JP1/Performance Management - Agent Option for Oracle(R) WebLogic Server
ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- <この項の構成>
- (1) PFM - Agentの登録
- (2) 共有ディスクのマウント
- (3) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ
- (4) 接続先PFM - Managerの設定
- (5) インスタンス環境の設定
- (6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
- (7) ネットワークの設定
- (8) ログのファイルサイズ変更
- (9) パフォーマンスデータの格納先の変更
- (10) 動作ログ出力の設定
- (11) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
- (12) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
- (13) 共有ディスクのアンマウント
- (14) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
- (15) クラスタソフトへのPFM - Agentの登録
- (16) クラスタソフトからの起動・停止の確認
- (17) クラスタシステムでの環境設定
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for WebLogic Serverを登録する必要があります。
PFM - Agent for WebLogic Serverを登録する必要があるのは次の場合です。
- Performance Managementシステムに新しくPFM - Agent for WebLogic Serverを追加する場合
- すでに登録しているPFM - Agent for WebLogic Serverのデータモデルのバージョンを更新する場合
登録はPFM - Manager上およびPFM - Web Console上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。
手順については,「3.1.4(2) PFM - Agent for WebLogic Serverの登録」を参照してください。
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをマウントしてください。
jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
- 注意
- コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementを運用するための操作について説明している章を参照してください。
手順を次に示します。
- jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して,PFM - Agent for WebLogic Serverの論理ホスト環境を作成する。
次のようにコマンドを実行します。
論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-halsとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
jpcconf ha setup -key WebLogic -lhost jp1-hals -d /jp1(jpchasetup create agts -lhost jp1-hals -d /jp1)
共有ディスクのディレクトリ名は,-dオプションの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d /jp1と指定すると/jp1/jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
- jpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。
jpcconf ha list all(jpchasetup list all)
jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,PFM - Agent for WebLogic Serverを管理するPFM - Managerを設定します。
- jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
次のようにコマンドを実行します。
接続先PFM - Managerのホスト名は,-sオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-sオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
jpcconf mgrhost define -s jp1-hal -lhost jp1-hals(jpcnshostname -s jp1-hal -lhost jp1-hals)
また,PFM - Agent for WebLogic Serverの論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,PFM - Agent for WebLogic Serverの論理ホスト名をjp1-halsとしています。
jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行して,PFM - Agent for WebLogic Serverのインスタンス環境を設定します。
設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドの指定方法を次に示します。
jpcconf inst setup -key WebLogic -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名(jpcinssetup agts -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名)このほかの設定内容,および手順については,「3.1.4(3) インスタンス環境の設定」を参照してください。
(6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
PFM - Agent for WebLogic Serverのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定では次の二つの項目を設定できます。
- IPアドレスを設定する
複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合には,jpchostsファイルの内容を直接編集します。
このとき,編集したjpchostsファイルは,実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。
IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- ポート番号を設定する
ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcconf port(jpcnsconfig port)コマンドを使用してポート番号を設定します。
ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびマニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「3.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(10) 動作ログ出力の設定
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。
PFM - Agent for WebLogic Serverの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
手順を次に示します。
- jpcconf ha export(jpchasetup export)コマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt(jpchasetup export -f lhostexp.txt)
(12) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
エクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
- 注意
- 共有ディスクをマウントしないでセットアップすると,ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにjp1pcディレクトリおよびjp1pcディレクトリ以下のファイルが作成されます。この場合は次の手順で対処してください。
- ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにあるjp1pcディレクトリをtarコマンドでアーカイブする。
- 共有ディスクをマウントする。
- 共有ディスク上に指定した環境ディレクトリがない場合は,環境ディレクトリを作成する。
- 共有ディスク上の環境ディレクトリにtarファイルを展開する。
- 共有ディスクをアンマウントする。
- ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにあるjp1pcディレクトリ以下を削除する。
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。
手順を次に示します。
- jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
次のようにコマンドを実行します。
コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - Agent for WebLogic Serverを起動するための設定が実施されます。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt(jpchasetup import -f lhostexp.txt)
また,セットアップ時にjpcconf port(jpcnsconfig port)コマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
- jpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
次のようにコマンドを実行します。
実行系ノードでjpcconf ha list(jpchasetup list)を実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。
jpcconf ha list all(jpchasetup list all)
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
ここでは,PFM - Agent for WebLogic Serverをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。
PFM - Agent for WebLogic Serverでの設定方法を次の表に示します。
表4-5 クラスタソフトに登録するPFM - Agent for WebLogic Serverの制御方法
項目 説明 起動 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for WebLogic Serverを起動する。
/opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key Action -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart act lhost=論理ホスト名) /opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key WebLogic -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart agts lhost=論理ホスト名 inst=インスタンス名)起動するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスが使用できる状態になったあととする。停止 次のコマンドを順に実行して,PFM - Agent for WebLogic Serverを停止する。
/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key WebLogic -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop agts lhost=論理ホスト名 inst=インスタンス名) /opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key Action -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop act lhost=論理ホスト名)停止するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスを使用できない状態にする前とする。
なお,障害などでサービスが停止しているときは,jpcspm stop(jpcstop)コマンドの戻り値が3になる。この場合はサービスが停止されているので,正常終了と扱う。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどで対応すること。動作監視 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。
ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス"監視対象のプロセスは,次のとおり。
jpcagts,jpcsto,jpcahプロセス名については,「付録D プロセス一覧」およびマニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録を参照のこと。
なお,運用中にメンテナンスなどでPerformance Managementを一時的に停止する場合を想定して,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中のファイルがあると監視をしないなど)を用意しておくことをお勧めする。強制停止 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行する。
/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate(/opt/jp1pc/tools/jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate)第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけである。
なお,強制停止は,通常の停止を実行しても停止できない場合に限って実行するよう設定すること。
- 注意
- コマンドを実行すると,指定した論理ホスト環境のすべてのPerformance Managementのプロセスが,SIGKILL送信によって強制停止される。このとき,サービス単位ではなく,論理ホスト単位でPerformance Managementが強制停止される。
- 注意
- クラスタに登録するPerformance Managementのプログラムは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時の自動起動設定をしないでください。
- Performance Managementのプログラムを日本語環境で実行する場合,クラスタソフトに登録するスクリプトでLANG環境変数を設定してから,Performance Managementのコマンドを実行するようにしてください。
- クラスタソフトがコマンドの戻り値で実行結果を判定する場合は,Performance Managementのコマンドの戻り値をクラスタソフトの期待する値に変換するように設定してください。Performance Managementのコマンドの戻り値については,各コマンドのリファレンスを確認してください。
- psコマンドで表示される文字の長さはOSによって異なります。論理ホスト名とインスタンス名を合わせて,47文字以内になるように設定してください。また,psコマンドで動作監視する場合,事前にpsコマンドで論理ホストがすべて表示されているか確認してください。表示が途中で切れてしまっている場合は表示されている文字までを監視するように設定してください。
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
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