JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド

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3.1.3 マクロ変数を使用した業務の作成方法

マクロ変数とは,ジョブ実行時に情報を引き継ぐために使用する変数です。マクロ変数を使用すると,ジョブの実行ごとにパラメーターの値が変化するような処理を含んだ業務を自動化できます。

マクロ変数を使用すると,次のことができます。

<この項の構成>
(1) マクロ変数の指定
(2) マクロ変数の確認
(3) マクロ変数の展開失敗時の状態設定
(4) 注意事項

(1) マクロ変数の指定

マクロ変数の指定について説明します。

イベントジョブ,先行ジョブ,または実行登録時に指定するマクロ変数は,マクロ変数名と引き継ぎ情報を指定します。後続ジョブでは,マクロ変数名を指定します。

マクロ変数名は,「?AJS2xxxxx?」という形式の64バイト以内の文字列で指定します。xxxxxの部分に指定できる文字列は,A〜Z(大文字の英字),0〜9(アラビア数字),「.(ピリオド)」です。

引き継ぎ情報は,マクロ変数の使い方によって指定方法が異なります。それぞれの指定方法について説明します。

(2) マクロ変数の確認

マクロ変数を使用している場合,ジョブで使用しているマクロ変数名を確認したり,ジョブの実行後にマクロ変数で引き継いだ結果を確認したりできます。

(a) 使用しているマクロ変数の確認

JP1/AJS3 - Viewの[変数使用状況]ダイアログボックス,またはajsprintコマンドの-vオプションの指定で,配下のユニットで使用しているマクロ変数名の一覧を参照できます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 15.3.25 [変数使用状況]ダイアログボックス」,およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsprint」を参照してください。

ajsprintコマンドでの参照例を次の図に示します。

図3-15 配下のユニットで使用しているマクロ変数の参照例

[図データ]

(b) マクロ変数で引き継いだ結果の確認

JP1/AJS3 - Viewの[引き継ぎ結果]ダイアログボックスでは,実行登録時に指定したマクロ変数名と引き継ぎ情報,およびジョブ実行時に引き継いだマクロ変数名と引き継ぎ結果が参照できます。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 15.7.10 [引き継ぎ結果]ダイアログボックス」を参照してください。

また,ajsshowコマンドでは,-iオプションで2バイトフォーマット指示子%MVを指定すると,実行登録時に指定したマクロ変数名と引き継ぎ情報,ジョブ実行時に引き継いだマクロ変数名と引き継ぎ結果が参照できます。出力結果が複数ある場合は「,(コンマ)」で区切られて出力されます。出力世代が複数ある場合は改行されて出力されます。

ajsshowコマンドの出力例を次に示します。

ajsshow -F AJSROOT2 -g 2 -i "%MV" /net
 
"AJS2ENV:/jp1_data/Job_Report","AJS2COM:c:\temp\test.exe"
"AJS2ENV:/jp1_data/Job_Report","AJS2COM:c:\temp\test.exe"
 
ajsshow -F AJSROOT2 -i "%MV" /net2
 
"AJS2ENV:/jp1_data2/Job△Report","AJS2COM:c:\temp\test2.exe"

ajsshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsshow」を参照してください。

なお,ユニット種別および状態によって,引き継ぎ結果の参照可否が異なります。ユニット種別および状態による引き継ぎ結果の参照可否を,次の表に示します。

表3-6 引き継ぎ結果の参照可否

ユニット種別 状態 参照可否
ルートジョブネット 未登録 ×
上記以外 ※1
ネストジョブネット ×
ジョブ※2,※3 未登録 ×
未計画 ×
先行終了待ち ×
保留中 ×
キューイング ×
実行待ち ×
実行中 ×
正常終了
正常終了-偽
警告検出終了
異常検出終了
起動失敗
終了状態不明
強制終了
未実行終了 ×
計画未実行 ×
監視中断
閉塞 ×

(凡例)
○:参照できる。
×:参照できない。
−:該当しない。

注※1
リモートジョブネットは対象外です。

注※2
次に示すジョブは対象外です。
・リモートジョブネット配下のジョブ
・サスペンド中に削除されたジョブ
・サスペンド中に追加されたジョブ(ただし,サスペンド解除後は対象)

注※3
ジョブ状態を変更したジョブは,変更後の状態に依存します。

引き継ぎ情報は,ジョブの再実行時にもそのまま使用されます。ジョブの引き継ぎ結果は,その時点での引き継ぎ情報を基にして表示されるため,引き継ぎ結果を参照することによって,対象ジョブを再実行したときに引き継がれる情報を事前に確認できます。

補足事項
次の場合,前回実行時に引き継がれた結果と異なる結果が表示されます。
  • 引き継ぎ元の先行ジョブが再実行中の場合
    その先行ジョブから引き継ぐ情報は表示されません。
  • 引き継ぎ元の先行ジョブを再実行し,実行が終了した場合
    その先行ジョブの再実行後の引き継ぎ情報が表示されます。
  • サスペンド中に引き継ぎ元の先行ジョブを削除した場合
    その先行ジョブから引き継がれていた情報は表示されません。
  • ジョブネット中に,同名のマクロ変数を指定している引き継ぎ情報設定ジョブを複数定義している場合
    関連線に関係なく,最後に実行された引き継ぎ情報設定ジョブによって設定された引き継ぎ情報が表示されます。
  • 引き継ぎ情報設定ジョブに指定している正規表現を変更してから,その引き継ぎ情報設定ジョブを再実行し,実行が終了した場合
    引き継ぎ情報設定ジョブの再実行によって,変更後の正規表現に従って設定された引き継ぎ情報が表示されます。
  • 先行ジョブが前回実行時とは異なる標準出力ファイルを出力した状態で,引き継ぎ情報設定ジョブを再実行し,実行が終了した場合
    引き継ぎ情報設定ジョブの再実行によって,再実行時の標準出力ファイルから設定された引き継ぎ情報が表示されます。

(3) マクロ変数の展開失敗時の状態設定

ジョブの実行時にマクロ変数の引き継ぎ情報の展開が失敗した場合,そのジョブの状態を「起動失敗」にするか,マクロ変数名を文字列として扱いそのままジョブネットを実行させるかを設定できます。

マクロ変数の引き継ぎ情報の展開が失敗した場合の状態は,環境設定パラメーターMACROCHANGEFAILで設定できます。

マクロ変数の引き継ぎ情報の展開が失敗した場合の状態の設定方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 6.2.10 マクロ変数の展開失敗時の動作の設定」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 15.2.10 マクロ変数の展開失敗時の動作の設定」(UNIXの場合)を参照してください。

(4) 注意事項

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