JP1 Version 9 JP1/IT Desktop Management 導入・設計ガイド
リモートコントロール機能で遠隔地のコンピュータを操作する場合、コントローラは対象のコンピュータに対して次のような操作ができます。
- キーボードやマウスの操作
- 呼び出した画面に対して、文字を入力したり、アイコンをドラッグしたりするなど、手もとのコンピュータを操作するのと同じようにキーボード操作、マウス操作ができます。[Ctrl]+[C]などのショートカットキーは、特殊キーとして登録することで実行できます。
- CD-ROMやDVD-ROMの利用
- コントローラを使用しているコンピュータのCD/DVDドライブ(ドライブ種別がCD-ROMのドライブ)を、接続先のコンピュータのドライブとして利用できます。データを転送することなく、接続先のコンピュータにソフトウェアをインストールできます。
- シャットダウンと再起動の実行
- コントローラから、コンピュータのシャットダウンや再起動を指示できます。再起動時にコンピュータへの再接続を設定しておくと、再起動後に自動的に再接続し、リモートコントロールを継続できます。
- クリップボードの転送
- コントローラとコンピュータ間でクリップボードのデータを送受信できます。この機能を使用すると、コントローラ側のコンピュータと対象のコンピュータとの間で、テキストやビットマップをコピー&ペーストできます。
参考
- コントローラは、マルチディスプレイ環境のコンピュータも操作できます。
- この項の構成
- (1) 特殊キーの登録と入力
- (2) デフォルトで提供されている特殊キー
- (3) クリップボードのデータの転送
- (4) 検索範囲の指定方法
- (5) 検索されたコンピュータの状態
- (6) フルスクリーン表示時のメニューバーからの操作
- (7) リモートコントロール時の注意事項
機能キー、ショートカットキーなどの特殊キーは、キーボードから入力するとコントローラ自身で実行されてしまいます。このため、コンピュータに対して特殊キーを入力する場合は、コントローラに特殊キーを登録して実行する必要があります。
登録された特殊キーは、[リモートコントロール]ウィンドウの「キーボードの入力バー」に表示されます。キーボードの入力バーに表示されたボタンをクリックするだけで、特殊キーを対象のコンピュータに入力できます。
参考
- コントローラ側のコンピュータが日本語キーボードで、接続先のコンピュータが英語キーボードのように入力環境が異なる場合、キーボード操作で特定の文字を入力できないことがあります。このような場合、特殊キーやクリップボードのデータの転送を利用することで、入力環境の違いを意識しないで文字を入力できます。
コントローラがデフォルトで提供している特殊キーの一覧を次の表に示します。これらは、特殊キーの登録時に[特殊キータイプ]で「デフォルト」を設定すると選択できます。
項番 特殊キー 1 [F1] 2 [Shift]+[F1] 3 [Shift]+[F10] 4 [SpaceBar] 5 [Esc] 6 [Alt] 7 [Alt]+[Tab] 8 [Alt]+[Esc] 9 [Alt]+[SpaceBar] 10 [Alt]+[-] 11 [Alt]+[Enter] 12 [Alt]+[F4] 13 [Alt]+[F6] 14 [Alt]+[PrintScreen] 15 [PrintScreen] 16 [Ctrl]+[C] 17 [Ctrl]+[O] 18 [Ctrl]+[P] 19 [Ctrl]+[S] 20 [Ctrl]+[V] 21 [Ctrl]+[X] 22 [Ctrl]+[Z] 23 [Ctrl]+[Esc] 24 [Ctrl]+[F6] 25 [Ctrl]+[Tab] 26 [漢字]
コントローラまたはコンピュータでクリップボードの内容が更新されたときに、クリップボードのデータを自動的に接続先のコントローラまたはコンピュータに転送できます。コントローラとコンピュータのクリップボードの内容が常に同一となるため、例えば、次のような場合にコントローラとコンピュータの違いを意識しないで作業ができます。
- コントローラ側のコンピュータにメモしてあるURLを、接続先のコンピュータのWebブラウザにペーストしてWebサイトを表示する
- 接続先のコンピュータで採取したハードコピーを、コントローラ側のコンピュータで作成中の資料にペーストする
なお、転送できるデータの種類は接続方法によって、次のように異なります。
- 標準接続の場合
- 次に示す種類のデータ、およびこれらを組み合わせたデータを送受信できます。
- テキスト
- ビットマップ
- メタファイル
- リッチテキスト
- カラーパレット
- RFBの接続の場合
- ASCIIコードのテキストだけ送受信できます。ほかの文字コードのテキストを送受信できるかどうかは、接続先の環境に依存します。
クリップボードのデータの送受信は、コントローラがアクティブになったタイミングで実行されます。ただし、RFBで接続している場合は、コンピュータ側でクリップボードの内容が更新されるたびにデータが受信されます。
参考
- 標準接続の場合、容量の大きなデータの転送によって動作が遅くなることを防止したいときは、[環境の設定]ダイアログの[高速化]タブで、テキストデータだけを転送するようにも設定できます。
参考
