最大仮想コネクション数(4),通信処理プロセス数(5),プールコネクション数(6),予約プールコネクション数(7)は,使用環境に合わせた適切な値を設定する必要があります。ここでは,設定するときのガイドラインを説明します。
DABrokerとDatabase Connection Serverの接続時,Database Connection Serverでは,TCP/IPコネクションを確立します。1ユーザからのアクセス要求に対して一つのTCP/IPコネクションを確立します(図4-4参照)。
図4-4 DABrokerとDatabase Connection Serverの接続イメージ(1)
この場合,1TCP/IPコネクションを1ユーザからのアクセス要求だけで使用でき,レスポンス性能が良くなりますが,同時アクセスユーザ数が増えると,TCP/IPコネクションの確立数も多くなりDatabase Connection Serverのメインフレーム側及びDABroker側でのリソース消費量が多くなってしまいます。
そのため,DABrokerでは,一つのTCP/IPコネクションを複数ユーザからのアクセス要求で共有できるように,一つのTCP/IPコネクションのなかで複数のDABroker用のコネクションを確立できるようにしています。一つのTCP/IPコネクションに対して確立するDABroker用のコネクションを仮想コネクションと呼びます。一つのTCP/IPコネクションの中で複数の仮想コネクションを確立するときには,DABrokerでは,通信処理プロセスを起動します。通信処理プロセスは,TCP/IPコネクションごとに起動します。
1TCP/IPコネクションを複数ユーザからのアクセス要求で共有する場合,DABrokerでは,1通信処理プロセス当たりで(=一つのTCP/IPコネクションに対して)同時に確立できる仮想コネクション数(=最大仮想コネクション数),及びDABroker内で同時に起動できる通信処理プロセス数(=通信処理プロセス数)を決めて運用します。
図4-5に,1TCP/IPコネクションを2ユーザからのアクセス要求で共有する場合(1通信処理プロセス当たりで二つの仮想コネクションを確立する場合)の,DABrokerとDatabase Connection Serverの接続イメージを示します。ここでは,アプリケーション及びDBPARTNERから同時に四つのアクセス要求があり,二つのTCP/IPコネクションで対応しています。DABrokerでは,二つの通信処理プロセスを起動し,それぞれの通信処理プロセスで二つの仮想コネクションを確立しています。このとき,四つのTCP/IPコネクションを使用した場合に比べ,メインフレーム側及びDABroker側の両方でリソース消費量を少なくできます。
DABrokerは,次のタイミングでDatabase Connection Serverに対してTCP/IPコネクションを確立します。
そして,これらのTCP/IPコネクションを確立する際に,1TCP/IPコネクション上に「最大仮想コネクション数」に設定された数だけ仮想コネクションを予約します。
図4-5 DABrokerとDatabase Connection Serverの接続イメージ(2)
なお,一つのTCP/IPコネクションに対して一つの仮想コネクションを確立する形態をシングルコネクション(図4-4参照)と呼び,一つのTCP/IPコネクションに対して複数の仮想コネクションを確立する形態をコネクションマルチ(図4-5参照)と呼びます。
1TCP/IPコネクションを複数ユーザからのアクセス要求で共有する場合,これらの値は,次の手順で決定してください。
レスポンス性能は,1通信処理プロセス当たりの仮想コネクション数を少なくすればするほど向上し,最大仮想コネクション数を1にする(シングルコネクション)とレスポンスが早くなります。しかし,同時アクセスユーザ数が多い場合に,TCP/IPコネクションも増えるため,メインフレーム側でリソース消費量が多くなります。このため,使用環境に合わせた適切な数値を検討してください。
なお,最大仮想コネクション数は,接続するDatabase Connection Serverの空間起動制御文で設定された「ユーザ数(仮想ユーザ空間数など)÷TCPコネクション数」の倍数となるように設定してください。
最大仮想コネクション数を2以上にした場合,次の2種類の機能が使用できます。この2種類は併用できます。
仮想コネクションのプーリング機能を使用するときは,次に示す値を設定してください。