ホストがオープン系ホストの場合で,データベースのレプリカを管理するときの基本的なシステム構成を説明します。「5. データベースサーバおよびバックアップサーバの運用とメンテナンス」についても,あわせて確認してください。
Application AgentのCLIを使ってレプリカを管理する場合のシステム構成については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software Application Agent CLI ユーザーズガイド」を参照してください。
(1) 基本的なシステム構成
データベースのレプリカを管理するための構成をアプリケーションごとに示します。データベースサーバがExchange Serverの場合は「図2-8 レプリカを管理する場合のシステム構成(Exchange Serverの場合)」および「図2-9 レプリカを管理する場合のシステム構成(DAG構成の場合)」,データベースサーバがSQL Serverの場合は「図2-10 レプリカを管理する場合のシステム構成(SQL Serverの場合)」に示します。
図2-8 レプリカを管理する場合のシステム構成(Exchange Serverの場合)
Exchange Serverと連携してデータベースのレプリカを管理する場合,DAG構成でレプリカを管理できます。DAG構成でレプリカをリストアする場合,Replication Managerではシード処理を自動で実行できます。DAGおよびシード処理の詳細については,Exchange Serverのマニュアルを参照してください。
DAG構成で,レプリカを管理する場合のシステム構成例を次の図に示します。
図2-9 レプリカを管理する場合のシステム構成(DAG構成の場合)
データベースサーバがSQL Serverの場合のシステム構成例を次の図に示します。
図2-10 レプリカを管理する場合のシステム構成(SQL Serverの場合)
(2) システムの構成要素
システムの構成要素を次の表に示します。
表2-7 レプリカを管理する場合のシステムの構成要素
システムの構成要素 | システムの構成要素に含まれるソフトウェア | 説明 |
---|---|---|
管理クライアント | Webブラウザー | 管理クライアントは,ユーザーがWebブラウザーを使って,管理サーバ上で稼働するReplication ManagerのGUIを操作するコンピュータです。 |
管理サーバ※ | Replication Manager Device Managerサーバ | 管理サーバは,管理クライアントからの要求に対して管理情報を提供します。Replication Managerとその前提プログラムであるDevice Managerサーバは,管理サーバにインストールします。 複数サイトで運用する場合,コピーペアを管理するときは,サイトごとに管理サーバが必要ですが,レプリカの管理だけを実施するときは,セカンダリーサイトに管理サーバは不要です。 |
データベースサーバ(Exchange Serverと連携する場合) | RAID Manager Application Agent(RM Shadow Copy Provider(VSS Provider)) Device Managerエージェント(任意) | Replication Managerでは,VSSを使用して,データベースのレプリカを管理できます。 データベースサーバには,RAID Manager,Application Agent,およびApplication Agentに含まれるRM Shadow Copy Provider(VSS Provider)をインストールします。Device Managerエージェントのインストールは任意です。Device Managerエージェントをインストールしている場合,Replication Managerからコピーペアを管理できます。 データベースサーバは,正ボリュームを管理します。ここで説明しているシステム構成図の場合,正ボリュームと同じストレージシステムの副ボリュームに,3世代のレプリカと,別のストレージシステムの副ボリュームに,1世代のレプリカを作成しています。 注意:レプリカを管理する場合,カスケード構成はできません。 |
データベースサーバ(SQL Serverと連携する場合) | RAID Manager Application Agent Device Managerエージェント(任意) | Replication Managerでは,VDIを使用して,データベースのレプリカを管理できます。 データベースサーバには,RAID Manager,Application Agentをインストールします。Device Managerエージェントのインストールは任意です。Device Managerエージェントをインストールしている場合,Replication Managerからコピーペアを管理できます。 データベースサーバは,正ボリュームを管理します。ここで説明しているシステム構成図の場合,正ボリュームと同じストレージシステムの副ボリュームに,3世代のレプリカと,別のストレージシステムの副ボリュームに,1世代のレプリカを作成しています。 注意:レプリカを管理する場合,カスケード構成はできません。 |
バックアップサーバ(Exchange Serverと連携する場合) | RAID Manager Application Agent(RM Shadow Copy Provider(VSS Provider)) Device Managerエージェント(任意) | バックアップサーバは,VSSスナップショットのインポートや,作成したレプリカの検証を実行するコンピュータです。 データベースサーバと同様に,RAID Manager,Application Agent,およびApplication Agentに含まれるRM Shadow Copy Provider(VSS Provider)をインストールします。Device Managerエージェントのインストールは任意です。Device Managerエージェントをインストールしている場合,Replication Managerからコピーペアを管理できます。 1台のデータベースサーバに対して設置できるバックアップサーバは,ストレージシステムごとに1台だけです。 バックアップサーバは,副ボリュームを管理します。副ボリュームは隠ぺいする必要があります。副ボリュームからテープ装置にバックアップする場合,テープバックアップ管理用のソフトウェアを使用してください。 |
