B.2 Replication Manager CLIを使ったタスク管理

Replication Manager GUIで作成したコピーペア操作タスクを,Replication Manager CLIから実行するタスクとして登録できます。Replication Manager CLIから実行するタスクとアプリケーション(DBMS)の静止化処理を組み合わせたユーザースクリプトを作成することで,アプリケーションと連携したデータのバックアップが実施できます。作成したスクリプトを管理サーバに配置すれば,各ホストでのコピーペア操作を一括管理できます。タスクの実行結果は,Replication Manager GUIから一覧で確認できます。

この節の構成
B.2.1 Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用
B.2.2 タスク情報の取得(GetTasks)
B.2.3 タスクの実行(ExecuteTask)

B.2.1 Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用

Replication Manager CLIで管理できるタスクは,オープン系システムのコピーペアおよびコピーグループを対象としたタスクだけです。Business Continuity ManagerまたはRAID Managerで管理されたメインフレーム系システムのコピーペアおよびコピーグループを対象としたタスクは管理できません。

ここでは,スクリプトを使ったタスクの運用手順を説明します。

(1) Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用のワークフロー

Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用の流れを次の図に示します。

図B-1 Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用の流れ

[図]

(2) Replication Manager CLIを使ったタスク管理のための環境設定

Replication Manager CLIでのタスク管理の運用を開始する前に,次に示すbase.propertiesファイルのプロパティを設定する必要があります。

base.propertiesファイルのプロパティについては,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software システム構成ガイド」を参照してください。

(3) Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用例

ここでは,次の構成でアプリケーション(DBMS)のバックアップを実施している場合の運用例を示します。

図B-2 Replication Manager CLIを使ったタスク管理のシステム構成例

[図]

Replication Manager CLIを使ったタスク管理の運用手順を次に示します。

  1. コピーペア状態の変更ウィザードで,Replication Manager CLIから実行するためのタスクを登録します。
    登録するタスクを次に示します。
    • ShadowImageペアのresync操作を実行するタスク
    • ShadowImageペアのsplit操作を実行するタスク
    • Universal Replicatorペアの正ボリュームに対してsyncwait操作を実行するタスク
    それぞれのタスクについて,コピーペア状態の変更ウィザードの[スケジュール設定]画面で[CLIから実行]ラジオボタンを選択してください。
    タスクの登録方法については「5.18.11 コピーペア状態の変更手順」を参照してください。
  2. アプリケーションと連携してデータのバックアップを実行するスクリプトファイルを作成します。
    スクリプトファイルに記載する内容を次に示します。
    1. SIペアのresync操作を実行するタスクをReplication Manager CLIから実行
    2. アプリケーションの静止化
    3. URコピーグループのsyncwait操作を実行するタスクをReplication Manager CLIから実行
    4. SIペアのsplit操作を実行するタスクをReplication Manager CLIから実行
    5. アプリケーションの静止化の解除
    手順a,c,およびdそれぞれの手順での,スクリプトの記述例を次に示します。
    記述例の中の<タスクID>には,手順a,c,およびdで実行するタスクのタスクIDを指定してください。
    スクリプトの記述例(Windowsの場合)

    rem カレントディレクトリの移動
    cd "%ProgramFiles(x86)%¥HiCommand¥ReplicationManager¥RpMCLI"

    rem ペア操作タスクの実行
    call ExecuteTask.bat -u <ユーザーID> -p <パスワード> taskID=<タスクID>
    set cmdRetVal=%errorlevel%
    if not "%cmdRetVal%"=="0" (
    rem エラー発生
    echo Error!!
    exit /b 1
    )
    rem ペア操作タスクの実行結果の確認
    call GetTasks.bat taskID=<タスクID> retryInterval=<リトライ間隔> retryCount=<リトライ回数>
    set cmdRetVal=%errorlevel%
    if not "%cmdRetVal%"=="104" (
    rem エラー発生
    echo Error!!
    exit /b 1
    )
    rem 正常終了
    exit /b 0

  3. 作成したスクリプトファイルを,管理サーバ上で実行します。
    スクリプトの実行にはWindowsタスクスケジューラーなどを利用してください。
  4. Replication Manager GUIで,タスクの実行結果を確認します。
    タスクサブウィンドウで,Replication Manager CLIから実行されるタスクのタスクIDをクリックして,タスク履歴ダイアログを開きます。

