《前提条件》
このオペランドを指定する場合は次に示すオペランドを指定する必要があります。指定しないと,システム定義の不正によるエラーになります(KFPS01896-Eメッセージが出力されます)。
  • pdhagroup
  • pd_ha_agent = activeunits
《指定値の目安》
このオペランドを省略すると,このオペランドの値をHiRDBが計算します。また,指定値の上限値は次に示す値の小さい方になります。
  • 34−ユニット内のホストBES数
  • HAグループ内のサーバ数−ユニット内のホストBES数
上限値以上の値を指定しても,この上限値に補正されます(KFPS05613-Wメッセージが出力されます)。
なお,このオペランドを省略したときにHiRDBが算出する受け入れ可能なゲストBESの最大数は,次に示す条件をすべて満たしていることを想定しています。
  • HAグループ内の各ユニットのバックエンドサーバ数が同じである
  • 2点障害が発生した
したがって,HAグループ内の各ユニットのバックエンドサーバ数が異なる場合,又は3点障害以上が発生した場合,このオペランドの省略値では一部のバックエンドサーバの処理が実行されないことがあります。
《備考》
このオペランドの省略値の計算式を次に示します。
  • HAグループ内のユニット数が2の場合:a
  • HAグループ内のユニット数が3以上の場合:↑(a×2)÷(b−2)↑
a:ユニット内のホストBES数
b:HAグループ内のユニット数
 
このオペランドを指定する場合,次に示す計算式(推奨値)からこのオペランドの指定値を求めてください。この計算式は,多点障害時に自ユニットを除くユニットで,ホストBES数が多いユニットから順に障害が発生した場合,残りのユニットが障害ユニットのホストBESを均等に受け入れることを想定しています。
[図データ]
a:自ユニット以外で,i番目にホストBES数が多いユニットのホストBES数
b:HAグループ内のユニット数
c:想定している多点障害数(<b)

 

62) pd_ha_max_server_process = 受け入れユニット内の最大ユーザサーバプロセス数
〜<符号なし整数>((1〜10000))《ユニット内ホストBESのpd_max_bes_processの合計値》
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合にこのオペランドを指定します。ユニット内で起動するユーザサーバプロセスの最大数を指定します。受け入れユニットでは,ホストBES及びゲストBESの各pd_max_bes_processオペランドの値(最大起動プロセス数)によってサーバプロセス数が制限されます。このオペランドを指定すると,それに加えてユニット内のサーバプロセス数の合計値が制限できます。
《前提条件》
このオペランドを指定する場合は次に示すオペランドを指定する必要があります。指定しないと,このオペランドの指定は無効になります。
  • pdhagroup
  • pd_ha_agent = activeunits
《指定値の目安》
系の切り替え後,ユニット内のプロセス数を増加させたくない場合はこのオペランドを省略してください。ただし,同時に処理できるサービス要求数の上限が制限されることがあります。リソースが十分にある場合は,ユニット内のホストBESと,受け入れ可能なゲストBESの最大起動プロセス数(pd_max_bes_processオペランドの値)の合計値を指定してください。そうすると,系の切り替え後も同時に処理できるサービス要求数の上限が系の切り替え前と同じになります。
このオペランドの指定によって,受け入れユニットに過剰な負荷が掛かることを抑止できます。系切り替え発生後のユニットの負荷上昇,及び同時に処理できるサービス要求数の両者を考慮してこのオペランドの指定値を決定してください。
《注意事項》
ユニット内ホストBESのpd_max_bes_processオペランドの合計値より小さい値をこのオペランドに指定した場合,その指定値は無効になります。この場合,ユニット内ホストBESのpd_max_bes_processオペランドの合計値が仮定されます(KFPS05614-Wメッセージが出力されます)。

 

