JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド
JP1/AJS2のメッセージを監視する場合,メッセージの最後に付加情報が追加されるおそれがあるため,メッセージIDを監視するか,またはメッセージの前文を監視するようにしてください。メッセージの全文で監視すると,メッセージが検出できない場合があります。
JP1/AJS2のイベントジョブに,JP1/AJS2が発行するJP1イベントやWindowsイベント,ログファイルに出力されるメッセージを監視するように指定しても,JP1/AJS2の状態によってはイベントとして正しく受信できなかったり,監視条件の設定によってはイベントジョブとして無限に実行してしまったりする場合があります。具体的には,次のような現象が発生する場合があります。
- イベントジョブは通常のジョブと同様に,ジョブネット中のジョブとして実行されます。JP1/AJS2が起動され,ジョブネットが起動されて初めてイベントの監視が始まります。ジョブネット開始イベントは,最初のジョブが起動したあとに発行されるため,イベントジョブを実行しているJP1/AJS2のジョブネット開始イベントは監視できません。
- JP1/AJS2にトラブルが発生し,イベントジョブが定義されているジョブネットが異常終了した場合,イベントジョブ自体も異常終了するので,イベントは監視できなくなります。
- イベントジョブも,ジョブの延長でJP1イベントやWindowsイベントを発行したり,ログファイルにメッセージを出力したりします。イベントジョブが発行したJP1イベント,Windowsイベント,およびログファイルに対するメッセージを,そのイベントジョブ自身が監視することになるため,監視が無限に続いてしまいます。
上記の対処方法として,JP1/AJS2が発行するイベントやログファイル中のメッセージを契機にアクションを実行する場合は,JP1/IMの自動アクション機能か,またはイベントジョブを実行しているマネージャーとは別のJP1/AJS2のマネージャーを使用してください。JP1/AJS2が発行するイベントやログファイル中のメッセージを契機にコマンドなどを実行する場合については,JP1/AJS2のマネージャーが複数ある場合(論理ホストを幾つかに分けてJP1/AJS2を多重起動している場合を含む)と,JP1/AJS2のマネージャーが一つだけの場合(JP1/AJS2を多重起動していない場合)とに分けて次に説明します。また,イベントやメッセージの監視に関する注意事項も説明します。
なお,この節で説明する内容は,JP1/AJS2自身が発行するJP1イベント,Windowsイベント,ログファイル・syslogファイルなどに出力するメッセージを監視する場合を対象としています。JP1イベント送信ジョブを使用する場合や,ユーザージョブとしてJP1イベントを送信する場合は,対象外です。
- <この項の構成>
- (1) JP1/AJS2のマネージャーが複数ある場合(論理ホストを幾つかに分けてJP1/AJS2を多重起動している場合を含む)
- (2) JP1/AJS2のマネージャーが一つだけの場合(JP1/AJS2を多重起動していない場合)
- (3) イベントやメッセージの監視に関する注意事項
(1) JP1/AJS2のマネージャーが複数ある場合(論理ホストを幾つかに分けてJP1/AJS2を多重起動している場合を含む)
JP1/AJS2のマネージャーが複数ある場合,または論理ホストを幾つかに分けてJP1/AJS2を多重起動している場合に,ほかの論理ホスト上のJP1/AJS2が発行するイベントやログファイル中のメッセージを監視するときの対処方法を説明します。なお,このとき,JP1/IMは不要です。
(a) ほかの論理ホスト上のJP1/AJS2が発行するJP1イベントを監視したい場合,またはJP1/AJS2のマネージャーが複数ある場合
標準では,ほかのホスト(論理ホスト)上のJP1/AJS2が発行するJP1イベントは監視できません。
ただし,監視対象のJP1/AJS2が発行するJP1イベントを,JP1/Baseのイベントサービス機能を使って転送すれば監視できます。このとき,JP1イベントを,そのJP1イベントを発行したJP1/AJS2が管理するホストとは別のホスト(論理ホスト)上のイベントサービスに転送してください。そのJP1イベントが登録されたJP1/AJS2が管理するホスト上のイベントサービスに転送しても監視できません。
JP1イベントの流れの例を次の図に示します。
図8-16 JP1イベントの流れ
上記の図の場合,HOSTAのJP1/AJS2が発行するJP1イベントを監視したい場合は,JP1イベントをHOSTCまたはHOSTDのイベントサービスに転送してください。HOSTBのイベントサービスに転送しても監視できません。