- データの転送中は、[リモートコントロール]ウィンドウ下部のステータスバーにメッセージおよびプログレスバーが表示されます。予想外に大きなファイルの転送が始まって、なかなか処理が終わらないようなときは、プログレスバー上を右クリックすると表示される[キャンセル]メニューで転送を中断できます。中断した場合、転送中のデータは破棄され、クリップボードの内容は元に戻ります。
ネットワーク上から、リモートコントロールできるコンピュータを検索するための検索範囲は、次の表に示す5とおりの方法で指定できます。
項番 方法 指定例 指定例の場合の対象範囲 1 単独のIPアドレスを指定する。 172.17.11.10 172.17.11.10 2 IPアドレスを3バイト目まで記述し、最終1バイトを、ハイフン(-)で区切って二つ指定する。連続する複数のIPアドレスの範囲内で検索する場合に使用する。 172.17.11.10-20 172.17.11.10~172.17.11.20 3 IPアドレスを3バイト目まで記述し、最終1バイトを、コンマ(,)で区切って複数個指定する。連続しない複数のIPアドレスを対象として検索する場合に使用する。 172.17.11.10,11,100,200 172.17.11.10、172.17.11.11、172.17.11.100、172.17.11.200 4 項番2、3を組み合わせて指定する。 172.17.11.10,50-100,200 172.17.11.10、172.17.11.50~172.17.11.100、172.17.11.200 5 IPアドレスの3バイト目までを指定する。同一サブネット内のすべてのIPアドレスを検索対象とする場合に使用する。 172.17.11 172.17.11.0~172.17.11.255
[接続できるコンピュータの検索]ダイアログに表示されるコンピュータの状態は、「無応答」、「未起動」、「接続拒否」、「接続待ち」の4種類です。状態の遷移を次の図に示します。
- 無応答
- 該当するコンピュータが存在しない、または起動していない状態です。
- 未起動
- 該当するコンピュータがリモートコントロールの対象外、またはリモコンエージェントが起動していない状態です。
- 接続拒否
- 該当するコンピュータ(エージェント導入済み)でリモコンエージェントは起動しているが、 接続できない状態です。原因として、許可コントローラとして登録されていない、リモートコントロールで使用するポートをほかのアプリケーションで使用しているなどが考えられます。[接続できるコンピュータの検索]ダイアログの[詳細]タブでメッセージを確認してください。
- 接続待ち
- 該当するコンピュータが接続できる状態です。
フルスクリーン表示で表示されるメニューバーから、リモートコントロールの動作設定、データの送受信状況の確認、画面表示設定などが実行できます。
それぞれのアイコンおよび機能の説明について、次の表に示します。
アイコン画像 アイコン名 説明 ピンボタン アイコンをクリックすると、メニューバーを常に表示させるかどうかを設定できます。有効にすると、マウスカーソルが画面上部になくても、常に画面上部にメニューバーが表示されます。デフォルトは、無効です。 Ctrl+Alt+Deleteボタン アイコンをクリックすると、接続先の機器に、[Ctrl]+[Alt]+[Delete]キーと同様の操作を実行できます。 最新表示ボタン アイコンをクリックすると、リモートコントロール中の画面の表示内容を最新の状態に更新できます。画面が乱れて表示画面をリフレッシュしたい場合などに実行します。 送受信アイコン リモート接続先との送受信状況や、暗号化の状態を確認できます。かぎ付きのアイコンが表示されている場合は、暗号化されている状態です。
また、右クリックすると表示されるメニューから、送受信データの値を初期化できます。最小化ボタン アイコンをクリックすると、リモートコントロール中の画面を最小化できます。画面には、接続元コンピュータのデスクトップ画面が表示されます。 元に戻すボタン アイコンをクリックすると、フルスクリーン表示を解除して、ウィンドウ表示に戻せます。 閉じるボタン アイコンをクリックすると、リモートコントロールを終了して、ウィンドウが閉じます。
リモートコントロール機能を利用する際の注意事項を次に示します。また、接続先のコンピュータのOSごとの注意事項についても説明します。
- コンピュータでMS-DOSプロンプトをフルスクリーンで表示すると、コントローラではコンピュータの画面を参照できません。リモートコントロール機能を使用する場合、コンピュータではMS-DOSプロンプトをフルスクリーン表示ではなくウィンドウで表示させてください。
- コンピュータでDirect X(Direct Draw)、OpenGLを使用して作成された画像は、コントローラでは参照できない場合があります。
- アニメーションは、データ量が多く送信に負荷が掛かるため、リモートコントロール機能を使用している間はコンピュータで表示させないでください。
- コントローラからの切断をコンピュータが認識していないとき、コントローラが再接続しようとすると[二重接続]ダイアログが表示されます。このダイアログでコンピュータとの接続を切断すると、再接続できるようになります。
- 画面の色(カラーパレット)は、256色以上を使用してください。