63) pd_ha_process_count = ゲストBES受け入れ後のユニット内常駐プロセス数
〜<符号なし整数>((0〜10000))
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合にこのオペランドを指定します。ゲストBES受け入れ後のユニット内のホストBESとゲストBESの常駐プロセス数の合計値を指定します。
ゲストBES受け入れ後の各サーバの常駐プロセス数をこのオペランドの指定で調整できます。
《前提条件》
このオペランドを指定する場合は次に示すオペランドを指定する必要があります。指定しないと,このオペランドの指定は無効になります。
  • pdhagroup
  • pd_ha_agent = activeunits
  • サーバ共通定義又はバックエンドサーバ定義のpd_process_count
《指定値の目安》
  • このオペランドを省略すると,このオペランドの値をHiRDBが計算します。
  • 非サービス中の常駐プロセスがプロセスを占有していて,一部のバックエンドサーバがプロセスを起動できないため,サービスの要求を処理できない場合,このオペランドの値を小さくしてください。ただし,系の切り替え後,トランザクションのスループットが悪くなることがあります。系の切り替え後,トランザクションのスループットを良くしたい場合は,このオペランドの値を大きくしてください。ただし,このオペランドの値が大き過ぎると,一部のバックエンドサーバでサービスの要求を処理できないことがあります。
《注意事項》
ユニット内ホストBESのpd_process_countオペランドの合計値より小さい値をこのオペランドに指定した場合,その指定値は無効になります。この場合,ユニット内ホストBESのpd_process_countオペランドの合計値が仮定されます(KFPS05615-Wメッセージが出力されます)。
《備考》
ゲストBESを受け入れた後,各バックエンドサーバに常駐するプロセス数は,次に示す値のうち小さい方になります。
  • このオペランドの値を各バックエンドサーバのpd_process_countオペランドの値で比例配分した値
  • 各バックエンドサーバのpd_process_countオペランドの値
    [図データ]
このオペランドの省略値は,ゲストBESを受け入れた後の最大起動ユーザサーバプロセス数に,ゲストBESを受け入れる前の最大起動プロセス数に対する常駐プロセス数の比率を掛けた値です。計算式を次に示します。
[図データ]

 

64) pd_ha_resource_act_wait_time = リソース活性化最大待ち時間
〜<符号なし整数>((2〜3600))(単位:秒)
影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合にこのオペランドを指定します。このオペランドには,ユニットを開始するときに,実行系サーバのリソースが活性化されるまでの最大待ち時間を秒単位で指定します。このオペランドに指定した待ち時間の間は,ユニットの開始処理を待ち合わせます。ただし,ここで指定した時間内にリソースが活性化された場合は,すぐにユニットの開始処理を再開します。
《利点》
ユニットの開始処理が完了したときに,ユニット内の実行系サーバの起動処理が完了していないと,業務を開始できません。このオペランドに適切な値を指定すると,ユニットの開始処理を待ち合わせるため,ユニットの開始処理が完了した直後から業務を開始できます。
《指定値の目安》
通常は,このオペランドを指定する必要はありません。次に示す条件をすべて満たす場合にこのオペランドを指定してください。
  • 影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用している場合
  • KFPS05623-Iメッセージが出力された場合
  • メッセージ出力対象ユニットに実行系サーバがある場合
指定値の目安を次に示します。
 10+リソース活性化処理に掛かる時間(秒)
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,システム共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。システム共通定義の同じオペランドも省略すると,10が仮定されます。
《備考》
ユニット内に実行系サーバが存在しない場合,このオペランドに指定した時間だけ実行系サーバの開始を待ち合わせます。ただし,ユニット内の全サーバが待機系サーバとして開始した場合は,このオペランドで指定した時間を待たないでユニットの開始処理を再開します。

 

65) pd_ha_ipaddr_inherit = Y | N
系切り替え機能を使用する場合にIPアドレスを引き継ぐかどうかを指定します。HiRDB/パラレルサーバの場合にこのオペランドを指定するか検討してください。IPアドレスを引き継ぐかどうかによって,系切り替え機能の運用方法が異なります。詳細については,マニュアル「HiRDB Version 8 システム運用ガイド」を参照してください。
Y:IPアドレスを引き継ぎます。
N:IPアドレスを引き継ぎません。
サーバモードで運用する場合は,IPアドレスを引き継ぐことはできません。
1:1スタンバイレス型系切り替え機能又は影響分散スタンバイレス型系切り替え機能を使用する場合はこのオペランドを省略してください。指定しても無効になります。
《指定値の目安》
  • HiRDB/パラレルサーバでIPアドレスを引き継ぐ構成の場合は,サーバモードの対象になるユニットについてだけ,N(IPアドレスを引き継がない構成)を指定してください。
    なお,システム共通定義のpd_ha_ipaddr_inheritオペランドにNを指定した場合は,このオペランドにYを指定できません。
《オペランドの省略値》
このオペランドを省略すると,システム共通定義の同じオペランドの指定値が有効となります。システム共通定義の同じオペランドも省略すると,Yが仮定されます。