(b) ほかの論理ホスト上のJP1/AJS2が発行するWindowsイベントを監視したい場合
Windowsイベントは,JP1/Baseのイベントログトラップ機能が動作する論理ホスト上だけで監視できます。
JP1/AJS2が発行するWindowsイベントを監視する場合は,論理ホストを分け,監視したいJP1/AJS2とは別のマネージャーから監視してください。この場合,監視されるJP1/AJS2からはWindowsイベントログ監視ジョブは使用できません。
(c) ほかの論理ホスト上のJP1/AJS2が出力するログファイル中のメッセージを監視したい場合
監視対象のログファイルを,ほかの論理ホストのJP1/AJS2から参照してください。
(2) JP1/AJS2のマネージャーが一つだけの場合(JP1/AJS2を多重起動していない場合)
JP1/AJS2のマネージャーが一つだけの場合に,JP1/AJS2が発行するイベントやログファイル中のメッセージを監視するときの対処方法を説明します。なお,このとき,JP1/IMが必要です。
(a) JP1/AJS2が発行するJP1イベントを監視したい場合
JP1/IMの自動アクション機能を使用してください。
(b) JP1/AJS2が発行するWindowsイベントを監視したい場合
JP1/BaseのWindowsイベントトラップ機能,およびJP1/IMの自動アクション機能を使用してください。
(c) JP1/AJS2が出力するログファイル中のメッセージを監視したい場合
JP1/Baseのログファイルトラップ機能,およびJP1/IMの自動アクション機能を使用してください。
(3) イベントやメッセージの監視に関する注意事項
イベントやメッセージの監視に関する注意事項を次に示します。
(a) 2台のJP1/AJS2 - Managerホストでイベントジョブを用いてホストを監視する場合
次に示す図のように,あるJP1/AJS2 - Managerホスト(HOSTA)をHOSTBのマネージャー(監視する側)として,別のJP1/AJS2 - Managerホスト(HOSTB)をHOSTAのエージェント(監視される側)として設定し,イベントジョブを用いてHOSTAからHOSTBを監視する場合の制限事項を次に示します。
図8-17 2台のJP1/AJS2 - Managerホストでのイベントジョブを用いたホストの監視 (1)
- 制限事項
- HOSTBのJP1/AJS2が起動していない場合,HOSTBでは,イベントジョブを用いた監視はできません。
マネージャーにはエージェントの機能も含まれています。そのため,HOSTAが監視しているHOSTBのエージェントは,HOSTBのマネージャーの起動・停止と連動して起動・停止します。
- HOSTBのJP1/AJS2が異常終了した場合,HOSTAに情報を通知できません(HOSTAからHOSTBの監視はできません)。
マネージャーにはエージェントの機能も含まれています。そのため,HOSTAが監視しているHOSTBのエージェントは,HOSTBのマネージャーの異常終了と連動して停止します。
この構成でホストを監視したい場合は,次の図に示すように,イベントを,監視する側および監視される側のJP1/AJS2 - Managerホストとは別のJP1/AJS2 - Managerホストに転送してください。
図8-18 2台のJP1/AJS2 - Managerホストでのイベントジョブを用いたホストの監視 (2)
(b) 複数台のJP1/AJS2 - Managerホストが1台のJP1/AJS2 - Agentホストをエージェントとして設定している場合
複数台のJP1/AJS2 - Managerホストが1台のJP1/AJS2 - Agentホストをエージェントとして設定している場合,エージェントのJP1/AJS2 - Agentは同一のログファイル(エージェントが出力している,JP1/AJS2のログファイル)の情報を監視します。そのため,マネージャーが異なっていても,該当するエージェントを管理するマネージャーからは正しく監視できません。
この構成でイベントやメッセージを監視したい場合は,次の図に示すように,イベントやメッセージを,JP1/AJS2 - Agentホストを管理するJP1/AJS2 - Managerホストとは別のJP1/AJS2 - Managerホストに転送してください。
図8-19 複数台のJP1/AJS2 - Managerホストが1台のJP1/AJS2 - Agentホストをエージェントとして設定している場合のイベントやメッセージの監視
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