JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1
形式
ajsembdbbackup [-mh 論理ホスト名] [-i 組み込みDB運用ディレクトリ] -d データ領域名称 -b バックアップファイル格納ディレクトリ [-s] [-id 組み込みDBセットアップ識別子]
機能
組み込みDBのバックアップを取得します。
組み込みDBが起動状態であるとき使用できます。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
- JP1/AJS3 - Managerインストール先フォルダ\tools\
- UNIXの場合
- /opt/jp1ajs2/tools/
引数
-mh 論理ホスト名
クラスタ運用環境で実行する際に指定します。論理ホスト名を指定してください。
指定できる文字数は,1〜32(単位:バイト)です。
組み込みDBの高度なセットアップ方法でデータベース環境を構築している場合は,ajsembdbbuildコマンドの-mhオプションで指定した値と同じ値を指定してください。省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEの設定があれば,環境変数値が仮定されます。
-i 組み込みDB運用ディレクトリ
組み込みDBの運用ディレクトリを指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。ajsembdbbuildコマンドの-iオプションで指定したディレクトリと同じディレクトリを指定してください。UNIXのセットアップでajsembdbbuildコマンドの-iオプションを省略した場合は,このオプションを省略できます。
省略時は/opt/jp1ajs2/embdb/_JF0が仮定されます。
このオプションは,08-00よりも前のバージョン互換のためのオプションです。通常は,-idオプションを指定してください。
-idオプションと同時に指定した場合,-iオプションに指定した値が有効になります。
-d データ領域名称
組み込みDBのデータ領域名称を指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。ajsembdbbuildコマンドの-dオプションで指定した場合は次のように指定してください。
- Windowsの場合
- [-dオプションで指定したディレクトリ名称]\ajssys02
- UNIXの場合
- [-dオプションで指定したディレクトリ名称]/ajssys02
ajsembdbbuildコマンドの-aオプションで指定した場合は次のように指定してください。
- Windowsの場合
- [-aオプションで指定したデータ領域パーティション]
- UNIXの場合
- [-aオプションで指定したデータ領域パーティション]
jajs_setupコマンドまたはjajs_migrateコマンドで作成された組み込みDBに対して操作を行う場合,ajsembdbidlistコマンドで操作対象となる組み込みDBの格納ディレクトリを確認してください。ajsembdbidlistコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。
- Windowsの場合
- [ajsembdbidlistコマンドで確認したディレクトリ名称]\dbarea\ajssys02
- UNIXの場合
- /var/opt/jp1ajs2/embdb/_JFn※/dbarea/ajssys02
jajs_setup_clusterコマンドで構築された論理ホスト環境の組み込みDBに対して操作を行う場合,-dオプションに指定された値を指定してください。
- Windowsの場合
- [-dオプションで指定したディレクトリ名称]\jp1ajs2\embdb\_JFn※\dbarea\ajssys02
- UNIXの場合
- [-dオプションで指定したディレクトリ名称]/jp1ajs2/embdb/_JFn※/dbarea/ajssys02
jajs_setupコマンドで構築された論理ホスト環境の組み込みDBに対して操作を行う場合,-Dオプションに指定された値を指定してください。
- Windowsの場合
- [-Dオプションで指定したディレクトリ名称]\jp1ajs2\embdb\_JFn※\dbarea\ajssys02
- UNIXの場合
- [-Dオプションで指定したディレクトリ名称]/jp1ajs2/embdb/_JFn※/dbarea/ajssys02
- 注※
- このコマンドの-idオプションに指定する値を指定してください。-idオプションを省略する場合,_JF0を指定してください。
-b バックアップファイル格納ディレクトリ
バックアップファイルを格納するディレクトリを指定します。ディレクトリは絶対パスで指定してください。Windows版の場合,指定する絶対パスに空白文字を含む場合はパスを「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んでください。
指定したディレクトリは,事前に作成しておいてください。ディレクトリがない場合はエラーになります。
指定したディレクトリには,次のファイルが格納されます。
- バックアップファイル
- 処理出力結果ファイル
ファイル名称は自動的に決定します。名称は,次の規則によって決定されます。
- -sオプション指定あり
- バックアップファイル:BACK_XXXXYYZZVVWW.bk
- 出力結果ファイル:BACK_XXXXYYZZVVWW.log
- -sオプション指定なし
- バックアップファイル:BACK_MST_XXXXYYZZVVWW.bk
- 出力結果ファイル:BACK_MST_XXXXYYZZVVWW.log
- XXXX:西暦
- YY:月
- ZZ:日
- VV:時間
- WW:分
バックアップファイル格納ディレクトリは,組み込みDBのデータベースモデルの規模によって次の表に示すとおり必要な空き容量が異なります。
表2-7 組み込みDBのデータベースモデルと必要な空き容量
データベースモデル 必要な空き容量 大規模 約6,700メガバイト 中規模 約1,400メガバイト 小規模 約200メガバイト ajsembdbaddareaコマンドでデータベース領域を拡張している場合は,拡張した容量を合計した容量が必要になります。また,データベース領域の自動増分機能を有効にしている場合は,自動増分による拡張後の容量が必要になります。
自動増分機能については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 付録B.1 データベース領域の見積もり」を参照してください。
-s
運用中にバックアップを取得する場合に指定してください。
バックアップを取得した場合,リストアする際にアンロードログファイルが必要になるため,アンロードログファイルが出力されているかどうかを確認してください。アンロードログファイルは,ajsembdboplogコマンドで自動ログアンロード機能の動作状態がACTIVEになっている場合に出力されます。ajsembdboplogコマンドについては,「2. コマンド ajsembdboplog」を参照してください。
-id 組み込みDBセットアップ識別子