タスクを編集,キャンセル,または削除したい場合は,Replication Manager GUIで実施してください。

参考
アプリケーションの静止化時間を考慮し,Replication Manager CLIで実行するタスクの処理時間を最小限に留める必要がある場合,Replication Managerがタスクの処理状態を確認する間隔を調整してください。タスク種別ごとに,RAID Managerでのコピーペア操作の処理時間と照らし合わせて,調整を推奨する条件と調整方法を次に示します。
調整を推奨する条件
・ split
RAID Managerのpairsplitコマンドの処理時間が100秒~120秒程度である場合
・ syncwait
コピーペアの同期待ちのタイムアウト時間を100秒~120秒程度とする場合
調整方法
agentif.propertiesファイルのhdvmagtif.PollingInterval(デフォルト値:30)を5~15(秒)に変更します。
調整を推奨する条件
・ resync
RAID Managerのpairresyncコマンド実行後,該当コピーペアのペア状態がPAIRに変わるまでに掛かる時間が150秒以下である場合
・ restore
ローカルコピーの場合,RAID Managerのpairresync -restoreコマンド実行後,該当コピーペアのペア状態がPAIRに変わるまでに掛かる時間が180秒以下であるとき
リモートコピーの場合,RAID Managerのpairresync -swappコマンド実行後,該当コピーペアのペア状態がPAIRに変わるまでに掛かる時間が180秒以下であるとき
調整方法
base.propertiesファイルのbase.taskscheck.interval(デフォルト値:120)を30~60(秒)に変更します。
調整を推奨する条件に該当しない場合,管理サーバに掛かる負荷を考慮して,各プロパティはデフォルト値での運用を推奨します。
プロパティの値を変更したあとは,Replication Managerを再起動してください。プロパティファイルの編集方法,およびReplication Managerの再起動方法については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software システム構成ガイド」を参照してください。

B.2.2 タスク情報の取得(GetTasks)

GetTasksコマンドは,Replication Manager CLIで実行するために生成されたタスクの情報を取得します。パラメーターでは,情報を取得するタスクのID,およびタスクの状態遷移を確認するリトライ間隔と回数を指定できます。タスクIDを指定した場合,タスクの状態は戻り値で確認できます。パラメーターの指定を省略した場合,Replication Manager CLIで実行できるすべてのタスクの情報が取得されます。

書式

タスクIDを指定してタスクの情報を取得する場合

GetTasks [taskID=<タスクID>]

タスクの状態遷移を確認するリトライ間隔と回数を指定する場合

GetTasks [taskID=<タスクID>] [retryInterval=<リトライ間隔> retryCount=<リトライ回数>]

パラメーター

コマンドで指定できるパラメーターを次に示します。

パラメーター指定のレベル説明
taskID任意Replication Manager CLIで実行できるタスクのタスクIDを指定します。タスクIDは大文字で指定してください。タスクIDは複数指定できません。このパラメーターを指定しないでコマンドを実行した場合,Replication Manager CLIで実行できるすべてのタスクの情報が表示されます。
例:TASKxxxx(xは数字)
retryInterval任意タスクの状態が実行中のときに,状態が遷移するまで確認するリトライ間隔を指定します。1~3600まで指定できます。単位は秒です。
このパラメーターを指定する場合,taskIDおよびretryCountも指定してください。
retryCount任意タスクの状態が実行中のときに,状態が遷移するまで確認するリトライ回数を指定します。0~3600まで指定できます。0を指定した場合,状態の遷移が完了するまでリトライを繰り返します。
このパラメーターを指定する場合,taskIDおよびretryIntervalも指定してください。

戻り値

戻り値を次に示します。

戻り値100~105は,taskIDが指定された場合に返します。

0コマンドは正常に終了しました。
1コマンドはそのプロセス中にエラーを検出しました。
100タスクが実行を待っています。
101タスクが実行中です。
102タスクがキャンセルされました。
103タスクが失敗しました。
104タスクが成功しました。
105タスクの処理完了を待っていてシステムがタイムアウトしました。

出力内容

出力される情報を次に示します。

Task ID,MF/Open,Host(Primary),Host(Secondary),Target,Copy Type,TaskType,Status,Creation Time,Execution Start Time,Execution End Time,Message,Detail Message

注※
デバイスグループで定義されたコピーグループのタスク情報を出力する場合,「-」(ハイフン)が出力されます。

B.2.3 タスクの実行(ExecuteTask)

ExecuteTaskコマンドは,Replication Manager CLIで実行するために生成されたタスクを実行します。ExecuteTaskコマンドを実行する場合,オプションを指定してユーザー認証を実施する必要があります。

書式

ExecuteTask {-u|--user}<ユーザーID> {–p|--password} <パスワード> taskID=<タスクID>

オプション

オプション指定のレベル説明
-u<ユーザーID>
または
--user<ユーザーID>
必須管理サーバへのログインに使用するユーザーIDを指定します。
タスクを実行できるのは,Replication ManagerのAdminまたはModify権限を持ち,かつAll Resourcesグループに属するユーザーに限られます。
-p<パスワード>
または
--password<パスワード>
必須ユーザーIDに対応するパスワードを指定します。

パラメーター

コマンドで指定できるパラメーターを次に示します。

パラメーター指定のレベル説明
taskID必須Replication Manager CLIで実行できるタスクのタスクIDを指定します。タスクIDは大文字で指定してください。タスクIDは複数指定できません。
例:TASKxxxx(xは数字)

戻り値

戻り値を次に示します。

0コマンドは正常に終了しました。
1コマンドはそのプロセス中にエラーを検出しました。