バックアップサーバ(SQL Serverと連携する場合) | RAID Manager Application Agent Device Managerエージェント(任意) | バックアップサーバは,スナップショットのインポートや,作成したレプリカの検証を実行するコンピュータです。 バックアップサーバの追加は任意です。ただし,データをテープ装置にバックアップするときや,二次利用するときは,SQL Serverをインストールしたバックアップサーバが必要です。 データベースサーバと同様に,RAID Manager,Application Agentをインストールします。Device Managerエージェントのインストールは任意です。Device Managerエージェントをインストールしている場合,Replication Managerからコピーペアを管理できます。 1台のデータベースサーバに対して設置できるバックアップサーバは,ストレージシステムごとに1台だけです。 バックアップサーバは,副ボリュームを管理します。副ボリュームは隠ぺいする必要があります。副ボリュームからテープ装置にバックアップする場合,テープバックアップ管理用のソフトウェアを使用してください。 |
ストレージシステム | マイクロコード 必要に応じて,製品(TrueCopy SyncまたはShadowImageなど)のライセンスを登録してください。 | ストレージシステムとは,ホストに接続された外部記憶装置です。 |
(3) システムの構成要素に含まれるソフトウェア
システムの構成要素に含まれるソフトウェアを次の表に示します。
表2-8 レプリカの管理に必要なソフトウェアの概要
ソフトウェア | 説明 |
---|---|
Replication Manager | 大規模なシステム構成でストレージシステムのボリュームの複製を一元管理するために使用します。 Replication Managerには,Hitachi Command Suite製品で共用する機能を集めたHitachi Command Suite共通コンポーネントが含まれています。共通コンポーネントはHitachi Command Suite製品の構成要素としてインストールされ,インストール中に最新バージョンにアップグレードされます。 |
Device Managerサーバ | ストレージシステムのリソースおよびハードウェア構成の統合管理に使用します。複数のストレージシステムで構成されたシステムの運用と管理ができます。 Replication Managerが稼働している管理サーバ上にあるDevice ManagerサーバをローカルDevice Managerと呼びます。Replication Managerが稼働している管理サーバ以外で動作しているDevice ManagerサーバをリモートDevice Managerと呼びます。プライマリーサイトで稼働しているDevice Managerサーバでも,運用している Replication Managerと同じ管理サーバ上になければリモートDevice Managerとなります。 Replication Managerは,Device Managerサーバが管理するストレージシステムのボリュームに対して,コピーペア操作などを実行します。Device Managerサーバについては,マニュアル「Hitachi Command Suite Software システム構成ガイド」を参照してください。 |
Application Agent | Replication Managerからの要求に応じてレプリカを作成したり,リストアしたりします。Application Agentには,RM Shadow Copy Provider(VSS Provider)(Exchange Serverと連携する場合),およびHitachi Command Suite共通エージェントコンポーネントが含まれています。Hitachi Command Suite共通エージェントコンポーネントは,ほかのエージェント(Device Managerエージェントなど)でも使用されます。 |
Device Managerエージェント(任意) | Replication Managerからの要求に応じてコピーペア操作の実行をRAID Managerに指示したり,Device Managerサーバにホスト情報を提供したりします。Device Managerエージェントについては,マニュアル「Hitachi Command Suite Software システム構成ガイド」を参照してください。 Replication Managerでコピーペアを管理しない場合,インストールは不要です。 従来のReplication Monitorエージェントの機能は,Device Managerエージェントに統合されています。 |
RAID Manager | ホストからストレージシステムへコマンドを発行することでボリューム複製機能(TrueCopyまたはShadowImageなど)を制御するソフトウェアです。ストレージシステムに応じたバージョンのRAID Mangerを使用してください。 Replication ManagerはRAID Managerの構成定義ファイルを使用して,コピーペア構成を変更したり,構成情報を取得したりします。RAID Managerについては,RAID Managerのマニュアルを参照してください。 Replication Managerは,Device Managerエージェントを介してRAID Managerの構成定義ファイルを使用します。詳細については,マニュアル「Hitachi Command Suite Software システム構成ガイド」を参照してください。 |