JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド
エージェントホストのJP1/AJS2のサービスを停止した場合,またはマネージャーホストのJP1/AJS2のサービスを停止した場合,停止時に「実行中」だったジョブは「異常検出終了」状態となり,ジョブネットが中断します。
ただし,イベントジョブについては,イベントジョブ実行継続オプションを使用することで,サービス停止時に「実行中」だったイベントジョブの状態をそのまま引き継ぎ,再起動後も継続してイベントジョブを実行させることができます。
なお,電源ダウンやプロセス強制終了などによるフェールオーバーの場合は,イベントジョブ実行継続オプションを使用しなくても,サービス停止時に「実行中」だったイベントジョブの状態をサービス再起動後も引き継ぎます。
イベントジョブ実行継続オプションを使用する場合の設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 7.33 JP1/AJS2のサービスが停止してもイベントジョブの実行を継続させる設定」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 16.30 JP1/AJS2のサービスが停止してもイベントジョブの実行を継続させる設定」(UNIXの場合)を参照してください。
ここでは,イベントジョブ実行継続オプションを使用する場合としない場合の動作について説明します。
- <この項の構成>
- (1) マネージャー・エージェント構成の場合
- (2) スタンドアロンの場合
- (3) 計画的にJP1/AJS2を停止させる場合の注意事項
- (4) その他の注意事項
- (5) 補足事項
(1) マネージャー・エージェント構成の場合
マネージャー・エージェント構成で,エージェントホストのメンテナンスのためにエージェントホストのJP1/AJS2のサービスを12:00から12:30まで停止する場合を例に,イベントジョブ実行継続オプションを使用する場合としない場合の動作を次に示します。ジョブネットは8:00に開始し,17:00に終了するというスケジュールで運用しているものとします。
図8-22 イベントジョブ実行継続オプションを使用する場合としない場合の動作
イベントジョブ実行継続オプションを使用しない場合,エージェントホストのJP1/AJS2のサービスを停止すると,マネージャーホストにエージェントが停止した旨が通知されます。この場合,サービス停止時に「実行中」だったイベントジョブの状態は「異常検出終了」となり,ジョブネットが終了します。
一方,イベントジョブ実行継続オプションを使用した場合,エージェントホストのJP1/AJS2のサービスを停止しても,サービス停止時に「実行中」だったイベントジョブの状態は「実行中」となります。サービス再起動後も「実行中」の状態をそのまま引き継ぎ,イベントジョブの実行を継続します。
なお,次の図に示すように,JP1/AJS2のサービスを再起動する時点から,フェールオーバーしてJP1/AJS2のサービスが起動し,イベント監視が開始するまでの期間に発生したイベントに関しては,検知できません。
図8-23 イベントを検知できる期間
(2) スタンドアロンの場合
スタンドアロン構成の場合も,マネージャー・エージェント構成の場合と同様に,イベントジョブ実行継続オプションを使用した場合は,サービス停止時に「実行中」のイベントジョブの状態を再起動後も引き継ぎます。
ただし,この場合はサービスをホットスタート(サービスの起動モードを「自動継続」または「hot」とする)で再起動する必要があります。サービスの起動モードについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 4.1.5 スケジューラーオプションを定義する」(Windowsの場合),「JP1/Automatic Job Management System 2 セットアップガイド 14.1.3 スケジューラーサービス環境設定パラメーターの定義内容」(UNIXの場合),または「15.4.1 JP1/AJS2起動時の動作を一時的に変更する」を参照してください。
(3) 計画的にJP1/AJS2を停止させる場合の注意事項
マネージャー・エージェント構成で,実行中のすべてのジョブが終了するのを待ってからマネージャーホストを停止するように運用している場合,イベントジョブ実行継続オプションを使用しているとマネージャー上は「実行中」状態を継続するため,マネージャーホストを 計画停止できません。具体的には次の場合に計画停止できません。
- jajs_spmd_stopコマンドに-jobオプションを指定して実行する。
- JP1/Power MonitorでJP1/AJS2のジョブネットの終了を待つように設定し,次のどれかの方法でホストを終了する。
- ローカル電源制御ジョブの終了要求種別に「計画終了」,「監視終了」,または「制限終了」を指定し,ジョブを実行する。
- リモート電源制御ジョブの要求種別に「計画終了」,「監視終了」,または「制限終了」を指定し,ジョブを実行する。
- JP1/Power Monitorから「計画終了」,「監視終了」,または「制限終了」を指定してホストを終了する。
(4) その他の注意事項
- JP1/AJS2 - Agentが06-00-/D以前のバージョンの場合は,イベントジョブ実行継続オプションを使用できません。
- イベントジョブ実行継続オプションは,物理・論理ホストのマネージャー単位で設定してください。
- イベントジョブ実行中にエージェントホストのJP1/AJS2を再起動すると,イベントの監視を自動継続するためにマネージャーからエージェントにイベントの監視要求を行います。多数のイベントジョブを実行中の場合,エージェントでイベントを検知できる状態になるまで時間が掛かることがあるため,注意してください。
- イベントジョブ実行継続オプションでファイル監視ジョブの実行を継続する場合,ファイル監視ジョブの状態引き継ぎオプションが設定されていても,監視対象ファイルの状態は引き継がれません。そのため,ファイル監視ジョブを実行中のエージェントが停止してから再起動してイベント監視を再開するまでの期間に発生したイベントは,検知されません。
ファイル監視ジョブの状態引き継ぎオプションの詳細については,「8.3.2 ファイル監視ジョブの注意事項」を参照してください。
(5) 補足事項
- 打ち切り時間を設定したイベントジョブの場合,サービス停止時までにカウントしていた打ち切り時間はいったんクリアーされ,再起動時点を0としてカウントし直します。
- 実行間隔制御ジョブの場合,サービス停止前までにカウントしていた待ち時間はいったんクリアーされ,再起動時点を0としてカウントし直します。
- JP1イベント受信監視ジョブで,[実行前のイベント検索]を「する」としている場合,イベントの検索時間として指定している値の範囲内であれば,サービス停止から再起動までの間に監視対象のJP1イベントを受信したときは再起動後にイベント検知となります。
- 作成されたファイルを監視するファイル監視ジョブで,「既存ファイルも条件成立」を指定している場合,サービス停止から再起動までの間にファイルが作成されたときは再起動後に監視条件成立となります。
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