6.2.3 データベースのレプリカのリストア

Exchange Serverのデータベースのレプリカをリストアする手順について説明します。

この項の構成
(1) レプリカのリストアの流れ
(2) リストアレプリカウィザードの概要
(3) リストアレプリカウィザードの起動に関する要件
(4) リストアレプリカウィザードの起動
(5) レプリカのリストア

(1) レプリカのリストアの流れ

Exchange Serverのデータベースのレプリカをリストアするには,リストアレプリカウィザードを使用します。このウィザードを完了するとコピーグループ単位のタスクが自動で登録されます。レプリカのリストアの処理は,即時実行されます。

レプリカのリストアの流れを次の図に示します。

図6-4 レプリカのリストアの流れ

[図]

(2) リストアレプリカウィザードの概要

Replication Managerでは,アプリケーションと連携してデータベースのレプリカをリストアするためのリストアレプリカウィザードを提供しています。アプリケーションのリソース(ストレージグループ,インフォメーションストアなど)単位での最新復旧ポイントからのリストア,または,復旧ポイントを指定したリストアによって,データを復旧できます。

(3) リストアレプリカウィザードの起動に関する要件

リストアレプリカウィザードの起動時には,次に示す要件をすべて満たしている必要があります。

(4) リストアレプリカウィザードの起動

目的に応じたリストアレプリカウィザードの起動方法を,次の表に示します。

目的リストアレプリカウィザードの起動方法
最新のレプリカからリストアするExchange Server 2003
Exchange Server 2007
ストレージグループ一覧([ストレージグループ一覧]タブ)から,リストアするストレージグループを選択し,[リストアレプリカ]ボタンをクリックします。
選択したストレージグループを含むすべてのレプリカのうち,最新のレプリカの対象がリストアレプリカウィザードに表示されます。
Exchange Server 2010
Exchange Server 2013
インフォメーションストア一覧([インフォメーションストア一覧]タブ)から,リストアするインフォメーションストアを選択し,[リストアレプリカ]ボタンをクリックします。
選択したインフォメーションストアを含むすべてのレプリカのうち,最新のレプリカの対象がリストアレプリカウィザードに表示されます。
復旧ポイントを選択してリストアするレプリカ履歴一覧([レプリカ履歴]タブ)で作成時刻,対象のストレージグループまたはインフォメーションストア,ラベルなどを確認した上でリストアするレプリカを選択し,[リストアレプリカ]ボタンをクリックします。
選択したレプリカの対象がリストアレプリカウィザードに表示されます。
重要
リストアレプリカウィザードは,ユーザーごとに設定されたユーザーロールによって実行できる操作が限定されます。ユーザーロールについては,「2.3.6 ユーザーロール」を参照してください。