- コンピュータでWindowsの[コントロールパネル]-[マウス]-[ポインタ]の[ポインタの影を有効にする]をチェックしている場合、コントローラ上でマウスカーソルが二重表示され、コンピュータとコントローラとでマウスカーソルの形状が不一致になるときがあります。このようなときは、次のどちらかの方法で対処してください。
- コンピュータでWindowsの[コントロールパネル]-[マウス]-[ポインタ]の[ポインタの影を有効にする]のチェックを外す。
- [リモートコントロール]ウィンドウの[環境の設定]ダイアログの[高速化]タブで、[ウィンドウのアニメーション表示などを抑止する]をチェックする。
- コンピュータが監視モードの場合、次の操作または事象が発生したときはコンピュータのモードが共有モードに変わります。
- コンピュータで[Ctrl]+[Alt]+[Delete]キーを押したとき
- ハードウェアエラーまたはシステムエラーのメッセージが表示されたとき、およびそのメッセージを閉じたとき
- WindowsのMessengerサービスからメッセージが表示されたとき、およびそのメッセージを閉じたとき
- コンピュータが監視モードの場合、キーボード入力を擬似的に実行するアプリケーションや、キーの割り当てを変換するアプリケーションは正常に動作しません。
- コントローラが制御モードで接続している場合に、コンピュータの画面を非表示にするときは、次の点に注意してください。また、テスト環境で動作を十分に確認してから実行してください。
- 対象のコンピュータのディスプレイボードとディスプレイが省電力モードに対応している必要があります。
- リモートコントロール時に、対象のコンピュータでCPU使用率が100%になったり、数秒間隔で画面に残像が残ったりすることがあります。
- コンピュータの画面の非表示は、強制的に解除されることがあります。画面の非表示が強制解除される要因を次の表に示します。
強制解除の契機 内容 通信の切断
- 管理者がリモートコントロールを切断または終了した。
- 利用者によってリモートコントロールが切断または終了された。
- 通信障害によってリモートコントロールが切断された。
制御モードの解除
- 対象のコンピュータで[Ctrl]+[Alt]+[Delete]キーが押された。
- 対象のコンピュータでハードウェアエラー、システムエラーのメッセージが表示された、または表示されたメッセージを閉じた。
- 対象のコンピュータでWindows Messengerサービスからメッセージが表示された、または表示されたメッセージを閉じた。
Windows 7、Windows Server 2008、およびWindows Vistaのコンピュータと接続する場合の注意事項
- リモートコントロール中は、ウィンドウの半透明表示、タスクバーのサムネイル表示、Windows フリップ3DなどのWindows Aeroの機能は無効になります。
- Windows Aeroのマウスポインタを使用する場合、リモートコントロール時のマウス操作のパフォーマンスが低下します。マウス操作のパフォーマンスを低下させないためには、マウスポインタのデザインを「なし」に変更してください。マウスポインタのデザインを変更する手順を次に示します。
- Windowsの[コントロールパネル]-[マウス]をクリックします。
- [マウスのプロパティ]ダイアログの「ポインタ」タブを表示します。
- [デザイン]に[(なし)]を選択します。
- [OK]ボタンをクリックします。
Windows 7およびWindows Vistaのコンピュータと接続する場合の注意事項
- コントローラとの接続中に次の操作が実行されると、接続が切断されます。
- ユーザーのログオフ
- ユーザーの切り替え
- リモートデスクトップ機能によるリモート接続
Windows Server 2008のコンピュータと接続する場合の注意事項
- コントローラとの接続中に次の操作が実行されると、接続が切断されます。
- ユーザーのログオフ
- ユーザーの切り替え
- リモートデスクトップ機能によるコンソール接続
Windows Server 2003のコンピュータと接続する場合の注意事項
- Windows Server 2003のリモートデスクトップ機能によるコンソール接続には対応していません。リモートデスクトップ機能によるコンソール接続が実行されると、以降、コントローラからの接続は拒否されます。コントローラと接続中であれば、コントローラからの接続は切断されます。
再度接続するには、リモート接続先のWindows Server 2003のロックを解除してください。
- Windows XPのユーザーの切り替え機能とリモートデスクトップ機能には対応していません。
Windows XPによるユーザーの切り替えやリモートデスクトップ機能によるリモート接続が実行されると、以降、コントローラからの接続は拒否されます。コントローラと接続中であれば、コントローラからの接続は切断されます。
再度接続するには、次の操作が必要です。
- ユーザーの切り替え操作によって接続が拒否された場合
Windows XPですべてのユーザーをログオフし、最初のユーザーでログオンし直してください。- リモートデスクトップ機能によって接続が拒否された場合
リモート接続先のWindowsのロックを解除してください。
注意
- OSがWindows 7でWindows XP Modeのコンピュータは、リモートコントロールできません。
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