組み込みDBを識別するセットアップ識別子を「_JFn」(nは0〜9またはA〜Z)の4文字で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-idオプションで指定した値を指定してください。
jajs_setupコマンド,jajs_setup_clusterコマンド,およびjajs_migrateコマンドで作成された組み込みDBに対して操作を行う場合,ajsembdbidlistコマンドで操作対象となる組み込みDBのセットアップ識別子を確認してください。ajsembdbidlistコマンドについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。
このオプションを省略した場合は,_JF0が仮定されます。
-iオプションと同時に指定した場合,-iオプションが優先されます。
注意事項
- 障害の発生している組み込みDBのバックアップは取得しないでください。障害の発生している状態でバックアップを取得した場合,そのバックアップファイルを回復に使用すると問題が発生することがあります。
- このコマンドは,組み込みDB稼働中に実行してください。
- ジョブ実行中にこのコマンドを実行すると,コマンドが異常終了する場合があります。その場合は,ジョブ実行による負荷が低い時間帯に再実行してください。
- -sオプションを指定してバックアップを取得した場合,ajsembdbrstrコマンドは,入力情報としてアンロードログファイルが必要になります。
- -sオプションを指定しないでバックアップを取得する場合,データベースの更新がないことを確認して実行してください。
- データベースの更新時にバックアップを取得しようとするとエラーが発生することがあります。
- システムログファイルの状態を監視するには,ajsembdbstatusコマンドの-lオプションを使用してください。
ajsembdbstatusコマンドの詳細については,「2. コマンド ajsembdbstatus」を参照してください。
- コマンドの実行結果は,ログファイルに出力されます。格納先は,次の場所になります。
- Windows Server 2008でインストール先フォルダがデフォルトまたはシステムで保護されたフォルダ配下の場合
- %ALLUSERSPROFILE%\HITACHI\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log
- 「%ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\ProgramData」です。
- 「システムで保護されたフォルダ」とは,次のフォルダを指します。
- ・「システムドライブ\Windows」配下
- ・「システムドライブ\Program Files」配下
- ・「システムドライブ\Program Files (x86)」配下(64ビット版のWindowsの場合)
- Windows Server 2003,またはWindows Server 2008でインストール先フォルダが上記以外の場合
- JP1/AJS3 - Managerインストール先フォルダ\log
- UNIXの場合
- /var/opt/jp1ajs2/log
- ファイル名はajsembdbbackup.logです。このファイルは,上書きしないためファイルサイズが無限に大きくなります。必要に応じて退避,削除を行ってください。
このファイルがない場合は,ajsembdbbackupコマンドを実行すると,新たに作成されます。
- -sオプションを指定しない場合は,バックアップファイルだけで回復できます。JP1/AJS3との同期を取ってバックアップを取得する場合には,-sを指定しないで実行してください。
- -sオプションを指定して取得したバックアップファイルを使って回復を行う場合は,アンロードログファイルを使用しなければ回復できないため注意が必要です。
- ajsembdbbackupコマンドを実行中,警告メッセージKFPS01278-W,KFPS01279-Wが出力される場合があります。ただし,メッセージKFPS01278-Wに「code=1601-0」が出力される場合,またはメッセージKFPS01279-Wに「code=1607-0」が出力される場合はバックアップ動作に影響はないため,問題ありません。
- このコマンドを同時に複数実行しないでください。同時に複数実行した場合は,次に示す現象が起こるおそれがあります。
- 不当なメッセージが出力されたり,本来出力されるはずのメッセージが出力されなかったりなど,メッセージの出力が不正になる
- このコマンドが不当にエラーになる
戻り値
0 正常終了。 0以外の値 異常終了。
エラー発生時の対処
ajsembdbbackupコマンド実行時にエラーが発生した場合は次の表に従って対処してください。
表2-8 ajsembdbbackupコマンドエラー発生時の対処
メッセージ 原因 対処 KFPS01280-E AJSEMBDBBACKUP:EmbedDB SYNC END (4) AJSEMBDBBACKUP:[ERROR]pdlogsync -d sys -w -t 180 スケジューラーデータベースが更新中のため,DBのバックアップを取得できる状態にできません。 実行中のジョブが終了するのを待って再実行してください。 KAVS0996-E
- 引数に誤りがあります。
- オプションの指定が不足しています。
- -iオプションに指定したパスが組み込みDB運用ディレクトリではありません。または,読み取り権限がありません。
指定している引数を見直して,再実行してください。 KFPR26012-E -dオプションに指定したパスが誤っています。または,指定したパスに読み取り権限がありません。 指定しているパスおよび権限を見直して,再実行してください。 KFPR16003-E -bオプションに指定したパスが誤っています。または,指定したパスに書き込み権限がありません。 指定しているパスおよび権限を見直して,再実行してください。 KFPR26006-E
Invalid parameter AAA exists at -m option in command line-mhオプションに指定したホスト名称が不正です。 ホスト名称および指定している引数を見直して,再実行してください。 KFPS01984-E -iオプションに指定したパスが絶対パスで指定されていません。 指定しているパスを見直して,再実行してください。 Bad directory specified in -i option -iオプションに指定したディレクトリが,組み込みDBの運用ディレクトリでないか,セットアップが正常に行われていません。 -iオプションに正しい組み込みDBの運用ディレクトリを指定してください。組み込みDBの運用ディレクトリの指定に問題がない場合は,組み込みDBの再セットアップを行ってください。 KAVS2104-E -idオプションで指定したセットアップ識別子が不正か,組み込みDBがセットアップされていません。 -idオプションで指定したセットアップ識別子の値が正しいことを確認してください。
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