(5) レプリカのリストア

レプリカのリストア手順を次に示します。

  1. RAID Managerのインスタンスを起動します。
    データベースサーバとバックアップサーバにDevice Managerエージェントをインストールしていない場合(データベースサーバとバックアップサーバがペア管理サーバとしてReplication Managerに認識されていない場合),RAID Managerのインスタンスは自動的に起動しないため,あらかじめ起動しておく必要があります。起動方法については,マニュアル「Hitachi Command Suite Replication Manager Software システム構成ガイド」を参照してください。
    重要
    バックアップサーバの再起動時など,RAID Managerのインスタンスが停止状態になっている場合にも,手動で起動しておいてください。
  2. [エクスプローラ]メニューの[リソース][アプリケーション]を選択します。
    アプリケーションサブウィンドウが表示されます。
  3. [Exchange]リンクをクリックします。
    Exchangeサブウィンドウが表示されます。
  4. リストア対象のデータベースサーバを選択します。
    <データベースサーバ名>サブウィンドウが表示されます。
  5. 使用しているアプリケーションに従って次の手順を実行します。
    • Exchange Server 2003またはExchange Server 2007の場合
      目的に応じて[ストレージグループ一覧]タブまたは[レプリカ履歴]タブを選択します。
      最新のレプリカからリストアする場合は[ストレージグループ一覧]タブを,復旧ポイントを選択してリストアする場合は[レプリカ履歴]タブを選択してください。
    • Exchange Server 2010またはExchange Server 2013の場合
      目的に応じて[インフォメーションストア一覧]タブまたは[レプリカ履歴]タブを選択します。
      最新のレプリカからリストアする場合は[インフォメーションストア一覧]タブを,復旧ポイントを選択してリストアする場合は[レプリカ履歴]タブを選択してください。
  6. リストア対象のストレージグループ,インフォメーションストア,またはレプリカを選択し,[リストアレプリカ]ボタンをクリックします。
    リストアレプリカウィザードの[1. 対象の選択]画面が表示されます。
  7. リストア対象のストレージグループまたはインフォメーションストアを選択します。
  8. [次へ]ボタンをクリックします。
    [2. オプション設定]画面が表示されます。
    参考
    リストアはボリューム単位で実施するため,手順7で選択したストレージグループまたはインフォメーションストアを含むボリューム内にほかのストレージグループまたはインフォメーションストアが含まれる場合,それらが自動的に選択された状態で再表示されます。この場合,再度[次へ]ボタンをクリックすると[2. オプション設定]画面が表示されます。
  9. リストアモードを選択します。
    重要
    インフォメーションストアのデータだけをリストアし,トランザクションログを使ってロールフォワードする場合は,[ロールフォワードリストア]を選択してください。
  10. Exchange Server 2010またはExchange Server 2013の場合は,リストアオプションを設定します。
    重要
    DAG構成でシード処理の機能を使用する場合,[同一のデータベース可用性グループ(DAG)に含まれるほかのホストに対してシード処理を実行する]チェックボックスを選択してください。リストアのあとでシード処理を実行したい場合は,[同一のデータベース可用性グループ(DAG)に含まれるほかのホストに対してシード処理を実行する]チェックボックスを選択しないで,リストアしたあとでシード処理を手動で実行してください。
    参考
    一部のホストで障害が発生して,Microsoft Exchange Replication Serviceが稼働していない場合でも,シード処理を実行できます。シード処理を実行するには,リストア対象のデータベースが複数のホストにデータをコピーしている環境で,ほかのホストのMicrosoft Exchange Replication Serviceが稼働している必要があります。
    この場合は,[同一のデータベース可用性グループ(DAG)に含まれるほかのホストに対してシード処理を実行する]チェックボックスを選択して,[Microsoft Exchange Replication Serviceが稼動しているホストにシード処理を実行し,リストア操作を続行する]ラジオボタンを選択してください。シード処理の詳細については,Exchange Server 2010またはExchange Server 2013のマニュアルを参照してください。
  11. [次へ]ボタンをクリックします。
    [3. 確認]画面が表示されます。
  12. 指定した設定項目を確認してから,[確認]ボタンをクリックします。
    [4. 完了]画面が表示されます。
  13. [完了]ボタンをクリックします。
    ウィザードで指定した設定項目がタスクとして登録されます。タスクの[状態]欄で,リストアレプリカタスクの状態を確認します。タスクを確認するには,[エクスプローラ]メニューの[タスク][タスク]を選択します。
    重要
    DAG構成の場合,シード処理の機能を使用しないでリストアすると,リストア対象のExchange Serverレプリケーション機能は停止されますが,シード処理は実行されません。リストアしたあと,シード処理とExchange Serverレプリケーション機能を手動で実行してください。
    また,リストアしたあとにExchange Serverレプリケーション機能を正常にするには,シード処理を実行してください。シード処理を実行しない場合,Exchange Serverレプリケーション機能が正常に動作しません。
    重要
    DAG構成の場合,Point-in-timeリストアを実行したあとにシード処理を実行しても,コピーキューの長さが0にならないことがあります。この状態でメールボックスデータベースコピーをスイッチオーバーする場合,Exchange Management Shellを使用してスイッチオーバーを実行してください。
    コマンド例:
    Move-ActiveMailboxDatabase <データベース名> -ActivateOnServer <スイッチオーバー先のサーバ名> -SkipLagChecks:$True -MountDialOverride:Besteffort
    参考
    タスクは,タスク一覧から選択してキャンセルしたり再実行したりできます。