JP1/Automatic Job Management System 2 設計・運用ガイド
自動化する処理の検討が終了したら,業務にどのようなスケジュールで,どのようなカレンダー情報を適用して実行するかを決定します。
採用する業務の実行パターンによって,業務のスケジュールやカレンダーの検討の流れが異なります。JP1/AJS2での業務の実行パターンを紹介します。JP1/AJS2での業務の実行パターンには,次のパターンがあります。
業務の実行パターンを踏まえた,スケジュールやカレンダーの検討の流れを次の図に示します。
図2-5 スケジュールやカレンダーの検討の流れ
- <この項の構成>
- (1) 実行条件の検討
- (2) 実行開始日時,実行サイクル,遅延監視日時の検討
- (3) 運用日・休業日・基準日の検討
業務の実行開始形態には,開始日時を指定して業務を実行する形態と,あらかじめ開始日時を指定できない業務を実行する形態があります。JP1/AJS2では,実行する日時をあらかじめ指定できない不定期な業務でも,次のような条件が成立するたびに,並行してまたは連続して自動実行できます。
- あるファイルが更新されたとき
- 特定のJP1イベントを受信したとき
- 指定した時間が経過したとき
- ログファイルに特定の文字列が出力されたとき
- メールを受信したとき
実行条件を使用した業務の実行例を次の表に示します。
表2-2 実行条件を使用した業務の実行例
実行条件の種類 実行例 「あるファイルが更新されたとき」という条件が成立したら自動実行させる場合(ファイル監視ジョブの使用) 監視する「あるファイル」として「c:\jp1\a*」を,監視する事象として「更新されたとき(最終書き込み時刻変更)」を設定すれば,「c:\jp1」フォルダにある,aで始まるファイルが更新されたとき,業務を実行させることができます。 「指定した時間が経過したとき」という条件が成立したら自動実行させる場合(実行間隔制御ジョブの使用) 「指定した時間」に30分を指定し,実行条件の有効回数を10回に設定すれば,同じ業務を30分おきに10回実行させることができます。 このように,あらかじめ日時を指定できない不定期の業務を実行したい場合には,ある条件が成立したら業務を実行させる,というような「実行を開始する条件」を検討しておいてください。
なお,「実行を開始する条件」を検討する場合,次に示す代表的な内容もあわせて検討してください。
- 条件が成立するたびに同じ業務を並行して実行させるかどうか(多重スケジュールと多重起動)。
- ある時間帯にどのくらいの条件が成立するのか(どのくらいの量のイベントジョブが実行されるのか)。この検討はイベントジョブの性能見積もりで使用します。
(2) 実行開始日時,実行サイクル,遅延監視日時の検討
自動化する業務の運用形態に合わせて,スケジュールに関する項目について検討してください。代表的な検討項目と内容を次の表に示します。
検討項目 内容 実行開始日時 業務をいつ実行するのかを検討します。 実行サイクル どのような周期で業務を実行するのかを検討します。 ・実行条件の監視の開始日時
・実行条件の監視期間や回数実行条件を使用して業務を実行する場合は,条件が成立するのをいつから監視し始めるのか,および条件の成立を監視する期間や回数をどのくらいにするのか,などを検討します。 遅延監視日時 業務が予定の日時に開始または終了するかどうかを監視する日時(遅延監視日時)を検討します。
業務の開始または終了が遅れたら,その後の業務の実行スケジュールに大きな影響を与えてしまうような業務に設定します。
- 開始遅延の場合
- いつの時点で開始が遅れている状態であるかどうかを判断する日時を設定します。開始予定時刻から,ある時間以内に開始されれば正常とみなし,それ以上時間が過ぎても実行しなければ,何らかの異常が発生しているとみなします。
開始遅延と終了遅延の両方を指定することができます。また,どちらか一方だけを指定することもできます。
- 終了遅延の場合
- いつの時点で終了が遅れている状態であるかどうかを判断する日時を設定します。開始予定時刻から,ある時間以内に終了されれば正常とみなし,それ以上時間が過ぎても終了しなければ,何らかの異常が発生しているとみなします。
また,業務の実行が,あらかじめ意図している時間内に終了するかどうかを監視する間隔(実行所要時間の終了遅延)を検討します。業務の実行開始時刻から何分たったら遅延と判断するかを,1〜2,879分の間で検討してください。設定した時間を超えたら(実行時間が延びたら),業務のアイコンの表示色が変化したり,イベントが発行されたりして遅延したことを通知します。
業務(ジョブネット)の実行自体(実行時間)が延びてしまうと,その後の業務の実行スケジュールに大きな影響を与えてしまうような業務を監視したい場合に設定します。
(3) 運用日・休業日・基準日の検討
実行開始日時や実行サイクルなどのスケジュールの検討が終了したら,自動化する業務の運用形態に合わせて,カレンダーに関する項目について検討してください。代表的な検討項目と内容を次の表に示します。
検討項目 内容 運用日と休業日 業務を実行する日と実行しない日を検討します。 基準日 1か月の起点(月の境)となる日を検討します。暦日(一般のカレンダーの日付),または何番目の曜日かで指定します。
(例)
給与計算を締め切る日が毎月20日の場合,基準日を21日に設定することで,21日から翌月の20日までを1か月分として,計算処理を実行することができます。基準時刻 1日の起点(日付の境)となる時間を検討します。
(例)
月曜日から金曜日まで毎日その日の「25:00(翌日の午前1時)」に売上集計処理を実行している場合で,土曜日を休業日としているときを想定します。
基準時刻が「0:00」の場合,金曜日の分の集計は土曜日の「1:00」に実行されることになりますが,土曜日は休業日のため実行されません。基準時刻を「5:00」に設定することで「4:59」までが金曜日として扱われます。そのため,金曜日分の集計として土曜日の「1:00」に売上集計処理を実行することができます。休業日の振替方法 実行日と休業日を踏まえた上で,実行サイクルに従った実行予定日が,実行しない日(休業日)だった場合,別の日に振り替えて実行するかどうか(振替方法)を検討します。
(例)
月末に在庫をチェックして,棚卸作業を実施する必要がある業務で,月末が休業日になる場合,休業日の前日に実行されるように設定します。
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